聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
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空色の気持ち
こちらは、以前のHPでNo5900get記念で、C様よりリクエストいただき、
2001年01月03日にUPしたものです。リクエスト内容は、本文最終で。
(コメントは当時のままですが、リクエストいただいた方の名前は念の為伏せてあります)
2001年01月03日にUPしたものです。リクエスト内容は、本文最終で。
(コメントは当時のままですが、リクエストいただいた方の名前は念の為伏せてあります)
「…ダミアン様…?」
ふと、名前を呼ばれていることに気が付いて顔を上げれば、目の前には任務の遂行中で魔界にいるはずのない、軍事参謀の姿が目に入る。
「あぁ、ルーク。来ていたのか」
「…自分で呼んで置いて、それはないでしょう…?」
小さな溜め息を吐き出したルークに、ダミアンはくすりと小さな笑いを零した。
「あぁ、そうだったね。悪かった、悪かった。ちょっと考え事をしていたんだ」
「もぉ…」
小さく頬を膨らませるルークの姿は、とても皇太子殿下の面前での態度ではない。だが、ルークだから許される行為でもある。
「…で、用件は何ですか?」
「そうそう。例の報告書の件だが……」
そう、現実に戻る。だが、その"考え事"は、未だ意識の片隅に残っていた。
記憶を遡ること、何万年も前。
それは自身が初めて抱いた、透明で不確かな気持ち、だった。
報告がてら、その噂話を持ち込んだのは、当時の執務管理官。
「そう言えば殿下、先日軍事局に入局した青年は、ずいぶん人気があるようですね」
「…軍事局に入局した青年…?」
僅かに首を傾げたダミアンに、執務管理官はくすっと、小さな笑いを零した。
「御惚けにならないで下さいよ。ルークのことですよ」
「あぁ…」
そうだ。新参者の堕天使だ。
自分が面倒を見たにも関わらず、うっかり記憶から零れていた青年の姿を思い出しながら、頷いたダミアン。
「可愛いと、大評判のようですよ」
「可愛い、ねぇ…」
確かに、見た目はなかなかの美悪魔だった。ダミアンも興味を持ったのは確かだった。だが、それを"可愛い"と評するには、些か疑問を抱いたのだが。
「普通は…剣の腕が見事だとか、頭が切れるだとか、そう言うことで評判にならないかい?」
思わずそう問いかけると、再び笑い声が帰って来る。
「確かにそうですが、彼は当然のように、それらを全て兼ね備えていますよ。剣技のセンスも良いし、技術も当然あります。情報局からも、引き抜きの噂があるくらいですから、頭の切れも良い証拠でしょう?尚且つ、あの見た目ですからね。若いだけあって、"可愛い"と称されても、それはそれで仕方のないことでしょう」
「…そう言うモノかね」
呆れ顔のダミアンに、執務管理官は、相変わらずの微笑み、だった。
「殿下も、満更ではないのでは?」
「御前ねぇ…幾らなんでも、まだ子供じゃないか」
「いいえ?殿下と、そう年は変わらないですよ。子供扱いでは、彼が可愛そうですよ」
「……」
執務管理官の言葉に、ダミアンは思わず口を噤んだ。
そこで話が途切れ、執務管理官は再び己の任務へと戻って行った。
だが、ダミアンの思考は、未だその思いに捕われていた。
どう言う訳か、ダミアンの意識の中のルークと言う青年は、まだ子供だった。
よくよく考えてみれば、確かに子供ではないはず。それなのに、どうして子供だと思い込んでいたのだろう。
そう至るまでの意識を遡っていけば、それは容易に思い当たることだった。
「そう、か。泣き顔を見たから、だ」
ルークとの初対面の時、彼はダミアンの前で涙を零した。だから、自分とそう年も変わらない青年に対して、子供という意識付がされてしまったのだ。
寂しそうな目をした無垢な青年のその泣き顔は、まるで小さな子供のようで。だからこそ、里親の気持ちだったのだ。
吐き出した小さな溜め息は、どんな思いを秘めていたのだろうか。
