聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
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a new day 3
ゼノンが雷神界に着いた頃には、もう日は落ち始めていた。
神殿の入り口の門は既に固く閉ざされてはいたが、デーモンからの連絡はきちんと行き届いていたようで、門兵に訪ねて来た旨を伝えると、程なくして官吏が迎えに来た。
「魔界の、文化局局長のゼノンと申します。デーモン閣下より、ライデン殿下との謁見を所望する旨を伝えていただいていると思うのですが…」
出迎えてくれた宮廷官吏にそう告げると、小さな頷きが返って来た。
「お話は伺っております。ただ、私は王宮の官吏ですので、皇太子宮までの案内となります。そこから先は、皇太子宮の官吏に引き継ぐ事になっておりますので、ご了承ください」
「…はぁ…わかりました…」
随分と面倒な…と思いつつも、初めて雷神界を訪れたのだから、多少の警戒は仕方のないことである。
言われるままに、官吏の後について進む。既に門は閉ざされているとは言え、神殿の中は未だ活気が残っている。
そんな中を黙々と進み、暫く行くと再び大きな門が現れた。
「この先が皇太子宮です。今、担当の者を呼びますので、暫くお待ちください」
そう言い残し、官吏は門を開けてその向こうへと消える。
その様子を、ただ眺めるだけのゼノン。
自分は…場違いなところに来てしまったのだろうか?一瞬、そんな意識が過ぎる。
けれど、今更戻る訳にもいかず…先に進むしか、道はないのだ。
小さな吐息を吐き出し、心を落ち着ける。だが…先程の官吏は、なかなか戻って来ない。それが尚更、不安を募らせる。
幾度目かの溜め息を吐き出した時、再び門が開き、先程の官吏ともう一名、ゼノンとそう年も変わらないくらいの青年がやって来た。しかし、先程の官吏の役目は彼を呼んで来ることで終わったのだろう。そのままゼノンに一礼をして去って行った。
「初めまして。私は、皇太子付きの官吏、フィードと申します。貴殿が…ゼノン様ですか?」
青年…フィードはそう切り出し、ゼノンの様子を伺う。
「あぁ…はい。わたしが、文化局局長のゼノンです。デーモン閣下から、連絡が入っていると思うのですが……」
先程と同じ台詞を口にしかけた時、フィードは小さく首を振ってその言葉を遮る。
「繰り返し説明をいただかなくても、連絡は受けております。ご心配なく」
「…はぁ…」
どうも、魔界にいる時とは勝手が違うような気がしてならない。
困惑した表情でも浮かべていたのだろうか。ゼノンの表情を眺めていたフィードは、柔らかな表情を浮かべた。
「神殿の中は入り組んでおりますから、無理もありません。初めての方は大抵同じ表情をお見せになります」
「…そうですか…」
どう返して良いのかさえ、はっきりとはわからない。
デーモンのように元々一流の血筋の生まれではないが、ゼノンも文化局の局長として、礼儀は弁えているはずなのだが…雷神界では、どうも空回りしているような気がしてならない。
しかし、そんなところで躓いている場合ではないのだ。
「…では、単刀直入に伺います。ライデン殿下との面会は、許可していただけるのでしょうか…?」
こうなったら、突き進むしかない。そんな思いで、思い切ってそう切り出す。すると、フィードはちょっと困ったような表情を見せた。
「…そのことですが…はっきり申し上げますと、若様は拒否なされました。先程から少し体調を崩されたこともあるのですが…お会いにはなりたくないと…」
「…体調を崩した…?」
その言葉に、ゼノンはふとあることを思いつく。
「では…診察、と言うことに致します。わたしは、魔界ではライデン殿下の担当医でしたから。それならば、許可をいただけますか?」
「………」
「どうしても…直接会って、話がしたいんです。ですから、どうか…」
懇願するゼノンの姿に、フィードは小さな吐息を吐き出した。
