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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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かがやきのつぼみ found you 5

第四部"for CHILDREN" (略して第四部"C")

こちらは本日UPの新作です。
第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
完結未定 act.5

拍手[2回]


◇◆◇

 ゼフィーとリンが再会して数日後。ゼフィーは実地研修を終え、元いた部署へと戻って来ていた。
 その報告書を手に、上司たるソルジュの前に立っていた。
 緊張した面持ちで手に持っていた報告書を手渡すゼフィーに、受け取るソルジュは小さく笑いを零す。
「シェリー副主幹も、貴方の仕事が堅実だと、褒めていましたよ」
「…ありがとうございます」
 褒められれば、素直に嬉しい。その想いが…ほんの少し、その表情に零れ落ちた。
「何か…良いことでもありましたか?」
「…いえ…」
 慌てて表情を引き締めたゼフィー。
 自分はまだ、研修中。しかも、漸く折り返したばかり。浮かれている場合ではない。
 そんな想いが透けて見え、その生真面目さに苦笑する。
「大丈夫ですよ、そんなに神経質にならなくても」
 そこまで言って、一旦言葉を切る。それから再び言葉を続けた。
「…常に気を張り詰めていたら、それこそ倒れてしまい兼ねません。以前の貴方がその一歩手前でした。ですから、今回の実地研修は良いタイミングだったのではないかと思います」
「…そう…思いますか…?」
 思わず問いかけた声に、ソルジュは小さく微笑んだ。
「えぇ。少なくともわたしはそう思いますよ」
 ソルジュの言葉に、ゼフィーは一つ息を吐き出す。それは、ホッとした吐息にも感じられた。
「…ありがとうございます」
 先程と同じ言葉を繰り返すと、御願い致します、と言葉を添えて頭を下げる。そうして自席へと戻るゼフィーを、ソルジュは微笑んで見送った。

◇◆◇

 ゼフィーが元の部署に戻って来た翌日。登庁すると、いつも先に来ているはずのソルジュの姿が、その日に限って見えなかった。
「…ソルジュ主任はまだ…?」
 問いかけた声に、近くにいた仲魔はちらっとソルジュの机を一瞥した。
「そう言えば、今日はまだ見てないね。いつもならとっくに来ているはずだけどね」
「連絡とかは…?」
「さぁ…?俺たちが知らないだけで、上には連絡が入っているのかも知れないし。もしかしたら、急用とか?」
「…急用…」
 確かに、普通に考えたらそう思うだろう。それが普通なのだ。
「そんなに急いでるの?御前も急用?」
 問いかけられ…ハッとして思わず息を飲む。
「いや…僕は別に…」
「じゃあ、少しそっとしてみたら…?あんまり纏わりついていたら、主任だって落ち着かないだろうし?ただでさえ、ほら……気苦労も多そうだし…?」
「………」
 それは暗にゼフィーのことを指しているのだろう。あからさまに名前を出す訳ではないが…まぁ容易に察する。
「…わかりました。そうします」
 小さな溜め息を吐き出しつつ、それ以上深追いすることは諦めた。そして自分の与えられた仕事へと向かう。
 けれど…後になって思えば、深入りして置けば良かったと思ったかも知れない。
 後悔、先に立たず。その言葉が全てだった。

