聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
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絶愛 3
ラファエルとレイが別荘に着いたのは、夜遅くになってからだった。
先に休んでいると思っていたミカエルに出迎えられ、ラファエルは意外そうな表情を浮かべた。
「寝ていなかったんですか?」
「…待っていたんだ」
そう答えたミカエルの表情は、明らかにラファエルを心配していた。けれど、ラファエルはくすくすと笑いを零した。
「そんなに心配しなくても。ここに来るのは初めてではないですし、レイもいるのに」
「…もし何かあったら、レイに御前が護れるのか?」
そう言われ、ラファエルの背後でレイが小さな吐息を吐き出す。
確かに、レイが剣を握るよりも、ラファエルが剣を握った方が圧倒的に強いのだから、ミカエルの言葉は尤もな訳で…当然、レイは居た堪れない。
だがしかし。
「レイより、わたしの方が強いですけど…それが何か不都合でも?護られようとも思っていませんし…何かあれば、わたしがレイを護りますから」
「…ラファエル様、それは流石にちょっと…どうかと思いますが…」
「どうしてです?強い方が護れば良いだけでしょう?」
困惑した表情で口を開いたレイににっこりと笑って答えたラファエルに、ミカエルは溜め息を一つ。
「馬鹿言うな。自分を盾にして、側近を護る主が何処にいる」
「貴方だって、部下に護られるつもりはさらさらないクセに。わたしにばっかり、文句を言わないで下さいよ」
レイには堪える嫌味だが、ラファエルは全く気にしていない様子だった。寧ろ、上機嫌である。
「明日も早いですからね、もう休みますよ。レイ、行きましょう」
「はい」
ラファエルはレイに声をかけ、昔から自分が使っている部屋へと向かう。その背中を追いながら、ミカエルは声を上げた。
「ラファエル、話がある。荷物を置いたらわたしの部屋へ来い。良いな?」
「…わかりましたよ」
話の内容は…多分、聞かなくても想像はつく。けれど、その為に起きて待っていたのだろうから、無碍には出来ない。
部屋のドアを開けて荷物を置くと、ラファエルは溜め息を一つ吐き出してレイを振り返った。
「貴方もここで…と言いたいところですけれどね。流石にミカエルが煩いので…隣の部屋にしましょうか。今日はもう休んで良いですよ。わたしはこれから、ミカエルのところに行って来ますから」
「わかりました」
レイは苦笑すると、隣の部屋のドアを開けた。
「眠れなかったら襲撃します」
レイの背中に向け、ラファエルは笑いながらそう声をかけた。
「…ラファエル様…」
「冗談です。今日はゆっくり休みなさい」
困ったように振り返ったレイに、ラファエルはにっこりと微笑んで踵を返した。
その背中に、レイは溜め息を一つ。
----このヒトには、敵わない…
そう思いながら、苦笑していた。
ミカエルの部屋にやって来たラファエルは、勧められた椅子に座り、ベッドに腰掛けるミカエルと向かい合っていた。
「…それで?話とは?」
「ルシフェルのことだ」
「…まぁ、そうでしょうね」
想像通りの展開に、ラファエルは溜め息を一つ。
「御前が、道を繋げると言ったな?」
話を始めたミカエルに、ラファエルはちょっと目を伏せた。
「えぇ、言いましたよ。貴方には言いませんでしたけど…戦地で一度、彼を見ています。だから…と言うのはどうかと思いますけど、貴方よりは…ルシフェルの気を捕らえやすいかと」
「…ルシフェルに逢った?」
途端に、ミカエルの表情が険しくなる。
「ほら、そう言う顔をするでしょう?だから、言わなかったんです。別に、どうってことはありません。彼は敵軍の参謀で、わたしはただの戦士。見かけただけで、近寄ってもいませんし、話もしていません」
「…だから、記憶の封印が解けていると…?」
「…そうです。その時に」
ふと、脳裏を過ぎった姿。漆黒の髪に、黒曜石のような深い濃紺の瞳。それは…かつて愛した悪魔の姿と、重なっていた。
