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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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異次元回廊 後編
こちらは本日UPの新作です
…笑ってやってください、第二弾。(笑)

拍手[1回]


◇◆◇

 その夜。
 みんなが寝静まった頃、ドアがノックされた。
 まさか…エースの夜這いじゃないだろうねぇ…
「…誰?」
 恐る恐る、問いかけてみると。
「あぁ、俺。ゼノン」
 あぁ、良かった。
 ベッドから起き上がって、そのドアを開ける。
「起こしちゃった?」
「いや。起きてたから」
 怖くて眠れる訳、ないじゃん。
 俺はゼノンを部屋の中に促し、ベッドに腰かけた。
「何?」
「あぁ、あのね」
 ゼノンは椅子を引きずり寄せ、僅かに声を潜めた。
「ルークさ、今日随分変なこと言ってたでしょ?だから、ちょっと気になって」
 そう言ったゼノンの表情は、俺の知ってるいつものゼノンと同じだった。
 やっぱりこいつは、変わらないね。
 ちょっと安心。
「俺は、変なことなんて言ってない。俺の知ってる構成員は、俺が話した通りの奴等だ」
 俺がそう言うと、ゼノンは小さな溜め息を一つ。
「…もしかしたらって、思ったんだけど…ルークもあの噂、知ってるよね?」
「あの噂って?」
「ほら。近くの、四本の植木のこと。あの四本の植木の前のT字路を通ると、お化けが出るってヤツ」
「あぁ。知ってるけど…」
「通らなかった?そのT字路」
「…何で?」
 怪訝な表情を浮かべた俺に、ゼノンは説明を始めた。
「俺も、ちょっと気になってたんだけどね…あの噂、満更嘘でもないんだ。まぁ、お化けは出ないけどね」
「じゃあ、何?」
「違次元回廊が、あるらしいんだ」
「…違次元回廊?」
「そう。だから、ルークがあそこを通ったんだとすれば…ひょっとして、ここはルークにとって、次元が違う世界なんじゃないかと思って」
「……」
 そう…か。
 それで、謎が解けた。
「確かに、俺はあのT字路を通った。通った時、確かに違和感って言うか…何か、変だなってのは、感じたんだ。でもまさか…違次元回廊があったなんて…」
「まぁ…いつもある訳じゃないんだよ。時々、ふっと現れて、いつの間にか消えてる。常にあったら、みんな巻き込まれて大変な騒ぎだよね」
 そうだよな。常にあったら大変だ。それに、もしそうだったら、もっと早く気が付いているだろうし。
 幾ら生活自体は一緒でも、状況が違うもんな。ここは。
 俺は無意識に、違次元回廊を通過してしまった訳だ。
 で、ここは本来俺がいた世界とは違う世界。
 だから、俺の知っている構成員の姿とは違った訳だ。
「違次元回廊を通って、こっちの世界に来たってことはさ、ここにもう一悪魔の俺がいる、ってことだよね?」
 ふと、脳裏を過った疑問。
 一体、何人の俺がいるんだろう?
「まぁね。でも、元は一つだよ。魔界にいる御前は一悪魔しかいない訳でしょ?その中から、可能性としてこんな世界もある、と言うことだから。どれが実体なのかは、多分はっきりとした境界線はないんだよ。だから、もしかしたら、この世界にいるルークが本物かも知れないし、御前が本物かも知れない。それは、誰にもわからないんだから。何人のルークがいるのか、誰も知らないんだよ」
 そう聞くと、何だかミサ会場を思い出すのは、俺だけ…?
 だって、そんな感じしない?大勢のルーク(メイク信者)がいる中で、本物は俺一名、だもんな。何だか、奇妙な感覚だけど…いつまでも、こうしている訳にも行かない。
「…どうしたら、元の世界に帰れる?」
 やっぱり、自分がいた世界に帰りたい訳だ。
 俺は、そんな思いを込めて、ゼノンに尋ねた。
「そうだねぇ…どうやったら確実に元の世界に帰れるかと言うことは、俺にもわからないよ。でも、もう一度あの回廊を通れば、ひょっとしたら…まぁ、今もあるって言う確証はないけどね」
 済まなそうな表情を浮かべ、ゼノンはつぶやく。
 その答えに、俺は溜め息を一つ。
 でも、まぁゼノンの所為じゃないし。
「悪かったね、別に、あんたの所為じゃないのに…俺が、噂を信じなかっただけだもんね。自業自得か」
 僅かに自嘲気味の笑いを零したものの…
