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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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檀香 伽羅~眩耀(後半) 3

第四部"for PARENTS" (略して第四部"P")

こちらは、本日UPの新作です。
第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
4話(後半) act.3

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◇◆◇

 エルと共に食事を済ませた後。気分転換に…とアイラがエルを連れて外へと出ると、入れ替わりにゼノンが検診にやって来る。
「おはよう。元気そうだね。昨夜、エース泊まったんだって?」
 既にエースから連絡が入っていたのだろう。やって来るなりそう言って笑うゼノンに、デーモンも苦笑する。
「まぁ…な。元気にはなったが…ちょっと御前に相談があってな」
「…相談?」
「診察の後で良い。取り敢えず…部屋に行こうか」
 自室へと場所を移動し、ソファーへと腰を下ろす。
「じゃあ…元気そうだけど、一応、診察しようか」
 そう言って、ゼノンは診察を始める。機嫌も顔色も良い。ベッドから出て歩き回れるぐらいなのだから、体調も落ち着いたのだろう。診察した結果も、今のところ問題はない。ただ、無理をしないように、と釘を刺してから、ゼノンも診察を終えてソファーへと座る。それを待っていたかのように、デーモンは漸く本題を切り出す。
「…エルが…士官学校に入りたいと、な…」
「…あぁ、御前が熱を出した時、ここでエースから聞いたよ。エースはまだ早いと思ってるみたいだけど…御前はどうなの?登録上の話だとか、魔力は問題ないから、自然発生と言う事なら入れるだとか…そんな話を御前がエルにした、って言うことは聞いたんだけど…」
 デーモンの様子を窺いつつ、問いかけたゼノン。
「吾輩は…話をした訳だから、反対はしない。登録上は自然発生であるし、魔力も問題ない。無理に入れようとは思わないが、エルがそのつもりなら反対する理由はないだろう?だが、エースは心配なんだ。本来なら、まだ入学の規定には満たないからな。だから…昨夜、二名で話したんだが…士官学校に入る前に、せめて身を護る術を身に着けさせたい、と…だが、エースは忙しいし、もし手が空いていたとしても…エルは嫌がるんじゃないかとな…」
 ゆっくりとそう話すデーモンに、ゼノンは溜め息を一つ。
「まぁ、そうだろうね。エースはどうも…エルに弱いから…」
 満足に相手をしてやれなかった引け目がある所為で、今一つ上手く相手が出来ない。その上で身を護る為の戦い方を教えようとしたところで、到底上手くは行かないだろう。
「身を護る術を覚えるに越したことはないよ。俺も、ゼゼの時に痛感したもの。士官学校の中は、俺たちは手が出せないからね。まぁ…ゼゼがいるにはいるけど…多分、ゼゼの方が魔力も低いだろうしね…相談相手ぐらいにはなれるかも知れないけれど、護ってあげることは難しいかな…」
 双子で産まれた分のハンディキャップのあるゼフィーでは、何かあってもエルを護ることは多分難しい。
「だからこそ、自力で何とか出来るようになるまで…とエースは思っていたんだと思う。エルの性格上…多分、ゼゼでも慣れるまでには時間がかかるだろうしな…」
 迷いどころは沢山ある。それがすべてクリア出来たら、エースも安心して士官学校に託せるのだろうが…
「…で?指南役の心当たりはあるの?」
 いつまでもそこで足踏みせず、話だけでも前に進まなければ。そう思って話を進めたゼノン。だが、デーモンの表情は相変わらず。
「いや。本当はルーク辺りなら安心なんだが…ルークはシリウス様のところだろう?兼任させる訳にもいかないしな。我々の事情を知っている者、と限らなければならないし…」
 腕を組み、ソファーに背を凭れて溜め息を一つ。そんなデーモンの姿を眺めながら、ゼノンも頭の中で事情を知っている者を選別する。
