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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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あらしのよるに 1
本日UPの新作です。
こちらは、今年の『夏恒例アンケート』の際に、某様よりリクエストいただいたものです。
とても長くなってしまったので、分割しました…(了承済みです/苦笑)
リクエスト内容は、最終UPで。
3話完結 act.1

拍手[3回]


◇◆◇

 ここ数万年…少なくとも、雷帝が伴侶を得てから今までの間、実に平穏だった雷神界。
 それは、情勢もそうだが、気候としても非常に安定しており、自然を司る雷帝の能力の安定さを表しているかのようだった。
 実に、平穏。
 だが…その平穏さ故に…災害に対する備えのまさかの不備に、誰も気付いていなかった。

◇◆◇

 このところ、少し天気が悪い。
 例年ならば、同じ時期は余り天候が崩れることがないのだが…この年は天気の悪い日が続いていた。
 その日は朝から強い雨。そして風も強い。そんな日は、どうも落ち着かない。  職務の間に窓から外を眺めていた雷帝たるライデンは、その不穏な雲行きに眉を顰めていた。
「また風が強くなって来たね…」
 思わず零した言葉に、側近たるロシュが口を開く。
「町の方も森の方も、今のところ問題はありません。備蓄も十分ですし、安全に対する対策も連絡が行っているはずです」
 務めて冷静にそう言葉を発するロシュに、ライデンは溜め息を一つ。
「そりゃね、わかってるよ。でもさぁ…」
 有識者の見解では、数万年ぶりに大きな嵐が来るかも知れない、との報告も来ている。勿論、自然を司る雷帝だからと言って、その自然現象を故意的に操作することは許されず…黙って見守るしかなかった。
 だが…そこに、漠然とした不安があるのは…彼が、雷帝だからなのだろうか。
 時計に視線を向ければ、昼を過ぎたばかり。きっとこれからもっと雨風は強くなる。
「夜には酷い嵐になりそうだから、今から十分警戒しておいて」
「…御意に」
 そんなに心配しなくても…と言わんばかりの表情で答えたロシュ。だが、そう指示されたからには、きちんと対応しなければ。
 そうして、王宮の中も城下町への対応も諸々準備万端整える。これで大抵の嵐なら十分対応出来る。それは、長年経験して来て確認済み。
 そう、誰もが思っていた。

