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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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REGRET 6
こちらは、以前のHPで2003年06月07日にUPしたものです
 6話完結 act.6

拍手[4回]


◇◆◇

 それは…遠い記憶。
 全ての時間が、終わる寸前。一筋の、光を見た。
『…一緒に…来ないか…?』
 そう、直接脳裏に届いた声。
 その視線の先には…懐かしい姿。
 思わず、小さく笑いを零す。
「…こんなになっても…俺が、必要?」
 問いかけた声に、小さな微笑みと頷きが返って来る。
 馬鹿な、悪魔だ。
 いつまでも、こんな人間に執着するだなんて。
 でも…それでも、忘れられない想いを抱いていたのは…彼だけではなかったから。
『俺が…護っていてやる。御前が、消えてしまうまで。俺の中から出ることは出来ないが…ずっと、傍にいるから…』
 そんな口説き文句を、この状況で自分が聞く羽目になるとは、思いも寄らなかった。
 でも、それがとても嬉しくも思う。
 誰よりも…大切に、想ってくれることが。
 誰よりも…傍に、いられることが。
 彼の恋悪魔よりも、もっと近い場所で。
「…連れて行ってくれる…?」
 小さく問いかけた声に、すっと手が差し伸べられる。
 その手を取れば…いつまで、生きながらえるのだろう…?
 いつまで…この、愛しい相手と共に、いられるのだろう…?
 答えは、わからない。
 でも…それでも良いと、思った。
 この生命が尽きるまで…付き合ってやろうか。
 笑いながら、その手を取る。
 その瞬間、時は、止まる。
 そして…一番愛しいヒトと共に過ごす時間が始まった。
 寿命の何十倍もの時間を、共に過ごした。
 楽しいことも、辛いことも…悲しいことも。その全てを、彼と共に。
 それだけで、幸せだと思えた。
 実体がなくても…生きている、と言う実感はそこにあった。
 自分が…消えてなくなるその日まで。

