聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
Refrain of Love 2
こちらは、以前のHPで2000年7月16日にUPしたものです
3話完結 act.2
3話完結 act.2
「…で、どうする?」
リビングで一名、自棄酒を飲んでいるデーモンをそのままに、残りの三名はダイニングに集まっていた。
「取り敢えず、エースを引き留めないと。幾ら何でも、ちょっと放って置けないよね…」
困ったようにつぶやいたライデン。
「とにかく、エースの話を聞いて来る。理由が、はっきりしないとね」
そう言って、ルークは椅子から立ち上がった。
「じゃあ、俺たちはデーモンから話を聞こうか」
「そうだね、取り敢えず…」
「じゃ、健闘を祈る」
そして、それぞれの役割を果たすべく、行動を開始した。
「エース、いるんでしょ?」
ドアを軽くノックして声をかけると、鍵の外れる音がした。
「開けるよ」
そっとドアを押し開けると、エースは薄暗い部屋の中で、ドアの直ぐ傍の壁に凭れて立っていた。
「話…してもいい?」
問いかけるルークの声に、小さな溜め息が零れた。
それを了と取り、ルークは椅子を引き摺り寄せた。
「あんたも座んなよ。そのままじゃ、何だし…」
そう、声をかけると、エースはベッドの上に腰を下ろした。
するとルークは、徐にその口を開いた。
「あんたの初恋の相手って、どんなヤツなの?」
唐突な質問に、エースも面食らったらしい。
「どんな、って…」
「だから、例えば…美人だとか、可愛いとか…あるでしょ?」
「差し詰め、御前の言うこと全部」
「あのねぇ…」
まだ、エースの機嫌は悪いらしい。返答がそっけなく、いかにも仕方なく答えている、と言う感じを受けた。
「じゃあ…デーさんと、どっちが好き?」
「ルーク…」
「黙秘権はナシ。答えてよ」
「……」
尋問なら、お手のモノである。僅かに視線を動かしたエースの眼差しを捕え、ルークはその答えを待った。
溜め息と共に零れたエースの声に。
「エレナのことは、愛してる。だが、デーモンのことは…わからない」
「わからない…?」
ふと視線を動かし、エースはルークの眼差しから逃れた。
その顔は真剣で、とても冗談とは思えない。
「わからないって…デーさんの気持ちがわからない、ってこと?それとも、あんたの気持ち?」
奇妙な不安を胸に抱きつつ、そう問い返す。
「両方」
はっきりとそう言い返され、ルークも口を噤んだ。
エースの嫉妬は、今に始まったことではないとわかっているが…デーモンの気持ちもわからないとは。
「…だって…デーさんは、あんたのこと…」
「前は…な。だが、今はわからない。同じマンションの合い鍵を、俺と…彼女に渡した」
「…じゃあ、あの鍵は…」
デーモンが握り締めていた鍵。それが、全てのきっかけだったのかも知れない。
「何かの間違いじゃないの…?デーさんが、そんなこと…」
「でも現実、俺は彼奴のマンションで、彼女の逢った。俺を見下したように、自分は彼奴の彼女だ、ってきっぱり言い切った。それは、曲げようのない事実だ。何よりの答えになるだろう?」
酷く…胸が痛い。あの時の眼差しは、今だって忘れることが出来ない。
あの時…自分は一体、どんな顔をしていたのだろう。もしかしたら…嫉妬の眼差しを、向けていたのかも知れない。
大きな溜め息を吐き出したエース。その面前で、ルークも溜め息を一つ吐き出した。
「良く…話し合いなよ。痴話喧嘩で引き合いに出されるんじゃ、エレナだって迷惑じゃないの?」
「エレナは、わかってくれている」
エースの表情は、変わらない。だが、それが寧ろ、隠蓑なのだとルークは思っていた。
心の中の弱い部分を守る為の、エースの仮面。かつてのそれが、今また目の前にある。
「…エレナは、あんたを愛してるからでしょ?あんたは、それを利用してるんじゃないの?多分、エレナもあんたの気持ちには気がついてるよ。ただ、嫉妬してるだけだってことはね。狡いよ、あんたは。自分の気持ち隠して、他からだけ愛されようだなんて。それは、あんたの身勝手だよ」
そう言い放つルークの言葉を、エースはどんな気持ちで受け止めたのだろう。
ルークとて、嫌みで言っている訳ではない。純粋に、エースを案じているから。
だが、そこで素直になれないのは、またエースたるが所以である。
「…御前が…俺の立場だったら、頭を下げて有耶無耶にするのか?自分の都合で好きなように動かせる愛玩か?ペットか?」
冷静にそう返す声に、流石のルークも腹が立って来た。
思わず椅子から立ち上がり、エースの胸元に掴みかかる。
「馬鹿なこと言ってる場合じゃないだろっ!?何考えてんだよっ!デーさんがそんなつもりじゃないことぐらい、わかるでしょ?少しは状況を考えろよ…っ!」
ルークの感情を、エースはそのまま受け止めた。そして、小さな吐息と共に、掴みかかっているルークの手を、やんわりと引き離した。
「…俺は…捨て駒になるなら、彼奴を殺すからな」
「…エース…」
「出て行ってくれ」