 同じ日の夕方。こちらは魔界。
「今日は嫌な天気だね」
 窓から外を眺めつつ、そう零したのはルーク。
「そうだね。荒れ模様になりそうだ、って聞いたから、早めに帰った方が良いかもね」
 そう言いながら、こちらも窓から外へと視線を向けるゼノン。
「魔界もそうだが、雷神界の方はもっと酷くなるらしいぞ。向こうに行かなくても大丈夫なのか?」
 机の上の書類を片付けながらそう言葉を零したのは、この執務室の主であるデーモン。書類を届けに来たルークとゼノンが偶然執務室で顔を合わせた訳で、取り立てて珍しいことでもなかった。
「雷神界は大丈夫だよ。元々こっちよりも天候が崩れることが多いから、準備も万端だろうしね。下手に近づくと、向こうの警備の邪魔になるから。後で状況確認の連絡だけ入れてみるよ」
「そうだよね。自然現象に対しては、雷神界の対応は魔界よりも優れてる、って言うからね。王宮だって、いざと言う時には防衛結界が作動するようになってるんでしょ?だったら問題ないでしょ」
「らしいね。災害対策には優れてる、って聞いたことはあるから」
 ゼノンとルークの会話を聞く限り、うっかり手を出さない方が良いと言うことは理解出来る。
「そう、か。まぁ、御前たちがそう言うのなら大丈夫だろう」
 雷帝の伴侶たるゼノンと、頻繁に雷神界に遊びに行っているルークがそう言うのなら、恐らく問題はないのだろう。
 今までそうして安全を護って来たのだから、そこに疑うものは何もない。デーモンもそう納得する。
「さて、吾輩は終わったぞ」
 書類を片付け終えたデーモンは席を立つ。
「俺も仕事片付けて来たから直帰。ゼノンは?」
「俺も直帰。エースは?まだ執務室にいるの?」
 問いかけた声に、デーモンは首を横に振る。
「いや、今日は外回りだ。早く帰るとは言っていたが…」
 心配そうに窓の外へと目を向けるデーモン。雨風は、ルークやゼノンが来た時よりもかなり強くなっている。
「一応、連絡は入れてみる。御前たちは先に帰って良いぞ。吾輩は大丈夫だから」
 そう言って、再び椅子へと戻るデーモンの姿に顔を見合わせるルークとゼノン。
「そう…?でも…待ってる?」
「…そうだね、念の為、ってこともあるからね」
 どうにも、すんなりと帰る気になれず…結局、ルークとゼノンももう暫く居残ることとなった。
 彼らがソファーへと腰を落ち着かせている間に、デーモンがエース専用の携帯用回線へと通信を飛ばしていた。
 そうして待つこと暫し…漸く通信が繋がった。
「大丈夫か?今何処にいるんだ?」
 問いかけたデーモンの声に、画面の向こうのエースは渋い表情。
『何処、って…今局に着いたところだ。執務室に切り替えるから待ってろ』
 そう言うと、回線が切れる。そしてそのまま待っていると改めて、エースの執務室から通信が届いた。
「エース、御疲れ。外回り大変だったな」
『ゼノン、そこにいるか?』
 声をかけたデーモンをよそに、エースはそう問いかける。
「あぁ、いるが…ちょっと待ってろ」
 名指しされたゼノンは、デーモンの背後から顔を覗かせる。
「外回り御疲れ様。俺に何か用があった?」
 呼ばれた理由がわからずに首を傾げたゼノンだが、画面のエースは相変わらず渋い表情のまま。
『雷神界との回線が切れたらしい。ウチの局から御前の執務室に連絡を入れていたらしいんだが、繋がらないってリエラに言われてな。御前、ライデンから何か聞いているか?』
「…あぁ、御免ね。暫くここにいたから…ライデンからは何も聞いてないけど…いつ切れたの?」
 思いがけない話に、当然ゼノンも眉を顰める。
『二時間ぐらい前かららしい。定期連絡が入らなくてわかったみたいだ。天界からも、定期連絡がないとの連絡があったらしい』
「…そう…」
 天候や諸々の災害に備え、定期的に魔界、天界に連絡が入る。中立らしく分け隔てなく、何かあれば助け合う。そんな雷帝の意思に基づいての定期連絡なのだが…未だかつて、その連絡が途絶えたことはなかった。なので、それが異常事態であることは明確。
 雷神界に、何かが起きている。そう考えるのが普通だろう。
「回線が切れたぐらいなら、重大な何かがあったかどうかはわからないけど…念の為、様子見て来ようかな…向こうの方が大変みたいだから、簡単に身動き取れないだろうし」
 心底心配して…と言う感じではなかったが、連絡が取れない以上、これから何かあっても知らなかったで終わっても困る。ゼノンのその心配は、伴侶としては当然の結果だった。
『あぁ、御前が行けるのならそれが一番安心だ。念の為だろうが、行った方が良い』
 画面の向こうのエースの方が、ゼノンよりも心配そうで。
「今デーモンのところにいるから、ダミアン様のところにも直ぐに行けるから。これから雷神界に行ってみるよ。連絡有難うね」
 ゼノンのその言葉に、エースは小さく頷いた。
『あぁ。俺は今日はまだ局にいるから、原因がわかったら連絡しろよ』
「うん、じゃあ、また後で」
 そう挨拶をして、通信は切れた。
「…と言うことだから、俺は雷神界に行って来るよ」
 ゼノンの背後から通信画面を見ていた二名を振り返り、そう声をかけたゼノン。
「一緒に行こうか…?」
 心配そうに声をかけたルークに、ゼノンは首を横に振る。
「大丈夫。向こうに行ってみて、必要だったら連絡するから。それからでもきっと大丈夫だよ」
「…そう?」
 それでも、何処かに不安が残る。そんな表情を見せるルークの肩を叩き、デーモンが声をかける。
「一応、待機はしておこう。後はゼノンの連絡を待って動けば良い。エースも局で控えているんだ、心配いらない」
「…うん…」
 デーモンの言葉に、ルークは大きく息を吐き出した。
「向こうはこっちよりも荒れてるみたいだから、気を付けて」
「うん、有難う。じゃあ、後は頼むね」
 ルークの声にそう言葉を返し、ゼノンは執務室を出て行った。