 それから三日が経った頃。仕事終わりのゼフィーの元を訪ねて来たのは、部署の主幹たるラルだった。
「…御無沙汰しております…」
「あぁ、久し振り。入局面接以来だな。頑張っていると、ソルジュから聞いていたよ」
「…ありがとうございます…」
 何故、ラルが訪ねて来たのか。その理由は全くわからなかったが…何となく、嫌な予感はするが。
「…あの…今日は一体…」
 そう、問いかけてみる。すると、その眼差しが鋭い光を帯びた。
「詳しい話を聞きに来たんだが…もしかして、何も知らないのか?」
 そう返され、嫌な予感は更に輪をかける。
「…申し訳ありません…何のことか全く…」
 暫し…真っ直ぐにゼフィーを見つめた眼差し。だがやがて、大きな溜め息を吐き出した。
「…三日前から、ソルジュの姿が見当たらない。俺も今日、遠征から帰って来たところだが…直ぐにいないことに気が付いた。だが御前たちの誰からも、そんな話は聞いてない。直属の部下が何も気付いていない。それがどう言うことか、わかっているのか?」
「……!」
 やはり。
「申し訳ありません!あの…っ!……気には…なっていたんです…ソルジュ主任の姿が見えないこと…でも…僕が迷惑かけた所為で気苦労が多かったからそっとしておけって言われて、それで……」
 釈明したかった訳ではない。ただ、状況を説明しようとしただけ。だが、その言葉にラルは眉を潜めた。
「御前が迷惑をかけた?一体何があった?ソルジュは何も言っていなかったが?」
「あっと……でもそれは…追々説明します…その前に、ソルジュ主任を探さないと…」
 その言葉に、ラルは小さな吐息を吐き出す。
「…それに関しては心配ない。ソルジュは今頃病院に保護されている。意識もはっきりしているから」
「そうですか…良かった…」
 安堵の溜め息を吐き出したゼフィー。少なくとも、彼は何も関わっていない。そう察したラルは、改めて言葉を続けた。
「…彼奴は軍事局の一角で拘束されて閉じ込められていた。しかも飲まず食わずで、御丁寧に結界の封印付きでな。まぁ、彼奴も元は一介の戦士だからな、簡単にはやられない。不意打ちを食らったが…ちゃんと相手の顔も見ている」
「相手の…」
 その言葉にドキッとする。
「御前も、相談してたんだ。心当たり、あるだろう?」
「…でも…"リディさん"は、そんなこと…」
「…俺は、"リディ"とは一言も言っていないが?」
「…それは…"リディさん"のことは相談しましたから…でも、ソルジュ主任は、直接話をしたらそれ以外訪ねて来てはいないって…」
 心臓の鼓動が早い。
 一体何が起こっているのか、ゼフィーにもわからない。ただ一つわかっていることは…ソルジュが襲われた、ということ。顔を見たとは言え、そこはまだ定かではないのだ。
「確かにね。不意打ちだったから、はっきりした確証はない。ソルジュの見間違いとも言えるかも知れない。だが、御前の上司を甘く見るな。そう簡単にやられる訳がない」
「………」
「今回はソルジュが狙われただけで、御前に実害はない。ただし、気を抜くな。何が起こるかはわからない。それを肝に銘じておけ」
「……御意…」
 信じられない現実に、胸が痛い。
 自分が断り続けたばっかりに、結果的に関係のないヒトを傷つけてしまった。
 考えれば考えるだけ、深みに嵌まる。そんな姿を溜め息と共に眺めていたラル。
「御前は…強くなりたいんだよな…?ルークからも聞いているが…だったら、もっとしっかりしろ。ヒトに惑わされるな」
「…ルーク様…」
 その言葉にドキッとする。
 自分たちの"秘密"を…この上司は、どれだけ知っているのだろう?
 緊張した表情のゼフィーに、ラルは小さく息を吐き出す。
「…いや、ルークの名前を出したのは悪かった。御前にとっては、士官学校から世話になっている上司だからな。ただだからこそ心配しているんだ。ここに入局する前に、俺は言ったはずだ。例え試験に受かっても、成体にならないと本採用は厳しいと。覚えているだろう…?」
「…はい…」
「あれだって、ルークの意向があったからだ。別に意地悪している訳じゃない。後のことを考えたら、絶対にこの期間に乗り越えた方が良い。それは俺も同意見だ。だからこそ、御前に警告したんだ。研修期間も折り返しを過ぎた。残された時間はあと数か月。ヤキモキしているのは…多分、御前だけじゃない」
「…それって、どう言う…」
 意味深なラルの言葉に、思わず息を飲む。
「だから…と言ったらソルジュには申し訳ないが…ソルジュが狙われただろう?彼奴を狙う目的なんか、考えたら一つしかない。御前の、上司だからだ。しかも、相談を受けている。それだけ御前の信頼を得ている。相手には羨ましい限りだよな」
「…そんなつもりは…だって、不可抗力じゃないですか…僕がソルジュ主任の部下になったことも、相談したことも…最初からこうなることがわかっていたら、相談なんてしなかったですし…」
「もしかして、御前が迷惑をかけたって、そのことだったのか?」
「…それだけではないですけど…」
 大きな溜め息を吐き出すゼフィー。話すなら丁度良いタイミングだと思い、自ら口を開いた。
 昔のことも含め、今までのことを全部。
 黙ってそれを聞いていたラルは、ゼフィーを眺めながら小さな吐息を吐き出す。
 そして。
「成程。で、御前はそれを気にしていた訳か」
「…はい…」
「気にすることじゃない」
「……え?」
 思いがけない言葉に絶句するゼフィー。
「御前がリディから受けていた行為は、ソルジュから話は聞いていた。確かに御前にとっては一大事だ。それを茶化すつもりもない。ただ、それを枷にするな」
「…枷…」
「そうだ。だからこそ、ルークは御前を気にかけていたんだろう?士官学校時代に長期間休学した経験がある奴は、挫折する奴が殆どだ。それは御前だけじゃない。ただ、成体になれていないのは御前だけだ。でもそれは枷じゃない。それは…希望、だろう?」
「希望…」
 噛み締めるように、その言葉を口にする。
「ルークは、御前を信じているんだ。勿論、俺たちもな。これからは御前の周りにも、信用ならない奴も大勢現れる。でも、正しい道も同時に現れる。だから、道を見失うな。御前が本当に必要とする相手はきっと現れるから」
 そう言って小さく笑ったラルは、手を伸ばしてそっとゼフィーの頭に触れた。
 優しいその言葉とぬくもりは…ゼフィーの中の彼のイメージを一転させた。
 ただ怖いだけではない。そこにはちゃんと優しさがある。だから、大勢から慕われるのだと。
「…はい」
 そう答えたゼフィーの表情は、ほんの少しだけ成長したように見えた。
「よし。じゃあ、御前の仕事を頑張れ。まずはそこからだ」
「御意に」
 力強い返事に、ラルはにっこりと笑って見せた。
 ゼフィーの本当の戦いは、これからが本番、だった。
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如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
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がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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