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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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かがやきのつぼみ found you 6

第四部"for CHILDREN" (略して第四部"C")

こちらは本日UPの新作です。
第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
完結未定 act.6

拍手[2回]


◇◆◇

 数日が経ち、久し振りにソルジュが出勤すると、直ぐにゼフィーが駆け寄って来た。
「ソルジュ主任!」
「あぁ、ゼフィー」
 足を止めたソルジュは、ゼフィーが近づいて来るのを待った。
 だがゼフィーだけではなく、申し合わせたように、部署室の全員が集まって来た。
「…どうしたんです?揃いも揃って…」
 当然、何事か…と驚いた表情を浮かべたソルジュだったが、真剣な彼らの表情の前、圧倒されてしまう。
 そして。
「この度は、主任がいらっしゃらないことに気づいていながら、誰も何も触れることがなかったことを御詫び致します。申し訳ありませんでした」
 部署室のリーダー格の悪魔の言葉に、一同頭を下げる。勿論、ゼフィーも、あの時一緒に話をした顔もある。
 頭を下げる彼らを前に、ソルジュは一つ間を置くと、ゆっくりと口を開いた。
「…今回のことは…貴方がたに責任はありません。捕まったのは、わたしのミスです。誰の責任でもありません。ただ、犯魔はまだ捕まっていないので安心は出来ませんが」
「犯魔に心当たりは…」
 神妙に問いかける声に、ソルジュは溜め息を一つ。
「詳しいことは調査中です。後でラル主幹が報告に来ると思います。ただ…わたしから、貴方がたに伝えて置きたいことがあります」
 そこで一旦言葉を切る。そしてぐるっと周りを見回した。
「…わたしが被害にあったから、と言うことではありません。そこをきちんと踏まえた上で理解して頂きたいのは…ここで働いているのは、自分一名ではないと言うことです。誰かに何かあっても、他悪魔ごとだと、見なかったことにしないでください。ここでは、正直何が起こっても不思議ではありません。ですから、尚更自分の周りを良く見ていてください。自分の手に負えるかどうかを見極めて、無理だと思ったら直ぐに相談してください。貴方がたはまだ新採ですが、もう直一人前の扱いになります。その前に全員に話が出来れば良かったのですが…残念ながらまだ実地研修が終わっていませんから、この場で全員に伝えることは出来ませんが…それでもこのような経験を伝えることが出来て良かったと思います」
「…ソルジュ主任…」
 小さく笑みを零すソルジュ。それは既にいつもの笑顔だった。
「さ、わたしからは以上です。仕事に戻ってください」
 その声に弾かれるように、ハッと我に返った彼らは、頭をさげて自分の仕事に戻って行く。
 けれどそんな中…ゼフィーだけは、そこから動けずにいた。
「…ゼフィー?」
 首を傾げるソルジュに、ゼフィーは大きく深呼吸をすると、顔を伏せた。
「この度は申し訳ありませんでした…」
 徐ろに頭を下げたゼフィーに、ソルジュは驚いた表情を浮かべた。
「どうして貴方が謝るんです?」
「…だって…僕の所為で…こんなことに…」
 項垂れるゼフィーに、ソルジュは溜め息を一つ。そしてゼフィーの肩を一つ叩くと、廊下へと促す。そして誰もいないことを確認してから、口を開いた。
「…さっきも言ったはずです。貴方の所為ではないでしょう?謝る前に、貴方にはもっとやるべきことがあるはずです。貴方が向き合わなければならない"相手"は、生半可では制圧出来ません。それは今回捕まってわかりました。ですから、まずは…強くなりなさい。貴方の後ろは、我々でも守ることが出来ます。けれど、最後に自分を守れるのは、自分だけです。今までと同じ考えでは、簡単に足元を掬われます」
「…足元を…」
 強くなれという言葉は、今まで幾度も言われて来た言葉。けれど、今までは諦めてしまっていた。
 自分には叶わないのだと。この身体では、強くなることに限界があることはわかっていた。だからこそ戦わずして戦線に背を向けたのだ。
 けれどソルジュは強くなれと言う。それしかないのだと。
「貴方には、"希望"があります。ここを乗り越えることが出来たら、きっと…貴方は、もっと強くなれます。ただ、ここで踏ん張って、自分自身で乗り越えられなければ意味がありません。他悪魔を受け入れることも勇気がいることです。それが貴方に出来ますか…?」
 問いかける声に、暫し口を噤む。
 乗り越えるには……勇気が、必要。けれどまだその勇気が、見つからない。
 不安そうな表情を浮かべたゼフィーに、ソルジュは軽く微笑んだ。
「一名で悩む必要はありません。誰かを信じて、頼ることも大切なことです。今までで何度も言われていると思いますが、言われると言うことは、それが貴方に足りないところだからです。手を差し出してみる勇気を、見つけてください」
「…はい…」
 口でなら、簡単に言える。そんな卑屈ささえ浮かんでしまう。
 けれど、そうではない。改めるべきは…その心根。
「どなたか…顔が、思い浮かびますか…?」
 その表情に、ソルジュは小さく問いかけてみる。
「……顔…」
 そう言われ…思い浮かんだ顔。それは……
「…考えます。僕にとって…本当に"あの悪魔"が鍵になるのか」
 答えたその言葉に、迷いは見えなかった。
「なるべく早く、連絡を取った方が良いと思います。何が起こっても不思議ではありませんから」
 迷いのないその答えに、ソルジュは確証を得たように助言をする。
 自分の生きる道は、自分自身で探し出す。出来ることは、せめて口を出すこと。そうすることでしか、救えない。
 頷いたゼフィー。その意図は理解していた。だから、素直に頷いたのだった。
 運命の扉は、もう開く直前だった。

