聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
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絶愛 2
マラフィアとの回線を切った直後、大きく息を吐き出して両手で顔を覆い、椅子の背凭れに身体を預けたラファエル。
「…大丈夫ですか?」
改めて、レイが問いかけた。
「…大丈夫…とは言えませんね…御免なさい。ちょっとだけ…休ませて下さい…」
震える唇は、やっとでその言葉を紡ぎだした。
震えているのは唇だけではなく、その身体も微かに震えていた。
その姿に、レイは大きく息を吐き出す。
何がきっかけだったのか、正直レイにはわからなかった。けれど…ラファエルは、ルシフェルに関する何かに反応したのだ。
「…ラファエル…」
敬称を外した呼び方は、本来任務以外の時だけ。つまりは、今この状況は側近としてと言うよりも…レイ個人としての、言葉だった。
小さく名を呼び、レイはラファエルの横に跪くと、椅子の正面が自分の正面に来るように、少しだけ椅子を回した。
その言葉に促されるかのように、ラファエルは椅子から滑るように降りると、そのまま両腕をレイの首にしっかりと回した。
その手も…その身体も、とても冷たい。
「……レイ…」
そこには、不安に揺れる眼差しがあった。
何がそんなに不安だったのかはわからないが…今の自分に出来ることは、その気持ちを受け止めること。
「…大丈夫」
レイはラファエルに頬を寄せ、そっと口付ける。そして一時吐息を分け合う。
ほんの少しだけ、気持ちは落ち着いたのだろう。
小さく震える身体をしっかりと抱き締められると、ラファエルは大きく息を吐き出した。
「…御免なさい…」
小さく零した声に、レイは溜め息を一つ吐き出した。
「謝る必要はないでしょう?」
そう。何をした訳ではない。ただ、自分で自分を追い詰めているだけ。
「…明日の朝には別荘に居なければならないのだから、今日の午後には王都を出なければなりません。この分では午前中は、仕事になりませんから…一旦、帰りますか?」
レイの肩口にあるラファエルの顔は見えない。けれど、未だに治まらない小さな震えで、その心の不安はわかっていた。
再び、小さな溜め息を吐き出すと、レイはラファエルの背中をそっとさすった。
と、その時。ドアをノックする音が聞こえた。
ラファエルは動かない。床に座り込んでいる状態なので、辛うじて執務机に隠れてラファエルの姿は入り口からは見えないのだが…奇妙な格好であることは変わりない。
だが…居留守を使う訳にもいかない。
「…はい…」
溜め息を吐き出したレイは、そう声を返す。
すると直ぐにドアが開かれた。
「…失礼します……レイ様?」
執務机の影から、床に座り込んだレイの姿だけが見える。当然、やって来た相手は首を傾げている。
「…ラファエル様が急に体調を崩されまして、ここで休んでおります。これからお屋敷に連れて行きますので、急ぎでなければまた後日に御願いします」
その声に、相手は心配そうに眉を寄せた。
「医師を呼びましょうか?」
「いえ…大丈夫でしょう。状態は落ち着いていますから。安静にしていれば、直に回復します」
「…そうですか…?」
「えぇ、申し訳ありません」
「いえ…では、出直して参ります…」
心配そうな顔をしながらも、一礼をして出て行った姿。
ドアが完全に閉まると、レイは安堵の溜め息を吐き出す。そして、抱きついたまま動かないラファエルにそっと声をかけた。
「…ラファエル、一度帰りましょう」
すると、僅かに身体を離したラファエルは、レイの顔を見つめる。
その眼差しの奥にあるのは…昔見た…醒めた眼差し。
「…ラファエル…?」
ドキッとして思わず問いかけた声に、ラファエルはまるで何かのスイッチが入ったかのように、レイの首に絡めていた腕を再び引き寄せ、自らレイに口付ける。そしてそのまま身体を後ろへと倒す。必然的に、レイがラファエルを押し倒すような格好になった。
「ちょっ…ラファエル…誰か入って来たらどうするつもり…っ」
思いがけない状況に声を上げたレイだったが、ラファエルは顔色一つ変えず、小さく呪を唱える。すると、執務室全体に結界が張られたのを感じた。
「…これで誰も来ませんよ」
そう言うと、再びレイを引き寄せて口付ける。
ラファエルが何を求めているのか、レイにはわかった。けれど…執務室で、と言う状況は、イマイチ受け入れ難いのだが…。
しかしながら、この状況で拒否することは出来ない。拒否すれば、多分…ラファエルは再び、罪悪感に苛まれるだろうから。
----強引な人だ…
そう思いながら、レイはラファエルの身体に腕を回し、その腰を引き寄せた。