静かな声に、ルークも反論出来なかった。
最早、自分たちの手には負えないのだと。
「…本気で、出て行くつもり…?」
思わず問いかけた声に、エースの小さな頷きが答えていた。
時同じ頃、リビングでは、デーモンを前にゼノンとライデンが、並んで座っていた。
そして、ことの真相を暴きにかかっていた。
「…御前らしくないね。マンションで鉢合わせだなんて…」
エースが怒っている状況がわかるにつれ、呆れた溜め息も零れる。
「だから、吾輩は知らないって言ってるだろう?吾輩が…エースを裏切るとでも?」
「そりゃ…御前の気持ちはわかるけど…」
媒体のプライベートには、口を出さない。その暗黙の了解を侵したのは…。
口を噤んだデーモン。その表情に…ゼノンは口を挟む。
「…どうして、わざわざエースに合鍵を?毎日、ここで顔を合わせるのに…」
「…別に、変な意味じゃない。ただ、彼奴が…御前等が、からかうって言うから…」
「だって、恋悪魔でしょ?そんなの、気にすることないのに」
けろっとした表情でそう言うライデンに、デーモンは溜め息を一つ。
「御前等はちょっと気にしろ。御前等があからさま過ぎてだな…」
「恥ずかしいの?変なの~」
「…ちょっと、黙ってようか…」
ゼノンも溜め息を一つ吐き出して、ライデンの口を押さえる。
まぁ…ゼノンとライデンの関係は確かにあからさまにいちゃついているのだが…無自覚なライデンとは違って、ゼノンは多少自覚はしていたのだろう。
「…そりゃ…ねぇ。他悪魔の目があるから、俺だってそんなにあからさまにいちゃついているつもりはないけど?キス以上のことは見せてないよ?」
「…他悪魔の情事なんざ、見たかないけどな…」
話の根本がずれていることに気がついたのか、ゼノンは咳払いを一つ。
「…まぁ、俺たちのことは置いといて…エースはあぁ見えて照れ屋だからね、気持ちはわかるけど…御前も、はっきりしない何かがあったんじゃないの?エースが、不安に思う何かが」
「……」
「…少なくとも…部屋の鍵は、渡すべきではなかった…と思うよ。"小暮"のプライバシーに、半分足を突っ込んでるようなものでしょ?そこは、きちんと線引きをするべきだった。"ここ"はある意味…そう言う意味で必要な場所じゃないかと思うんだけど…」
「…そうだな…それは…反省してる」
小さくつぶやき、デーモンは握り締めていた手を解いて、掌の鍵を見つめた。
何の為に…自分は、これをエースに渡したのだっただろう…?
そう考えるにつれ…エースの言った言葉が甦って来る。
----俺は…あんたの愛玩じゃない。
そんなつもりは、毛頭ない。あるはずがない。それなのに…エースに、そんな想いを、植えつけてしまった。何よりもそれは、自分の責任。
俯いて、大きな溜め息を吐き出すデーモン。その姿に、ライデンは小さく問いかける。
「エースのこと…愛してるんでしょ…?」
「…当たり前だろう?」
「だったら、素直に謝った方が良いよ」
ライデンの言葉に、デーモンは再び大きく息を吐き出す。
デーモンが酷く落ち込んでいるのはわかる。それに追い討ちをかけるつもりはないのだが…
「…俺さぁ…自分がそうだから言う訳じゃないんだけど…ゼノンのこと、大好きだし…誰よりも愛してる。誰よりも信じてる。でも…それでも、不安な時はある。だから俺は、はっきりゼノンに言うよ。でもエースは、それを言えないんだよ。不安で…怖くて…でも、溜め込んじゃう。だから、こうして爆発しちゃったんでしょ?ホントは、誰よりもデーさんを愛していて、誰よりも信じてる。鍵を受け取った、ってことは…嬉しかったんだよ。誰も、そこに入れない。自分とデーさんだけ。そんな想いを壊されて…苦しいんだと思うよ」
「…ライデン…」
そこにあるのは、真剣に自分を見つめるライデンの眼差し。
「俺は…デーさんが、彼女に鍵を渡してない、って言う言葉を信じるよ。だって、エースに鍵渡してるんだもん。そんな不条理なこと、デーさんはしない。俺はそう思う。でも…エースが出会ったのも事実なんだったら…やっぱり、彼女は鍵を持ってたんだよ。デーさんが渡していなくても、持っていた。それは事実なんだから…鍵の管理者であるデーさんが謝らないと」
「…そうだな…」
胸が痛いのは…みんな同じこと。
暗い雰囲気で、みんなが溜め息を吐き出した時。
「…何ここ…お通夜でも始まる訳…?」
呆れた溜め息と共に聞こえたルークの声。
「エースはどうだったの?」
そう問いかけたゼノンの声に、大きな溜め息が零れる。
「全然駄目!初恋の相手じゃ、俺の手に負えない。やっぱり、エースを留められるの、デーさんだけみたいよ」
ぼやきながら、ルークはデーモンの隣へと座った。
そして。
「ねぇ、デーさん…エース、待ってるよ、デーさんのこと。あのエースが、あんなにムキになってさぁ…あんたの気持ちを確かめようとしてるんじゃない?今しかないよ」
デーモンの様子を伺うように、そう問いかけてみる。
エースを留められるのはデーモンだけであると言う確信が、そこにあった。
暫く口を噤んでいたデーモンであったが、やがて小さな溜め息と共に、ゆっくりと口を開いた。