◇◆◇

 安らかな寝息が聞こえている。
 久しく体験していなかった快楽の波に飲まれたのは、当然デーモンだけではなかったのだが、エースはどうしてもその後の休息の睡魔を迎え入れることが出来ずに、こうしてただ黙って、デーモンの寝顔を見つめていた。
 ずっと求めていた愛しい者を得た。その満足感はある。だが、その思いだけで納得出来なかったのは…失った者がいたから。
 思い出したのは…もう、遠い昔の記憶だった。
 本当に清水は…満足、だったのだろうか?
「…御前は…何を、求めていたんだろうな」
 媒体として、常に一緒にいた。御互いの長所も短所も、小さな癖までも、良く知り得ているはずだった。勿論、その想いも。
 しかし、最後の最後で、それを見失ってしまったのはどうしてだろう。
 清水は、何を求めたのだろう。何を求め、誰を呼んだのだろう。
 今更それを問いかけたところで、答えを返してくれるはずの清水は、今はもういないのだ。
 エースは、深い溜め息を一つ吐き出す。
 清水の想いを見失い、自分自身をも見失った。それが、どうしてなのか…自分自身にもわからない。
 狂い始めた歯車に、歯止めをかけたのはデーモンだった。唯一、歩むべき道を照らしてくれた。だが、それでも行くべき先は、まだ見えないのだ。
 抱えた膝に額を擦り付け、再び溜め息を吐き出す。
 デーモンを抱いている時は、デーモンのことだけを考えていた。でもその相手がこうして無防備にも眠ってしまったものだから、それ以上何もすることが出来ない。まさか気を紛らわせる為だけに、デーモンの眠りを裂いてまで、情事を続ける訳にもいかないのだから。
「…馬鹿だな…俺は…」
 酷い喪失感に、エースは思わず言葉を零す。
 この胸の隙間は、そう簡単に埋め合わせることは出来ないのだろうか。いつか、その傷が疼かなくなるまで、耐え続けなければならないのだろうか。
 嘆きにも似た、溜め息が零れる。と、その時。
「…エース?」
「…悪い。起こしたか…?」
 寝惚け眼を擦りながら、デーモンがこちらを見ている。
 それを確認するや否や、エースの表情は常に戻る。デーモンの前で、弱音を見せたくないと言うのが本音なのだ。
 きょとんとするデーモンを前に、エースは常のように振舞っていたはずだった。
 ゆっくりと伸ばした指先で黄金の髪を梳く。その指先で頬に触れ、唇を重ねる。
 だが、吐息を零したデーモンがその次に発した言葉は、エースの常を完全に崩していた。
「…泣いてるのか…?」
「…え…」
 そんな言葉が返って来るだなんて想像もしていなかったから、当然エースの方が面喰らってしまった。
 勿論、エースは泣いているはずもない。だからデーモンがそう言った言葉の意味も、正直、良くわからなかった。
 エースの頬に手を伸ばしたデーモンは、何処か寂しそうな表情を浮かべていた。
「苦しいのは良くわかる。だが…吾輩では…御前の傷は、癒せないのか…?」
 そう問われても、返す言葉も見つからない。
「昔…清水も、御前が魔界へ戻った後、今の御前と同じ顔をしていた…御前を失った、酷い喪失感にずっと耐えていた。そんな彼奴を支えたのは…新しい相棒であったり、仲間であったり…変わらずに彼奴を応援してくれる"声"だった。その時も…吾輩は、何をしてやることも出来なかった…まぁ、清水はずっと吾輩には一線を引いていたしな。無理もないんだが…御前にも同じ顔をされると…やっぱり、切ないんだ…幾ら御前に抱かれても、それだけでは癒してやれないことが…」
「デーモン…」
「……悔しい」
 そっと、伏せられた眼差し。その時初めて、エースはその言葉の意味を知った。
 嫉妬していたのは…彼等だけではなかった。デーモンもまた…エースが清水を想う気持ちに…清水がエースを想う気持ちに、嫉妬していたのだと。
 そして自分だけが、彼等の間に立ち入ることが出来なくて…ずっと苦しい想いをしていたのだと。
「…違う…」
 上手い言葉が見つからない。それでも、想いを口にしなければ、失ってしまうような気がした。
 大きな溜め息を一つ吐き出すと、デーモンの手をそっと握った。
 その温もりは…確かに生きている証。一番傍にいると言う、実感。
「…御前への想いと清水への想いは、同じじゃない。恋愛感情とはまた別の…何か違う感情があったのは確かだ。それを、御前に埋めさせようと思っていた訳じゃない。それだけはわかってくれ」
「…エース…」
「清水を失って…直ぐに癒せる傷じゃないことは、最初からわかっていたんだ。ただ…覚悟が出来ていなかっただけで。だから御前がどうこうと言う問題じゃない。寧ろ、御前がここにいてくれなければ…俺は、どうなっていたか、わからない。だから…ここに、いてくれ」
 抱き寄せた身体は、まだ僅かに余韻の熱を持っていた。
 先程己が散らした白い肌の上の花弁も、まだ鮮やかだった。
 求めたことには、間違いはなかったはず。身体を重ね、同じ時を共にしたことに、後悔はなかったはず。
 そして、清水もまた…自分がいなくなった喪失感を補う役割を、デーモンに求めていたのかも知れない。
 だからこそ、最後の時に…デーモンを、呼んだのかも知れない。
 どれくらいの時間が必要なのかはわからない。だが、いつかその傷が癒える時が来る。その時を、じっと待つしかないのだ。
「吾輩は、何処にも行かない」
 エースの気持ちを察したデーモンは、その耳元でそう囁くと、そっとエースの身体を抱き寄せた。
「今は…ゆっくり休んでくれ」
 そう言うと、デーモンは柔らかいその眼差しで、エースの顔を覗き込んだ。
「眠れるか?」
 そっと、デーモンが問いかける声が聞こえた。
「…大丈夫だ。そこまで脆い訳じゃない」
「どうだか」
 くすくすと小さな笑いを零しながら、デーモンは両の掌でエースの顳にかかる髪を掻き上げた。薄闇の中に見えるその眼差しには、まだ小さな憂いがある。
「吾輩が、傍にいるから。御前の傷が、癒えるまで」
「…あぁ。有難う」
 くすっと笑い、エースはその眼差しを伏せた。
 大切なモノを失ったのは、今に始まったことじゃない。今までに、幾度もあったはずだ。そしてその度に、このデーモンがいつも傍にいたのだ。
 時には、憎んだこともあった。傍にいてくれて、励まされたこともあった。
 今ここでもう一度、それを繰り返しているだけではないか。
 この先、また同じことが繰り返されるかも知れない。その通過点の一つに過ぎないかも知れないではないか。
 その思いは、今は微力ながらも…心の支えとなった。
「眠れるように、おまじないだ」
 デーモンはエースの目蓋の上に、そっと口付ける。
 柔らかくて、くすぐったくて…それでいて、背筋が疼くように甘い感覚に酔い痴れる。途端、エースの口から、小さな欠伸が零れた。
「子守唄、歌ってやるからな」
 そう言うとデーモンはエースの身体をベッドへと沈め、ゆっくりとその"歌"を口にする。
 それは…唯一、"清水"が"デーモン"に求めたモノ。
 そして…"エース"の知らない、二名だけの秘め事だったこと。
 それを思い出しながら、幼子をあやすかのように添い寝をするデーモンに、エースは小さな笑いを零した。
「ここまでされたら、寝るしかないな」
----…御休み。
 先程までは酔い痴れることが出来なかった睡魔に包まれたエースは、程なくして軽い寝息を立てて寝入ってしまった。
 隣に横になっていたデーモンはそれを見届けると、小さな溜め息を吐き出した。
「御前も…やっと休めるんだな、清水」
 媒体として精神体だけで肉体は持たなかったものの、本体であるエースの一部として、その寿命は常の何十倍もの時間の流れを過ごして来たのだ。
「…倖せ、だっただろう?エースに、こんなに愛されて。こんなに…大切にされて」
 もう、ここにはいるはずのない清水に向け、デーモンは語りかけていた。
 思えば、自分も媒体であった彼と離れた時は、同じような思いだった。尤も、それはもうずっと前。地球任務の終了と共に地球に弔って来たのだ。彼が愛した、彼の地に。
 それは、他の構成員も同じことだったが、エースだけはどう言う訳か清水を手放すことが出来なかったのだ。
 例え、その肉体が滅んでいたとしても。魂だけでも、添い遂げていたくて。
 自分からは抜け出せない媒体として、閉じ込められる運命をわかっていても。
 そこまで深い想いは、共にいるだけで良かったのだ。
 それだけが…御互いが願った想いだった。
「…御前にも…聞こえたろう?御前が好きだった、子守唄」
 ほんの少し…潤んだ眼差し。けれど、悲観はしていなかった。
 きっと…ぐっすり、眠ってくれるはず。
 その為に、歌ったのだから。
 彼が、唯一デーモンに求めた…"子守唄"を。
「御休み、清水」
 デーモンも、小さな欠伸を一つ零すと、そっと目を閉じた。
 微睡みの中で、清水の倖せそうな笑い声を聞いたような気がした。

