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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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かがやきのつぼみ found you 1

第四部"for CHILDREN" (略して第四部"C")

こちらは本日UPの新作です。
第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
完結未定 act.1

拍手[7回]


◇◆◇

 夢を、見た。
 小さな子供だった頃…両親と双子の弟と自分と。楽しく暮らしていたはずだった。
 それが…いつから、楽しくなくなったのだろう…?
 魔界に降りてからも、辛いことは幾度かあった。けれど、それを乗り越えられたのは…大切な仲魔たちがいたから。
 そして…あのヒトも。
「……リン先生…」
 自分の声で目が覚めた。そして…自分の心が如何にダメージを負っていたか、改めて痛感した。
 ただ、自分の心の中が良くわからないのは確かだった。

◇◆◇

 軍事局に入局して一週間。基本を叩き込まれた新入局員たちは、一週間経つと凡その特性を見極められ、幾つかの部署に振り分けられる。そして試用期間とも言える研修が終わると本採用となる。
 その研修期間は半年。要は、ゼフィーはその間に成体にならなければならないのだ。
 覚えることが沢山ある研修期間の間に、相手を探す余裕があるはずはない。ある意味厳しい現状なのだが…それがゼフィーに課せられた課題でもあった。

 一週間の基本研修の後、ゼフィーが配属されたのは、参謀部の総務班。大まかに考えれば、ルークの部下と言うことになる。それが狙ってのものだったのか…それとも他に行き場がなかったのかはわからないが。
 生憎、アルフィードは違う部署。それがゼフィーにある種の孤独感を植え付けた。
 表面上は何も変わらない。けれど、心の奥深くは自分でも良くわからない。だから…いつまで経っても心の中はすっきりしないし、笑いたいとも思わない。
 心の奥に芽生えた"闇"。それは…付け入るには十分だった。

 配属されたばかりの参謀部の総務班。流石に日中は慌ただしく職務に当たっているので然程気にならない。けれど終了時間が過ぎれば話は別。
 予定されている仕事が終われば皆とっくに帰ってしまった。だがそこに取り残されている姿が二つ。
「……遅くなりました…」
 その日の仕事と日報を纏め、終了時間を大幅に過ぎてから持って来たのはゼフィー。
 そして微笑んでそれを受け取ったのは、担当主任たるソルジュだった。
「御苦労様。慌てなくても大丈夫ですよ。多少の残業は…こう言ったらなんですが、日常茶飯事ですから」
「…済みません…」
 俯いて小さな溜め息を零すゼフィーに、その顔を見つめていたソルジュも小さな溜め息を吐き出す。
 このゼフィー・ゼラルダについて…ソルジュは上から報告を受けていた。
 身体の大きさ、体力、魔力も全て平均以下。仕事は丁寧だが、時間がかかる。そして士官学校を卒業しても尚、成体ではない。それが彼にとって大きな枷となっていると。
 士官学校にいる時は、それを苦だとは思わなかった。けれど今は、目の前の大きな壁にぶつかっているようだと。
 ソルジュは部署の担当主任ではあるが、ゼフィーを見守る役目を担っている。彼が、壁を越えられるかどうかを。尤も、それはゼフィーの知らないところであるが。
「明日も早いですよ。今日は早く帰りなさい」
 暗く沈んだその顔に、ソルジュはそう声をかける。再び小さな溜め息を吐き出したゼフィーは、頭を下げて踵を返した。
 重い足を引き摺るように部署室を出て行くその背中は、とても小さかった。

