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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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檀香 伽羅~序章 5

第四部"for PARENTS" (略して第四部"P")

こちらは、以前のHPで2006年08月27日にUPしたものです。
第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
5話完結 act.5

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◇◆◇

 エースが雷神界を訪れた翌日。すっかり鋭気を養ったエースと、協力を要請されたライデンは、揃って文化局のゼノンの執務室を訪れていた。
 前日に丸一日姿を見せなかったエースを気にしつつも、エースがいない以上デーモンの件には深入り出来ないと言う状況から、必然的に休養を取る羽目になったゼノンも精神的にも落ち着きを取り戻したようだった。
「…で、何でライデンがいる訳…?」
 自由に歩き回ることが出来ないはずの雷帝が魔界にいると言う状況。そして、そこにエースも一緒、と言うことに、ゼノンは眉を顰めずにはいられない。
「…だから、エースが俺に、デーさんを捜す協力をして欲しいって言いに来た訳よ。あんたは、手を出さなくても良いからさぁ、ただ、見届けてくれれば良い訳よ。わかる?」
 そう説明するライデン。事が事だけに、ゼノンの表情も厳しいのだが…この話を説明し直すのは既に幾度目かになったりもするのだが…。
「…幾ら説明されても、そんな説明で俺が納得すると思う?何で、雷帝たるライデンを借り出さなきゃいけない訳?俺が、幾らでも協力するって言っているのに」
「だから、エースはあんたに休息を与えたいと思っているんだってばっ!何回説明すればわかるかなぁ~」
 呆れた表情を浮かべるライデン。こう言う時に融通の利かない相手が一番厄介だと言う事は、昔から知っていたはずなのだが…。
「何度言われたって、俺の答えは同じ。御前を借り出す必要は何処にもないよ。何でそれを俺が納得すると思ってるの?」
 押し問答を繰り返すライデンとゼノンの姿に、エースは溜め息を一つ。
 やはり、ゼノンに話さない方が良かったのだろうか…。今更ながらに、そんなことを考えていたりする。
「…だからぁ…っ」
 ライデンのその声に苛立ちが見え始めた時、エースは敢えてその言葉を遮った。
「言っておくが…」
 口を挟んだエースへと、苛立ちの眼差しが一斉に向けられる。
「あんたは黙っててよっ!」
 苛立ちに任せ、そう言葉を放つライデン。既に制止の聞く状態ではないようである。けれど、そのまま放っておいても結論が出る訳でもないことは、エースも良くわかっている。だからこそ、そのライデンの苛立ちも言葉で押さえつけた。
「あくまでも、俺の一存だからなっ。俺がライデンに頼んだのだから、ライデンがゼノンに文句を言われる筋合いではないし、ゼノンが承知しないであろう事もわかった上での話だから、ライデンがゼノンに苛立つ必要もない。以上」
「以上、って…そんな簡単な話じゃないでしょう?!」
 エースの言葉に、ゼノン、ライデンの両名が揃って抗議の声を上げる。
「…何で、こう言う時ばっかり揃うんだよ…」
 再び溜め息を吐き出すエース。
 御互いに引く気も全くないこの二名には、何を言っても反論が返って来るだけ。そこまで気が合うのなら、言い争いなどならなくても良いのに…と、密かに思っていたりもするのだが…。
「…とにかく、悪いと思っているよ。元々、俺がゼノンに協力を要請しなければ、ゼノンもここまで苦しむこともなかった。それに、ライデンに協力を要請しなければ、ゼノンもライデンも苛立つこともなかった。全部俺が悪い」
 溜め息を吐き出しつつ、そう言葉を放つエースに、ゼノンもライデンも眉を顰める。
「そんな結論ないでしょうっ?!何で全部あんたが悪いのさっ!ただ純粋に、デーさんを助けようと思っているだけじゃない。それの何処がイケナイって言うのさっ」
 苛立ちを言葉としてぶつけるライデン。
「大切なヒトを護りたい気持ちは誰だって同じでしょう?俺は、その気持ちの手助けをしてやりたいだけなんだよ?!俺だって…昔は随分無茶したよ。でも、それを支えてくれたのは、仲魔たちだった。だから、俺はその恩返しをしたいだけなのにさぁ。何でゼノンはそれがわからない訳?あんた一名で、抱え切れる問題だと思ってるの?!あんたたち二名して一ヶ月でそんなに痩せて、休息さえ取らないで、何考えてるの?自分たちばっかり背負うのやめてって何度も言ってるじゃん?!こう言う時こそ、みんなで力を合わせなきゃいけないんじゃないの…?デーさんは、俺にとっても大事な仲魔なんだよ…?」
 そう訴えるライデンの言葉は、昔の記憶を呼び起こしていた。
 最愛の恋悪魔と共にいる為に。その為に、ライデンがどれだけ無茶をして、周囲に心配をかけ続けたか。勿論、その時は自分自身、精一杯だったのだから、当然歯止めが利くはずもない。それを支え続けた仲魔たちも、ライデンの想いは痛い程わかっていたから。だから、誰も反対はしなかったし、支えてやろうと言う気持ちにもなっていた。
 今、それを思い出し…溜め息を吐き出したのはゼノン。
 何より…一番心配をかけたのは、自分自身ではないか。
「……わかったよ。御前がそこまで言うのなら、もう反論はしない。ただね…自分の立場って言うものも忘れないで欲しいんだよ。御前は一国の主。俺は御前の伴侶として、魔界側の都合で御前の身を危険に晒す訳にはいかないんだよ。それを忘れないでよね」
 溜め息と共に吐き出された言葉。
 雷帝の伴侶。しかも、未だ魔界で職務についている、と言うだけで、雷神界からの風当たりが強いことは十分痛感している。だからこそ、心配ばかりするゼノン。ライデンもそれを良くわかっている。
 ライデンは一つ間を置き、小さく頷いた。
「…うん…わかってる。忘れてる訳ないじゃん。でも俺は、やっぱり…大事な仲魔を助けたい」
 その想いは、いつでも変わらない。みんなが、ずっと心の底に秘めていたモノ。だからこそ…無碍には出来ない想い。
「…さぁ、そうと決まれば、詳しいことを相談しよう」
 気持ちを切り替えるかのように、大きく息を吐き出したゼノン。そして、にっこりと微笑んでエースに向かい合った。
「あぁ……有難う」
 仲魔たちの想いが、何よりも嬉しいと思う。そして、何よりも心強い。
 安堵の吐息を吐き出しつつ、エースは自分が見て来た状況を改めて説明する。
 大切な恋悪魔を護る為の…小さな可能性を。

