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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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かがやきのつぼみ found you 2

第四部"for CHILDREN" (略して第四部"C")

こちらは本日UPの新作です。
第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
完結未定 act.2

拍手[3回]


◇◆◇

 ゼフィーがリディと再会して一ヶ月余り。その間、毎日のように職務終了後に訪ねて来るリディ。ただ、ゼフィーの方は相変わらず時間が足りず、残業の日々。到底相手をする時間などあるはずもなかった。
 連日誘いを受けつつも、断る日々。しつこく誘って来る訳ではないのだが…それでも毎日となれば話も変わって来る。
 興味の薄い相手にそんな時間が続けば、毎日が憂鬱になる。
 必然的に…暗く、沈んだ表情になる訳で…当然、主任たるソルジュも、それに気付いていた。
「…大丈夫ですか…?」
 小さな溜め息を吐き出すゼフィーの背中に声をかけたソルジュに、ゼフィーは少し振り返った。
「ソルジュ主任…」
 その表情は、不安で一杯に見えて。
「悩み事なら、話聞きますよ?」
 ゼフィーの隣の席の椅子を引いて腰を下ろすと、ゼフィーの顔を覗き込んだ。
 真っ直ぐな灰色の瞳。その色は…"あのヒト"を思い出させた。その瞳の前…思わず、顔を伏せた。
「でも…御迷惑をおかけするかも知れないので…」
 すると、ソルジュは小さく笑いを零すと、ゼフィーの頭の上にそっと手を置いた。
「気にすることないですよ。まだ入局して日も浅いですし、皆多かれ少なかれ、何かしらを抱えていることが多いですから、貴方だけではないですよ。話を聞くのもわたしの仕事ですしね」
 にっこりと微笑むソルジュに、ゼフィーは大きく息を吐き出した。
 ソルジュのことは、信頼している。だが、リディのことを話すとなると…必然的に昔の話をしなければならない。勿論、秘密にしておかなければならないことは何もない。入局する時点で休学した理由はほぼほぼ把握はされているので、隠す必要もないのだが。
 ただ…何を何処まで話せば良いのだろうか…?目下の悩みはそこだった。
 それでも頭をフル回転させ、何とか考えを纏める。そして、漸く口を開いた。
「…話すと長くなるのですが…」
 一応そう前置きをする。ソルジュが頷いてみせると、ゼフィーはゆっくりと言葉を紡いだ。
 そうして暫し。
「……そうでしたか…」
 話を聞き、ソルジュも溜め息を一つ。
 士官学校でのいじめによる休学のことは、話は聞いていた。だが、それで終わった訳ではなかった。
 今度は入局後に、助けて貰ったリディから、執拗に付き纏われているかも知れないと。だが、過去のことがあるので、無碍には出来ない。はっきり断れないのは…ゼフィーが優し過ぎるからなのか…はたまた、そこが弱さなのか。それはまだソルジュにもわからないのだが。
 だがそのおかげで、ゼフィーの集中力が続かずに職務が滞る。上司として、その状況はいただけない。
 少しだけ思いを巡らせたソルジュ。そしてそれをゼフィーへと告げた。
「…実は…他の部署への実地研修を予定していたのですよ」
「…他の部署への実地研修…?それって…ここでは僕は役に立たないと…」
 ドキッとして思わず問いかけた声が固い。
 結局のところ、やはり自分は迷惑だったのだろうか…?
 そんな表情を浮かべたゼフィーに、ソルジュは首を横に振りながら小さく笑いを零した。
「そうではありませんよ。この部署の仕事は、他の部署を知らないと上手く回らないのですよ。貴方だけではなく、全員が順番に実地研修に出て貰う予定でした。予定では貴方はもう少し先のつもりだったのですが…状況が状況ですから、貴方を最初のグループに移します。勿論、出向先は内密にします。期間は三ヶ月の予定ですが…状況に応じてもう少し長くすることは可能です。せめて…その間に、貴方への興味が薄くなれば良いのですが…」
 ソルジュの経験上…執着の強い相手の興味が薄くなる可能性は、かなり低い。けれど、離れている間に、今後の対策を取ることは出来る。そして何より…ゼフィーの心の安定を確保することが出来る。
 だが、突然そんな話を切り出されたゼフィーは、当然不安そうな顔。確かに、急に他の部署へ出向しろと言われても、初めての事なので心の準備も儘ならない訳で。
 ただ…リディと離れられる。リディの知らない場所へ行ける。それだけはホッと出来る。
「…わかりました。宜しく御願い致します…」
 頭を下げるゼフィーに、ソルジュは小さく頷く。
「では、早速準備をしますが…出向出来るのは数日後です。その間は、いつもと同じ対応をしてください。なるべく悟られないように。出来ますか?」
 問いかけられた声に、ゼフィーは口をしっかりと結び、力強く頷いた。
 あと数日。先が見えたような気がして、少しだけ…気持ちが楽になる。
 そんなゼフィーの想いに応えるべく、ソルジュも頷きを返す。
 それから準備が整うまで、相談した通りにいつも通りの職務を熟す。当然その間、毎日リディもやって来る。だが、相変わらず相手をする暇もなく。日々あしらわれる。
 そして数日後。
 ゼフィーの姿は、部署室から消えたのだった。