「…ひょっとして、俺がこっちの世界にいるってことは、こっちの世界のルークは、俺がいた世界に行ったってこと…?」
「じゃ、ないのかな?」
「……」
 思わず沈黙…
 まさか、エースに迫ったりなんか、してないだろうねぇ…
 元の世界には帰りたいけど、とんでもないことになってそうで恐いなぁ。
「…ま、とにかく…」
 俺は諦めて、深く息を吐いてから言葉を発した。
「もう一度、あの道に行ってみるよ。したら、戻れっかも知んないんでしょ?」
「まぁね。でも、ひょっとしたら、もっと変な世界に飛んじゃう可能性もあるんだよ?多分…向こうのルークも、向こうのゼノンに同じような説明、受けてるんじゃない?だとしたら、無理矢理にでも空間繋けちゃっても、大丈夫だと思うんだけど…」
「それを早く言ってよね…」
 脱力…
 うぅっ…俺って、何って間抜けなんだろうっ。気付かない俺も俺だよなぁ。
 深い深い溜め息を吐いた時、ゼノンはちょっと不思議そうな声を、その口調に乗せた。
「…そう言えば…俺、聞いてみたいと思ってたんだけど…ルークのいた次元ではさ、俺とライデンが、恋悪魔同士だったよね?」
「…え?あぁ、そうだよ。すっごく甘いの。回りの目なんて、気にしてないんだろうね、きっと」
 そうだよな、確かに。
 平気で抱き合うわ、夜は暴れてるわ…おっと。これは、口が滑った。
 ま、とにかく。
 完全に御互いを必要としてるってのは、間違いないよな。
「…そうか。想像出来ないけど…それはそれで、楽しいんだろうね、きっと」
 ゼノンは僅かに目を細めて、そうつぶやいた。
 まるで、自分も楽しみたいって感じの口調だよね、これって。
「…嫌いじゃ、ないんじゃないの?ホントはさ」
 ひょっとすると、ひょっとして…
 そう尋ねた俺の声に、ゼノンは僅かにその頬を赤らめた。
「そ…っんなこと…」
 おっ。この反応は。
 良いねぇ、初々しくって。
 あっちのゼノンみたいに、変に捻くれてなくって。
「きっと、上手く行くと思うよ。俺の知ってるゼノンとライデンはさ、まぁたまには喧嘩もするんだろうけど、すっごい仲良いからさ。あんただって、例外じゃないと思うよ、俺は」
 そう言った俺の声に、ゼノンってば、顔を赤くしてうつむいてしまった。
 初めて見たね、ゼノンのこんな反応。
「…ライデンにも、俺から話そうか?」
 こうなったら、何とかしてでもまとめてやりたいって感じがするんだけど。
 俺の言葉に、ゼノンは顔を赤くしたまま、小さくつぶやいた。
「俺は…別に、そんなんじゃ…」
「照れない、照れない」
 面白いわ、こりゃ。
 思わずにんまりと笑みを零した俺を、ゼノンは横目で睨む。
「余計なこと、吹き込まないでよねっ」
「誰に?」
「決まってるでしょ!?ライデンにだよっ」
「何で?」
「だって…」
 口を噤んだゼノンは、ますます真赤になる。
 俺は小さく一息吐くと、ゆっくりと口を開く。
「ねぇ、ゼノン。俺さ、前にゼノンに…あぁ、あっちの次元のゼノンにね、言われたことがあるんだ。好きなら好きだってきちんと言葉にして言わないと、気持ちは伝わらないって。いつかきっと、後悔するって。だから…さぁ」
「……」
「あんただって、ホントはそう思ってるんでしょ?だったら、あんたの方から伝えても良いんじゃない?」
「俺は…」
「デーさんの言葉を借りるなら、勇往邁進」
「ルーク…」
 未だ、頬を赤く染めたゼノンが、俺に何かを言いかけた時。
 ふと、部屋の中の空間が歪み始めた。
「…おや、まぁ。御早い決断だこと」
 それが何なのかわかった俺とゼノンは、思わず顔を見合わせてくすっと笑う。
 ホント、随分早いじゃないの。
 歪んだ空間に亀裂が入り、向こう側が見え始めた。
 その向こうに見えたのは、勿論もう一名の俺と、もう一名のゼノン。
 やっと一名通れるだけの大きさになった亀裂から、こっちの次元のルークがやって来る。
「とんだことになったねぇ」
「全く」
 くすくすと笑いを零しながら、俺たちは御互いに元の次元へと戻った。
「御帰り」
 にっこりと微笑んで迎えてくれたのは、勿論ゼノン。
 亀裂が閉まる直前に、俺は向こうの次元のゼノンを振り返る。
「頑張れ、ゼノン」
「…ありがと」
 小さく笑ったゼノンは、何かを吹っ切ったようにも思えた。
「じゃあね」
 向こうの世界のゼノンとルークに手を振ると、俺の目の前で静かに亀裂は塞がり、歪んだ空間は元に戻った。