◇◆◇

 暁の空を見つめながら、皇太子であるダミアンは、結局一晩を過ごした執務室で、一悪魔小さな微笑みを浮かべていた。
 目の前にあるのは、小さな光。ぼんやりとした人型を浮かべるそれは、既に消えたと思われていた清水の魂。
「…御苦労だったね、清水」
 穏やかに語りかける声。
 夕闇が降り始めた頃、この執務室で、ルークからその報告は受けていた。
 清水の魂が、消えてしまったと言うこと。
 その報告を受けたダミアンは、まだ何処かに彷徨っているであろう魂を見つけ、ここに呼び寄せていたのだ。
 肉体を失った魂が存在していられるのは、日が昇るまでの間。その真の最期を、ダミアンはこの執務室で見届けるつもりだったのだ。
「もう、心残りはないかい?」
 そう尋ねる声に、清水の魂は僅かに頷いたようだった。
 その姿に、ダミアンも微笑んで頷き返す。
「大丈夫。御前が向かう先には、わたしたちの媒体であった彼等が待っているから。御前はそこでゆっくり休むと良い。エースにはデーモンがいるから、心配はいらないよ」
 その言葉が終わる頃には、遠くの空が白々と染まり始めていた。
 もう、耐えられる時間は終わりを告げていた。
 ダミアンは清水の魂にそっと口付け、安らぎを与える柔らかな微笑みを浮かべた。
「御疲れ様」
 最後の言葉を告げると、彼はにっこりと微笑んだように見えた。
 勿論、それは単なる擬似的な感覚であるのだが。
 白い光が現れた時、その魂は完全に消えていた。

◇◆◇

 生きて行くことが、辛くないよう。
 いつもあの空は、見つめているだろう。
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趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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