聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
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最後の晩餐 2
雷神界にいるゼノンとライデンに今の状況を説明し、暫く雷神界に留まっているようにと告げて戻って来たルークは、約束通りにエースの執務室にいた。
勿論、ゼノンもライデンも心の底から留まる決心をした訳ではない。だが、雷神界の後取りと言う立場にあるライデンを魔界で起こったいざこざに巻き込む訳にはいかず、その見張りとしてゼノンをそこに留まらせて置くと言う手段を取ったのだ。
ルークはソファーに深く腰を降ろして、溜め息を吐く。
「…デーさん…大丈夫かな…」
未だ処罰の決まっていないダミアンの身は、早急にどうなるものでもないだろう。ただ、処罰を受けたデーモンの状態が気がかりで。先程から待ち侘びているエースがなかなか戻って来ないことも、ルークの不安を更に倍増させていた。
「様子…見て来ようかな…」
心配になったルークは窓を開けると身を乗り出し、辺りを見て来ようかとその翼を広げた。
刹那、遠くの眼下に、隠れるようにして身を潜める姿が目に止まる。それも一名ではなく…軽く十名はいるだろうか。
見張られていた。咄嗟に、その言葉が過ぎる。
慌てて窓を閉めたものの、それは既に手遅れで。
「どちらへ、行かれる?ルーク参謀」
「…っ」
ギクッとして振り返れば、いつの間にか開け放たれたドアの傍にターディルがいる。その後ろには、完全にルークが動き出すのを待っていたと言わんばかりの兵士たち。
「ほほう。それが噂に聞く、神の産物、か」
ルークの背に広げられた真白き翼に、ターディルは嫌らしく笑いを零す。
----謀られた…
それは、瞬間の判断。謀反魔として狙われている状況の中、ターディルはルークが堕天使としての証であるその翼を現すのを待っていたのだろう。その証拠に、ターディルの視線はルークの背中に注がれたままである。そしてその懐から一枚の紙を取り出し、ルークの前に広げる。
「ルーク元軍事局総参謀長。貴公は前副大魔王の片腕として地球任務に参加し、天界軍に加勢して魔界への反逆を企てたものとして、その地位を剥奪する旨を通達する。その真白き翼が、天界との繋がりを持つ何よりの証拠だ。まぁ、聞かなくてもわかっていただろうがな」
「……」
ルークは、ターディルを睨み付けた。
こんなにも早く、自由が奪われてしまうとは…
「俺を捕らえて、どう処罰しようって訳?」
あくまでも冷静にそう尋ねてみたが、答えは聞くまでもない。神の産物であるこの真白き翼。堕天使の証がルークの背にある限り、ターディルはルークを逃しはしないだろう。
"それ"を、切り落とすまでは。
「捕らえろ」
その一声に、ターディルの背後にいた兵士たちが動き出す。だがエースに会うまでは、ルークとてそう簡単に捕えられる訳にはいかないのだ。
逃げなければ。何としても、エースに連絡を…
その一念が、ルークを動かしていた。咄嗟に身を翻し、窓を開けて外へ飛び出す。
「逃がすな、追えっ!」
翼を羽ばたかせて空へ飛び出したルークを追いかけ、兵士たちも空へ羽ばたく。その翼は、皆一様に黒。
----エースっ!
