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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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檀香 白檀~序章 4

第四部"for PARENTS" (略して第四部"P")

こちらは、本日UPの新作です。
第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
5話完結 act.4

拍手[4回]


◇◆◇

 職務の終了時間を過ぎ、そろそろ帰ろうか…と考えていると、執務室のドアが叩かれた。
「…はい?」
 返事を返すと、そっと開いたドアから顔を出したのは、恋悪魔の側近、サラ。
「…忙しい…ですか?」
 未だ廊下から顔を覗かせて問いかけた声に、主たるエースは苦笑する。
「大丈夫だけど…どうした?」
 その答えに、サラは滑り込むように執務室へと入る。そしてエースの執務机の前まで小走りでやって来る。
「ちょっと…相談が…」
「…相談?」
 思いがけない言葉に首を傾げると、サラは少し緊張した面持ちで言葉を続けた。
「あの…閣下のこと、なんですけど…」
「…デーモン?」
「このところ…ずっと気になっていて…でも、エースにも、ゼノン様にも心配をかけるから…体調に変わりはないからもう少し黙っていてくれ、って言われていたんですけど…」
 困惑したようにそう零したサラに、エースは溜め息を一つ。
「…あぁ…そう。まぁ、彼奴の言いそうなことだ。気にしなくて良いから。で…何があった…?」
 デーモンの言いそうなことだ、と思いながら…このところの様子を思い出しながら問いかける。
「…寝てしまうんです…」
「…は?」
 予想外のところから話が始まり、エースは当然眉を寄せる。
「…寝る、って…何処で?って…サラが言いに来ると言うことは、執務中、か…?」
「…はい…時間にすれば、それほど長くはなけれど…最近急に、なので…御疲れなのかと、ちょっと心配で…」
 そう言われ、エースの思考が先ほどへと戻る。
 ここ最近…自分が知る限り…デーモンが無理をしている様子はない。職務も残業はせず、きちんと休みも取っている。勿論、エースが泊まりに行っても…無理はさせていないはず。
「…俺も心当たりはないな…ゼノンからは何かないのか?」
「特に何も…ただ、職務中に寝られるようになってからは、大きな検査はまだ…いつもの定例健診だけ」
「そう、か…」
 日々の健診は相変わらず。だが、体調が安定して来てからは、そこまで深いところまでは診ていない。だが、何か症状があればゼノンが気付かないはずはない。だとすると、ただの疲労から来るものなのか…そこは流石にエースには判断出来なかった。
「じゃあ…一応、ゼノンには話してみるが………ん?」
「…どうかした…?」
 急に、何かを考えるかのように首を傾げたエースに、サラも小さく首を傾げる。
「いや……昔、同じような話をした記憶が……」
 不意に、そんな記憶が過ぎる。
「…誰と話していたんだったか…」
 目を閉じて、記憶を辿る。確か…自分の執務室ではなかったはず。だとすれば、いつ、何処で、誰と話した記憶か……
 記憶を遡っていると、ふと過った顔。
 それは…困惑顔で、溜め息を吐き出す…ゼノン。
「………あ…?」
 ハッとして目を開けると、そこには同じように、困惑した表情で自分を見つめるサラの姿。
「…何か…わかったの…?」
 小さく問いかけたサラの声に、エースは溜め息を一つ。
「…ちょっと待って…」
 言葉を零し、記憶を整理する。
 確証はない。だが…もし、自分が思い出した記憶とリンクしているのなら……。
「他に、デーモンに変わった様子は?」
「…他は特に…」
 何と聞かれも、他に何も思い当たる節はない。そんな思いで首を横に振ると、エースは再び小さな溜め息を吐き出す。
「…わかった。多分、心配はいらないから…取り敢えず、様子を見て。デーモンには、俺に話したことは内緒で…」
「…はい…」
 サラには、はっきりとはわからない。だが、エースが心配いらないと言うのだから、きっと大丈夫なのだろう。そう、思うしかなかった。
 そしてエースは…と言うと、何とも言い難い表情のまま、だった。