ライデンの一番傍近くにいることを許され、従順に仕えて来たフィードにしてみれば、魔界からやって来たこの悪魔の存在は歓迎出来るものではなかった。
何よりも大切な主。その主をあれ程までに追い詰めているのは、今目の前にいるこの悪魔に他ならないのだから。
けれど…一番傍近くにいるからこそ、主が待っているのはこの悪魔だと言うことはわかっていた。
彼の本心など、選択肢には存在しないのだから。優先されるべきは…主の笑顔、なのだから。
諦めに近い溜め息を一つ吐き出すと、フィードはゆっくりと口を開いた。
「…本来は…私の一存では、何とも言えません。ただ…あのような、落ち込んでいる若様の姿を見ているのは、私たちにも辛いのです。私たちには、どうすることも出来ません。ですが…ゼノン様なら…それが出来るはずです。ですから…若様を、助けていただけますか…?」
その表情は、とても苦しそうで。それだけ、ライデンのことを大切に思っている証拠だった。
「…時間を…いただけるのなら。精一杯のことはするつもりです」
はっきりとした答えは、ゼノンもまだ見つけられてはいない。だから、遠まわしな言い方になってしまう。けれど、フィードはその言葉に小さく頷いた。
「わかりました。では、"ゼノン医師"に、若様の診察をお願い致します」
「…御意に」
やっと、皇太子宮への門を潜ることを許可され、ほっとしたような表情を見せたゼノン。勿論、これからが正念場なのだが。
フィードの促され、皇太子宮の中を進む。そして、奥まった部屋の前でフィードは足を止めた。
「…若様。医師が診察にお見えになりました」
ドアをノックして、そう声をかける。
『…わかった。良いよ』
返って来たのは、聞き慣れた声。だが、少し声が嗄れている。
「…お願い致します」
フィードはドアの前から一歩離れると、ゼノンに向けて頭を下げる。
自分をここに入れたことで、フィードはライデンに怒られるんだろうか…。そんなことを考えながら、ゼノンは大きく深呼吸をすると、ゆっくりとドアを開けた。
薄暗い部屋の中、膨らんだベッドが見える。
この間は…まだ心の中に躊躇いがあった。でも今は…真っ直ぐに、ライデンを見つめることが出来る。
それが何よりも、安心した。
ゼノンは大きく息を吐き出すと、ゆっくりと部屋の中へと足を踏み入れる。そして、背中を向けて横になっているライデンに向けて声をかけた。
「…失礼します」
その声を聞いた瞬間、横になっていたライデンはビクッとして起き上がった。
ゼノンに向けた顔は…とても困惑していた。
「…あんた……何で…」
その問いかけは、当然と言えば当然。そしてその困惑は、直ぐに怒りとなってフィードへと向けられた。
「フィード…っ!!どう言うことだよ!会わないって言っただろうっ?!」
「申し訳ありません…っ!」
案の定、怒りの矛先を向けられたフィード。ゼノンの背後で深々と頭を下げる。けれど、フィードもそこで怯んではいなかった。
「…ですが…若様が体調を悪くされましたので、私は"医師"をお呼びしたのです。この方は、魔界では若様の主治医でいらしたと聞いております。誰よりも、今の若様をお分かりになる方だと思っております。私は、医師を通すなと言う指示は受けておりません。先程も、医師であるからこそ、若様は納得されて通されたのではないのですか…?」
ライデンの扱いは十分に心得ていた。この程度のことで折れていては、皇太子付きの官吏の名が廃ると言うもの。
ライデンは不貞腐れたように頬を膨らませながらも、自分が入室を許可したのだから最早仕方ない。結局、フィードに押し切られるような形となった。
「では、お願いします」
ライデンの代わりに、フィードがゼノンを促す。
「…あぁ…うん……」
ゼノンが今まで出会った中で、多分一番強い官吏ではないだろうか…。そんなことを考えながらも、それでバランスが取れているのだろう。全ては、主を想うが故であることはわかりきっているのだから。
「じゃあ…診察するよ」
ゼノンはそう言って、ライデンへと近づく。診察に必要な道具こそ持って来なかったものの、ライデンの様子から凡その予測はついていた。