ルークは精一杯の精神波をエースに飛ばす。
もし逃げ切れなくて捕まったとしても、残留波でそれを察して欲しい。そんな想いを込め、強く精神波を飛ばした。だが、エースがルークの精神波を捕らえる前に、兵士の放った魔力がルークの翼を直撃した。
「…っ!!」
翼の自由が利かなくなり、ルークは真っ逆さまに地に叩き付けられる。
「…ぐぁっ…」
勢い良く叩き付けられたショックで、呼吸も満足には出来ない。そんな状態のルークは、あっと言う間に捕えられてしまった。
「我等の命に背くとは、良い度胸だ。だが、それは生命取りになるのだぞ、ルーク」
そう言ってほくそ笑むターディルの前、身体を押さえ付けられたルークに、その宣告は下された。
「切れ」
「……っ!」
ルークが目を見開いた刹那。
「ぐあぁぁーっ!!」
背中に激痛が走り、急激に意識が遠退く。熱いそれは周囲に飛び散り、背中を伝って流れ落ちる。
---- …エー…ス……ごめ……
呼びかけても、エースからの答えは返って来なかった。
ルークの意識は、エースの答えを待たずして落ちた。
「連れて行け」
ターディルの無情な言葉も、その耳には届かなかった。
エースがその精神波の破片を拾ったのは、王都まで後僅かと言う場所。
「…ルーク?」
奇妙な不安が、エースの胸を過ぎった。
ルークが、呼んでいる。いや、助けを求めている。
そう確信したエースは、ルークの精神波が流れて来た方向に進路を変え、限界の速度でそこへ向かった。
辿り着いた場所に、姿はない。残されていたのはまだ新しい大量の血痕と、その血に塗れた片翼の真白き神の産物。
「ルーク…」
それは、ルークのモノに間違いはなかった。
----間に合わなかったか…
チクリと、エースの胸が痛む。あの精神波は、エースを呼んでいた。それなのに、間に合わなかった。それが何よりも辛くて。
エースは、ルークの身体から切り離された翼を、両の腕でしっかりと抱き締めた。
「待ってろ、ルーク」
後ろ髪を引かれる想いに、いつまでも浸っている時間はない。ルークまで捕らわれた今、エースにも残された時間はないのだから。一刻の猶予も許されず、エースは再び情報局へと向かった。
ルークの翼を携えて局に戻って来たエースを、副官のリエラが出迎えた。その表情は今の現状を良く知り得ているのであろう。不安そのものと言った感じだった。
「…エース長官…」
血に塗れたルークの翼をその視界に留めたリエラは、悲痛そうな表情でエースの名を呼んだ。
「ルークが捕えられた場所は?」
エースは、そう切り出す。
「いえ…局の方には、何の情報も…」
「…そうか」
つぶやいたエースの声が、リエラの不安を更に煽ったようだった。更に悲痛さを露にしたリエラに、エースは宥めるかのように声をかける。
「案ずるな、リエラ」
「しかし…」
「捕えられた者たちは、俺が必ず助ける。だから、御前たちは手を出すな。良いな」
エースが局員たちに迷惑をかけまいとしているのは、リエラにもわかっていた。だから、その有無を言わさぬ口調にも、従うことが出来なかった。
「…従えません」
「何だと?」
一瞬にして変わった、リエラの表情。今までエースの命に背いたことのなかった忠実心の塊だったリエラの、それは初めての抵抗だった。
「…御前たちまで、ターディルに従うのか?」
問いかけたエースの声に、リエラの表情がすっと暗くなる。一転して変わった、哀しげな表情。そして、その首を小さく横に振った。
「案じているから、です。エース長官を」
「……」
「先程…ターディル様より辞令がありました。エース様とゼノン様の御位を剥奪するとのことでした。それをわかっていながら、護衛も付けずに貴方様を一名で行かせられると御思いですか?」
リエラの言葉に、エースは溜め息を一つ。自身のみならずゼノンの身分までも剥奪されたとあっては、最早闇雲に動き回ることは出来ない。しかし、だからと言って…