重ねた身体の熱は、背徳感と背中合わせだった。
小さな寝息が聞こえる。
レイは、ソファーに横たえたラファエルを横目に、ミカエルに先程マラフィアに伝えた内容を連絡していた。
『そうか。わかった。では、準備は整っているから、こちらもこれから出発しよう。御前たちも準備が出来ているのなら同行するか?』
問いかけられた声に、レイはラファエルに視線を向けた。
良く眠っている。今起こすのは…流石に忍びない。
「…申し訳ありません。ラファエル様は眠ってしまわれたので…遅れて出発します。明日の朝には間に合うように行きますので」
『…わかった。では、先に行って待っているからな』
溜め息交じりのミカエルの声。多分…こんな慌しい時に、何故眠っているのかと呆れているのだろう。
しかも…勤務時間内に。
「…宜しく御願い致します…」
頭を下げたレイを一瞥して、ミカエルの通信は切れた。
レイは思わず溜め息を一つ。
ラファエルがここまで眠り込んでしまうとは、レイも想定外だった。予定の時間が決まっているのだから、出発が遅れればそれだけ移動の時間が短くなる。故に、長い道のりを、ロクに休憩も取れず…しかも、下手をしたら、真夜中に山を越えることになるかも知れないのだ。
しかしながら…ラファエルがこうして深い眠りに落ちていると言うことは、夜余り眠れていないのではないか。そんな思いが過ぎっていた。
マラフィアから連絡が入ってから今日まで…ロクに眠れていなかったとしたら。そして、口では大丈夫だと言いながらも、やはりルシフェルと関わることに、不安があるのではないか。その反動が、先程の行動に繋がったのではないかと。
暫く振りに見た…醒めた、ヴァイオレッドの眼差し。それは…レイの胸を締め付けた。
一瞬…昔に戻ったのかと思った。
初めて出逢った、あの時。誰にも本心を明かせず、一人で罪を背負い、渇れた心を満たす為だけに誰にでも抱かれていたあの頃。身体を繋ぐことでしか、不安を癒せない。それは、今でも変わらない。
ほんの一瞬の出来事ではあったが、その醒めた眼差しを思い出させるほどに彼を追い詰めたモノ。それが何であるのか、未だにわからない。
側近として、傍についていながら…理解出来なかった自分が、情けない。
レイは、ラファエルが眠っているソファーの下に腰を落とし、その寝顔を覗き込む。
彼を助けたくて…その罪を共に背負う為に罪に堕ちたあの夜も、彼はほぼ丸一日眠ったままだった。あの時ほど酷くはないにしても…いつ起きるかわからない。
別荘には通信も届かないのだから、最悪の場合…ラファエルを置いて、レイ一名で向かうしかない。勿論、それだけは避けたいのだが。
レイは、ラファエルの手にそっと自分の手を重ねる。その手が温かいことだけが、緊張から解き放たれた証。
目を伏せ、小さく溜め息を吐き出したレイ。すると不意に声が届いた。
「…どうしたんですか?」
驚いて顔をあげれば、横になったまま、真っ直ぐに自分を見つめるヴァイオレッドの眼差しがあった。
そこに、醒めた色はもうない。
「…ラファエル様…」
安堵の溜め息を再び零すと、レイは小さく笑った。
「早いお目覚めで安心しました」
時間にすれば、一時間ぐらいだろうか。この分なら、明日の朝までには十分間に合う。
「ラファエル様が眠っていらっしゃる間に、ミカエル様には連絡を入れました。既に準備も終わっているので、先に出発するそうです。我々も、準備が出来次第、出発致しませんと…」
と、そこまで言ってから、レイはふと口を噤んだ。
ラファエルは、真っ直ぐにレイを見つめたまま、表情一つ変えない。
「…ラファエル様…?」
まだ半分寝ているのか…と思った瞬間。小さくつぶやいた言葉。
「…溜め息…」
「……失礼致しました…」
ラファエルの寝起きの頭は、まだ最初の一言の返事を待っていたのだ。
レイは一つ呼吸を置くと、ゆっくりと口を開いた。
「わたしは、側近でありながら、貴方を…わかっていなかったんだと…反省していたんです」
「…反省?」
問い返しながら、身体を起こしたラファエル。それに手を貸しながら、レイは小さく頷いた。
「貴方が、何で不安を覚えたのか…わかりませんでした。そして、貴方の不安に気付かず、摘むことが出来ていなかった。眠れていないことに、気付いていなかった。だから…」
「それで、反省…ですか?」
「…そうです」
その言葉に、ラファエルは小さく笑った。
「そうですか。まぁ、その話は後でゆっくりしましょう。どうせ、移動に時間がかかるのですから」
やっとエンジンのかかったラファエルの姿に安堵しながらも、レイは今後のことが不安ではあった。
明日になれば、ルシフェルと顔を会わせる。そうしたら…ラファエルは、どうなってしまうのだろう…?
