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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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Heart charge
こちらは本日UPの新作です

拍手[3回]


◇◆◇

 それは、あるミサ終了後のこと。

「ただいま……」
 その日。打ち上げを終えて帰って来たデーモン、エース、ルークの三名は、調子が悪いと打ち上げを途中で切り上げて先に帰ったライデンと、付き添いで一緒に帰ったゼノンの姿を見て、目を丸くする。
「あぁ、御帰り」
 キッチンに立ってコーヒーを入れているゼノンの背中にぴったりと張り付いているライデンの姿。
「…ライデン、どうしたんだ?」
 声をかけても、ゼノンの背中に張り付き、肩口に顔を埋めたまま顔もあげない。背中から脇の下を通って胸元に回された手は、固く握られて緩める気配すらない。
「えっとねぇ……充電中、らしいよ」
「充電中、って…」
「まぁ…ちょっと放置してやって。暫くすれば自分から離れるから」
 苦笑するゼノンに、三名は思わず顔を見合わせる。
「いや…御前が良いなら良いんだが…」
「俺?まぁ…慣れてるからねぇ。放電し過ぎると時々こうなるし」
「…そう、か…」
 まぁ…捕まっているゼノンがそれで良いのなら、問題はないのだろうが…と、言うところだろうか。
「コーヒー飲む?」
「いや…」
「そう?じゃあ、俺だけ」
 唖然とする彼等をよそに、その状況に慣れている様子のゼノン。流石に背中にライデンが張り付いているので座ることは出来ず、キッチンで立ったままコーヒーを飲んでいるのだが。
「…じゃあ…先に休むから…」
「うん、御休み」
 にっこりと笑って返すゼノン。その適応力には脱帽せざるを得なかった。

◇◆◇

 遅く帰って来た三名は順番に風呂に入り、各々部屋に戻ったものの…暫くして水を飲みに出て来たルークは、リビングのソファーに一名で座ってコーヒーの残りを飲んでいたゼノンを見かけた。
「あれ?ライデンは?」
 すっかり身軽になった姿にそう問いかけると、小さな笑いが返って来た。
「充電終了だって。今、お風呂入ってるよ。多分、そのままもう寝ると思うよ」
「…何だ。意外とあっさりしてんのな…朝までくっ付いてるのかと思った」
「今日は体調も悪くていつもより長かったけど、それでも二時間ぐらい?充電の時は、それ自体が終わればあっさり離れるから。くっ付き過ぎると過充電なんだって」
「…充電池かよ…」
 思わず苦笑するルーク。
「あの体質だからね。似たようなモンだよ」
 そう言って笑うゼノン。
「あんたも流石だね。手馴れたモンだ」
 くすくすと笑うルークに、ゼノンは一瞬笑いを止める。そして改めて笑いを零した。
 ニヤリ、と。
「何なら御前も充電する?」
 両手を広げるゼノン。
「…冗談。俺は別に充電切れじゃないし。それに…あんたで充電なんかしようモンなら、後でライデンに何をされるか…」
「そう?残念」
 再び、くすっと笑ったゼノン。
「もう寝るからね。充電終わったんだったらあんたも風呂入って早く寝なさいよっ」
「うん。ライデン上がったら入って寝るよ。御休み」
 笑うゼノンを背中に、ルークは溜め息を一つ。
「…ライデンの他に誰がそんなことするのさ…」
 それが、彼等の日常なのだから、こればっかりはもうどうしようもない訳で…。
「…俺も、ダミ様充電してぇ…」
 ポツリと零した言葉は、残念ながら誰の耳にも届かなかった。

