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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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檀香 白檀~node 1

第四部"for PARENTS" (略して第四部"P")

こちらは、本日UPの新作です。
第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
3話完結 act.1

拍手[3回]


◇◆◇

 このところ…少し調子が悪い。
 暫く調子が良いことが続いていたので、気が緩んだのだろうか…
 そんなことを考えている間に、あっと言う間に寝込んでしまったのだった。

◇◆◇

 ベッドに眠るのは、産みの父。その足元でベッドに背を凭れるように床に座り、本を眺めているのは…息子たるディナ。黒髪に赤の紋様。その瞳はデーモンと同じ金色だが、ぱっと見はエースと良く似た容貌になっていた。
 まだまだ小さい子供だが、赤ん坊の時期を過ぎ、たどたどしいところなあるものの会話もある程度成立し、身の回りのことは手を借りつつもやる気は満々。手がかかるとは言え、面倒を見る立場からすれば赤ん坊の頃よりは気が楽だった。
 そんなディナだが…デーモンが体調を崩すと、必ずと言って良い程、傍を離れたがらない。
 ベタベタとくっついている訳ではないのだが、デーモンがいる寝室から出ようとしないのだ。今回のようにベッドの足元に座り、本を読んでいる。エースがいれば少しは気が紛れるようだが、いつでもいる訳ではない。使用魔たちでは満足しないのか、何時間でもそうしている。体調が悪くて寝ているのだから、うつるのではないか…と心配になるのも当然。けれど未だ、誰もがその心細い気持ちを察するが故に、どうにも出来ない状況だった。
 そして今回も通例通り。ディナはデーモンの寝室から出ようとはしない。
「…ディナ様。エース様がもう直いらっしゃるそうですよ」
 エースからの連絡を伝えに来た使用魔たるアイラがそう声をかけると、ディナは漸く本から顔を上げる。
「もうじきってどれくらい?」
「御昼御飯までにはいらっしゃるそうですよ」
 そう言われ、壁の時計へと目を向ける。まだ時計は読めなかったが、長い針と短い針が天辺で重なったら御昼御飯の時間。そう教わっていたので、あと十分ほど。
「じゃあ、まってる」
 そう言って再びその視線は紙面に落ちる。
 その姿に小さな吐息を吐き出すアイラ。そして一礼をするとディナを残して寝室を出る。
 同じ親から生まれた姉たるエルはただただ大人しく、大概のことは素直に従ってくれていた。だが弟たるディナは言い出したら聞かない。我儘を言ってごねる訳ではないが、それでも納得がいくまで我を通す。
 それが個性だと思えば仕方がない…とアイラが小さな溜め息を吐き出す。するとまるでその溜め息を聞きつけたかのように、エースがやって来た。
「いらっしゃいませ。御早かったですね」
 足早に階段を降り、玄関へと向かう。外套を出迎えた他の使用魔に預けたエースは、アイラの姿に吐息を吐き出す。
「あぁ、アイラ…デーモンは?」
「今眠ってらっしゃいます。ディナ様は相変わらず…ですけれど」
 そう付け加えると、エースも溜め息を一つ。
「そう、か…悪いな、毎度毎度…」
「いえ、大人しくしていらっしゃるので我々は構わないのですが…まだゼノン様の診察も受けておりませんから、もしも感染性の御病気であったら、ディナ様もうつってしまわれるのではないかと、それが心配で…」
 そう。今回はまだ、医師たるゼノンの診断を受けていない。連絡は入れたのだが、ゼノンは丁度雷神界に行っていた。直ぐに帰るとは言ってくれたものの、未だ辿り着かない。同時に連絡を入れたエースの方が先にやって来たのだ。
「あぁそうか…じゃあ、ゼノンが来るまで俺がディナの相手をするから、デーモンの方を頼むな。眠っているのならそのまま様子を見ててくれ。ゼノンも多分、もう直ぐ来るだろうから」
 デーモンの寝室に向かいながら、アイラとそんな話をする。そしてそのドアをノックして開けると、直ぐにディナの姿が見えた。
「とうさま」
 顔を上げたディナが直ぐに駆け寄って来る。その姿を抱き上げると、ディナに向けて声をかける。
「ゼノンが来るまではここに入っては駄目だと言ってるだろう?」
「だって、ちちうえひとりじゃさびしいでしょ?」
 怒られても何のその。顔色一つ変えず、けろっとした顔でそう言ってみせる。
「寂しいのは御前の方だろう?デーモンが寝込んで、遊び相手がいないから」
 思わず苦笑しながらそう返すと、ディナは真剣な顔で言葉を返す。
「ちがうよ?さびしいのはちちうえだよ?だって、とうさまいないもの。ひとりでねてたらさびしいでしょう?だからぼくがそばにいてあげてるの」
「…そうか。じゃあ、父様が来たから一緒に御飯食べようか?デーモンは眠ってるし、目が覚めてもアイラが近くにいるから大丈夫」
「うんっ。あいら、ちちうえみててね」
 にっこりと笑うディナ。その愛らしいやり取りに、先程まで溜め息を吐いていたアイラもまた、笑いを零す。
「大丈夫ですよ。ちゃんと看ておりますので、御昼御飯を召し上がってください」
「うんっ」
 苦笑するエースに抱かれたまま、ディナは階下のダイニングへと降りて行った。その背中を見送ったアイラは、デーモンの様子を確認する。まだ眠りの中にいるデーモンの姿に、小さな溜め息を零すのだった。