 サラを送り届けた後、エースはデーモンの屋敷へと訪れていた。
 いつもと変わらない笑顔で出迎えるデーモン。だからこそ…自分の予想が当たっているのかどうかすら、わからない。
「…体調は?」
 久し振りに、そう問いかけてみる。
「…いつもと変わらないが?」
 不意にそう問いかけられ、苦笑しながらそう返すデーモン。
 多分…あの時のゼノンも、同じように感じていたのだろう。ふと、そんな想いが過ぎる。
 手を伸ばし、デーモンを抱き寄せる。
「…どうした?」
 きょとんとした表情。
「……いや、何でもない…ただ、癒されたかっただけ」
「そう、か」
 笑いながら、エースの背へと手を回す。そしてその背中を軽く擦る。
 身体を寄せながら…その気配を探る。だが、自分には何も感じ取れない。
 大きな溜め息を吐き出したエースは、デーモンから身体を離すと、踵を返す。
「…どうした?」
 突然背中を向けたエースに、怪訝そうな表情を見せたデーモン。
「…用事を思い出した。悪いな…また、明日」
「…あぁ…」
 エースの謎の行動に首を傾げつつ、その背中を見送っていた。

◇◆◇

 数日後。久し振りに大きな定期検診を受けることになったデーモン。ゼノンから呼び出されて病院へ行き、検査を受けた。その後、身体を休める為に…と案内された病室のベッドの上で、デーモンは漸くゼノンと話が出来た。
「…何なんだ、一体。吾輩は、体調が悪いとは思わなかったんだが…」
 首を傾げたデーモンに、ゼノンは溜め息を一つ。
「まぁ…定期健診、だよ。体調が悪くなってからじゃ遅いでしょ?」
「それはそうなんだが……」
 確かに、体調が悪くなってからでは遅いのだが…そこに見えるゼノンの表情は、何やら神妙で。
「…何か…悪い結果でもあったのか…?」
 思わず問いかけたデーモンに、ゼノンは溜め息を一つ。
「…俺に言っていないことがあるんじゃない?」
「…御前に言っていないこと…?別に、特にはないが…」
 首を傾げるデーモン。その表情は、本当に心当たりがない、と言った感じだった。
 だがしかし。検査の結果は、ゼノンの手の中にある訳で…そこにはデーモンから聞かされていないことが、記されていた。
「エース呼んだから、ちょっとだけ待ってて」
「…おい、ゼノン…」
 エースを呼び出す事態。それは、自分の生命に関わること。咄嗟にそう結びついたデーモンは、僅かに顔色を変えた。
「…吾輩…死ぬのか…?」
 思わず、零した言葉。その言葉に、ゼノンはその視線をデーモンへと向けた。
「…まさか。死なないよ」
「なら…」
「だから、エースが来てから。エースに、確認してから」
「………」
 重い沈黙。だが直ぐに病室のドアがノックされ、エースが顔を覗かせた。
「直ぐに来い、って言われたんだが…」
「エース、待ってたよ」
 エースを中へと促したゼノン。そしてエースがデーモンの傍へとやって来ると、徐ろに口を開いた。
「御前が望んだの?」
「…何がだ?」
 突然そう言われ、エースも怪訝そうな表情を見せた。
 大きな溜め息を吐き出したゼノンは、手に持っていた検査結果を、彼らに差し出した。
「これ。状況を、説明して」
 エースが検査結果を受け取ると、デーモンもその手元を覗き込む。そして二名揃って…息を飲んだ。
 そこに書かれていたのは…もう一つ、生命を宿している、と言うこと。
「…子供…」
「そう。どう言うこと?」
「…どう言うこと、って言われても…」
 口を噤んだデーモンと、気まずそうな表情で口籠るエース。その様子を見るからに…示し合わせて、と言う訳ではないように思えた。だからこそ、ゼノンは溜め息を吐き出す。
「…別にね、産むな、って言ってるんじゃないんだよ。ただ…相談の一つぐらいね…」
 そんな言葉を聞きながら…目を伏せ、口を噤んだまま、上掛けを握り締めたデーモンの手。
 ふと、その手に気が付いたエースは…小さな吐息を吐き出し、デーモンのその手の上に、自分の手を重ねた。
 そして。
「…俺がちゃんと…デーモンを、護るから。だから…産ませてやってくれ」
「…エース…」
 思わず、エースへと視線を向けたデーモン。
 エースは真っ直ぐにゼノンへと視線を向けていた。
「子供が出来たと言うことは…俺たちが、同じ想いだったと…そう言うことだろう?だったら、そうなんだよ。理由だとか、状況の説明だとか…そう言うことじゃない。相談って言われても…タイミングとか、あるだろうよ…だから…」
「わかってるよ。もう良いから」
 険しい表情のまま、そう言葉を放つゼノン。
「さっきも言ったけど、産むな、って言ってるんじゃないから。御前たちがそう結論を出したのなら文句は言わないし、俺は御前の主治医だから、責任を以ってちゃんと協力はするよ。ただ…」
 一度、言葉を切る。そしてデーモンとエースに向けた眼差しは…とても、冷たかった。
「俺は、笑っておめでとうとは言えない」
「…ゼノン…」
 小さな溜め息を吐き出したゼノンは、目を伏せて踵を返す。
「話はそれだけ。今日は、もう帰っても大丈夫。暫く様子は見るから、無理しないようにね。何かあったら連絡して」
 それだけ言い残し、振り返らずに病室から出て行く。
「…怒ってる、よな…」
 唖然としてその背中を見送ったエース。デーモンもまた、ゼノンの態度に小さく息を飲んだ。
「…やっぱり…彼奴は、怒るんじゃないか…」
 思わずそう零したデーモンに、エースは溜め息を一つ。
「ちょっと…待ってろ」
 そう零し、エースもゼノンを追って病室を飛び出して行った。その背中を、デーモンはただ、黙って見送るだけだった。

