聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
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異次元回廊 前編
違次元回廊ってのは、ちょっとした所に隠れていることがあるんだってさ。
俺がそれを見つけたのは、本当に偶然だった。
ある晴れた土曜日の午後。
「洗濯日和ってのは今日みたいな日のことを言うんだよね、きっと」
庭の片隅には、午前中に干したばかりの洗濯物が、風に靡いていた。そしてその洗濯物は、もうほとんど乾いていると来た。
「嬉しいねぇ。こんなに順調に事が進むなんて」
これなら、少し出かけられそう。
「エース、いるんでしょ?」
二階へ上がり、エースの部屋のドアをノックし、そっと開けてみる。
「あぁ、どうした?」
ベッドに横たわり、本を片手に、エースは俺を振り返った。
「うん、ちょっと手紙出して来るから。ついでに、散歩して来るよ。洗濯物干してあるけど、帰って来たら取り込むから、そのままにしてていいよ。ってなことで、留守番、よろしくね。電話は留守電にしとくけど、誰か来たら出てよ」
「他に、誰もいないのか?」
「そう。デーさんは仕事だし、ゼノンはそこら辺にカメラの被写体捜し。ライデンもチャリンコで出かけたしね。残ってんのはあんただけ」
「…あ、そう」
「そう言うこと。んじゃ、頼んだよ」
「帰りに、牛乳な。切れてるって、デーモンが愚痴ってた」
「はいはい」
全く、悪魔使いが荒いんだから。
デーさんの頼まれたなら、エースだって暇なんだから、自分で買いに行ったっていいのにね。折角、こんなに天気が良いんだから。
俺は、手紙と財布を持って、出かける準備をした。
空は青く、風は気持ちが良かった。
近くのポストに手紙を出し、その近所のコンビニで牛乳を購入し、散歩と決め込んだ。
コンビニのある通りをずっと進むと、小さな薬局があり、その前に設置されていたジュースの自販機(勿論、別の自販機もあったから、敢えてジュースと、挙げたんだけどね。え?何の自販機かって?そりゃ、聞かなくたってわかるでしょうが。くすくすっ)にふと目を留める。
「おや。ここのジュースは全部百円じゃん。今度からここに、買いに来ようかな」
のんびりと歩いていると、いろんなモノが見えるもんだ。
森の中に入ると、足元の下草の隙間には、ヘビイチゴなんかも生えてたりするんだな、これが。
ホント、住宅街の合間って、長閑かで良いよね。
「しくったなぁ…散歩の後に、牛乳買えば良かったかなぁ」
歩みを進めているうちに、ふとそのことに気が付いた。
そうだよな。のんびりと歩いてたら、ぬるくなっちゃう。
ま、屋敷に帰って冷蔵庫に入れて置けば、構わないんだろうけどさ。
でも、牛乳片手に散歩だなんて…ちょっとまぬけな姿だよな。これでも、悪魔様だぜ、俺は。
「…そろそろ、帰ろうかな…」
留守番がエースだけってのも、ちょっと心配だし…散歩は、いつでも出来るからね。
俺は、自分にそう言い聞かせて、屋敷の方へと足を向けた。
それでも好奇心の虫は疼くんだよね。
普段通らないような裏道ばかりを選んで、屋敷へ向かっていたその時。
ふと目を向けた路地の先。緑が眩しい植木が四本、T字路の突き当たりに道に沿って生えていた。
そう言えば、俺たちが屋敷に引っ越して来たばかりの頃、妙な話を聞いたことがあった。
俺が今立っているこの道を、その植木に向かってT字路の方へ進むと、植木の辺りでお化けが出るって噂。
勿論、信憑性のない噂なんだろうけど。
「…お化けなんて…ねぇ」
悪魔がお化けにびびってどうする。
と、言うことで。
俺は、興味本意でその路地に入り、T字路へ向かって歩き始めた。
問題の四本の植木の前までさしかかり、このT字路を右へ行けば、もう屋敷は目の前だった。
そして、植木の前のT字路を、右に折れる。
と、その時。俺は、妙な感覚を覚えた。
辺りを見回しても、別段何の変わりもない。
T字路へ向かって歩いて来たのは初めてだけど、この植木の前は幾度となく通ったことがあるし。
でも、何かが可笑しい。
可笑しいってことははっきりしてるんだけど、辺りは変わりないし…ちょっと歩けば、もう屋敷は見えて来るはずだし。
「…気の所為かな…」
きっぱりと割り切ることは出来ないけど、でも別段変わった様子がないのも確かだし。
「ま、帰ったらエースにでも話してみるか」