ルシフェルは、もう悪魔なのだと。その時に、胸に刻まれたのだった。
「……そうか」
溜め息を吐き出したミカエル。
「…大丈夫なのか…?」
小さく吐き出した言葉に、ラファエルは笑った。
「大丈夫ですよ。その為に、レイを連れて来たんですから」
その言葉に、ミカエルは更に溜め息を一つ。
「彼奴の何処に、そんな能力があるって言うんだ…」
「理屈じゃないんですよ」
笑うラファエルに、ミカエルは真剣な眼差しを向けた。
「なぁ、ラファエル。正直に答えてくれ。御前は…レイと、どう言う…」
「侍従関係ですよ?」
踏み込まれる前に、平然とそう答えるラファエル。
「それだけじゃないだろう?それを聞いているんだ。わたしが何も気付かないとでも思っているのか?」
いつになく、険しい表情で問いかけるミカエルに、ラファエルは笑うのをやめると、真っ直ぐにミカエルを見つめた。それはまるで…ミカエルを敵視しているようで。
「…それを聞いてどうするつもりです?もし仮に、わたしとレイが特別な関係だったとしたら、どうだって言うんです?貴方は、自分の感情の正当さを押し通す為に、レイを切り捨てるつもりですか?あの時の…ルシフェルみたいに」
「…落ち着け、ラファエル」
ミカエルは、溜め息を一つ吐き出す。そして、目を伏せた。
その表情は…とても、苦しそうに見えた。
「…信頼出来るのか?彼奴は。御前がまた…傷付くようなことがあったら、わたしは…後悔しても、し切れない。だから、聞いたんだ」
「…ミカ…」
思わぬ言葉に、ラファエルは返す言葉が見つからなかった。
「御前のプライベートなことに首を突っ込もうと思っている訳じゃない。御前がレイを頼りにしていることはわかっている。だがな…側近以上の関係となると、話は別だ。前みたいに、深入りしてから切り捨てられたら…また、繰り返しだ。わたしは、傷付いて苦しんでいる御前を見たいんじゃない。だから、彼奴が信頼出来るのなら、それが規律に背くことであったとしても…わたしは目を瞑る覚悟はある。本当に、御前を護れるのならな。御前を傷つけたルシフェルを、わたしはまだ許した訳じゃない。今回は仕方がないことだとは言え…今でも、腹が立っているんだ」
両手を固く握り、そう言葉を零すミカエル。それは…ずっとラファエルを見て来た親友だからこそ、過保護なまでに心配するのだ。それは、痛いほど感じていた。
その気持ちは、とても有難い。しかし。
「…ミカエル。貴方の気持ちは有難いと思います。でも…それが、貴方の弱点になっては困ります。わたしを討てば貴方が倒れる。そんなことがあってはいけません。貴方は、今の天界で一番尊いヒトでなければいけません。今の話は…何も聞かなかったことにします。わたしの心配はいりません。もし、レイが信用出来ない相手であれば…わたしを欺こうとしているのであれば、とっくに気が付いています」
「…ラファエル…」
「大丈夫。わたしは、同じ過ちは繰り返さないつもりです。だから…ルシフェルとも、向かい合えます。もう彼は…わたしの恋人でもなければ、上司でもない。ただの…敵対している相手です。まぁ…情がない訳ではありませんけど。でも、愛情ではなく同情です。魔界の医師に見放された、可哀想な堕天使に…手を差し伸べただけのこと。それ以上でも、以下でもありません」
そう言ってにっこりと笑うラファエルに、ミカエルは少しだけ表情を和らげる。
「凄いな、御前は。偉く前向きだ。そんな性格だったか?」
「さぁ。でも…レイがいたから…前向きに、なれたんでしょうかね?」
「一体、何者なんだ?彼奴は…」
苦笑しながら問いかけた声に、ラファエルは笑った。
「一介の事務員上がりの側近ですよ。空を飛ぶことと剣術が苦手で。でも…真っ直ぐで、あのブルーの瞳に嘘はありません。誰よりもわたしの扱いを心得ていてくれる、忠実な側近です」
ミカエルは、レイの顔を思い出す。真っ直ぐに向けられるそのブルーの眼差しは…確かに、綺麗に透き通っていて。それはラファエルの言う通り、嘘のない色だった。
「…そう、か。空を飛ぶことと剣術が苦手だとはな。戦士としては致命的だが…御前の側近がそんなに有能なら、仕方ないな」