それでも、何もしない訳にもいかない。一応、口の中を見たり、脈を取ったり、直接耳を当てて胸の音を聞いたりしていた。その間、ライデンは不貞腐れたままで、一言も言葉を発しなかった。
「…様子から察するに…軽い風邪のようです。こちらの医務局に、薬を処方して貰いましょうか?」
ライデンに向けて言葉を発したつもりなのだが、ライデンは相変わらず口を噤んだまま。ついでに言えば、視線も合わせない。
その姿に見兼ねたように、フィードが口を挟んだ。
「お願いします」
「じゃあ……」
ゼノンはフィードからペンとメモ帳を借りると、そこに症状と薬の種類と分量を書き記し、最後に自分のサインを入れると、フィードに渡した。
「これを医務局へ渡してください。カルテを照合して貰えれば、私が魔界で殿下を診察していたことはわかるはずですから」
「畏まりました」
にっこりと微笑んで一礼をすると、メモを片手にフィードは部屋から出て行った。
その姿を見送り…さて、これからどうしたら良いだろう、とゼノンは小さな吐息を吐き出す。
ライデンは、相変わらず口を開かない。そして、自分を見ようともしない。どれだけ会いたくないと思っていたかは、一目瞭然である。
けれど…そこで引いてしまっては、わざわざ雷神界に来た意味がない。
ゼノンは大きく息を吐き出した。そして、ゆっくりと言葉を紡ぎだした。
「…あのね……話、聞いて貰いたいんだけど…」
それでも、返事はない。だが、ゼノンはそのまま言葉を続けた。
自分がここに来た理由。そして、増やしたピアスのことも。
静かに、時間だけが過ぎて行く。
黙ったままのライデンは…一体、何を考えているのだろう?
ゼノンは、自分の気持ちは全て伝えたつもりだった。それで本当に嫌われてしまったのなら、もう仕方のないこと。
「…話は…それだけ。言いたいことは全部伝えたから……これで帰るね」
そう口にして、ゼノンはドアへ向かって歩き始めた。
呼び止める声は…なかった。
「…じゃあ、ね。お大事に…」
ドアの前で振り返り、一言そう告げる。そしてゼノンはライデンの自室を出る。
廊下には、誰の姿もない。しんと静まり返った空気が、嫌に冷たく感じた。
「…仕方ない、か…」
小さくつぶやき、溜め息を一つ。
ライデンの出発まで、時間はまだもう少しある。その間に、もう少し何とかなるだろうか。
そんなことを考えながら、ゼノンは来た道をゆっくりと辿っていた。
医務局にメモを渡し、薬を受け取ったフィードは、急いでライデンの自室へと戻って来た。
「フィードです」
様子を伺いながら、控えめにドアをノックする。
『…どうぞ』
溜め息交じりの声が届き、フィードはそっとドアを開けた。
部屋の中には…ライデンの姿しかない。
「…ゼノン様は…」
部屋の中を見回しながら問いかけた声に、ライデンは短く答える。
「…帰った」
「…お帰りになられたのですか?もう、日はすっかり落ちておりますよ?今日は泊まられてはと思いましたのに…」
そうつぶやきながら、ライデンの枕元のテーブルに薬と水差しを置く。
ライデンは…未だ、不貞腐れたような表情をしている。
ライデンの胸の中で、蟠っている何かがあることは、表情を見れば直ぐにわかった。
多分…それを、どう消化して良いのかわからないことも。
「まだ…神殿からはお出になられていないと思います。今夜は、こちらにお引止め致します。宜しいですね?」
にっこりと微笑み、フィードはライデンにそう問いかける。返事がなくとも、フィードは既に引き止めるつもりでいたが。
「…勝手にすれば」
ライデンは一言、そう口にすると、ベッドへと潜ってしまった。
「では、そうさせていただきます」
フィードはライデンに向けて一礼をすると、直ぐに踵を返して部屋から出て行く。そして、急いでゼノンを追いかけて行った。
再び誰もいなくなった部屋の中で、ライデンはただじっと、胸の中に蟠っているモノを探っていた。
どうして、ゼノンが来てくれたことを素直に喜べなかったのだろう?