 同じ頃。
 既にベッドに入って部屋の電気を落とし、上半身を起こした状態でベッドサイドの灯りだけをつけて本を読んでいたエースの耳に届いた、控えめなノックの音。
「…はい?」
 声をかけると、そっと開いたドアの隙間から顔を覗かせたのはデーモン。
「…もう寝てたか?」
「いや?本を読んでいただけだが…どうした?」
「…あぁ、ちょっとな…」
 その声、何処か落ち着かない様子。
「…入れば…?」
「あぁ……」
 促されるままに部屋に足を踏み入れ、後ろ手にドアを閉める。だが…そこから、足が動かないばかりか、言葉も出ない。
「…どうした?」
 再び、エースに問いかけられる。
「いや…その……」
 ベッドサイドの灯りでは、流石にドアの前にいるデーモンの顔までは良く見えないが…いつになく、はっきりしないその態度に、ピンと来たエース。読みかけの本を閉じると、小さく笑いを零した。
 そして…大きく、両手を広げる。
「ほら」
「…エース…」
「するんだろう?充電」
「………」
 表情が良く見えないまでも、その顔がかぁっと赤くなったと思ったのは…多分、気の所為ではない。
「来ないのか?」
 動かないデーモンの姿に、問いかけたエース。すると、小さな溜め息と共に、デーモンが歩み寄って来る。
 直ぐ傍まで来ると、やはりその顔が真っ赤なのが見えた。
「…ほら、来いよ」
 ちょっとだけ、甘い声で囁いてみる。するとデーモンは更に真っ赤になり…そして、小さく吐息を吐き出すと、躊躇いがちにエースの腕の中へと入ると、その背中へと腕を回した。
「…何だよ。ライデンが羨ましかったのか?」
 すっぽりと収まったその身体に腕を回したエースは、顔をあげないデーモンの耳元でそう問いかける。
「…良いよな、彼奴は…躊躇なく、ゼノンにくっつけるんだから…」
「まぁ、彼奴の体質もあるから。ミサで放電し過ぎてぶっ倒れても困るしな。彼奴等のことだから、あれで一方的じゃないんだろう。ゼノンも楽しんでいるんだから。でもまぁ、ちょっと照れるぐらいの方が、俺は初々しくて良いけどな」
「…ば~か…」
 素直に感情を出せるライデンとは違って、どうしてもまだ理性が勝ってしまうデーモン。まぁ、だからこそこんな姿は、エースには堪らなく愛しくて可愛いのだ。勿論、デーモンに話してしまうと抑えてしまうので、内緒だが。
 照れるデーモンの姿に、エースは小さな笑いを零した。
「まぁ…たまには良いんじゃないか?疲れた時ぐらい、ゆっくりしろよ。幾らでも充電させてやるから」
 そう言いながら、その背中をポンポンと軽く叩く。
「…御前は…迷惑じゃないのか?」
 僅かに顔を上げ、そう問いかけられた声に、一瞬きょとんとした表情を見せたエース。
「迷惑?どうして?」
「いや…面倒臭いだろう…?」
「…ば~か」
 くすくすと笑いながら、エースは額を寄せる。
「迷惑だったら最初から部屋には入れない」
「…エース…」
「そんなことで遠慮するなよ。恋悪魔、だろう?その辺は、ライデンを見習え?」
 笑いを含んだ声でそう囁かれ、デーモンもやっと、小さく笑いを零した。
「何処から何処まで学ぼうか」
「そうだな…まぁ、俺は御前のそんな姿も好きだから、やっぱりそのままで良いか」
 勿論、ライデンがどうの、と言う訳ではない。ライデンはどうしてもやはりライデンで、他の誰かが真似が出来るものではない。勿論、デーモンはデーモンのままで。それが、一番だった。
「ゆっくり充電して行け」
「…有難うな」
 安心したように、くすっと笑いを零したデーモンは、今度は素直にエースの胸元に顔を埋める。
 エースはエースで、デーモンの背中に添えた手で、同じリズムを刻むようにポンポンとそっと叩く。
 そうして暫し。
「……デーモン?」
 身動き一つしないその姿にそっと声をかける。だが、返って来るのは…穏やかな寝息。
「…このまま寝るのかよ…」
 思わず苦笑。だが、折角のこの状況。起こすのも勿体無い。
「…仕方ない。俺もこのまま寝るか」
 くすくすと笑いながら、ベッドサイドの灯りを消す。そして、デーモンの身体がちゃんと隠れるように上掛けをかけ直すと目を閉じた。
 その胸の上の重さは、奇妙なほど心地良い。
 先ほどの自分の言葉ではないが…一方的な充電ではない。満たされる心の温かさを感じながら、その状況を甘んじるエースもまた、ゼノンもこんな気持ちなのだろうとぼんやりと思いながら、眠りに落ちて行った。