 ゼノンを追って病室を出たエースは、廊下の端で漸くゼノンを捕まえた。
「ちょっと待てよ!」
 その腕を捕まえると、やっと足を止めたゼノン。そして、大きな溜め息を吐き出した。
「何?まだ何かあるの?」
「あるだろうよ。何なんだよ、御前は」
 いつにないゼノンの態度に、エースも些か困惑気味。だが…その根源はわかっていた。
「…悪かったよ、黙っていて…」
「別に謝らなくて良いって。俺が…笑えないだけ」
「…悪かった、って…」
「だから良いって…」
「悪かった」
「…エース…」
 こちらもいつになく、しつこいエース。だからこそ…どちらかが折れるしかない。
「…わかったから…とにかく、ここじゃちょっと…」
 溜め息を吐き出したゼノンは、近くの空き病室へとエースを促した。
 そしてそのドアを閉めると、エースがもう一度口を開く。
「…悪かった…」
「…何で、そこまで謝るの?御前の所為なの?」
 問いかけたゼノンに、エースも溜め息を一つ。
「…怒ってるだろう?彼奴や俺が何も言わなかったことに…これだけ必死になってデーモンを護ろうとしているのに…自分だけ、置いて行かれて…」
「…怒ってないよ。まぁ…御前が言うことは合ってるけど…」
 思わずそう零す。
「…怒ってはいない。だって…デーモンは、俺がデーモンの気持ちを受け入れないと思っているから、何も言わなかったんじゃない。ルークと喧嘩した、って言って姿を消した時…俺に「子供は産むつもりはないから」って言っていなくなったんだもの。そう言ってしまったから、言えなかったんでしょ?言えば、言い出した自分が悪い。孤立無援だ、なんて言われたら…怒れないじゃない。怒りたかった訳でもないし…強いて言えば…寂しかった、かな」
「そう、か…」
 そう言われれば…わかる気はする。
 すれ違う想いは…何処まで戻れば、重なるだろうか。
「…デーモンがいなくなったあの時…クルアール司令官と笑い合うデーモンがいてな…このところ俺たちが見たこともないくらい、楽しそうに笑っていて…あぁ、彼奴は…こうやって笑いたかったんだな、って…そう思ったんだ。穏やかに…笑って過ごせる未来。それを、きっと彼奴は望んでいたんだろうな、って。体調が悪くて、エルをちゃんと育ててやれなかったこと。それは彼奴の一番の後悔だったのかも知れない。俺たちの子育てが失敗だったと思いたくはないけれど…あの子にとっても、デーモンにとっても…勿論俺にとっても、もっと良い方法がきっとあったはず。俺も、そう思わざるを得なくて…だったら、もう一度チャンスがあるのなら…そう思ったのは事実だから。それが今回のことに繋がるのなら…俺もデーモンも、示し合わせて子供を作ろう、とか思った訳ではないから…だから、御前に言うタイミング、って言うのがな……決して、御前を蔑ろにした訳でもないし、デーモンだってそんなことを思っていた訳じゃないから…」
「だから、わかってるって言ってるじゃない」
 デーモンの気持ちも、エースの気持ちも、ちゃんとわかっている。
 幾度も繰り返すその言葉。だが…ゼノンが抱いている気持ちも、何処まで伝わっているのか。
 ほんの少しの傷だったとしても…痛いものは痛いのだ。