◇◆◇

 その日、既にルーティーンと化した御誘いにやって来たリディ。だがその部署室のいつもの机に、ゼフィーの姿はなかった。
「あれ…?」
 出入りの際に開いたドアから軽く覗き込んでみると、机の上が片付いている。
「…今日はいないのかな…?」
 暫く廊下で待っていたものの、帰って来る様子は微塵も感じない。まぁ、たまにはそんな日もあるだろう。そう思い、その日は帰路に着く。
 けれど…翌日も、翌々日も…言ってしまえば三日、四日経っても、ゼフィーの姿は見えなかった。
 日増しに苛立ちが募る中…あることに気が付いた。
「…足りないよな…」
 そう。どう見ても局員(研修生)が足りないのだ。
 今までゼフィーしか気にかけていなかったが、よくよく観察してみると…ゼフィーを含め、数名の姿が見えない。しかも、恐らく同じ日から。
 そこまですれば、流石に可笑しいと気が付く。
 しかし、黙って部署室に乗り込む訳にもいかず…どう理由を付けてドアを開けようか…と思案していると、不意にそのドアが開いた。
「…何か、御用ですか?」
 顔を上げると、そこには一名の姿。
「えっと…?」
 見覚えはある。この部署室の主任だったはず。名前までは…憶えていないが。
 リディの表情で考えを察したのか、小さな笑いが零れる。
「初めまして。ここの主任のソルジュです。貴方は…?」
「わたしはリディと申します…」
 問いかけられ、リディも名前と…一つ間を置いて、部署を名乗る。そして好都合とばかりに、そのまま…本題を切り出した。
「あの…こちらにゼフィー・ゼラルダが在籍してるはずですが…最近見かけないのですが、どちらにいますか…?」
「彼は、もうここには来ませんよ」
「…はい?」
「聞こえませんでしたか?彼は、もうここには来ません」
「……どう言うことですか…?まさか、辞めたとでも…?」
 冷静に問いかけたリディ。けれど、ソルジュも表情一つ変えない。薄く笑いを浮かべたまま、真っ直ぐリディを見つめていた。
「さぁ…ラル主幹なら、いなくなった理由も御存じかも知れませんが…聞きに行きますか?貴方にその勇気があれば…の話ですけれど」
「………」
 相変わらず表情の変わらないソルジュに対し…途端にリディの表情が強張る。
 軍事局トップのルークの腹心とも言えるラル。その名前が引き合いに出される、その理由。
「貴方が在籍しているであろう部署は…とても忙しいですよね。とても毎日定時に上がれるはずがありません。ですが、貴方は一ヶ月もの間、毎日のように定時後ここへ来ていたとゼフィーから聞きました。どうしてそんなことが可能だったのか…皆まで言わなくても、わかっていますよね…?」
「………」
 ソルジュを見据える眼差しは…とても険しい。
 ゼフィーから相談を受けて直ぐ、調べはついていた。
 確かに、リディは"軍事局(そこ)"に…"参謀部実行班"にいたのだ。言わば、ラルの直接的な部下だった。
 但し…ゼフィーと再会した直後から、無断欠勤が続いていた。当然そんな状況であれば、厳重注意を受ける。しかも局内には来ているにも関わらず、呼び出しを全無視。一切部署室には近寄らない。そんな状態なのだから、罰せられて当然。つい先日…ゼフィーが姿を消したその日。遂に解雇されていたのだ。
 それでも何食わぬ顔をして軍事局の制服を身に纏い、平然とソルジュと話をしている。悪びれた様子も全く見られない。流石に、腹が立つ。
「貴方は幾度も警告を受けていたはずです。ですが再三の呼び出しを無視した。そして、解雇されたにも関わらず、返却義務のある制服を纏い、ゼフィーに付き纏っている。そのことはラル主幹も把握しています。本来なら…ルーク総参謀長が預かるべき内容ですが…遠征中ですので、伝達のみ伝えてあります。貴方がやっていることは、明らかに謀反です。バレなければ良いという問題ではありません」
 明らかに、怒りの色を浮かべているソルジュの眼差しを前に、リディは溜め息を一つ。
「…何か、反論でも?」
 苛立つ気持ちを宥めつつ、何か言いた気な表情を見せたリディに、一応問いかけてみる。すると、リディは目を伏せ…小さく笑った。
「…何が可笑しいんですか?」
 問いかける声に、更に笑いを零す。そして、顔を上げた。
「いえ…確かに、仰る通りです。無断欠勤も事実ですし、解雇通告も受けました。制服の返却もしておりません。それは認めます。申し訳ありませんでした」
 リディはそう口にすると、素直に頭を下げる。だが素直に頭を下げる割に、そこに至るまでの理由がわからない。
「貴方の目的は、一体何だったのですか…?士官学校を中退し、軍事局の分署に独学で入ったと聞きました。ここに来るまで、大変な苦労もあったはずです。それを全て捨てることも、相当な覚悟だったのでは…?」
 ソルジュの言葉に、リディは顔を上げると、再び笑いを零す。
「…目的…ですか?そんなの、一つだけですよ。もう一度ゼフィーに出会う為、です。強くなりたいと願うゼフィーは、昔から軍事局を希望していました。だからわたしも、ただ上を目指したんです。ゼフィーと出会う為なら、どんなことも苦ではなかった。だから、辞めることにも覚悟などいらなかった。もう一度出会えたのだから…もう手を離すつもりはありませんから」
「リディ、貴方…」
 ニヤリと笑みを零したリディに…思わずゾクッとして鳥肌が立つ。
「では失礼します。制服は…ここで脱ぐ訳にはいかないので、まぁ追々」
 そう言い残すと、リディは踵を返してそのままソルジュの前から立ち去った。
 残されたソルジュは、何も言い返せないまま、その背中を見送るしかなかった。そして、厄介な相手に目をつけられたゼフィーを、不憫に思うのだった。
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如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
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自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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