ふと、頭を掠めた思い。
すると、ラファエルはレイの表情で何かを感じたのだろう。レイの手を握り、小さく笑った。
「…大丈夫ですよ。そんなに心配そうな顔をしなくても。貴方が傍にいれば…乗り切れますから」
「ラファエル様…」
「大丈夫」
もう一度、繰り返した言葉。それは、ラファエルが自分自身にも言い聞かせていた言葉なのかも知れない。
そう感じたレイは、小さな吐息を吐き出すと、ラファエルの手を握り返した。
「…そうですね。わたしは、貴方の傍にいますから。何とか…乗り切りましょう」
不安であれば、ラファエルは手も身体も冷たくなる。わかりやすいと言えばわかりやすいのだ。だからこそ、不意に冷たくなると心配になるのだ。
けれど、今は温かい手。だから、必要以上の心配はいらない。
「では…そろそろ支度をしましょう。出発が遅くなると、大変ですから」
そう言ったレイの声に、ラファエルはくすっと笑った。
「当然ですけど…麓までは飛んで行きますよ?」
その言葉の指す意味は、わかっていた。
背中の翼で、と言う意味なのだが…レイは、ちょっと眉を潜める。
「…わかっています…」
そう答えたものの…実のところ…レイは空を飛ぶのが苦手だった。
天界人は元来有翼種であり、背中に翼を持っているのだが…つい数年前まで一介の事務員だったレイは、戦地に立つ戦士とは違って、翼で飛ぶ必要性がなく、空を飛ぶ習慣もなかった。
勿論今は、ラファエル軍に所属しているものの…戦士出身のラファエルとは違って、事務職出身の、ただの側近である。何とか身を護る術は身に付けたものの、今でも戦士ではないことに変わりはないのだから、相変わらず苦手なのだ。
「ゆっくり飛んでも、最短距離を行けますから。歩くよりはずっと早いですよ」
気休め、なのだろうか…。苦笑しながらそうフォローするラファエルに、レイは気まずそうに目を伏せた。
「…御心配なく…ちゃんと着いて行きますから」
苦手だ、などといつまでも言ってはいられない。
レイは小さな溜め息を吐き出すと、ラファエルの手を離した。
「支度をしますよ?」
「わかりました」
くすくすと笑いながら、ラファエルは割り当てられている荷物の準備に取りかかった。
そして、一時間もかからないうちに、必要な荷物を手に、彼等も出発したのだった。
王都の結界たる山の麓に辿り着いたのは、昼をだいぶ過ぎてからだった。
勿論、ラファエル一名ならば、昼前には余裕で着いていたのだろうが、飛ぶのが苦手なレイに合わせ、かなりスピードを落としていた為に、時間もかかってしまった訳である。
「さぁ、ここからは徒歩ですね…」
翼を身の内に仕舞い、山の入り口に立ち、荷物を抱えたレイを振り返る。
「…日が落ちる前に、ある程度進みませんと。頑張れば、夜には別荘に着けますよ」
地に足が着いて一安心したレイは、既にいつもの冷静さを取り戻していた。
けれど、ラファエルはイマイチ気乗りがしないようで、溜め息を一つ吐き出した。
「…どうかされましたか?」
その声に、ラファエルはにっこりと笑う。
「ゆっくり行きましょう?」
「…どうしてですか…?」
その意図が掴めず、眉を寄せたレイに歩みより、その耳許で小さくつぶやく。
「まだ…話が終わっていませんよ?」
そう言葉を続けたラファエルに、レイは小さな溜め息を一つ。
「…そうですね」
そうだった、とレイは思い出した。
先程、執務室で話したではないか。
正直…反省はすれど、どうして良いのか、まだわかっていない。助けたいと思う気持ちだけでは…何も出来ない。それが、苦しい。
冴えない顔のレイに、ラファエルはそっと手を伸ばす。
「さ、行きましょう」
「…はい」
レイは小さく息を吐き出すと、その手を取る。
それから暫くの間、彼等は黙って歩き続けた。そして、日が傾き始めた頃…ラファエルが、足を止めた。
「…少し、休みましょうか」