 大魔王の執務室に赴き、事情を説明し、雷神界に行く許可を得たゼノンは、雷神界との接点を繋いであるドアの前に立っていた。
 その背後には、ダミアンの姿。
「手が必要だったら、遠慮なく声をかけるようにライデンに伝えておくれ」
 ゼノンにそう声をかけたダミアンを振り返り、ゼノンはにっこりと笑みを返す。
「有難うございます。伝えておきます。では…行って来ます」
「あぁ、気を付けて」
 ダミアンに見送られ、そのドアを開けたゼノン。だがその瞬間、目を見開いて息を飲んだ。
「……え?」
「…どうした?」
 尋常ではないゼノンの様子に、ダミアンが思わず声をかける。だがその直後、その状況を理解した。
「…接点が外れてる…」
 零れたゼノンの声。
 本来なら、ライデンが魔界と雷神界の接点を繋いでくれていたので、ドアを開ければそこは雷神界。王宮の一室に繋がっているはずだった。
 けれど今は、何もない。ドアの先は壁。つまり、雷神界とは繋がっていないことが明確なのだ。
「完全に外れているね。こうなったら、ここから雷神界に行くのは無理だね…」
 現状を確認したダミアンも、眉を顰めている。
「回線も切れて、接点も外れてしまっていると言うことは、天界とも同じ状況だと考えられるね。そうなると、雷神界は…この嵐の中、完全に孤立している、と言うことか…」
「…そう言うこと、ですよね…」
 心配そうに眉を寄せ、溜め息を吐き出すゼノン。
 何事もなければ良いのだが、この状況から考えても、何事もないはずはない。
「ここが使えないとなると、後は自力で転移していくしかないだろうが…」
「…そうですね。様子がわからないので、とにかく行ってみます」
 ドアを使わず、転移で雷神界に行ったことは何度もある。それこそ、ライデンが雷帝を継ぐまでは、魔界、天界共に接点を作っていなかったはず。その度に転移で雷神界に向かっていたのだから、その手段を使えば良いだけの話。
 そう思いながら、ダミアンが見守る中、ゼノンは雷神界のライデンの気を探す。
 だがしかし。
「…どうした?」
 いつになく手間取るゼノンの姿に、ダミアンは再び声をかける。
 いつもなら、簡単に見つかるライデンの気が、どうしても捕らえられない。当然、ゼノンも困惑している。
「…見つからないんです。まるで…シャットダウンされているみたいで…王宮の中の気が、全く、感じられないんです…」
「…シャットダウン、か…」
 考えるように腕を組み、片手の指先で神経質そうにその唇をなぞる。
「シャットダウンと言うことは、防衛結界が作動している可能性があるね。ならば、回線が切れたり接点が外れたりしたことも含め、辻褄は合う。だがそうなると、簡単なことではないだろうね。まぁ、雷神界に行く方法がない訳じゃない。ライデンがこのドアを繋げるまでは、元々王宮と直通ではなかったからね。王宮に直接転移していくのも不躾だったから、遠回りはしていたね。今回もそれなら行けなくはないだろうが…この嵐だからね、御前も危険と背中合わせになる。現況を考えれば、行って来いとは言い難いが…」
 確かにダミアンの言う通り。流石に、気軽に様子を見て来いとは言い難い。だが、それはダミアンの立場からは、と言うことであって…ゼノン自身にとっては、選択肢は一つしかなかった。
「遠回りだろうが何だろうが、行きます。今すぐに」
「ゼノン…」
 即断のゼノン。ダミアンにしてみれば、その選択は想定内ではあったが…一切躊躇わず、臆することのない姿に、小さな溜め息を一つ。
「まぁ…慌てるな。ロクに準備もせずに飛び出して行っては、向こうにも迷惑をかけることにも成り兼ねないんだ。御前の事だ、行くなと言ったって聞かないだろうから留めはしないが、準備は整えて行かなければね」
「…準備…」
 そう言われ、ハッと我に返る。
 着ているのは、いつもの文化局の制服。デーモンの執務室に来た時は雨はまだ殆ど降ってはいなかった上に、雷神界まで直通だと思っていたので、羽織っているのは薄い外套のみ。到底、雨を凌げるものではないし、風に煽られたらひとたまりもない。その状態で出歩くのは、確かに無謀だろう。
「デーモンはまだ執務室にいるのだろう?ならば一旦戻って、必要なものを借りておいで。自分の執務室に転移して戻るより、時間も魔力も節約になる。こちらも向こうも、これからもっと荒れ模様になるのだから、準備はしっかりね。そこは急がば回れ、だよ」
 ダミアンのその言葉に、ゼノンは溜め息を一つ。
「…御意に…」
 ダミアンの言う通り。ここは、きちんと準備を整えてから出直すしかない。それが、自身の身を護る為にも必要なこと。
「準備が整い次第、デーモンの執務室から出発します。エースも局に控えていてくれているので、向こうについて何かわかればそちらに連絡を入れます」
「あぁ、わかった。気を付けて行くんだよ」
「はい」
 ダミアンに頭を下げ、ゼノンは踵を返してデーモンの執務室へと引き返して行った。
 せめて、無事に帰って来られるように。
 溜め息と共にその背中を見送ったダミアンは、そう願うことしか出来なかった。