◇◆◇

 その日の夜遅く。その屋敷のその部屋に集まったのは三名。そして、その中央に、小さな姿。無防備なその寝顔は、何の悩みも感じさせない。
「…じゃあ…行くよ」
 そう言葉を発したのはライデン。その声に小さく頷いて見せたのは、エースとゼノン。
「外部からの介入を防ぐ為に、大事をとって結界を張るよ。あんたは先に中に入って」
「了解」
 ライデンに言われた通り、エースはその小さな額にそっと手を置き、目を閉じる。そして、その意識を同調させて行く。
 完全にエースの意識が溶け込んだのを確認すると、ライデンは結界の呪を唱える。そして、結界が完成すると、大きく息を吐き出してゼノンを振り返った。
「じゃあ…俺も行くよ。後は宜しくね」
「うん。気をつけて」
 ゼノンに見守られ、ライデンもエースと同じように、意識を同調させて行く。
 その姿を見送りつつ、ゼノンは溜息を一つ。
 今回の策で、ゼノンは見守る役目を納得した。けれど、医師として、研究者として、納得出来ない自分もいる。勿論、その想いを殺しての納得であることは間違いない。
 これから起こることを、見届けることも大事な役目。自分だけが、外部から全てを見届けることが出来るのだから。
 小さな溜息を吐き出しつつ、ゼノンは傍の椅子に腰を降ろしたのだった。