恐らく、山も2/3ぐらいは進んだだろうか。順調といえば順調だったが、確かに休憩なしではこの先もキツイ。レイも、休憩には賛成だった。
「何か、飲まれますか…?」
「そうですね、では、御茶でも…」
倒れた木の幹に腰を下ろしたラファエルは、レイが淹れた御茶の簡易カップを受け取る。そしてその御茶を一口啜ると、大きく息を吐き出す。
「最近、運動不足でしたからね。ちょっとキツイですね」
「…貴方が運動不足なら、わたしは尚更です…」
溜め息を吐き出し、座り込んだレイの姿を、ラファエルは笑って眺めていた。
レイよりも身体の細いラファエルの方が体力があると言う不思議。まぁ、元々の運動能力の差もあるのだろうが…最近は余り戦線には立たないが、やはり戦士であったラファエルを侮ってはいけない、と言うことだろうか。
「…それはそうと…貴方も気になっているでしょうから…話をしましょうか」
ラファエルはそう言うと、僅かに目を伏せた。
「わたしは別に…マラフィア殿との話で、気落ちした訳ではないんですよ」
そう切り出したラファエルに、レイは僅かに首を傾げた。
「…では、一体…」
問いかけた声に、小さな笑いが返って来る。
「マラフィア殿は…ルシフェルの為に、一生懸命だったでしょう?それを見て…自分を、顧みたんですよ。わたしは…ルシフェルにとって…忠実な部下ではなかった、とね」
そう言った表情は…とても、寂しそうに見えたのは、多分気の所為ではない。
「わたしも…多分、ミカエルも…ルシフェルにとっては、他の者と何ら変わりはなかったのかも知れません。ただ、傍にいただけで…心を許し合うことも出来なかった。わたしは最後まで、ルシフェルに心を開くことが出来なかった。そしてルシフェルも…本心を、明かしてはくれませんでしたから。だから、ルシフェルにとっては…天界は、とても居心地の悪い場所だったのでしょうね。誰にも本心を明かすことが出来ず…最後まで、針の筵にいたのかも知れません。そう考えたら…苦しくてね。どうして…それに、気付いてあげられなかったのかと…。もしも、その時ルシフェルの気持ちを汲むことが出来ていたら…何もかも、変わっていたかも知れないですけれど」
今更、何も出来はしない。けれど…もしも、それが叶うのなら…自分は、ここにはいなかったはず。
ラファエルは…そのどちらかを選べるのだとしたら…果たして、どちらを選んでいたのか。
「…それは…貴方の所為ではないでしょう?貴方だって…沢山、傷付いて…苦しんで…わたしが貴方の罪を共に背負うまで、本当のことは何も明かすことが出来なかった。貴方だって、この天界で居心地が良いとは思わなかったはず。それに…過去には、戻れません。今更後悔しても…」
声を上げたレイに、ラファエルはくすっと笑った。
「そうですね。だから、わたしは貴方に出逢えて良かったと思っていますよ」
「ラファエル様…」
ラファエルの眼差しは、柔らかくレイを見つめていた。
「もしも、ルシフェルの気持ちを理解出来て…何かが変わっていたとしても…わたしが堕天使であることには変わりはありませんし、ルシフェルが堕天使であることにも変わりはないのです。その時は天界に留める事が出来たとしても、きっと彼は出て行きます。そしてわたしは…天界に、縛り付けられたままです。最終的な結果は、きっと同じですよ。ただ、貴方と出逢えていたかどうかはわかりません。だからわたしは、今のままで良いんです」
「……」
そう言われてしまえば…それ以上、何も言えない。
例え、以前より安定したとは言え…ラファエルが不安定であることには変わりはない。
ラファエルの、心の傷は深い。一生消えない。だからこそ…助けたいと思っているのに…やっぱり、何も出来ないのだろうか…。
自分は、ラファエルが背負った罪を、吐き出せる場所。ただ、それだけの役割なのだろうか?それだけで…救われるのだろうか…?
