聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
[PR]
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
Refrain of Love 1
「…誰だ、あんた…?」
思わず問いかけた声に、物凄い視線が帰って来た。
まるで、その眼差しで、俺を殺そうとしているような…そんな、鋭い視線。
「彼の恋人」
そうつぶやいた唇は、その言葉が意味する理由からか、自己満足で笑っているように見えた。
いつから、気持ちがすれ違ったのだろう。
それさえも、思い出せなかった。
ただ、何処かで迷ったのは事実だろう。そして…その時点で、真実を見失ったのかも知れなかった。
その日の昼近くに目を覚ましたエースは、その天気の良さに目を細めた。
今日は、デーモンと二名で出かける予定をしていた。
昨日、エースを困惑させた事実は、一晩眠ってだいぶ落ち着いたようだった。
着替えてリビングに行くと、ルークが洗濯籠を手に、庭へ出て行こうとしているところに遭遇した。
「あ、エース。おはよ」
「おすっ」
リビングには、他に誰もいなかった。
「他の奴らは?」
問いかけたエースの声に、ルークは籠を足下におく。
「えっとね、ライデンは夕べ遅くまでゲームしてたみたいだから、まだ寝てるでしょ?ゼノンはカメラ持ってどっかに出かけたでしょ?」
指折り数えていたルークは、そこで一端言葉を切る。
「あぁ、そう。デーさんはね、一番に出かけたよ」
「…出かけた?」
「うん。早くに電話が入ったみたいでね、急用だって。帰りはわからないって言ってたよ」
「…そう」
すっと、表情の曇ったエース。
約束をしていたのは、自分の方が先だったはずなのに。
その表情で思い出したのか、ルークはしまった…と言う表情を浮かべた。
「あぁ…そう言えば、エースの方が先に…」
「いや、別に…大事な用だった訳じゃないし…」
そう答えたものの、何処か納得がいかない。
「きっと、早く帰ってくるよ。デーさんが、エースとの約束、忘れる訳ないだろうし…」
一応、エースに気を遣って言ったつもりだったが、エースの機嫌はそう簡単には直らないらしい。
「御前は気にしなくて良いから」
エースはすっかり気分を害したらしく、さっさと部屋に戻って行った。
「…もぉ、デーさんったら…間が悪いんだから…知らないからね~」
しかし、所詮は他悪魔事と、その時は安易に考えていたルークだった。
己の部屋に帰って来たエースは、テーブルの上に置いてある銀色の鍵に目を留めた。
それは、この屋敷とは別に、プライベートルームとしてデーモンが借りているマンションの合い鍵だった。そして、エースはその合い鍵を、他の構成員には内緒で、デーモンから受け取っていたのだった。
他悪魔の目を気にせず、二名きりになれる場所として、その部屋を利用していたのだが…昨日、そこに忘れ物を取りに行ったエースは、もう一名、その部屋に立ち入っていたであろう存在を確認していたのだった。
エースの知らない、媒体の彼女。その存在が、エースを苛立たせていたのは言うまでもない。
媒体のプライベートには、口出ししない。それは構成員の中でも暗黙の了解であり、エースもまた…まぁ、多少は釘を刺されることはあっても…文句を言われることもない。
エースはその誰も触れないプライベートに、踏み込んでしまったのだ。
大きな溜め息を吐き出し、ベッドへと腰を落とす。
「嫉妬はしない、って…思ってたのにな」
そう零しながら、波動を飛ばす。
話し相手は、昔からのエースの恋人…と呼べるかどうかはわからないが、とにかく、エースが生を受けて初めて好きになった相手である。
それは、悪魔でも妖魔でも…勿論天界人でもない。遙か彼方の、惑星の自我だった。
「どう思う?エレナ。俺ってそんなに…嫉妬深い?」
思わず問いかけた言葉に、小さな波動が返ってくる。
《愛シテイルカラ、デハナクテ?エース》
「でも、エレナは嫉妬しないだろう?」
《ソレハネ、貴方ヲ信ジテイルカラヨ》
「……」
そう言われてしまえば、元も子もない。
「…何だか…気が抜けた…」
ふと、つぶやいた声。
「俺は…俺が思っている以上に、彼奴には必要とされていなかったのかも知れない」
エースが、デーモンを信じていない訳ではないのだ。だが、時として不安になる。