「…ダミアン様…?」
「…ん?」
名前を呼ばれ、ふと顔を上げてみれば、怪訝そうに首を傾げる情報局長官がいる。
「…聞いておられますか?」
「…あぁ、聞いてる」
日は変わって、皇太子の執務室。新任間もない情報局長官の報告を聞いていたはずだったのだが、いつの間にかぼんやりとしていたようだ。
小さく溜め息を吐き出した情報局長官の顔を、ダミアンは改めてじっくりと眺めていた。
「ねぇ、エース」
「…はい?」
「御前、恋悪魔はいるのかい?」
「……は?」
唐突な質問に、情報局長官…エースは、眉を寄せた。
「…重要な…ことですか?」
「ん…まぁね」
どう考えても、彼が今報告している内容とは無関係のはずだが、皇太子がそうと言ったのだから、これは仕方がない。
諦めにも似た小さな溜め息をもう一つ吐き出したエースは、短く答える。
「おりません」
「それは、特定の相手と言う意味か?」
尚も引かないダミアン。
「…そうです」
「誠に、引く手数多のプレイボーイの台詞だな」
「他悪魔聞きの悪いことを言わないでください。それではまるで、年中遊び歩いているみたいじゃないですか。ダミアン様がどんな噂を聞いておられるのかは存じませんが、全くの事実無根です。ですが、それが何か…」
「いや…」
ダミアンの表情は、いつもと違って何処かぼんやりとしている。それが、考え事の所為であると言うことは明らかであったが。
「…思う方が…いらっしゃるんですか…?」
思わず問いかけた声。
暫くぼんやりとしていたダミアンだったが、不意にのその声に現実に引き戻されたようだった。
「何…だって?」
「ですから…その……恋患、かと…」
流石にまずいことを聞いたと思ったのだろう。エースの表情が曇っている。だがダミアンは、小さな笑いを零した。
「そうなら良いのだけれどね。生憎、そう言うモノじゃない。ただ…」
「…ただ?」
「わたしはいつになっても、"親代わり"なのかと思ってね」
「…はぁ…」
その言葉が指す意味が、その時のエースにはまだわからなかった。ただ、酷く憂い顔のダミアンが、奇妙な程身近に感じたのは言うまでもない。
流石の皇太子も、誰かを想う気持ちは同じなのだと。
「ならば…問いかけてみればいかがです?」
エースは、ダミアンにそう問いかけた。
「問いかける…ねぇ」
怪訝そうに眉を寄せるダミアンに、エースはにっこりと微笑んだ。
「気持ちを問いかけるのが一番でしょう?それが一番はっきりするのですから」
「まぁ…そうだね。考えておこう」
「では…報告に戻っても宜しいでしょうか?」
「あぁ、良いよ。どうぞ」
やっと話の軌道が戻り、安堵の溜め息を吐き出したエース。
だが、やはりダミアンの心はここにあらず、だった。
その日の終了時間も過ぎた頃。
すっかり暗くなった窓の外を、いつまでもぼんやりと眺めていたダミアンの耳に、控え目なノックの音が届いた。
「…誰だい?」
執務時間は過ぎているはずである。今頃来客など考えられなかったが、何か重要なことでもあったのかと、ダミアンは我に返ってそのノックに答えた。
すると、返って来たのは、これまた控え目な声。
「あの…ルークですが…」
「あぁ、どうぞ」
躊躇いがちに執務室のドアを開けて入って来たのは、このところダミアンの思考の片隅にいつも張り付いている張本魔、だった。
彼の御位では、まだ皇太子のところへ報告に来れるはずもない。と言うことは、私用、と言うことになる。
「どうした?」
そう問いかけた声に、ルークは小さな吐息を吐き出した。
「あの……」
「ん?」
どうも、ルークの言葉の歯切れが悪い。
「こんな時間にどうしたんだ?何かあったのか?」
ダミアン当魔が何処まで気がついているかは不明だが…その口調はすっかり"親"、である。
「いえ、あの……最近、ダミアン様の様子が可笑しいと、噂を聞いたもので……」
ルークなりに心配していたのだろう。その表情も不安げだった。
その表情を見るなり、ダミアンはくすっと小さな笑いを零した。
「心配しなくても良いよ。わたしは変わりないから」
「ですが…」