「俺に関わらなければ、御前たちの身は安全だ。俺たちの身分が剥奪されているのなら、尚更だな」
「…納得、出来ません」
リエラはエースから視線を背けず、言葉を返す。
「出来なくても、納得しろ」
「出来ないものは、出来ませんっ!」
「リエラ…っ!」
声を張り上げたエースの前、リエラの瞳から零れ落ちた輝き。それに、エースは思わず口を噤む。
「わたくしたちには…貴方様方の失脚を、指を銜えて見ていることしか、出来ないのですか…?他の局員はともかく…副官であるわたくしでさえも、貴方様の為には何も出来ないとおっしゃるんですか…?」
「…リエラ…」
必死に訴えるリエラに、エースは胸の奥が痛んだ。
「御前たちを…巻き込むことは出来ない。気持ちは嬉しいが…これは、地球任務に関わった俺たちだけの問題だ」
「…エース長官…」
エースはリエラの肩にそっと手を置くと、小さく微笑んだ。
「大丈夫だ。俺たちは、そう簡単に殺されたりしない」
「…そう、願います…」
リエラの頬に伝わる涙を指先でそっと拭ってやり、エースはその腕のルークの翼を抱え直した。
「これから、雷神界に行って来る。戦いはそれからだ。だから、それまでは心配はいらない」
「戻って…らっしゃいますよね?」
「あぁ」
「…御待ちしております。何卒、御無事で…」
「わかってる」
微笑みを残し、エースは情報局を後にした。
ターディルの手下に見つかることもなく、エースは無事に雷神界へとやって来た。
「…エース様、御無事でしたか」
エースとゼノンの失脚の情報は既に届いていたらしく、エースを出迎えたライデン付きの官吏である彼は、何処かほっとしたような表情を浮かべていた。
「フィード、ゼノンはいるか?」
彼…フィードにそう尋ねたエースは、彼の返事を聞く前に現れた仲魔の姿に目を留めた。
「あぁ、ゼノン。丁度良かった。話があるんだ」
「…そう。俺も…ね」
重い声で答えたゼノン。その声で状況を把握したのだろう。ゼノンとエースに一礼して、フィードは神殿の奥へと消えた。
「こっちで話そうか」
すっかり勝手知ったる神殿の中を、ゼノンはエースを促して進んで行く。
やがて、書斎の一室にエースを促したゼノンは、エースがずっと抱えていた翼に視線を向ける。
「それ、ルークの…だよね?」
「あぁ。俺がルークの精神波を拾って、辿り着いた時にはこれだけが残されてた。ルークがここから戻って直ぐだ」
「そう…」
僅かに表情を曇らせたゼノン。
「これから…どうするつもり?俺たちも身分は剥奪された訳だし…このままじゃ、捕まるのも時間の問題だよ」
「そう簡単に、捕まってたまるか」
「でも、ターディルは容赦しないよ。それは、今までの状況でわかってるはずだよ?今度は御前が狙われるってこと、わかってるでしょ?」
エースを見つめるゼノンの眼差しに、表だって現れているのは不安。
「…俺、ここに来る前から…嫌な予感がしてたんだ。夕日が嫌に緋くて…夕日だけじゃない。月も緋くて、血の色みたいだった。悪いことが起こらなければ良いと思っていたんだけど、その結果がこれだよ」
----もっと早く、気付いていれば…
小さくそう零したゼノンの、それは後悔の念。
エースの邪眼でさえも、先の未来まではわからない。勿論それは、どの構成員についても同じである、だから、ゼノンだけが後悔の念に刈られる必要はなかったのだ。
ただ他悪魔よりも早く、その事態に気付き始めていただけで。
エースは溜め息を一つ。そして、ゼノンにルークの翼を渡す。
「これは…もう、戻らないだろう?」
「戻らないって…ルークの背中に?」
「あぁ」
手渡された翼に視線を巡らせ、ゼノンは呼吸を一つ置いて、その答えを返す。
「多分…無理だね。切り落とされた翼を元に戻すなんてことは…未だ嘗て、聞いたことがない」
ゼノンの言葉は、ぐさりとエースの胸に響いた。
目の前にあるのは…最早、絶望だけ。奇跡など…有り得ないのだと。
僅かに目を伏せたエースは、言葉を続ける。