「…事情を知っているとなると、後は…情報局ならリエラとか…軍事局は…遠出になるけど、クルアール司令官…?ウチの局は、戦闘向きではないし…第一、デーモンとエースの状況は知らないしね…枢密院は誰かいないの?」
「吾輩の周りで状況を知っているのはダミアン様だけだ。部下たちには、ただ療養中だと言うこと以外は、寿命のことも子供を産んだことも、何も話していない。余計な話をして…かえって狙われても困るからな。それから、觜輝は…いや、クルアールは駄目だ。彼奴も責任ある立場だからな。そうそう留守にも出来ないだろう。リエラは、流石に状況は知っているが…エースが仕事を減らしている以上、これ以上の負担をかける訳にはいかない。実質、外回りはリエラが担ってくれているらしいからな…」
 デーモンの士官学校時代の同級生であるクルアール司令官。デーモンにとっては旧名の"觜輝"の方が馴染み深い名前なのだが…それはさて置き。そのクルアールも、軍事局の地方の部隊に属している。司令官と言う役職だけに、色々と忙しい。王都に戻って来ることも時間がかかるが故に、当然デーモンも最初から考えてもいなかった。ただ、今の状況を知る者として、ゼノンの選別の中に含まれていただけの話。
 情報局の副官たるリエラも、夕べエースとの話には出たが…やはり、多忙な日々を送っている。エースがデーモンの体調を考慮し、極力遠征や外回りを控えるようになってからは、今までエースが行っていた外回りをリエラが引き受け始めた。状況は良くわかっているが故に、これ以上の負担をかけるのは流石に申し訳ない。
 だがしかし。そんなことばかり言っていては、該当する者は当然いなくなる訳で…そこが迷いどころなのだ。
 だが、そこでゼノンがふと顔を上げる。
「レプリカ…」
「…ん?レプリカ…?」
 ゼノンの屋敷の使用魔たるレプリカ。その名前に、デーモンは少し首を傾げる。だがゼノンの方は、疑問の一つもない訳で。
「そう、レプリカがいるじゃない。彼奴が多少留守にしても、屋敷の方は他の使用魔もいるから困らないし、仕事の方だって調整は利くから。声、かけてみようか?」
「いや、ちょっと待て。レプリカって…こういう言い方は御前には申し訳ないが…そんなに期待しても良いモノなのか…?」
 心配そうに零した、デーモンの本音。
 レプリカと言えば、今は退いてはいるが元々仮面師であることはデーモンも知っていた。だが、ゼノンを誰よりも早くから崇拝し、本来の名を捨て、仮面師であることを辞めた。今はゼノンの屋敷の使用魔をしながら、文化局でも働いてはいるものの、戦いとは無縁の世界であることも間違いはない。そのレプリカを推薦すると言うことは、ゼノンにしてみればその実力を考慮したものだとは言え…デーモンには全く想像がつかないのも現状だった。
 そんな、心配そうなデーモンの前。ゼノンは小さく笑う。
「今は、戦いとは無縁だけど…それでも仮面師だからね。レプリカ…いや、仮面師としては"レイティス"と呼ばないといけないんだけど…とにかく、レイティスは仮面師としては有能だったみたいだし、どの種族の能力も扱える上に、魔力も戦闘能力も平均を軽く上回るよ。当然、戦い方も身の護り方も身に着けているしね。ウチの使用魔としての姿しか殆ど見たことがないから心配なんだろうけれど、能力上は何の問題もないよ」
「…そう、か…」
 有能な仮面師であったとの話は聞いてはいたが、その実態まではデーモンは把握してはいなかった。ただ、以前皇太子であったダミアンを護るべく集められた特別警備隊の中に、仮面師が一名入っていたことは知っていた。仮面師の能力を買われたこともあったのだろうが、それでも一定以上の能力がなければ務まらない。つまりは、仮面師とはそれだけ高い能力を持っている、と言うことになる。
 そんな有能なレイティスが、仮面師としての名前を捨ててまで一使用魔として埋もれてしまったことは勿体無いことだが…それに関しては、レイティス本魔の意思でもあるのだから仕方がない。そして、有能な仮面師を見落としていたデーモンとエースも、失態だった。
「レプリカ…いや、レイティスにも…多分、警戒心剥き出しになるだろうが…まぁ、一応聞いてみてくれ」