くすくすと笑ってみせるダミアンにも、ルークの表情は困り顔、だった。
すっと笑いを納めたダミアン。そして、目の前のルークに問いかけた言葉。
「…御前は、何をそんなに心配しているんだ?」
「いえ、その……」
突然そう問いかけられても、ルークには答えようがない。ただ、いつもと違うと言うことが不安なのだから。
「ならば…御前にとって、わたしは何だい?」
エースに感化された訳ではないが…ふと、そう問いかけてみたくなった。
ルークの真意を、探る為に。
だが、ルークの方はいきなりのその質問に、瞬間に顔を真赤に染めた。
「何を…赤くなってるんだ?」
「いえ…」
何気なく問いかけたダミアンの真意を、ルークは掴み間違えたようだ。だが、よくよく考えてみれば、結局は同じことなのだが。
「俺にとって、ダミアン様は……大切な悪魔、です」
言葉を選びながら、ルークはそう答えた。
「多分…色々な意味を含めて言えることです。こんな言い方は、ダミアン様には本来失礼な言い方かも知れませんが…でも俺にとっては、魔界へ降りてからの親代わりであり、同志であり…仲魔であり……一番、大切な悪魔です。だから…心配で……」
「御前にまで心配をかけるようでは、わたしもまだまだだね」
「ダミアン様…」
にっこりと笑ってみせる。
ルークの心遣いが嬉しくて。その素直な気持ちが、嬉しくて。
「安心おし。わたしは何処へも行かないし、御前が心配するようなことは何もないから。だから…御前もそんなことでいちいち悩む必要はないよ」
----もう少し親でも仕方ないね。
そう想いつつ零した微笑みに、ルークもやっといつもの安堵感を感じた。
この悪魔を信じていれば大丈夫。
ルークはそんな気持ちで、微笑んでみせた。
澄み切った空のように、晴れやかな気持ちで。
「……聞いてますか?」
「…ん?」
問いかけられ、ふと顔を上げると、眉間に皺を寄せたルークがいる。
「あぁ、御免御免」
「もぉ、さっきからずっとそうじゃないですか…」
ダミアンの報告の後、ルークの報告を聞いていたダミアンだが、いつの間にかまた意識が過去へと飛んでいたようだ。
今目の前にいるのは、もう子供ではないルーク。
「大人になったね、ルーク」
ふと零した言葉に、ルークは当然、目を丸くする。
「…大人になった、って…俺のこと、幾つだと思ってるんですか?」
「幾つだって良いじゃないか。わたしは御前の"養い親"なんだから」
「…それはそうですけど…」
すっかりその役割に満足しているダミアンは、満面の笑み。
誰よりも傍に居る為に。誰よりも傍で護ってやる為に。彼は暫し、その役に甘んじることにした。だが、その気持ちも次第に変わって来ているのだが。
くすくすと笑うダミアンを前に、ルークは訳もわからずに、ただ溜め息を吐き出すだけだった。
「職務をいい加減に熟しちゃいけない、って言ったのは、ダミアン様じゃないですか…」
「まぁ、今日ぐらいは良いだろう?」
「…報告書が遅い、って、後で怒らないで下さいよ」
「わかった、わかった」
ちょっと愚痴は零しているものの、その時間がとても心地良い。それは、ルークにもとても大切な時間だった。
昔も今もその気持ちは変わらない。
ルークにとって、彼は今でも一番大切な悪魔なのだから。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※リクエスト内容は「LUKEさんとダミアン殿下のお話はいかがでしょう。内容は、カップリングでもほのぼの系でもいいんですが…」
と言うことでした。
最初は(仲魔内に)邪道だと言われたうちのダミアンxルーク。こっそり広め始めたのはこの頃からだったかしら…(苦笑)
ほんのりと柔らかい気持ちになると良いのですが。(^^)
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プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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