◇◆◇

 エースと共に昼食を終えたディナが昼寝に入った頃。漸く待ち侘びたゼノンがやって来た。
「デーモンの様子は?」
 外套を脱ぎつつ問いかけた声に、アイラが答える。
「今日は朝からずっと眠っております。エース様が御昼にいらっしゃいましたので、今はディナ様の御相手をしてくださっております」
「そう。わかった」
 そう言いながら、デーモンの寝室へと向かう。そして寝室のドアを開けると、アイラを振り返った。
「じゃあ、診察して来るから。エースに声掛けして貰っても良い?」
「畏まりました」
 そうしてゼノンはデーモンの元へ、アイラはエースの元へとそれぞれ向かったのだった。

 眠っていた意識が、ヒトの気配でふと現実に戻って来た。
 ゆっくりと目を開けると、後ろ手にドアを閉める姿が目に入った。
「…ゼノン…?」
「あぁ、起こしちゃった?御免ね」
 声をかけながら歩み寄って来たゼノンは、枕元の椅子に腰を下ろすと、手を伸ばしてデーモンの額に触れる。
「…少し熱があるね。声も酷いね。喉は痛い?頭痛とか、吐き気とか、御腹の調子は…?」
 そう問いかけながら、脈拍を診る。
「あぁ…喉は痛いな…頭も痛い。吐き気はないが…食欲はないな…」
「そう。ちょっと診せてね…」
 ゼノンの診察の間…デーモンは怠そうに目を閉じていた。そうして暫し。
「…うん。詳しい検査はした方が良いと思うけど、多分風邪だと思うよ。一応採血だけさせてね」
「あぁ…」
 やはり、気怠げな声。手早く採血を終えたゼノンは、再びデーモンの額と御腹の上にそっと手を置くと、ゆっくりと能力を送る。
「エース、来てるからね。今、ディナといるみたいだけど、直ぐに来るから。それまで少しだけエネルギー送るね」
 ゼノンの声に、目を閉じたまま小さく頷きが返る。
 時間にして五~六分。穏やかな寝息が聞こえて来ると、ゼノンも漸く安堵の息を吐き出す。
 デーモンの様子を見る限り…しんどそうではあるが、そこまで酷い状況ではない。ディナを産んで少し休んだものの、今は補佐たるサラのおかげもあって、定期的にだがちゃんと職務にも戻れている。それが基礎体力の向上に繋がっているのだろう。
 だがしかし。それでも安心は出来ない。今回のように初期対応が遅くなればなるほど、体力を消耗する。しかもエースが到着しているにも拘らず、ディナに手を取られてしまっている状態では、エネルギーの摂取も儘ならない。
 このところ執着が強くなったディナが、目下の悩みだった。何かしらの対策を取らない限り、生命の危機と背中合わせであることは否めないのだ。
 そんなことを考えつつ…再び溜め息を吐き出した時。ドアがノックされた。
『俺だが…開けても良いか?』
「どうぞ」
 返事を返すと、直ぐにドアが開いてエースが顔を覗かせた。
「悪かったな、呼び出して。休暇で雷神界に行ってたんだろう?」
「まぁ…でもライデンもわかってくれてるから、大丈夫だよ。それよりも、ちょっと時間かかったけど…ディナ、ごねてたの?」
 ゼノンが到着してから三十分弱。いつもならもう少し早く来るはずだが…と思いながら問いかけると、エースはゼノンの隣にやって来ながら、欠伸を一つ。
「丁度昼寝時でな。服掴まれて離れられなかった。やっと眠ったんだが…添い寝してると眠くなって困るな…」
「そうだね、気持ちはわかるよ」
 エルの時の教訓からか、きちんと父親をやっているエースの姿に苦笑する。
「…で、どうだ?デーモンの状態は…」
 眠っている顔を覗き込みながら問いかけた声に、ゼノンはデーモンに触れていた手をそっと放した。
「採血したから、これから検査するけど…多分、風邪だと思う。ただ、熱と食欲がない所為で、体力が消耗してる。体力回復の為に少し魔力送ったけど…もう少し早く診てあげられたら、デーモンも楽だったんじゃないかと思うよ」
 ゼノンが言わんとしていることは、エースにもわかっていた。
 本来なら、病魔を診ることが優先で、元気な子供は待っていて貰う。だが、一筋縄ではいかないディナである。エースもエルの時のトラウマが何処かに過るのだろう。つい甘やかしてしまうのだ。
 勿論、エース自身もそれを由としている訳ではなかった。
 眠っているデーモンの手に自分の手を重ね、小さな吐息を吐き出す。そして。
「なぁ、ゼノン…もし、この屋敷とウチの屋敷を繋ぐことが出来たら…デーモンの負担もディナの負担も減ると思うか…?」
「…繋ぐって…どう言うこと?魔法陣でも敷くつもり?」
 エースの意図していることがイマイチわからず、首を傾げるゼノン。
「いや、魔法陣だと、発動させるのに魔力が必要だろう?ディナも使うとなると、それじゃあ厳しい」