レイは大きな溜め息を吐き出し、目を伏せた。
「…自分が…情けないです…貴方はいつだって、そうやって気丈に振舞う。俺の存在は…貴方にとって、本当に必要なのかどうか…それすらもわからない。俺が…貴方に纏わりついているだけで…本当は、何の役にも立てていないんじゃないか…そう思うと、苦しくて堪らないのに…何も出来ない…眠れないことに、気付くことも出来なかった…」
溜め息と共に吐き出した想い。固く握り締めた両手の拳を見つめながら、レイは情けない気持ちで一杯だった。
「…昼間の、反省ですね。言葉遣いが安定していませんよ。そんなに悩む必要はないのに」
「…済みません…」
項垂れるレイの姿に、不意につぶやいたラファエルの声。
「わたしが眠れていないことを心配するのなら…一緒に、住みますか?」
「……はい?」
突然、話が飛び…レイは思わず目を丸くしてラファエルを見つめた。
不意にそう言われても、何をどうして良いのやら…。
一瞬、困惑したレイであったが、ラファエルは平然としている。
「心配、なんでしょう?幸い、使用人の部屋は空いてますけど…」
「…あぁ…」
使用人と言う言葉に、レイは思わず両手で顔を覆い、溜め息を吐き出す。
一瞬でも…甘いことを考えた自分が馬鹿だった。そんな、溜め息。
それを察したのか、ラファエルは座っていた木から立ち上がると、レイの隣へと移動すると、腰を下ろした。
「残念ながら…天界にいる以上婚姻は出来ません。でも、共にいることが出来る最善策は…それしか、ないと思うんですが…?勿論、それが不服だと言うのなら、仕方ありませんが」
「…ラファエル…様…」
思わぬ言葉に、レイは顔をあげ、ラファエルを見つめた。
その、ヴァイオレッドの眼差しは…にっこりと、微笑んでいる。
「ミカエルには、一生理解出来ないでしょうね」
「…でしょうね…まさか…貴方がそこまで考えていたとは…わたしだって驚いてます…」
「でしょうね。そう言う顔をしてます」
くすくすと笑うラファエル。
「昼間、貴方の反省を聞いてから…道中ずっと、考えていました。どう足掻いたって、既に運命共同体な訳ですから。だったら、共にいても良いのではとね。わたしは別に困りませんよ?貴方がいれば、わたしは安眠出来ますし。今いる使用人たちにも、余計な心配をかけることもありませんから」
「…ちょっと待って下さい…それについては…ちょっと考えさせて下さい…」
レイの頭が、ラファエルの意図に付いていけていない。
混乱した頭を振り、大きく息を吐き出す。
するとそんな姿を眺めながら、ラファエルはゆっくりと口を開いた。
「貴方と出逢ってから今まで…結構経ちましたけど…貴方が必要ないと思ったことはありませんよ?心なんて、内面的なモノです。わたし自身がわかっても他人にはわかりにくいですから、貴方は不安かも知れませんけど…少なくともわたしは、貴方に救われたと思っていますよ」
「…ラファエル様…」
穏やかな口調と、柔らかい微笑み。それが、目の前にある。
出逢った時はその表情に感情は殆どなく、眼差しも口調も、とても醒めていた。ただ生きているだけで…こんな風に笑うことが出来るとも思ってはいなかった。それが、自分と出逢った結果であるなら。
「貴方の価値は、わたしが一番良くわかっています。慌てたところで、何も変わらないのですから…ゆっくり生きましょう」
「…そうですね…」
小さく笑いを零したレイ。少なくとも、自分は必要とされている。そう思えたことが、今のレイには一番嬉しいことだった。
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プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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筋金入りのオジコンです…(^^;
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