◇◆◇

 翌朝。ノックの音に最初に目を覚ましたのはデーモン。
「…エース起きてる?デーさんの姿が見えないんだけど…知らない?」
 ドア越しにライデンのそう声をかけられ、ハッとしたように身体を起こす。当然、自分の身体の下にはエースの姿。未だ眠ったままのその顔を暫し眺め…思わず顔を赤く染めた。
 慌ててベッドから抜け出ると、そっとドアを開ける。
「あ、エース。ねぇ、デーさんが………って…え?」
 当然エースが出て来たのだろうと話を進めかけたライデンは、予想外に出て来たデーモンの姿に目を丸くする。
「あれ?何でデーさん…?」
「…しっ!…エース、まだ寝てるから大きい声を出すな…」
 未だきょとんとしたままのライデンを前に、デーモンはそっと廊下へと出るとエースの部屋のドアを閉め、自分の部屋へとライデンを促した。
 そしてそこで漸く口を開く。
「うっかりな…エースのところで寝てしまったんだ。別に、何にもしてないからなっ」
 真っ赤な顔でそう言うデーモンに、ライデンはくすくすと笑う。
「別に何してたって良いじゃん。恋悪魔でしょ?何照れてんの?」
「いや……」
 まさか、ライデンの真似をして充電したまでは良かったが、そのまま寝てしまっただなんて…デーモンにしてみればどうにも言い辛い訳で。ただただ、赤くなるしかない。
「もぉ、デーさんってばシャイなんだからっ」
 そう言って笑うライデン。夕べのグロッキー寸前の姿はすっかり影を潜めたようだ。
「御前は朝から元気だな…」
 思わずそう言った言葉に、にんまりと笑顔が返って来る。
「夕べ、充電したもん。今日は元気満タン」
「…そう、か。良かったな」
 苦笑するデーモンだが、彼もまた、夕べの疲れた気持ちはすっかり影を潜めていた。
「デーさんも疲れたでしょう?ミサの後はエースで充電すると良いよ。まぁ、俺に言われなくたってしてんのかも知れないけど?」
 何を想像しているのか、ニヤニヤと笑うライデン。
「…ば~か」
 赤面しながらもそうつぶやいたデーモンに、ライデンはくすくすと笑うと、デーモンをぎゅっと抱き締める。
「もぉ、デーさん可愛いっ」
「…こらっ御前なぁ…」
 ライデンに捕まったら流石に動けず…既に、されるがままのデーモン…。
 と、その時。
「デーモン、いるのか?」
 その声と共に部屋のドアが開き、顔を見せたのはエース。そして、ライデンに抱き締められているデーモンを目の当たりにして、一瞬固まる…。
「あぁ、エース。おはよ~」
 ニヤリと笑いながらそう言うライデンに、エースは一瞬眉間に皺を寄せる。そして、徐ろにライデンの腕を振り解くと、デーモンの腕を取って引き寄せる。
「これは俺んだ。御前はゼノンで満足してろ」
「ちょっ…エースっ!」
 慌てて声を上げるデーモンだが、もう誰も聞いてはいない…。
「言われなくたって、俺はゼノンで満足だし。朝から盛んなよ~」
「ば~か。誰が盛るかっ」
「じゃあ、朝飯だから降りといで~」
 けらけらと笑いながら、ライデンは部屋から出て行く。
「…ったく…」
 ライデンの足音が階段の下へと消えて行くと、エースはやっと溜め息を一つ。
「御前、無防備過ぎ」
「…済まん…」
 思わず謝ってしまったのだが、別に悪いことをした訳でもないのに…と、ふと我に返ってちょっと膨れてみるデーモン。
「でもだからってなぁ、吾輩はモノじゃないぞっ」
「当たり前だろう?そんなことはわかってるさ。だけど、御前は俺の恋悪魔だろう?何でライデンに抱き締められてんだよ」
「…いや、それはだな…ただの不可抗力で…」
 どうしてそんなことになったのか、正直デーモンにも展開が良くわからなかったのだが…まぁ、過ぎてしまったことはしょうがない。
 再び溜め息を一つ吐き出したエースは、乱暴に前髪を掻きあげる。そして暫くデーモンの顔を見つめ…それからそっと、抱き寄せた。
「……エース?」
「…充電」
 その言葉に、思わずデーモンも笑いを零す。
「夕べは悪かったな。良く寝れなかったろう?」
「あぁ…大丈夫。意外と寝られた」
 そう。愛おしい温もりがそこにあれば、もうそれだけで十分満足なのだから。
「…よし、充電完了」
 デーモンの背中をポンポンと叩き、エースは身体を離す。その頬が…ほんの少しだけ、赤く見えたのは…気の所為ではないだろう。
「じゃ、朝飯行くか」
 デーモンも笑ってそう口を開く。そして、二名揃って階下へと向かった。

 食事の前に一服すると言うエースは庭へと出て行き、デーモンだけがダイニングへとやって来た。
「…あれ?ルークは?」
 その場に一名足りない。それを思わず問いかけると、準備をしていたゼノンが軽く振り返った。
「あぁ、朝早く魔界に戻ったよ。何だか、用事思い出したから、って。昼までには帰って来るとは言ってたけど」
「そうか。何の用事だろうな?」
 ダイニングの椅子に座りながら、首を傾げるデーモン。
「ダミ様の顔見に行ったんじゃない?ほら、一名だけ充電相手いないから」
 くすくすと笑うライデンに、デーモンは苦笑する。
「まさか。それだけの理由でわざわざ朝から足を運ぶか?」
「どうだかね~。そればっかりは、ルークにしかわからないしね~」
 ゼノンも苦笑しながら椅子へと腰を下ろす。
 そこへ、一服を終えたエースが戻って来た。
「ルークが出かけたって?」
「うん。ダミ様の顔でも見に行ったんじゃないの~?って」
 笑いながらそう言うライデンに、デーモンもゼノンも、最早苦笑するだけ。
「充電しに?」
「多分ね~」
 くすくすと笑うライデン。すっかり充電がブームになりつつある。まぁ、いつもとそんなに代わりはしないが。
「じゃ、帰って来たら尋問で」
「OK!」
 変なところで結託したエースとライデン。まぁ…帰って来たルークの顔を見れば一目瞭然であろうが。
 実に穏やかに。
 それは、誰もの心が満たされた証でもあった。
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