「ルークの居場所はまだわからない。捕らえられたことはわかっているが、何処に収容されたのかが不明だ。翼を切られ、相当の傷を負っているはずなのに…」
「でも、そう簡単に殺したりはしないと思う。今ルークを殺したところで、奴は最初の目的すら果たしていないんだもの。俺の考えが間違っていなければ…確実に利用されるだろうね。ルークも…デーモンも」
「最初の目的って…デーモンの失脚、じゃないのか?」
顔を上げたエースに、ゼノンはつぶやく。
「それは多分、目的ではなくて…その過程にあったことだよ」
「じゃあ、何だ?奴の最初の目的とは」
問い質すようなエースの口調に、ゼノンは僅かに躊躇いの色を見せたが、やがてその口を開いた。
「御前を、殺すこと」
その一言に、ドキッとして息を飲む。まさか、そこに自分が引き合いに出されるなどとは、考えてもみなかったのだから。
ゼノンは大きく息を吐き出し、言葉を続ける。
「ターディルの最終的な目的は、魔界征服…と言うより、きっと全世界征服、だよね。その為にまず必要だったことは、確かにダミアン様とデーモンの失脚だよ。ダミアン様は皇太子と言う立場だし、幾らでもあとからそれを利用することは出来る。多分、今すぐにどうなるって言うことはないと思う。そうなると、後はデーモンをどうにかすること。だから、まず能力の源でもある声を潰した。でも、それだけじゃまだ満足出来ないんだ。だからデーモンが一番苦しむ方法が必要になる。それが、御前を殺すこと。デーモンを二度と副大魔王に復職させない為に。精神的にも、追い詰める為に…ね」
最初から、それが目的だったとは。
エースは、その色が白くなる程きつく唇を噛み締める。
全て、自分の所為だったのかも知れない。デーモンの声が奪われたのも、ダミアン様が捕らえられたのも…ルークの翼が切られたのも、全て。
乱れ始めたエースの気を感じ、ゼノンはゆっくりと言葉を紡いだ。
「御前の所為じゃないよ。だから、一名で、何もかも背負い込もうとしないで」
「ゼノン…」
エースを落ち着かせるようにその背中を軽く叩き、ゼノンはその顔を覗き込む。
「俺も魔界へ戻るよ。放っては置けない。俺だって任務を共にした仲魔だもの。生死を共にした、仲魔だもの」
「駄目、だ」
「エース…」
我に返ったエースは、その眼差しを向ける。冷たく研ぎ澄まされた、エース本来の眼差しを。
「御前は、ここにいろ。ターディルの狙いが俺なら、受けてやろうじゃないか」
「無茶だよっ!御前一名で適う相手じゃない。なのに、どうして一名で行こうとするの!?」
「殺されに行くようなものだろうが何だろうが、俺にはそんなこと関係ない」
「問題じゃないって、言いたいの?残されるデーモンのことも考えずに!?」
ゼノンのその言葉に、エースは一瞬口を噤んだ。
共に生きようと、誓ったではないか。
エースは、溜め息を一つ。
「…御前が魔界に戻ったら、ライデンはどうするんだ?ここに一名で残して置くって言うのか?彼奴の行動を考えてもみろ。大人しく残っているような奴じゃない。だから御前をライデンの見張り役に立てたんじゃないか」
「わかってるよ、そんなことは。でも、それじゃ俺の気持ちはどうなるの?俺は、御前たちの仲魔だよ。除け者にしないでよね。どうせ、俺だって狙われているんだ。だったら、魔界へ戻って戦うよ。それが、正当でしょう?俺の気持ちもライデンはわかってくれるよ。ライデンだってもう子供じゃないんだ。皇太子と言う立場で、勝手なことは出来ないことぐらい、俺たちが諭さなくたってわかってる。彼奴を甘く見ちゃだめだよ」
「…ったく…」
完全にゼノンに押し切られてしまったエース。結果、その申し出を断ることが出来なかった。
「ライデンには、ちゃんと言っておけよな」
「わかってるって」
そう言葉を交わして数十分後、エースとゼノンは再び魔界へと向かった。
遠くで、微かな音が聞こえて来る。自分は今、何をしているんだろう。