 ゼノンでさえ駄目なのだから、もっと見知らぬ使用魔ともなれば、当然ゼノン以上に警戒心を剥き出しにするだろう。そう思いつつ溜め息を吐き出したデーモンに、ゼノンは再び笑いを零す。
「今は仮面師ではないから、レプリカで大丈夫だよ。彼も、子供の扱いは心得ているから、俺よりも扱いが上手いかもね。ゼゼがウチにいた時は、空き時間に勉強も見てくれたり、一緒に体を動かしたりしてたみたいだからね。尤も後半は、ゼゼはウチよりもシリウス様のところにいることも多かったけどね」
 そう。どう言う訳か…皇太子たるシリウスとゼフィーは、仲が良いらしい。何れ自分たちのように信頼出来る仲魔関係になってくれれば、雷神界との繋がりも出来て良いのではないかと思う。可能であるのなら…エルもそこにいられれば良いのだが…と、仄かな期待も抱きつつ。今はまだ、そこまで到達出来ていない。寧ろ、まだ一歩目すら出ていない。
「レプリカも今日は登庁する予定だから、この後聞いてみるよ」
「あぁ、頼むな」
 結果はどうであれ、まずは踏み出さなければ。
 漸く、その第一歩を踏み出せそうだった。

 その日の夕方、職務が終わると直ぐにデーモンの屋敷へと舞い戻って来たゼノン。
「レプリカのOKは出たよ」
 顔を見るなりそう口を開いたゼノンに、デーモンは思わず苦笑する。
「また随分早いな」
「まぁね。局に帰ってすぐ聞いたから。エルとは殆ど会ったことがないから、そこを心配はしていたけど…でも、いつまでもヒト見知りだなんて言っていられないだろうしね。良い機会だと、俺は思うけど」
「…そう、か」
 きっかけさえあれば、話はどんどん進んで行く。それを嬉しいと思うか…残念と思うか。強いて言えば…どちらも。
「じゃあ…エースとエルには、吾輩から話すから。エースも納得したら、正式に頼むことにする。それでも良いか?」
 ほんの少し、胸の奥が重い。そう思いながら、ゼノンに問いかけると、ゼノンはその表情でそんな想いを察したのだろう。小さく笑った。
「勿論。こちらは急いではいないし、みんなが十分納得してからで大丈夫だから。もし納得いかないのなら、また一から検討し直しだしね」
 デーモンの気持ちは、ゼノンにも良くわかる。自分もまた、同じ思いをした。子離れの第一歩は、どうしても不安が残るもの。ただ、時間の猶予が少なかったゼノンに対し、デーモンにはまだ余裕がある。ゆっくりと話し合う時間は十分あった。そこで納得出来なければ、この先ずっと引き摺ることになる訳だから、そこは慎重に。
「ライデンも風邪気味だって言うから、二、三日、雷神界に行って様子を見て来ようと思ったんだけど…体調はどう?調子が今一つなら、キャンセルするけど…」
 行動が早かったのは、その所為もあったのだろうか。ふとそんなことが過ぎる。
「いや、今のところ大丈夫だ。昨夜はエースも泊ってくれたし、エルもさっきまでいてくれたから。病み上がりにしては調子が良い」
 笑いながらそう言うと、ゼノンも少しホッとしたような表情を浮かべた。
「そう、良かった。このところ調子が悪そうだったから、心配してたんだ」
「いつも、そんなに心配しなくても良いんだぞ?吾輩は大丈夫だから、ライデンのことも、具合が悪いならもっと大事にしてやれ?」
 自分の寿命云々が発覚した後から、常に心配ばかりしているゼノン。医師としては頼りにはなるが…自分の休暇も後回し。休暇の時は雷神界に、と約束していたにも関わらず、このところその気配もなかった。
 そんな想いで零したデーモンに、ゼノンは小さく首を横に振る。
「雷神界にも医師はいるから、ライデンの体調云々に関しては俺がいなくても大丈夫。でも、デーモンのことは…他の医師には事情も話してないから、代わりを頼めないもの。勿論、ライデンだってこっちの状況はわかってくれているから。会えなくても通信でちゃんと顔合わせてるし、心配しないで」
「…ゼノン…」
 エースだけではない。ゼノンもまた、自分の運命に巻き込んでしまった。大事な伴侶の傍にも帰れず、何かあれば直ぐに飛んで来る。体調が良くても、その反動をいつも心配している姿を見ていると…流石に、申し訳ない。
 だが、ゼノンは表情の暗くなったデーモンの手の上に自分の手を重ねる。
「俺は、医者だから。患者が医師に申し訳ないだなんて思わないで。俺は…御前の生命を、一緒に背負う覚悟をしたんだ。エースにも、そう約束したんだ」