「…わかった。ちゃんと、話をして来る」
その言葉に、誰もがほっと安堵の吐息を吐き出す。
「じゃあ、急がないと。手遅れになる前に」
「こら、ルーク…っ」
ルークはデーモンをソファーから立ち上がらせると、背中を押してエースの部屋へと向かった。
エースは、自室にいた。
暗い部屋の窓辺に凭れたまま、開け放った窓の外をぼんやりと見つめていた。
エレナの所に行く準備は、もう整っている。後は、エレナが迎えに来るのを待つのみだった。
そんなエースの耳に、小さなノックの音が聞こえた。
「エース…聞こえて、いるんだろう?」
それは紛れもなく、デーモンの声。
返事をしないエースだったが、デーモンの声はそのまま続いた。
「その…彼女のことは、悪かった。だが、吾輩も本当に知らなかったんだ。それだけは、信じてくれ。吾輩は…御前に、嘘は付かない」
ドア越しに聞こえる声に、エースはデーモンがどんな顔をしているのかも想像が付いていた。
何が真実かは…もう、どうでも良いのだ。
疑ったのは、自分。そして…切り捨てようと思ったのも、自分。
何よりも許せないのは……そんなカタチでけりをつけようとした、今の自分。
「もう遅いって、そう言ったら…御前は俺を、忘れられる?」
「エース…?」
怪訝そうな声。エースの質問の意図を、考えあぐねているのだろう。
暫く、無言が続いた。多分、このままもう暫く待っていれば、デーモンの答えは聞けるだろう。
だが、デーモンの答えを聞く前に、時間が来てしまった。
「タイムリミット。エレナが、迎えに来た」
「エー…っ」
咄嗟に、言葉が出て来ない。思わずノブに手をかけたが、それは開かなかった。
「ドアは封じた。じゃあ…な、デーモン」
「エース!」
エースの、意図するところがわからない。何を、考えているのかも。
ただ…このまま放っておいたら、本当にエースはいなくなる。
「エース!」
もう一度、名を呼ぶ。だが、答えはない。
ドアの向こうから、明らかにエースの気ではないモノを感じることが出来た。
暖かい…大きな気配。それが多分、エレナなのだろう。
エースの、初恋の相手だと聞いた。
今まで、エースの心を捕えて離さなかった存在。そんな存在があったことすら、気がつかなかった自分が、酷く愚かに思える。
「…吾輩だって、初恋だ!馬鹿野郎!」
苛立ちに任せて高めた気は、常のデーモンでは考えられない程大きかった。そして、その気を溜めて、一気にドアにぶつける。
「いい加減にしろ、この馬鹿が…っ!!」
その叫び声と共に、ドアは壊れ、部屋の中が視界に入った。
エースの、背中が見える。思わず振り返っている顔には、困惑の色が見えた。
「吾輩の…吾輩の話を聞け!誰が、御前を行かせると言った!?誰がそんなこと認めたんだっ!?一体誰がっ!?吾輩は、認めた覚えはない!」
「……」
悲鳴のような声。
「行くな、エース…」
それが、想いの全てだったのかも知れない。
その想いを感じ、口を開きかけたエースであったが、その身体は、既にエレナの気に包まれていた。
後戻りは、もう出来なかった。
異様な状況に慌ててやって来た三名も、デーモンの後ろで息を飲んで状況を見つめていた。
だが、タイムリミットだと言うことは、感じていた。それでも、まだ間に合うかも知れないと言う気持ちは、抑えられなかった。
「デーさん!エースを留めてよっ!!早く…っ!!」
悲鳴のような、ルークの声に、デーモンは我に返った。
「エース…っ!!」
差し伸べた手。その先のエースの身体は、もう半分は消えかけている。
それでも…想いは、留められない。
「デー……」
はらりと、エースの頬に流れた一雫。
エースが、その手を差し伸べた瞬間、光が弾けた。
エースとエレナの気配は、もう部屋の中になかった。
「あ……ああぁぁっ…!!!」
デーモンの、悲鳴が響いた。
「デーさん…」
傍に寄って来たルークが、そっとデーモンを支えていた。
だが、伝える言葉も見つからない。
エースに差し伸べたその手をきつく握り締める。
その手は…間に合わなかったと言う絶望で一杯だった。
「…吾輩が愛してるのは…御前だけ、だ…エース…」
届かなくても…伝わらなくても…その想いを、伝えたかった。
もう…ここにはいない、最愛の悪魔へ。
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プロフィール
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如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
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がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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