「じゃあ…」
「接点を、作ろうかと思っているんだ」
 そう言ったエースの横顔をまじまじと見つめたゼノン。
 空間を繋ぐ接点を作ることは、簡単ではない。勿論一時的に…なら出来ないことはないだろうが、それこそ高い魔力が必要となる。接点を固定するとなれば尚更のこと。
 そして何より…勝手に接点を作ることは、違法行為となる。エースもそれを知らないはずはないだろう。
 そう言わんばかりの表情を浮かべたゼノンに、エースは笑いを零した。
「そんな顔するなよ。勝手にやろうと思っている訳じゃない。ちゃんとダミアン様とデーモンの許可を得て、だから」
「でも、どうやって?接点の固定なんて、エース出来るの?」
 困惑の表情を浮かべて言葉を続けるゼノン。
「いや?流石に固定は無理だ」
「じゃあ…」
「いるだろう?空間繋げるのが得意な奴が」
 そう言われ…心当たりは一名しかいない。
「…ライデンにやらせようって言うの…?」
 溜め息と共にそう零す。幾らゼノンの伴侶だからと言っても、相手は一国の王。安易に頼んで良い相手ではない訳で。
 だがエースもそこまで無謀なことをやろうと思っている訳ではなかった。
「ライデンに直接やらせなくても、俺が教わってやれば良い。許可さえ取れれば俺が責任を持ってやるから」
「エース…」
 真っ直ぐにデーモンを見つめるエース。そう言えば…エースはこの話を始めてから一度も、ゼノンを視線を合わせていなかった。
 一つ、大きく息を吐き出したゼノンは…エースの横顔に問いかけた。
「…ねぇ、どうして?どうして、接点を作ろうと思ったの…?」
「…どうして、って…決まってるじゃないか。デーモンを…デーモンとディナを、護る為だ」
 未だに視線を合わせない。その胸の内にあるのは、一体何なのか。ゼノンもまだ、それを確かめられなかった。
 そんなゼノンを前に、エースは口を開いた。
「こことウチの屋敷を繋げば…自由に行き来出来れば、ディナだってどちらの屋敷と拘らずに育てることが出来る。今みたいに使用魔たちの手を煩わせることもなく、ディナ自身で居場所を選ぶことが出来るだろう?元々、どちらの屋敷でも慣れているんだ。だったら、その時ディナが居心地の良い場所を自分で選べば、彼奴のストレスも軽減されるんじゃないかと思う。それに俺も、仕事中はある程度仕方ないにしても…自分の屋敷にいる時に呼び出されても、直ぐに来ることが出来る。その分、デーモンの負担も軽くなるだろう?行き来の時間を極力減らせれば、遠慮なく傍にいられる。帰りが遅くなって、子供の寝顔しか見られないなんてこともなくなるだろう…?」
「…エース…」
「エルを育てる時に…そうしていれば良かったんだ。そうすれば…あんな想いさせなくても済んだ。今でもそれは後悔している。だからこそ…この先のことも考えて、接点を作りたいと思ったんだ。デーモンとディナを護る為に俺が出来ることを。理由を説明すれば、ダミアン様はきっとわかってくれる。ライデンだって…協力してくれるんじゃないかと…」
 そう言葉を零すエースの思い詰めた表情。
 ディナが不安でいることはわかっていた。エルのように溜め込むことをせず、頑なに自分の居場所を護ろうとしていたディナ。それをわかっていたから、エースも極力不安を和らげようと必死だったのだ。
 伴侶たるエースにそんな顔をさせる為に…デーモンの主治医でいる訳じゃない。それはゼノンの想い。
「…わかった。それなら直ぐに手筈を整えよう。ライデンには俺から話をしても良い。でもまず、御前はダミアン様に話をしておいで。その間、デーモンは俺が看てるから」
「ゼノン…」
 漸く、エースの視線がゼノンへと向けられた。
 その視線の先にあったのは…穏やかな微笑み。
「ほら、早いに越したことはないよ。ディナが起きたら、また手を取られるんだから。今のうちに行っておいで」
「……あぁ。デーモンのこと…頼むな」
「俺を誰だと思ってるの?歴とした医者だよ?雑用係じゃないんだからね」
 笑いながらそう返すと、エースも笑いを零した。
「そうだったな。じゃあ、行って来るから」
 頼もしい仲魔。それを実感しつつ、エースはダミアンの元に向かう。その背中を見送ったゼノンは、穏やかなデーモンの寝顔を眺めつつ、笑いを零していた。
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がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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