◇◆◇

 こちらはデーモンの執務室。
 ゼノンがダミアンの執務室に行ってから、三十分ほど。まだ、何処からも連絡はない。
「ゼノン、無事に雷神界に着いたかな…」
 窓から外を眺めながらつぶやいたルークに、机に向かって仕事をしていたデーモンが言葉を返す。
「エースからも連絡はないしな…無事についても回線が修復するまで時間がかかるのかも知れないしな。ただ、出発の連絡もダミアン様から届かないことが気になるんだが…」
 通常なら、一言ぐらい連絡は来る。だが今日はそれもない。それが非常に気がかりだったのだが…そんなことを考えている間に、ダミアンから連絡が入った。
『雷神界との接点が切れて、ドアは使えなくなっている。転移も王宮から断絶されているようで入れない。遠回りをする必要があるので、御前のところで準備を手伝ってやってくれ。もう直着くはずだから』
 口早にそう告げたダミアンに、デーモンもルークも息を飲む。
「断絶、って…一体どういう…」
『それはわからない。ゼノン曰く、シャットダウンされているような感じで、ライデンの気が見つからないどころか、王宮の中の気を全く捕らえられないそうだ。防衛結界が作動している可能性も高い。とにかく嵐の中必然的に遠回りで行かざるを得ない』
 神妙な表情のダミアン。そしてデーモンもルークも、同じ表情をしていた。
『御前の執務室がわたしのところから一番近いだろう?無駄に時間と魔力を費やすより、御前のところで必要なものを貸してやれば直ぐに行けるだろう?冷静な顔していても、連絡が取れなくなって結構慌てているみたいだから。協力してやってくれ』
「それは構いませんが…」
 嵐の中を行くのなら、レインコートとレインブーツだろうか…と考えつつ、デーモンが準備の為にその場を離れると、ルークが代わりに画面の前へとやって来る。
「エースも局で待機しているはずですけど…もしまだ伝えてないなら、俺が連絡入れておきますが…」
『あぁ、頼むよ。わたしもまだ帰れそうにないものでね。ゼノンのことも頼むよ』
「御意に」
 そう言って、通信は切れる。誰もが困惑気味。そして、溜め息しか出て来ない。
 デーモンの準備が整う頃、執務室にゼノンが飛び込んで来た。
「あの…っ…えっと…」
 慌てて走って来たのだろう。息を切らし、言葉も儘ならない。だが、ダミアンから連絡が入っていたので、出迎えたルークも慌てずに対応する。
「ダミ様から聞いてるから。今デーさんが準備してくれてるから」
 そう言った直後、両手にコートとブーツを抱えたデーモンが戻って来た。
「あぁ、ゼノン。これ使ってくれ。サイズは大丈夫だと思うんだが…」
 そう言いながら、呼吸を整えるゼノンへと荷物を渡す。
「…御免ね、有難う」
 御礼を言いながら、準備を整える。デーモンが心配していたサイズも問題はない。
 その準備を横目に、ルークがその床に魔法陣を敷いていた。
「あんたもこれから大変なんだから、余力残しときな。俺が送ってやるから。直通は出来ないんだよね?だったら、なるべく近いところに…」
「…有難う。何から何まで…」
 レインコートにレインブーツ。すっかり準備を整えたゼノンは、ルークが敷いた魔法陣の中へと足を踏み入れた。
「気をつけてな。状況が落ち着いたら連絡しろな」
「うん。じゃあ…行って来るね」
 実に慌ただしく…ゼノンはルークの敷いた魔法陣で、転移をして姿を消す。
「…大丈夫だろうか…」
「まぁ…そう思いたいけどね…」
 その姿を見送り、溜め息を吐き出すデーモン。ルークもまた、不安そうな表情を浮かべていたのだった。
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