 その頃エースは、前回と同じ封印壁の大きな箱の前にやって来ていた。その背後には、ライデンの姿もある。
「いつでも良いよ」
 ライデンにそう声をかけられ、エースは小さく頷くと、そっと封印壁に手を触れた。
 その中から感じるのは、小さな泣き声。この間よりも僅かに声が小さくなったような気もする。それが、妙に不安にさせる。
「…OK」
 小さく答え、気持ちを落ち着かせるかのように大きく息を吐き出す。
「じゃあ、行くよ」
 ライデンも大きく息を吐き出し、ゆっくりと解呪の呪を唱え始めた。
 封印壁の封印を解いた後…そこに何が待っているのか。それは、誰にもわからない。けれど…ほんの小さな希望があれば良いと思う。その為に…ここまでやって来たのだから。
 ライデンの封印解除の呪が、封印壁の箱全体を包み込む。そして、一瞬大きく光を放つ。その瞬間、エースは魔力を以って壁の一部を破壊し、その中へと飛び込んで行った。
「…無事で…」
 その後姿を見送り、ライデンは不安で高鳴る胸を必死に押さえていた。

 箱の中に飛び込んだエースは、その中で泣いていた正体をやっと目の当たりにした。
 泣いていたのは…小さな光の塊。それは…とても、懐かしい温もりを持っていた。
 エースは、震える手をそっと伸ばし、その光の塊を両手で包み込んだ。
「…やっと…見つけた…」
 光の塊をそっとその胸に抱き寄せる。
「…一緒に…帰ろう。みんな…待っているから…」
 やっと見つけた安堵感。胸が一杯で…溢れた涙が、頬から零れ落ちた。そして、胸に抱いた光の塊の上に落ちる。
 その瞬間、光の塊は爆ぜ、エースの手から光が消える。
 全てが、帰るべき所に帰ったのだ。
 エースは涙を拭うと、辺りを見回す。既に封印壁の箱はなく、視線の先には微笑むライデンの姿。そしてそこは既に闇ではなく…暖かな光が零れていた。
「エース、早く帰ろう?みんな、待ってるから」
「あぁ」
 エースが出て来る直前に、飛び出して来た光。その光の温もりで、ライデンもその正体を感じていた。
 だからこそ、急いで帰らなければ。
 目覚める時に…誰もいないのでは、寂しいから。
「行くぞ」
「OK!」
 にっこりと微笑み合う二名。そしてその姿は、風のようにその意識の中から消えていた。

 薄闇の中、じっと結界を見つめていたゼノンは、その小さな身体が光に包まれるのを見た。そして、そこから飛び出した光の塊。
「…デーモン…?」
 ほんの一瞬…笑い声が、聞こえたような気がした。
 ゼノンは結界に手を伸ばすと、漂っていた光の塊をそっと呼び寄せる。そして、大事に腕の中に抱き留めると、安堵の溜息を吐き出した。
「…御帰り…デーモン」
 そう言葉が零れた時、エースとライデンも目を覚ました。その直後、それが本来の姿であるように、急に堰を切ったかのように泣き出した小さな姿。エースは、手を伸ばしてその姿を抱き上げる。
「…御前も…帰って来たのか…」
 初めての夜泣き。そんな姿にも小さく微笑んだ姿は…まさに、父親の姿、だった。
「…さぁ、デーモンのところに行こう」
 にっこりと微笑んだエースの姿に、ゼノンもライデンもにっこり微笑んで見せた。
 あと少し。あと少しで…みんなが揃うのだから。