デーモンとて…勿論エースとて、媒体は男である。人間界で身体を借りている以上、人間としての"彼ら"が相手を求めるのは、当たり前なのだ。だから、恋人がいても別に構いはしなかった。
ただ…エースが渡されていたマンションの鍵を、人間の彼女が持っている、と言うことが、人間と悪魔を混同されているようで嫌だったのだ。
小さな、溜め息にも似た沈黙。
《…愛シテ…イルノデハナクテ?今マデ、信ジテ来タノデショウ?》
控え目なエレナの波動。
「…わからない。こんなに奇妙な気持ちは初めてだ…」
正直、エースにもどうしていいのかわからなかった。
突然の、第三者の存在。それが、不安定な自分を思い知らせた。
今日、デーモンが約束を守ってさえいてくれれば、きっとエースは悩みはしなかっただろう。
たった一言、エースに言ってさえくれれば。
《……》
エレナも、困っているようだった。沈黙が、それを明らかにしていた。
「…愛してるよ、エレナ」
エースは、目を伏せてつぶやく。
《ワタシモ愛シテイルワ。デモ貴方ハ、ワタシ以上ニ、彼ヲ愛シテルノデショウ?ダカラコソ…嫉妬シテイルノデハナクテ?》
「…今は…エレナより、デーモンを愛してると言える自信がない。エレナとは、長い付き合いだし…多分、俺が何を言わなくても、わかってくれる。デーモンがそうであるとは限らない」
《ワタシハ、長イ付キ合イダカラコソ、ワカッテイルツモリヨ。貴方ガ、彼ヲ忘レラレナイコトヲ》
「……」
溜め息が一つ。
多分、エレナが言ったことは図星だ。エースに、デーモンを忘れることは出来ない。
しかし、それがデーモンにも当て填るかと問われれば、そうあって欲しいと願う気持ちはあれど、きちんとした答えが返って来るかはわからないのだ。
彼らの関係は…まだまだ不安定極まりない。
抱擁と口付けより先に進めない。かと言って、媒体の気持ちを考えると…一足飛びに、身体の関係を結ぶことも出来ない。言葉だけで気持ちを繋ぎとめていける自信も、今はなくなっていた。
「ちょっと…離れようか」
一言、吐き出した想い。
「俺の気持ちは、わかってくれるだろう?」
《…エース…》
エレナは、何を思ったのだろう。
エースは…何を、考えたのだろう。
それが一つの決断だった。
夕方になって帰って来たデーモンは、玄関を入って直ぐに、ルークに捕まった。
「ちょっとデーさん!今日、エースと約束してたんじゃないの?」
「…ぁっ……」
「…忘れてたんだ…」
「いや、その……」
ルークに言われて初めてそれを思い出したのか、言葉が続かない。
「エース、怒ってるよ。部屋から出て来ないし…一悪魔でなんかブツブツ言ってるし…」
他の者に、エレナの波動は掴めない。だからこそ、エースの独言にも聞こえるのだ。
「彼女と逢うのもいいけど、エースを怒らせない程度にしてよね」
ルークはそう零すと、リビングへと踵を返す。
「…まずったなぁ…そうか、今日……」
大きな溜め息が零れる。
これから出かけようにも、もう日は傾いている。物凄く怒っているのなら、誘ったところでエースは付いて来ないだろうが。
取り敢えず、謝ることが何よりも先決だった。約束を忘れていたのは、己の責任なのだから。
暫し、自己嫌悪に陥りながら、デーモンは二階のエースの部屋へと向かった。
「エース、いるんだろう?」
そのドアをノックして、デーモンは声をかける。
カチリと開いたドアの隙間から見える部屋の中は薄暗く、エースはその無表情の顔を僅かに覗かせるだけだった。
「…御帰り」
その声が、酷く不機嫌に聞こえて、デーモンは思わず口籠ってしまう。
「いや、その…悪かったな、今日は。急用が出来てしまって…その…断れなかったんだ」
そう言葉を紡ぐ間に、エースはゆっくりと部屋から出て来たが、部屋にすら入れてくれないところを見ると、その怒りはかなりのモノらしい。
「…いいよ、別に。急ぎの用だった訳じゃないから。ただ、話したいことがあっただけ」
目を伏せ、そう言葉を紡ぐエース。その態度が、デーモンには妙に気がかりで。
「そうだ、明日もオフだろう?明日、出かけようか」
エースの機嫌を取ろうと、そう口走る。だが、エースの無表情はそう簡単には直らなかった。
寧ろ、火に油を注いでしまったようだ。
「…女の、匂いがする」
「………」
「無理するな。彼女との時間を大事にしてやれよ」
「こ、これには訳が…」
言いかけたデーモンの言葉を遮るかのように、エースはポケットから銀色の鍵を取り出した。
「…エース…?」
「これ、返す」