◇◆◇

 その日の職務終了後。ゼフィーは軍事局の玄関であるヒトを待っていた。
 連絡を入れたのは、職務終了間際。幸い相手は直ぐに捉まり、職務終了後も予定はないとのことだったので、安全を考慮して自局での待ち合わせにしたのだ。
 相手が到着する時間を見計らい、玄関へと向かう。そして待つこと暫し。
「ゼフィー」
 名を呼ばれ、振り返ったゼフィーだったが…やって来たのは、待ち悪魔ではなかった。
「…リディさん…どうしてここに…」
「久し振りだね、ゼフィー。絶対に来ると思っていたよ」
 にっこりと微笑むリディに、ゾクッと鳥肌が立つ。
 辺りを見回すが、タイミングが悪く、誰の姿もない。慌てて踵を返そうとするが、既にゼフィーの手首はしっかりと掴まれていた。
「…離してください…」
 怯えた声。けれどリディは微笑んだまま、首を傾げた。
「どうして離さないといけないの?だって君は…離したらまた、わたしから逃げるだろう…?」
「………っ!」
 拙い。そう思った時には、魔力を打ち付けられ、ゼフィーは意識を手放してしまった。
 ぐったりとしたゼフィーの身体を抱え、満足そうに笑うリディ。そしてそのまま姿を消した。
 行き先は…誰も知らない。

◇◆◇

 ゼフィーがリディと姿を消してから、ほんの数分後。呼び出された場所に現れたのは、リンだった。
「…ゼフィー?」
 局の玄関で待っていると連絡があったのだが…辺りを見回しても、誰の姿も見えなかった。
「ゼフィー!」
 訳もなく、約束を破るようなことをするはずがない。そう考えると…嫌な予感しかしない。
「ゼフィー!……ゼフィー!!」
 辺りを捜すものの、当然その姿は見つからない。それでも暫く捜していると、異変を感じた警備の悪魔が声をかけて来た。
「どうかしましたか?」
「あの…!」
 慌てながらも、身分証を出して状況を説明する。そうしているうちに、連絡を受けたラルとソルジュが揃って駆け付けた。
「貴方がリン医師ですか?」
「…はい!あの、ゼフィーは…」
「落ち着いてください」
 呼び出されたっきり、その後の行方がわからない。そんなことは今までなかったこと。リンは落ち着かない様子だが…ラルとソルジュは心当たりがあった。
「リン医師は…リディのことは、御存じですよね?」
「えぇ…士官学校に在籍していた頃に。とても有能な子でしたので、医務室には来たことはなかったですが…」
 何の話をしているのだろうか?そんなことが頭を過ったリンだったが…そんなリンにラルの言葉が刺さる。
「ゼフィーを狙っていたのは、リディだ」
「……え?」
 ドキッとして息を飲む。
「…だって、リディは…ゼフィーの剣術の師匠で…リディのおかげで強くなれた気がすると言っていたんです。それなのに……」
「いつの話をしているんだ?まさか、記憶を更新していない訳じゃないだろう?今のリディは犯罪者だ。ソルジュも監禁されたんだぞ?尤も、それは今回の予行練習的なものなのかも知れないが、それでも監禁は監禁だ。罪を重ねただけだ」
 そう言ったラルの固い声に、リンは思わず口を噤んだ。
 自分が知らないうちに、取り返しのつかない道を進んでいたリディ。何処で道を誤ってしまったのか。その過ちを正せなかったあの日…自分もまた、道を誤ったのだろうか?
 その顔に浮かんだ複雑な表情に、見兼ねたソルジュが口を開いた。
「…貴方は…ゼフィーの"希望"です。ですから…前を向きましょう。過去には戻れません。過去を振り返ることよりも、今は前に進むことが必要です」
「…そうだな。悪い、口が過ぎた」
 溜め息を吐き出しながら、そう言葉も吐き出すラル。そして改めて口を開いた。
「とにかく、ゼフィーを捜すのが先だ。関わりのある上層部には連絡を入れておく。だが、余り事を大きくするな。生命か…かかっているからな」
「…御意」
 一介の…それも入局したばかりで何の実績もないゼフィーでは、大規模な捜査は出来ない。勿論、現実とは異なるが…それを踏まえての決断だった。
 全ては、一つの生命を護る為に。
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如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
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自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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