◇◆◇

「向こうのゼノンと、何話してたの?」
 時計の時間は真夜中をとっくに回っているのに、結局寝そびれた俺とゼノンは、リビングでコーヒーを飲んでいた。
「ちょっとね、魔生相談」
「は?」
 思わず、笑いが零れてしまった。
 しかし、すぐにハッと我に返った。
 そう言えば…向こうのルークって……
「ねぇ、ちょっと聞きたいんだけど…」
「何?」
 無垢な顔で問い返すゼノンに、俺は思わず赤面…
「あのさぁ…さっきの…違次元のルーク、エースに何か変なことしなかった?」
「え?あぁ、何か言ってたよ。ルークが抱きついて来ただとか、迫って来ただとか…俺とライデンが仲良くしてるのも変だって。多分、向こうの次元では違ってるんだろうね」
 と、ゼノンはさして気にも留めていない様子。
 まぁ、ゼノンは良いんだけど…
 頭を抱えた俺が、溜め息を吐いたのを見たゼノンが、くすっと小さく笑った。
「大丈夫だよ。事情は、俺がちゃんと聞いたから、朝になったら説明してあげるよ」
「頼んだ」
「任せておいて」
 やっぱり、ゼノンはこう言うところで頼りになる。
 何はともあれ、やっと元の次元に戻って来れたことで、何となくほっとしてしまった訳である。


 ゆっくり眠ることも出来ず、ベッドの中で何となくうとうとしているうちに、あっという間に昼近くになっていた。
 俺が大きな欠伸と共にリビングに行くと……
「…な…んだよ」
 そこにいたデーさん、エース、ライデンまでも、俺から逃げ腰じゃないか。
「御前、熱でもあるんじゃないのか?」
 恐る恐る尋ねるのは、当然と言えば当然か…
「俺は熱もないし、何処もおかしくない。昨日の俺は、俺じゃない。あれは違次元のルークで…ゼノンから聞いてない?」
「ゼノン?まだ起きて来ないが?」
「……」
 答えたデーさんの声に、思わず溜め息を一つ。
 俺が説明しても良いんだけど…この調子だと、まだ納得してくれなさそうだし…ま、ゼノンが起きてくれば、みんなに説明してくれるだろう。
 俺は、疲れた。
 んでも…ちょっと遊んでみようかねぇ。
 すっとエースに近寄った俺に、エースは僅かに身を引いたけれど、先程のようにあからさまではない。
 と、言う訳で。
「エースっ」
「だーっ!!何しやがるっ」
 その頬に軽くキスすると、咄嗟にエースは俺から飛び退いた。
「冗談だって」
 くすくすと言う笑いを、エースの焦った顔に向ける。
 デーさんもライデンも、呆然とした表情。
 昨日もきっと、こうだったんだろうね。
 しかしまぁ、俺も随分驚かされたことだし…これで少しは欝憤が晴れたって訳だ。
 俺も元の次元に戻った訳だし、お化けの噂のあるあの植木には気を付ければいい訳だし、この先の問題はない訳だ。
 他の構成員にも、後で話してやろうか。
 とにかく、放置してもっかい寝るっ!

 その後、起きて来たゼノンが状況を説明して、昨日の謎は全部解けた訳だ。
 これで、俺も安泰!
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趣味は妄想のおバカな物書きです。
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