「お、おい…」
デーモンの手の中に鍵を押し込むように返し、エースは踵を返して部屋に帰ろうとした。その腕を、デーモンは慌てて引き留める。
「ちょっと待て!どう言うことなのか、ちゃんと説明してくれ」
訳のわからないと言う表情を浮かべたデーモンに、エースは軽く一瞥する。
「聞かなかったのか?今日逢ってた彼女に」
「…何を、だ?」
困惑するデーモンをよそに、エースは目を伏せ、言葉を続けた。
「昨日、逢ったよ。あんたの彼女に。この鍵の、合う部屋で」
「…逢った…?」
「そう。可愛い彼女じゃないか。ホントに、あんたが好きなんだろうな。俺を睨み付けた目は、本気だったぜ」
「……」
思いもしなかった告白に、デーモンは言葉が出なかった。
だが、エースは淡々と言葉を続けた。
「あの部屋に、彼女が出入りするなら、俺は行かない。だから、鍵もいらない。毎日、ここで顔を合わせてるんだ、それで十分だろう?」
俺は…あんたの愛玩(おもちゃ)じゃない。
そう零したエースに、デーモンは思わずエースの頬を叩いていた。
「馬鹿にするな!そんな風に思っていたのか!?」
「なら、どうして他のヤツをあの部屋に入れた!?どうして…鍵を渡した…」
嫉妬してる。
そう思うと、叩かれた頬よりも、胸の奥がキリキリと痛んだ。
「渡した訳じゃない」
「じゃあどうして、あんたの彼女がいたんだ!?」
「吾輩は知らないっ!」
「そうやってシラを切る気かっ!?」
「知らないモノは知らないんだっ!御前に逢ったとも聞いていないし、鍵を持っていたことも今まで知らなかった!」
カッとなって怒鳴り合う声に、今まで階下にいた他の構成員たちが、二階まで様子を見に来ていた。だが、そんな姿も、目に入らない。
「吾輩の話を聞けよっ!」
エースの腕を掴んでそう叫んだ声に、一瞬、エースの眼差しが変わった。
「…御前にとって…俺は何だ…?」
「…エース…?」
「捨て駒に…情をかけるな」
思いがけない言葉に、デーモンは息を飲んだ。
どうして、そんな言葉が出てきたのだろう?喧嘩なら、今まで幾度もして来たことなのに…どうして今回は、いつもと同じような結末ではないのだろう?
困惑するデーモンの表情に、エースは背中を向けた。
「暫く…エレナのところに行くから」
その一言を残し、エースは自室へと飛び込み、内側から鍵をかけたようだった。
なす術もなく締め出されたデーモンは、ドアの外で大きな溜め息を吐き出した。
「…少し、頭を冷やせ」
ドアに向け、そう言葉を放つと、傍観している三名をそのままに、階下へと下りて行った。
その様子を、ハラハラしながら見守っていた傍観者たち。最初にその口を開いたのは、ライデンだった。
「…ねぇ…エレナって…?」
聞いたことのない名前に、そう問いかけると、答えを返したのはゼノンだった。
「確か…何処かの惑星の自我の名前だよ。エースが初めて惑星探査に出た時に知り合ったって聞いたけど…今でも、交流はあるみたい。確か、エースの…」
初恋の相手。
遙か昔に聞いたことを思い出しながら、つぶやいた声。
「…初恋の相手、か……それじゃ、デーさんの分が悪いなぁ…」
溜め息交じりの言葉を零したのは、ルーク。
「今でも交流があるってことは、デートしてるってこと?」
問いかけるライデンの声に、ゼノンは小さく頷く。
「多分ね。ほら、オフの日に、たまに部屋で独言言ってる時があるでしょ?あれは、彼女と波動で話をしてるんだ。ここからでは遠くて、会いに行けないから」
「…じゃあ、昼間のあれも…」
ルークには、思い当たる節があった。てっきり、独言だと思っていたのに、相手がいたとは。
「厄介なことに、なったんじゃない…?」
そう零すライデンに、溜め息をもう一つ。
「…今更言わないでよね」
「だって…」
わかり切っているのは、お互いの気持ちの行違いだと言うこと。そしてエースの気持ちが、大きく揺れ動いている、と言うこと。
もう一つ付け加えるのならば…エレナと言う存在は、今のデーモンよりも、エースの心を掴んでいると言うこと、だった。
PR
COMMENT
プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
カレンダー
カテゴリー
最新記事
(06/23)
(10/08)
(10/08)
(09/30)
(09/10)
(09/10)
(08/06)
(08/06)
(07/09)
(07/09)
アーカイブ
ブログ内検索