ゼノンがピアスを増やさなければならなかった理由。そこに至る不安を、どうして理解出来なかったのだろう?
そして…自分がこれからどうするべきなのか。
答えの見えない不安の渦に押し潰されそうになりながら、ライデンは大きな溜め息を吐き出した。
全ての答えは……未だ闇の中だった。
元来た道を戻っていたはずだったのだが…どうやら、道を間違えたらしい。
ゼノンは、中庭を目の前に、溜め息を吐き出していた。
決して、方向音痴ではなかったはず。けれど、初めて来た場所に加え、入り組んでいる皇太子宮の中で、辿って来た道は出口ではなかった。
「…どうしようかな…」
辺りを見回しても、誰の姿もない。外はすっかり闇に落ち、今は中庭を囲むように灯された明かりだけが闇の中に浮かんでいた。
もう一度、今通った廊下を辿ってみようか。そう思ったものの、既に自分が何処から来たのかさえ怪しくなって来ている。この上更に迷うことになるであろうことは明白である。
再び、溜め息を吐き出した瞬間。
「…ゼノン様、こちらにいらっしゃいましたか」
背後から聞こえた声に振り返れば、にっこりと微笑むフィードの姿があった。
「あぁ…済みません。迷ってしまって…」
「そうだと思いました。神殿の門番は、ゼノン様はいらしていないと申しておりましたから。どこかで道をお間違えになられたのだと。皇太子宮は元々、迷路のような造りですから、無理もありません」
「はぁ…」
複雑にするには、それなりの理由がある。要は、次期王たる皇太子までは、簡単に辿り着けない構造なのだ。
そう考えると…自分が、いかに滑稽だったかを思い知らされた気がした。
小さな溜め息を吐き出したゼノン。
「えっと…では、申し訳ありませんが、出口まで案内していただけますか…?」
尻尾を巻いて帰るしかないと思い、そう口にしたゼノンだったが、その言葉はフィードの笑顔で一掃された。
「日もすっかり落ちてしまったので、差し障りがなければ今夜は是非お泊りくださいませ。若様の許可も得ておりますので、ご心配なく」
「………」
「夜道は危のうございます。それに、若様の容態が急変するかも知れません。ゼノン様にいていただいた方が、安心でございます」
「…はぁ…」
かなり強引な理由付けだが…ライデンの許可を得ていると言う時点で、既に断れないのではないかとも思い始めていた。
まぁ…ライデンの容態が急変する可能性は、かなり低いとゼノンは見ていたが。
「…じゃあ…お言葉に甘えて…」
仕事の方は、多分何の差し障りもないだろう。後でレプリカに連絡を入れておけば、屋敷の方も大丈夫だろう。頭の中で状況を整理しつつ、ゼノンはフィードにそう答えた。
フィードはにっこりと微笑むと、ゼノンを促して廊下を進む。
ここまで強引に引き止められる理由はただ一つ。
主を、案じているから。
そうわかっているものを、無碍にも出来ない。原因は、自分にあるのだから。
そんなことを考えながら、フィードの後について進むと、一つの部屋の前で歩みが止まる。そして、その部屋のドアを開けるとゼノンを中へと促した。
「こちらのお部屋をお使いくださいませ。お食事は…若様も休まれてらっしゃいますし、雷帝陛下もまだ暫く職務から離れられないそうですので、申し訳ありませんが、お部屋の方に運ばせていただきます。宜しいでしょうか?」
「あぁ、はい。構いません。勝手に押しかけて来たのはわたしですから…」
ゼノンがそう口にすると、今までにこやかに微笑んでいたフィードの表情が急に悲痛の表情に変わる。そして、ゼノンに向けて深々と頭を下げる。
「…強引にお誘いしてしまい、申し訳ありませんでした。ですが…若様のお辛そうな姿を前に致しますと…何とかして差し上げたいと…」
「あぁ…わかっていますから、顔を上げてください。わたしも…不肖ながら、使用魔を抱える身です。主を想う気持ちは、良くわかっているつもりです。ですから、わたしのことは心配しなくても大丈夫です。仕事の方も、屋敷の方も、連絡一本入れれば済む話ですから」