ラファエルにここまで言われてしまえば、ミカエルも認めざるを得ない。
「…細かいことは、目を瞑ろう。だがな、だからと言って大っぴらにして良いものじゃない。わかってるな?」
「何のことですか?何も聞かなかったことにすると言いませんでした?彼は、側近ですよ?」
くすくすと笑うラファエル。そんな無邪気な笑顔は、子供の頃に見たきりだった。その笑顔がまた見られるようになっただけでも…レイの能力を認めざるを得ない。
「明日は…頼んだぞ」
小さな吐息と共に吐き出した言葉に、ラファエルは頷いた。
握手を交わしたその手は、とても暖かかった。
翌朝。階下へ降りて来たレイは、そこに見慣れない姿を見つけた。
「…おはようございます。貴女が…シーリア?」
リビングのソファーに座っていた女性は、その声にハッとしたように立ち上がって、レイを振り返った。
「はい、おはようございます。シーリアです。貴方様は…」
「ラファエルの側近のレイです。宜しく御願いします」
「レイ様。宜しく御願い致します」
握手を交わしたまだ若い彼女は、とても緊張しているように見えた。そんな初々しい姿に、レイは思わず苦笑する。
「今から緊張していると、一日持ちませんよ?」
「でも…本当に私が御役に立てるのでしょうか…」
不安そうな表情を浮かべるシーリアに、レイは小さく微笑む。
「どんな理由であれ、ミカエル様が選んだのですから、きっと大丈夫です。今は、貴女だけが頼りなのです。自信を持って下さい」
「…レイ様…」
レイの言葉に、シーリアはほんの少しだけ、緊張の表情を和らげた。けれど、まだ何も始まってはいない。だから、完全に緊張を解くことは出来なかった。
と、その時。
「降りて来ていたのか」
リビングに入って来たのは、ミカエル。
「…御前たちだけか?ラファエルは?」
リビングには、レイとシーリアの姿しかないことが気になったのだろう。時間はあと三十分程で約束の時間になる。
「まだ寝てらっしゃいます。声はかけたのですが…」
「…寝起きは良くないんだったか…?」
思わず問いかけた声に、レイは小さな溜め息を一つ。
「そのようです。毎日、御迎えにあがっても直ぐに出て来ることはありませんから…」
そう答えた声に、ミカエルはその視線をレイに向けた。
「御前、何処に住んでいるんだ?」
「…住んでいるところ…ですか?局の寮ですが…」
「寮から毎日迎えに?逆方向じゃないか」
「はい。ですが、御迎えにあがらないと、登庁が昼になりますので…」
「…そうか…」
ミカエルが何を言わんとしているのか、レイにはピンと来なかった。まぁ、ミカエルにしてみれば、ラファエルとレイがまだ同居まで至っていないことは、ほっとすべきことだったのだが…以前は、ちゃんと登庁時間は守れていたのだから、寝起きは悪くはなかったことは確かだった。
それが意味するところは…慢性的な睡眠不足、と言う事実がそこにあるのだろう。
それは、レイがラファエルについてからずっと続いていることのようで…それが気がかりではあるのだ。
「とにかく…時間もないから、もう一度起こして来てくれ」
ミカエルの声に、レイが頷いて踵を返すと、階段の途中にラファエルの姿があった。
「…起きてますよ」
そう口にしたラファエルの表情は、やや不機嫌である。
「レイ、準備をしますから来て下さい」
「御意に」
ラファエルに促されるままに、レイは階段を登ってラファエルの元へと向かう。
「こっちに…」
呼ばれるままに、ラファエルの部屋へと入ると、ラファエルはすっと身体を寄せて来た。
「…大丈夫ですか…?」
いつになく朝から不安定な姿に、レイも流石に心配になる。
するとラファエルは、レイの耳許で小さくつぶやく。
「…シーリアと…あんまり親しくされると、モヤモヤするので…」
「……ラファエル…」
ラファエルがいつから見ていたのかはわからないが…どうやら、焼きもちを焼いているらしい。レイはそれを察すると、小さく笑ってその身体を抱き締めた。
「何も起こる訳ないじゃないですか。だって、わたしに必要なのは…貴方だけですから」