俺は、そのまま屋敷へと足を向けた。
「ただい…」
屋敷のドアを開けると、突然…ホントに予想外に突然、現れたエースが俺を抱き締めた。
「ちょっ…エース!?どしたのっ!?」
初めは何かあったのかと思ったんだけど…どうやら、そうじゃないらしい。
エースは、俺を抱き締めていた腕を緩め、じっと、俺を見つめた。
「遅かったじゃないかっ!心配、したんだぞっ」
「…えっと…だってほら、散歩して来るからって…でも、牛乳はちゃんと買って来たからさ」
「牛乳なんて、どうでも良いっ」
そう口走ると、エースは再び俺をきつく、抱き締めた。
「…エースってばっ!ちょっと、どうしたってんだよっ!」
訳がわからず、俺はエースの腕を振り解くと、エースを見た。途端に、ぎょっとして目を見開いたけどさ…
だって。エースってば、目に涙まで貯めちゃって…しかも、物凄く切なそうな顔で、俺を見てるんだもん。
「…デーさんに、何かあったの?」
思わず、聞いちゃったけど。
だって、エースがこんな顔するなんて、デーさんに何かあったと思っちゃうじゃんねぇ。
でも、エースから返って来た答えは。
「デーモンなんて、関係ない」
「じゃあ、ゼノンかライデン?」
「いや」
「ダミ様?」
「問題外」
をいをい。良いのか?そんなこと言って…
「…じゃあ、何があったって言うのさ?」
俺は、呆れた溜め息と共に、そう尋ねた。
すると、エースは。
「俺は、御前が心配だっただけだ」
「…何が、そんなに心配なの?俺は、きちんと散歩に行くからって、言って出ただろ?それに、洗濯物だって、頼んじゃいないしさ。心配することなんて、ないはずだけど?」
可笑しいよね、この態度。デーさんがどうでも良いだなんて。
思わず、怪訝そうな表情を覗かせた俺に、エースは更に切なそうな表情を浮かべた。
「あぁ、御免。そんな顔、するな。そうだよな、御前はちゃんと断って行ったもんな。俺が悪かった。だから、そんな不安そうな顔、するな」
エースはそうつぶやき、俺の頬に手を触れる。
「…エース?」
「ルーク。愛してる」
げっ…
エースは真面目な表情のまま、顔を傾け、俺に…俺にぃっ!!
「だーっ!相手が違うだろうがっ!!」
触れる直前、俺はエースを押し退け、ドアを背に、エースから逃れた。
「何を言ってるんだ?違くはないだろ?」
「違う違う!あんたの恋悪魔はデーさんでしょうがっ!俺に迫ってどうすんのっ!」
もう、真っ赤を通り越して、俺は顔面蒼白…
でも、エースは俺の言葉には眉を潜めるだけで。
頼むから、冗談だって言ってくれよぉっ…
それなのに、エースは俺のそんな期待を、思いっきり否定してくれちゃって。
「俺の恋悪魔は、御前だろうが。ルーク」
「ちょっと待ってよっ!何勘違いしてんのっ!そりゃ、あんたのことは好きだけど、そう言う意味じゃなかったでしょうがっ!」
「…ルーク…」
うぅっ…そんな、泣きそうな顔、しないでよぉ。俺の方が、泣きたくなるよ。
一体、どうしたって言うんだよぉっ。
混乱した頭を振り、俺は改めてエースを見た。
その眼差しは、いつもはデーさんに向けているはずの、熱い眼差しだった。
「…ちょっと…状況が見えないんだけど…?」
一息吐いてつぶやいた俺の言葉。
その直後に、突然、俺が寄りかかっていたドアが開いた。
「…っ!」
「あぁ、済まん。ルーク」
危ねぇじゃねぇかっ!
後ろに倒れかけた身体を何とか元の位置へと引き戻し、俺は声の主を振り返った。
「…何だ、デーさん…早かったじゃない?」
そこに立っていたのは、俺の言葉の通り、デーさんで。
「仕事が早く片づいたんだ。ところで…御前等はこんな玄関先で何をやっとるんだ?」
「…そうっ!あのね、デーさんっ!エースが可笑しいんだよぉ」
「エースが可笑しい?」
俺の言葉に、デーさんは眉を潜め、エースに視線を向けた。
「エースの恋悪魔は、間違いなくデーさんだよねっ!?なのにエースったら…」
と、俺がそこまで言いかけた時。
「…は?エースの恋悪魔が、吾輩?馬鹿を言うな。エースの恋悪魔はルーク、御前だろうが。ん?」
げ…っ。デーさんまで、そんなことを…
「ちょっ…馬鹿言ってんのは、あんたたちじゃないのっ!二名して俺をからかわないでよねっ」
「からかってなど、いないが?なぁ、エース」
「あぁ。さっきからずっと、そう言ってるんだが…ルークは信用しないんだ。一体、何が起こったんだか…」
それを聞きたいのは、俺の方だよっ!!
