聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
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「…水族館?」
「そう。無料招待券貰ったんだ。二枚。だから、一緒にどう?」
「別に良いけど…」
にっこりと微笑む相手を前に、行かない、とは言えない訳で…。
「…デート?」
「…まぁ…そう言う事になるかな?」
デート、と言われば……まぁ、色々と考えるところもあったりする。
「じゃあ、明日。十時に待ち合わせね」
「おう。じゃあ、明日」
そう言ってそれぞれの家へと帰る。
その帰り道。
「…あ、明日って…」
今更ながらに思い出したものの…だからと言って、何かをしようと思っていた訳でもないし…誰も何も言っていなかったから…まぁいっか。と簡単に割り切ることにした。
翌日。待ち合わせした場所に着いたのは、約束の時間より五分程早かった。
相手もまだ来ていないだろう…と思いながら一服していると、背後から声がかかる。
「お待たせ」
「…早いじゃん。まだ五分前だよ?」
「早いに越したことはないでしょ?自分だって早く来たくせに」
「まぁ…そうだけどさぁ…」
銜えていた煙草を早急に携帯灰皿へ放り込む。折角の一服だったんだけど…煙嫌いだからな…まぁ、仕方ない。
「で?直行?」
「そのつもり。行こう」
促され、俺は先を歩く背中を追いかけて行く。
程なく歩いて、目的の水族館へとやって来た。
パンフレットを手に、順路を進む。
久し振りの水族館は、とても癒される。
「…楽しい?」
水槽の魚に見入っていると、ふとそう問いかけられる。
「楽しいっ」
「それは良かった」
くすっと、笑う声が聞こえた。視線を向けてみたけれど…深海魚のコーナーだったから周りは暗いから、顔は良く見えない。でも、直ぐ傍にいるのは気配でわかる。
俺はそっと手を伸ばし、相手の身体に触れると、そのままそっと手を握った。
「…どうしたの?」
表情は良く見えないけれど、首を傾げたのはわかった。
「あのね…」
その耳元に口を寄せ、小さく囁く。
「…タカアシガニって…美味しいかな…?」
「……大味だと思うよ…」
「俺ね、昔水族館で、タカアシガニの水槽の前で『美味しそうね~』って言ってるおばちゃん連中見たことあるよ」
「…まぁ、ありがちだよね…」
再び小さく笑う声がする。
穏やかな空気。一緒にいて、癒されるのは…場所の所為だけじゃない。
あまり人がいないのをいいことに、そのまま手を繋いで歩く。
多分…傍から見れば見れば、奇妙な光景だろうと思う。でも、俺たちにしてみれば、別に今更気にする問題でもない。
のんびりと眺めながら、館内を一周し終える。
「この後どうする?取り合えずご飯?」
「うん。魚見てたらお腹空いた。肉食いたい」
「…流石だね」
そう言って笑う顔。俺が、一番好きな顔、だ。
「じゃあ…」
そうつぶやくと、俺の手を引っ張って歩き始める。
いつになく、積極的。そんな姿も、何だか嬉しい。
ちょっぴりニヤニヤしつつ…俺は、その背中を眺めていた。
お昼ごはんを食べて、冷やかし半分で色んな店を見て回って…気がついたら、もう外は暗くなっていた。
「さて、そろそろ帰ろうか」
にっこりと笑って、そう声をかけられる。
本当は…まだまだ一緒にいたい時間だけど…まぁ、仕方ない。
「今日はどっち?」
問いかけた俺の声に、相手はくすっと笑う。
「今日は屋敷ね。一緒に帰ろう?」
「良いよ」
どちらからともなく、なるべく暗い道を選んで歩く。その理由は…まぁ、手を繋いで歩きたかったから。
そんな俺の気持ちを、何も言わなくてもわかってくれるところが、また愛おしい。
他愛のない話をしながら、やがて俺らが一緒に住んでいる家(通称、屋敷)の前まで帰って来た。
門を開けて入ろうか…と思った途端。
「ちょっと待って」
くいっと腕を引っ張られる。
「何?どうした?」
意味がわからず振り返ると…寄せられた顔。そして、軽く唇を合わせる。
「…誕生日、おめでとう」
「…あー…覚えてた?」
「勿論」
くすっと笑う声。
「何でここで…?」
後で、幾らでも二人きりにしてもらえるだろうに…。
そんな疑問に帰ってきた答えは、至極簡単。
「"悪魔"に戻る前に…"人間"としてね、祝いたかったの。だって…"お前"の、誕生日でしょ?」
「そう…か」
その言葉はキュンとした…。
そう。今の俺たちは…"悪魔の媒体"としてではなく…普通の"人間"として、一日を過ごして来た。
門を潜ってしまえば、俺たちの身体は、"悪魔"の意識を主体としてしまう。だからこそ、門を潜る前に…"人間"で、あるうちに。
「…ありがとう」
その言葉に、相手はにっこりと微笑んだ。
俺は…つくづく、幸せ者だと思う。
「…もう一回、良い…?」
ちょっと遠慮がちに問いかけた声に、笑いが零れる。
「勿論」
そうして、傾けられた頬。
「愛してるよ」
「…俺も」
甘い…甘い、口付け。
それは、何よりも、幸せな時間だった。
「お~、やっと帰って来たぞ~」
玄関のドアを開けると、そんな声が飛び込んで来る。
「発生日、おめでとう!」
にぎやかなクラッカーの音と共に、仲魔たちの声が届く。
「今日は楽しかったか?」
みんな、知っていたんだろう。と言うか…俺だけ、知らなかったんだろう。
俺だけではなく…媒体である"彼奴"も、一番大好きな相手と一緒に過ごせるように。
振り返れば、にっこりと微笑む姿。
俺も…"彼奴"も、何よりも幸せな日であることに間違いはない。
「ありがとう!」
それは、素直に零れた言葉。
「さ、それじゃパーティー、パーティー」
そんな言葉と共に、みんなリビングへと向かう。
俺も…と靴を脱ぎかけた時。後ろから腕を引っ張られる。
「ん?」
「…俺からも」
小さな囁きの後、重ねられた唇。
「おめでとう。生まれて来てくれて…ありがとうね」
「…ありがとう。あんたに…出会えて良かった」
再び、唇を合わせる。
何よりも…幸せな時間。
そんな時間が、いつまでも続けば良い。
それは…不確かな未来だけれど…それでも、共にいる未来を信じて。
今日は…俺にとっても、"彼奴"にとっても、最高の一日、だった。
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プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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