「レイ…」
「これから、一仕事ありますから…しっかりして下さい」
ラファエルの髪にそっと口付け、そう言葉を続けると、ラファエルの唇から零れた溜め息。
「覚悟は出来ているんですけれどね…どうも、気力が上がらなくて」
「でも、貴方の仕事ですから。わたしもフォローしますし、終わった後は、ゆっくり休めますから」
「…わかっていますよ」
小さな溜め息を吐き出すと、ラファエルはレイから身体を離した。
時間はまだもう少しある。
「一服してからにしましょうか」
ラファエルはそう言うと、レイを振り返らず、先に部屋を出て階下へ向かった。
やはり、機嫌は良くないようだ。
そんな事を思いながら、レイはラファエルを追って階下へと降りた。
緊張の表情のシーリアの正面に座ったラファエルは、無言のまま紅茶を飲んでいた。その背後にはレイが仕えている。
その様子を眺めていたミカエルは、小さな溜め息を一つ。
異様な緊張感は…何処へ向かうものか。
「…そろそろ御時間です」
時計に目を向けたレイは、ラファエルにそう声をかける。
「…わかりました。では一仕事して来ます。わたしは、道を作るだけですから…後の事は頼みますよ」
ミカエルにそう声をかけ、ラファエルはソファーから立ち上がってレイを振り返った。
「行きますよ」
只ならぬ緊張感を浮かべたその顔に、レイは小さく頷いた。
そしてミカエルとシーリアも連れ立って向かったのは、ルシフェルの部屋として宛がわれた一室。
その部屋の床には、能力を高める為に魔方陣を敷いてある。その中央に座ったラファエル。そしてレイもラファエルと背中合わせに座ると、援護するように目を閉じて気を高めた。
ラファエルは目を閉じ、呪を唱えながら魔界へと道を繋げる。そして、僅かなルシフェルの気を探り始めた。
ミカエルとシーリアが、息を潜めて見守る中…ラファエルが目を開けた。
「…見つけました。繋げます」
一言そう言うと、目の前に大きな穴が開いた。そしてその向こうに、マラフィアの姿が見えた。
「貴方が、マラフィア殿か?わたしはミカエルだ。ラファエルは道を繋げることで精一杯だから、わたしが手伝おう」
そう言ったミカエル。顔を見たのはラファエルとレイだけなのだから、ミカエルとマラフィアは初対面であった。
「はい。宜しく御願い致します」
マラフィアもそう言葉を返す。
「あぁ。時間がないので、詳しい話はまた後だ。ルシフェルは?」
「はい。こちらに…」
マラフィアはそう言うと、魔法球で包まれたルシフェルを振り返った。
「意識はありません。このまま、そちらへ連れて行きます」
そして、マラフィアはルシフェルが包まれている魔法球をそっとミカエルたちの方へと送り出す。
魔法球が無事に穴を潜り抜けた途端、ラファエルが唱えていた呪が途切れ、繋いでいた穴が塞がる。
「大丈夫か?」
思わず問いかけたミカエル。ラファエルは、返す言葉もなく、ぐったりと背後のレイに凭れかかっていた。
「ラファエル様はわたしが見ますので大丈夫です。部屋へ連れて行きます」
レイは体勢を整えると、ラファエルを抱え、ミカエルに言葉を返した。
「わかった」
ミカエルが小さく頷くと、レイはぐったりとしたラファエルを抱き上げ、部屋を出て行った。
その背中を見送ると、マラフィアは呪を解いて魔法球からルシフェルを解放する。そして手を貸してくれたミカエルと共にルシフェルをベッドに寝かせる。
「シーリア、頼むぞ」
「…はい」
緊張の表情を浮かべたまま、シーリアはベッドへと歩み寄る。そして、マラフィアへと視線を向けた。
「シーリアと申します。早速ですが、怪我の状態を確認します。詳しいことを教えていただきたいので、立ち会っていただけますか?」
「わかりました」
マラフィアはそう返事をすると、シーリアの隣に立ち、包帯をほどいて怪我の状態を説明している。その様子を眺めているミカエルの表情はとても硬い。
起きている状態はまだ見てはいないが…ルシフェルの外見は、昔見たあの悪魔にとても良く似ていた。
そんな姿を前に…ラファエルは、何処まで平生を保てるだろうか…?