「…ゼフィー?」
 部署室を出て帰路に着こうとした時、不意にそう声をかけられた。
 思わず振り返ると…廊下の少し先に見えた、一名の悪魔。
「あぁ、やっぱりゼフィーだ。わたしのこと、覚えている?」
 近くまで歩み寄り、にっこりと微笑む悪魔。後ろで結わえた黒髪と深い紫の瞳。そして青い紋様を戴いた姿。髪の長さは違うものの…それは、いつか見た姿。
「…えっと……リディさん…?」
 記憶を辿るように口を開くと、満面の笑み。
「覚えていてくれたんだ。もう一度会えて嬉しいよ」
 笑顔でそう言われ、ゼフィーの表情も少し和らぐ。
「リディさんも…軍事局に…?」
 自分と同じ制服。それは軍事局の局員であると言うことの証。
「そう。ずっと地方にいたんけれど、最近やっと王都の勤務になったのでね。丁度…君と同じ頃に」
「…そうだったんですが」
 何処か、含みを持った言葉。それが何を意味するかなど、ゼフィーにわかるはずもない。
 そんな姿に、リディはくすっと笑う。
「君は相変わらずだね」
「えっと…?」
 そう言われる意味も良くわからない。ただ、小さく首を傾げた。するとリディも首を傾げた。
「君は…俺が士官学校を辞める時に言った言葉を覚えている?」
「士官学校を辞める時……」
「そう。どうして君の為に一生懸命になったのかと聞かれて、君に何と答えたか」
 改めてそう問いかけられ…記憶を辿る。
 その時の言葉を、一語一句、正確に覚えていた訳ではない。ただ…そう問いかけたことは覚えていた。
 そして、どんな言葉が返って来たか…も。
----君が、好きだから。
 にっこりと微笑むリディの姿は、今と殆ど変わりない。そして自分も、好きだと答えたはず。勿論、一般的な仲魔への想いとして。
「…覚えています…」
 そう答えたものの…何処か気拙い。それは偏に、その言葉の深い意味を漸く察したから。
 そんなゼフィーの表情で、リディも彼の心の中を察した。
「…今頃察しても気拙い、って顔をしてるね」
「…それは…その……」
 図星、と言うしかない。思わず顔を伏せたゼフィーに、リディは小さく息を吐き出す。
「俺は、あの時からずっと…君が好きだよ。だから、君が困っているのなら…助けたい。あの時と…同じように、ね」
「…僕が困っている、って…どう言う…」
 顔を上げたゼフィー。そして真っ直ぐに自分を見つめる眼差しを見返す。
「じゃあ、君に聞くよ。どうしてまだ成体じゃないの?何か理由でも?それとも…誰かに操でも立ててるの…?」
「…そう言う訳じゃ…」
「じゃあ、俺でも良いよね?儀式の相手」
 その言葉に、ドキッとした。
 それは…酷く、不快な言葉。自分でも、どうしてそう感じたのかわからないくらい。ただ…不快。それだけ。
「あの…それは大丈夫です。相手は…いるので」
 思い切って、そう口を開く。すると、当然だが…リディの表情がすっと変わった。
「じゃあどうしていつまでも成体にならないの?相手は何も言わないの?操を立てている訳じゃないのに、いつまでも我慢してるんじゃ…」
「我慢とか、そう言うことじゃないです。約束なので…」
「約束?誰の?」
「それは…リディさんには…関係ないかと…」
 流石にそこまで詮索される筋合いではない。そんな想いを乗せて答えた言葉に、リディは小さく息を吐き出して…そして小さく笑った。
「…そうだね、不躾だった。御免ね」
「…いえ…」
 そう返すものの、気拙さがない訳ではない。だから…それ以上、言葉が続かない。
 けれど、リディは敢えて表情を崩さない。
「じゃあ、また。今度は一緒に食事にでも行こうね」
「はぁ…」
 笑いながら手を振って踵を返す姿に、溜め息を一つ。
 リディは、あんなに強引なヒトだっただろうか…?
 そんな想いが沸いて来る。だが…よくよく思い返してみれば、リディの性格など殆どわからなかったことに気がついた。
 通りすがり…と言うか…士官学校の訓練室で、偶然出逢っただけ。そして剣を抛っていたゼフィーに、大事にするように諭した。それがきっかけで剣術を教わることになった。だからこそ、ある意味師匠のように感じていたのだ。
 けれど、言ってしまえばそれだけの関係。リディとの付き合いはほんの二週間足らず。いじめにあったゼフィーが療養で暫く休学してしまい、復学後リディは直ぐに士官学校を辞めてしまった。考えてみると、それだけしか一緒には過ごさなかったのだ。深く相手の事を知らなくても当然と言えば当然。
「…そっか…」
 今更ながらの溜め息を吐き出すゼフィー。
 後悔がある訳ではないが…何処か引っかかる。それがどうにも解せない。
 その小さなきっかけが、やがてゼフィーにとっての大きな分岐点となることを、彼はまだ知らなかった。

◇◆◇

 こちらは、軍事局の医務室。そこには二名の医師の姿があった。
 一名は医務室の主、瀞瀾。そしてもう一名は、情報局の軍医、リン。
「久し振りだな。御前が士官学校を辞めてから…会ってなかったよな?」
 御茶の入ったカップを差し出しながらそう言った瀞瀾に、リンはカップを受け取りながら、小さく頷いた。
「そうですね。入局して、研修が終わって直ぐに連続で遠征に同行することになったので…久し振りに王都に戻って来ましたよ」
 そう。リンは入局して三日間の研修の後、直ぐに遠征先に同行していたのだった。それも王都には戻らないまま、立て続けに四本も。新採用者の定めとは言え、流石にきつかった。だがそのおかげで、軍医としては鍛えられたが。
 しかしながら…各局の採用試験も入局式もスルーせざるを得ない状況になってしまったのは、些か心残りではあった。
「そう言えば…ゼフィーは軍事局に入ったのですよね?どんな様子ですか…?」
 そう問いかけたリンに、瀞瀾はちょっと表情を変えた。
「…本当に何にも知らないのか…?」
「…どう言うことです…?ゼフィーに何か…」
「いや…」
 正直…瀞瀾も全て詳しく把握している訳ではない。小耳に挟んだだけで、実際にゼフィーから話を聞いた訳ではない。
 だからこそ…伝えるべきか、迷う。
「…瀞瀾?」
 怪訝そうな表情のリンに、大きな溜め息を一つ吐き出した瀞瀾。
「…なぁリン…一つ聞きたいんだが…御前は、ゼゼのことを聞いてどうしたいんだ?」
「どうって…だってわたしは、彼のことを良く知っている医者ですよ?心配するのは当然じゃないですか…?」
 問われている意味がわからず、更に眉を顰めるリン。だが瀞瀾は小さく首を横に振った。
「そりゃあな…御前に情報局の軍医の話を持ち掛けたのは俺だから、俺にもその責任の一端があると言っても過言ではないかも知れない。それに、確かに御前は士官学校を辞めるまで、ゼゼの主治医だったしな。でもだからと言って…その関係がいつまでも続く訳じゃない。御前は今は情報局の軍医であって…彼奴の担当医じゃない」
「…それはそうですけど…」
「わかっているなら…御前からは踏み込むな」
「………」
 その言葉の真意に、口を噤まざるを得ない。
 士官学校を卒業したら、所属する庁の規則に準ずる。それはある意味当然のこと。リンにもその通りはわかっていた。
 勿論、協力することは出来る。但し、要請があった時のみ。
 つまりは…求められない限り、手を出せない。
「軍事局に入ってから、医務室には来ていない。だから俺も様子は良くわからないんだが…もし御前に知らせた方が良いと判断したら、連絡は入れる。だからそれまで大人しくしてろ。良いな?」
「…わかりました…」
 大きな溜め息を吐き出したリン。その様子に、瀞瀾も小さな溜め息を吐き出す。
 誰もが迷いの森の中。ただ…平穏であって欲しい。そう願うしかなかった。
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がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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