 その柔らかい手の感触。温かい"癒し"の能力を感じながら、デーモンは大きく息を吐き出す。
「…思えば…御前には、随分助けて貰っていたな…ダミアン様に仕えてからも、御前が背中を押してくれなければ…吾輩は、あの場に馴染めず、諦めていたかも知れない。そこからずっと…頼りになる仲魔、だ。ただの医師としてではないだろう?」
「そう、だね。俺にとっても、大事な仲魔だよ。だから…御前を護るんだ。医師であって良かったと、この時ばかりは感謝したよ」
 くすっと笑うゼノン。
「俺のことは心配しない。ただでさえ御前は、自分の体調と、エースの機嫌と、エルの将来を心配しなきゃいけないんだよ?だから、背負う物を少しでも軽くする為に俺がいるんだよ」
「じゃあ、御前の背負う物は誰が軽くしてくれるんだ…?」
 仲魔の不安を背負うだけ背負って、自分が倒れてしまっては元も子もない。けれど、そんな言葉にもゼノンは笑う。
「俺の背負う物は、ライデンが軽くしてくれる。でも、ライデンだけじゃないよ。ララが皇太子として少しずつ自覚を持ってくれていることも、ゼゼが元気に過ごしてくれていることもそう。レプリカを始め、使用魔たちが俺が過ごし易いように屋敷を整えてくれていたり、俺が不在の時に翠雨が頑張ってくれていることも。勿論、御前やエースやルークが話し相手になってくれることも。俺は、一名で御前を支えているんじゃない。みんなの支えがあるから、御前を護れる。そう、思っているから。御前だって…そうでしょう?一名で、生きているんじゃないんだから」
「…そう、か…そうだな…」
 確かに、ゼノンの言う通り。体調を崩して、今までのように仕事を熟せなくなってから…実に多くの部下たちに助けられている。昔、取り巻きと化した側近にエースを狙われて以来、側近も副官も置かなかったデーモンだったが、それでも一名で仕事をしている訳ではない。今は特に、頼らざるを得ない。そんな状況を目の当たりにし、当然肩身が狭い、とも思う。
「なぁ、ゼノン…今の吾輩は、エルが赤ん坊の頃よりは少し体調は安定して、短期間でなら執務室で仕事も出来るようになって来ただろう?確かに、体調に波はあるんだが…上昇傾向の時は、何処がきっかけだったのだろうかと…何処で、それだけのエネルギーを得たのだろうと、思う時があるんだ」
 それは、このところずっと考えていたこと。勿論、エースから生命エネルギーを分けて貰っていることや、エルの若い生命の躍動が、何もしなくても良いエネルギーとなっていることはわかっていた。だが、仕事に復帰するには、生命を繋ぐよりももっと大きなエネルギーが必要となるはず。それを摂取していると言う実感がない訳で。
「…知りたい、って言う事?その、エネルギーの出所」
 ちょっと首を傾げつつ、問いかけた言葉。だがデーモンもちょっと考え…やがて、溜め息を一つ。
「…いや、そう言う事でもないんだが…ただ、不思議だなと思ってな。いつもと同じ生活をしているだけなんだがな。そのきっかけがわかれば、もっと自分の体調を管理出来るかと思っただけなんだ。御前の仕事を増やす必要はないし…今はもう少し、ゆっくり自分の体調と向き合う時間なんだと思っているから」
 デーモンはそう言うと、自分の手に重ねられたゼノンの手の上に、もう片方の手を置く。
「雷神界で、ゆっくりして来い。ライデンも早く良くなるように、面倒見て来いよ」
「ライデンの面倒見てたら休めないね」
 くすくす笑うゼノン。だが、それでも辛そうではない。傍にいればそれだけで、心も癒される。触れ合えば尚更。だからこそ、伴侶なのだ。
「…有難うね。でも何かあったら、必ず連絡してね」
「あぁ。吾輩こそ…有難う、な」
 にっこりと笑い合う。
 医師と患者ではなく、昔からの仲魔として。そんな時間も、大事な時間だった。
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がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
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