「御前がデーモンを大事に思う気持ちは、ちゃんとわかってるよ。デーモンが望む未来だって、知らないはずはないじゃない。俺がどれだけ、デーモンと今後についての話をしたと思っているの?でもだからこそ…今回のことは…どうして何も話してくれなかったのか。何で、何も言ってくれないのか。俺に怒られるから?愚痴を零されるから…?デーモンは決して、孤立無援にはならない。みんな、デーモンを心配して、傍にいるもの。でも…だったら、俺は…?そんな言われ方をして…嫌な顔をされて、俺が、何とも思わないとでも…?俺は…何の為に、デーモンの傍にいたの…?御前がいれば済む話なら、俺は…必要ないじゃない」
 珍しく、言葉を荒げるゼノン。だが、その表情を見る限り…それでも、感情を押さえていることは明白だった。
 大きな溜め息を吐き出したエース。
「必要ない訳がないだろう?でも、俺が幾らそう言ったって…今の御前は聞かないよな…」
 かと言って、先ほどの様子ではデーモンとて、素直に全部話すとは思えない。幾らエースが頭を下げたところで、デーモンとゼノンの関係は、本魔同士が納得しない限り、元には戻らない。
「…休暇、取るか?」
 少し考えた末…ふと、思い立ってそう聞いてみる。
「…休暇?」
 怪訝そうに眉を寄せるゼノンに、エースは小さく溜め息を吐き出す。
「一回離れろ。デーモンの方は…俺が様子を見ているし、話も聞いておく。御前は、ライデンに癒されて来い。御互い、少し離れて…感情を整理した方が良い」
 その言葉に、ゼノンも少し考えて…それから、吐息を吐き出す。
「…昔もあったね。その時は…デーモンに言われたんだったな…」
「…あぁ。俺もそれを思い出したから」
 もう、随分前の話。まだ人間界で任務に就いていた頃…ライデンとの関係を整理する為に、一度ゼノンを魔界へと帰す判断をしたのはデーモンだった。あの時は黙ってゼノンを帰したことでデーモンがライデンとルークから非難を受け、まだ歩み寄っていなかったエースが見かねて宥めたはず。
「…デーモンとの付き合いは、御前が一番長いんだ。一旦離れれば、落ち着いて考えられる。御前も休暇取ってないんだから、しっかり休んで来い」
 今は、多分それが最善。エースのその判断に…ゼノンは、小さく頷いた。
「そうするよ。デーモンの体調のことは、今のところ大丈夫だから、今日は帰って大丈夫。そのまま様子見で…」
「心配するなって。こんな状態でも、心配だけはするんだから」
 思わず苦笑するエースに、ゼノンは溜め息を一つ。
「…そうだね。じゃあ…後は頼むよ」
 そう言い残し、ゼノンは踵を返して病室を出て行く。
「ゆっくりして来いよ」
 その背中に声をかけ、見送ったエース。そして、大きな溜め息を吐き出す。
 誰が悪い、と言うことではない。どちらの言い分もわからなくもない。だからこそ、解決方法に悩まざるを得ない。
「…ライデンなら、まぁ…大丈夫だろうな」
 一名では難しい。ならば、適任者に振り分けるしかない。今回エースが出した結果が良い方に向かえば…と、願うしかなかった。
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がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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