「…ゼノン様…」
顔を上げたフィードは、今にも泣きそうな顔をしていた。そんな彼に向け、今度はゼノンがにっこりと微笑んだ。
「ライデン殿下は、きっと貴殿のような官吏がいてくれて、心強いと思っていると思いますよ。少なくとも、わたしならそう思う」
「……そう言っていただけると有難いことですが……私など…まだまだ半人前です。若様のお気持ちに添えているかどうか…」
先程まで見せていたにこやかな表情とはまるで反対の、不安げな表情。多分、それがフィードの本心なのだろう。けれど、にこやかに笑って見せるのは…主に、不安を与えない為。そして、自分自身の不安に負けない為。
「大丈夫。貴殿の想いは、ちゃんと伝わっていますから。主は、ちゃんと見ているものですから」
「…そうだと良いのですけれど…」
ほんの少し、フィードの表情が和らいだ。
昨日までは、自分の不安を解消する術を探すことに精一杯だったゼノンだったが、ようやく周りの様子も落ち着いて見ることが出来るようになって来た。ゼノン自身、やっとピアスを増やしたことに慣れたのかも知れない。
「もし、お時間を取っていただけるのなら…後で、雷帝陛下にご挨拶をしたいのですが…。後、コンピューターを貸していただきたいのですが、よろしいですか?」
「はい、コンピューターはこの先の書斎にあります。一回り大きなドアの部屋ですので、直ぐにわかると思います。陛下にも、ゼノン様のお心はお伝えして置きます。ただ、お忙しい方なので、手が空くのはいつになるかはちょっと…」
「それは、わかっていますから。雷帝陛下の都合の良い時で構いません。わたしが帰るまでにお時間が取れなければ、また改めて挨拶に参りますから」
ゼノンの言葉に、フィードは小さく微笑んだ。
「…かしこまりました。雷帝陛下には、そうお伝えしておきます。それでは私は若様の所へ帰らなくてはなりませんので…これで失礼させていただきます。お食事は用意出来次第、別の官吏がお持ちいたしますので、何か足りないものがございましたら、その時にお伝えくださいませ」
では、失礼致します。
そう言って、深々と頭を下げるフィード。もうすっかり、宮廷官吏としての姿に戻っているようだった。
「色々済みませんでした。ご協力、有難うございました」
ゼノンもそう言って頭を下げる。
彼がいなければ…もし、彼でなければ。ライデンとは、顔を合わせることが出来なかったかも知れない。そして…こうして一泊の宿を借り、再びのチャンスを手にすることもなかったかも知れない。
そう考えると、この出会いは貴重の何モノでもない。だからゼノンは、感謝の思いで一杯だった。
「とんでもありません。お顔を上げてください。色々とお願いしたのはこちらですから。ゼノン様に頭を下げさせては、若様に怒られます」
慌ててそう声をかけるフィードに、ゼノンは顔を上げてくすっと笑った。
「…では、これで」
ゼノンの表情で安心したのか、フィードは再び頭を下げてドアを閉める。
再び、静寂が訪れる。
ゼノンはベッドに腰を降ろすと、大きく息を吐き出す。
とてもとても長い一日だった。滅多にない、緊張の連続。とは言え、まだゼノンの一日は終わった訳ではない。
正念場は、まだまだ続いていた。
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プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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筋金入りのオジコンです…(^^;
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