◇◆◇

 夜も遅いと言うのに、デーモンの屋敷に押しかけて来た姿たち。だが、使用魔たちも然して驚く驚くこともなく、すんなりとその寝室へと通してくれる。
 ゼノンの腕に抱かれたままの、結界に包まれた光の塊。それが何を意味するのかは、誰もが言われなくてもわかっているようで。
 黙って見守る使用魔たち。その中で、ゼノンはそっと結界を解くと、ベッドに横たわるデーモンの胸の上に、その光の塊とゆっくりと乗せる。
 自然と吸い込まれていく光。そして暫しの後…デーモンの頬に、徐々に生気が戻って来るのがわかった。
 エースは、抱いて来たエルをアイラに預けると、その胸元の袋から取り出した指輪を、デーモンの左手の薬指にそっと填めた。
「…起きろ、デーモン…みんな…待ってるんだぞ…」
 小さくつぶやき、眠っているデーモンに深く口付けた。
 精一杯の、想いを込めて。
 息を飲んで見守る仲魔たち。そして、祈るように胸の前で固く両手を握り締める使用魔たち。
 その場にいる全ての者たちの想いが重なる中…閉ざされていたデーモンの瞼にかかる睫が、僅かに揺れたような気がした。
「…デーモン」
 再び、エースが小さく呼びかける。
 すると、その声に導かれるかのように…ゆっくりと、瞼が開いた。
 ぼんやりと辺りを彷徨う金色の眼差し。けれど、自分をじっと見つめる眼差しに気が付くと、目を細め、その主を確かめるかのように焦点を合わせているようだった。
 そして。
「……エー…ス…?」
 掠れた、か細い声。けれど、それで十分だった。
「…良かっ…た…」
 エースの口から零れた安堵の言葉。その瞬間、周囲から湧き上がる歓喜の声。その歓声の中…溢れる涙を止められず、両手で顔を覆ったエースを、デーモンは真っ直ぐに見つめていた。
 愛しい者を、見つめる眼差しで。

◇◆◇

 デーモンが目覚めてから一時間余り。エルは使用魔たちが寝かしつけてくれたおかげで、エースはずっとデーモンの傍に寄り添っていた。
 念の為ゼノンがデーモンの診察をしたが、特に異常は見られなかった。眠り続けていたことで体力は多少消耗してはいたが、魔力も精神力も回復して来ている。暫くゆっくり休めば問題はないと判断したゼノンは、既にライデンと共に屋敷を後にしている。
 寝室に残ったのは、デーモンとエースの二名のみ。その手を固く握りあい、そのぬくもりをしっかりと確認し合っていた。
「…随分…心配かけたみたいだな」
 エースの顔を見て、デーモンがそう口を開く。
「全くだ。いきなりいなくなりやがって…どれだけ心配したか…」
 小さな溜息を吐き出しつつ、そう零したエース。けれど、怒っている訳ではない。ただ、傍にいてくれる安心感を実感しているだけで。
「まさか…エルの中にいたとはな…もっと早く、気が付けば良かったよ」
 そう言葉を零すエースに、デーモンは苦笑する。
「生命力の大きさから考えれば、エルが一番パワーがあったんだ。吾輩も、気が付いたら引き込まれていた。多分、あの時あのままだったら…吾輩の生命も危うかったかも知れない。産まれた直後にそれを察して、エルは自分の意識を抑えてでも、吾輩を引き込んでくれたんだろう。だから…吾輩は、エルに助けられたんだ」
 思い出すように、しみじみとそう口にするデーモン。
 そう。エルの生命力があったからこそ…自分は、生命を救われたのだ。それだけ、産まれたばかりの子供の生命力は大きいものだったのだ。それを、改めて思い知ることが出来た。
「…大切に…育てていかなければな」
 軽く微笑むデーモンに、エースも小さく微笑む。
「あぁ…そうだな」
 それは、エルのことだけではない。デーモンの生命もまた…大切に、養っていかなければならないもの。
 これから先、みんなが微笑んでいられるように。
 それが、細やかながら…最大の、希望。
 今は…エースもデーモンも、その想いだけだった。
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趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
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