そして…今、自分の胸の中にある、奇妙な感覚もまた、得体が知れなかった。
小さな溜め息を吐き出したミカエル。
その胸の内は…まだ、誰にもわからなかった。
暫くそんな事を考えていると、シーリアとマラフィアの話は終わったようだ。
シーリアは再びルシフェルの身体に包帯を巻き、医療結界を張った。
「大まかな傷は塞がっていますが、範囲が広い上に、意識が戻っていないようなので、暫く医療結界を張って様子を見ます」
「そうか…まぁ、直ぐに治るような怪我なら、魔界でも治っているだろうしな。それは仕方ないか」
ミカエルは、眠ったままのルシフェルを一瞥すると、心配そうに見つめているマラフィアに声をかけた。
「ここは天界だから、長居をすると貴殿も辛いでしょう。今後の話をしたら、魔界へ戻られた方が良いでしょう。シーリア、暫く頼むぞ」
「はい」
シーリアの返事を聞くと、ミカエルはマラフィアをリビングへと促した。
「…ラファエル様は大丈夫でしょうか…」
一向に姿を見せないラファエルを心配して、マラフィアはミカエルに問いかける。
「さぁな…取り敢えず、レイが付いているから大丈夫だとは思う。それよりも、この先の話だ」
ミカエルはそう言って一呼吸置く。
「ルシフェルは暫くこちらで療養することになるが、先程も言った通り、貴殿は長居をすることは出来ないだろう。ルシフェルの事はこちらに任せて貰うしかない。わたしもラファエルもずっとはいられないので、シーリアに任せることになるんだが…それで宜しいかな?」
「…はい。こちらにお任せするつもりで、御願いしたのですから…異論はありません。大魔王陛下も、その旨は承知しております」
「そうか。では、何か変化があれば、連絡を入れるが…前以て聞いているとは思うが、ここは通信も届かぬ場所なのでな、王都まで戻らねばならない。小まめには連絡を入れられないことも、承知しておいていただきたい」
「はい、勿論です」
心なしか、マラフィアの顔色が悪い。恐らく、天界の気に当てられているからだろう。もう、あまり時間をかける訳には行かない。それを察したミカエルは、小さな溜め息を吐き出す。
「…一つ…聞いても宜しいか…?」
ふと、ミカエルが口を開いた。
「どうして…今回のことで、ラファエルを名指ししたのです?」
問いかけた言葉に、マラフィアは小さな吐息を吐き出した。
「わたしがルシフェル様の補佐に付いてから…一度だけ、昔の話を聞いたことがあったのです。その時に、ミカエル様とラファエル様の名前を聞きました。わたしが聞いた感覚ですが…ラファエル様の方が、思い入れがあるように思いましたので…失礼だとは思ったのですが、ミカエル様ではなく、ラファエル様に連絡を入れさせていただきました…」
「…そうですか…」
勿論、その内容を詳しく聞く、などと言う無粋なことはしない。
まぁ…確かに、ルシフェルにしてみればミカエルよりもラファエルの方が比重が重いのだから当然の結果なのだが…だからこそ、ラファエルの心の負担も大きい訳だ。
「…では、そろそろ貴殿も辛いだろうから、一旦これで終わりにしよう。一度ラファエルが道を繋いだからな、帰りはわたしが送ろう」
ソファーから立ち上がったミカエルは、そう言ってマラフィアを促した。
「申し訳ありません…何から何まで…」
マラフィアもソファーから立ち上がると、申し訳なさそうに頭を下げた。
「まぁ…乗りかかった船だ、仕方あるまい」
敵でありながら、何処までも謙虚なマラフィアの姿に、ミカエルも思わず苦笑する。
「今は、敵ではない。だが、戦地で会った時はこうはいかないからな」
「勿論、心得ております」
こちらも小さな笑いを零したマラフィア。
いつかは、本当に戦地で出会うこともあるかも知れない。その時に、彼はどんな顔を見せるのだろうか。
そんなことを考えながら、ミカエルはマラフィアを魔界へと送ったのだった。
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プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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