デーさんもエースも、怪訝そうな表情で俺を見てるんだから…全くっ。
「頭でも、打ったのか?」
デーさんまで、真剣な顔で、そんなこと言うんだもん。
俺も、ホントにどうなってんだか、わかんないよっ!
「俺は、頭も打ってないし、エースの恋悪魔でもないっ!エースの恋悪魔はデーさんでしょうがっ」
「馬鹿を言うな。吾輩は…」
「…何だよ」
「つまりだな…吾輩は、ダミ様に…」
デーさんはそこまで言って、顔を赤らめる。
「…ちょっと待ってよ…じゃあ何!?デーさんは、ダミ様の恋悪魔だって言いたい訳っ!?」
「そこまで行っとらんっ!!あくまでも…プラトニックだっ」
「……」
絶句。それじゃ、俺の立場はどうなるんだよぉっ!
絶対、狂ってるよ、これは…俺、夢でも見てんのかな…
と、その時。
「…何やってんの?玄関先で…」
「…っ…ゼノンっ!」
うぅっ。救いの悪魔が、やっと帰って来てくれたよぉっ。
俺は、慌ててこの状況を、ゼノンに話した。
で、ゼノンから返って来た答えは。
「ルーク…疲れてるんじゃない?」
あぁ、幻滅。
聞きたくない台詞だね、全く。
「…あのさぁ…もしかして…だよ?もしかしてさ、ゼノンとライデンも、恋悪魔同士じゃないなんて、言わないよねぇ…」
俺は、恐る恐る、ゼノンに尋ねてみる。
この状況からして、それは考えられないことじゃないよな。
すると、ゼノンはむっとしたように眉を潜めた。
「冗談、言わないでよ」
あぁ、良かった。
やっと、正常な奴がいたよぉ。
思わず、ほっとした溜め息を吐いたのも束の間。
「俺とライデンが、恋悪魔同士?何で俺が、あんな奴と…っ」
「……」
悪夢、だ…
これは、悪夢だっ!
とりあえず、自分の部屋の戻った俺は、訳がわからずに溜め息ばかり吐いていた。
俺が察知した今の状況は。
まず第一に、俺とエースが恋悪魔同士。しかも、かなり深い仲と見た。
第二に、デーさんが(この俺を差し置いてっ!)ダミ様に惚れてる。こっちはどうやら、恋悪魔と呼べる程、進んだ関係ではないらしいが。
第三に、ゼノンとライデンが、犬猿の仲。
「…ったく…どうなってるんだか…」
溜め息を吐いた時、ドアがノックされた。
「ルーク。御飯だよ」
あぁ、ライデンの声だ。
何だ。もう、そんな時間か。
「…今行く」
そう答え、ドアに向かって歩き始めた時。
はたと、思い出した。
「…洗濯物っ!」
慌ててドアを開け、部屋から飛び出してリビングに行ってみると、テーブルの上には、きちんとアイロンまでかかって、畳まれている洗濯物があった。
「…誰が、やってくれたの…?」
その場にいたゼノンに、思わず問いかけてしまった。
「誰って…エースの、仕事でしょ?いつも」
「…エース、ねぇ…」
あぁ、そうか。ここは、俺の認知していた世界じゃないんだ。
で、溜め息を吐きつつダイニングへ行ってみて、これまたびっくり。
「…ひょっとして…ライデンが作ったの?」
エプロン姿のライデンに、思わず問いかけてしまう。
「…ルーク、熱あるんじゃない?いつも、俺が作ってるじゃんかよぉ」
平然と答えるライデン。
うぅっ…腹こわしたらどうしよう…
そして。ダイニングへ入って来たデーさんは、シャワーを浴びたばかりらしく、やや上気した頬で、鼻歌なんぞを歌っていた。
「ちょっとぉ…デーさん、歌わないでよね。デーさんの鼻歌は、有害なんだからっ」
と、ライデン。
をいをいって感じだけど…
すっごい、複雑な心境…
「…俺、もう寝る…」
頭痛いわ、ホント。
俺は、飯も食わずにダイニングを後にした。
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プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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