意識の伴った身体は燃えるように熱く、その熱さと背中を苛む痛みとで呼吸は侭ならない。意識は戻ったが、とても怠くて目を開けることも出来ない。だが。
「起きろ、ルーク」
自分を呼ぶ声が聞こえた。低く不快な声。
名を呼ばれ、初めて自分の置かれていた状況を思い出した。
----そうだ。翼の片方を切られ、捕らわれの身に……
ルークはやっとで目を開け、声の主を見上げた。茶色の髪に、同色の瞳。見ているだけで吐き気がする程、忌まわしい色。
ルークは後ろ手に縛られ、牢ではない何処かの部屋に転がされているようだった。未だ鮮血で濡れているその背中で、残っている片方の翼が小さく震えた。
「…俺の翼は…」
喉は渇き、声は嗄れていたが、それでも懸命に声を出した。翼がどうなったのか、どうしても知りたくて。
「翼?あぁ、あの神の産物か」
ターディルはニヤリとほくそ笑む。
「片羽はエースへの置き土産にした。我等に逆らう者がどうなるのかと言う見せしめとしてな」
「…見せしめ…だと?」
堕天使の証である神の産物を、切ることも染めることも許さないと告げた、ダミアンの言葉が甦る。
真白き翼を愛してくれていたあの方は、それを知ったら何と言うだろうか。成す術もなく、翼の片方切り落とされた挙句、エースへの見せしめとされるなど…エースはルークの血に染まった真白き片方の翼を、どんな気持ちで見たのだろう。
それを察するには、とても胸が痛い。
唇を噛み締めたルークに、成す術はない。そんなルークをターディルは笑って見ていた。
「…条件によっては、御前と捕らわれている二名の生命を助けてやらないこともないが」
「…交換条件って訳?」
ルークは問い返す。
「まぁ、そう言うことだな」
この期に及んでターディルの言動は奇怪そのものであった。しかし、捕らわれているのがダミアンとデーモンである以上、ルークはそれに従わざるを得ない。もし断れば、間違いなくターディルはダミアンとデーモンの生命を奪うはずであろう。
最早、ルークに選択の余地はない。
「…その、条件ってのは?」
ルークは、ターディルに問いかけた。ターディルは不敵な笑いと共に、その問いかけの答えとなる言葉を発した。
「御前がこれから先も、その神の産物を背負って生きて行くのなら…我々がそれを見逃す条件は、エースの生命だ」
「…っ!」
それは、信じ難い言葉。
「エースを裏切れっての!?」
掠れる声を懸命に張り上げ、抗議の声を上げる。だがその声もターディルの一笑で片付けられてしまう。
「嫌なら構わないぞ。ダミアン、デーモンの生命と、御前の翼を護り、エースを犠牲にするか…エースの生命を護り、ダミアン、デーモンを犠牲にし、翼を切り落とすか…選ぶのは御前だ」
「くっ…」
翼のことは、もうどうでも良い。
だが例え身分を剥奪されているとは言え、当然護るべきは皇太子と副大魔王である。参謀であるルークには、それを選択にかけるべきでないことはわかっていた。しかしエースを裏切ることもまた、出来ない相談である。
しかし、どちらかを選ばなければならないとしたら…
「…エースを殺したら、ダミアン殿下とデーモン閣下の生命、助けてくれるんだな?」
敢えて剥奪された身位の敬称をつけ、ルークはターディルに問うた。
「約束しよう」
ターディルは答える。その声にルークは溜め息を一つ。
----エース…御免ね、きっと何とかするから…今は……
それは、究極の選択だった。そして、その決断をした。
「その条件、飲んだ」
それは誠に苦しい決断であった。決断することによってルークを追い詰めたのは、エースに対する償いだけ。
そんなルークの意を何処まで把握しているのかは、ターディルはルークの目の前に一振りの剣を抛り投げる。
「その剣を使って貰う。馬鹿なことを考えた時には、奴等には即死んで貰う」
「…わかった」
ルークがそう答えると、ターディルは部下の一名にルークの手を縛っていた縄を解くようにと命じ、部下はそれに従ってルークを縄の束縛から解放した。
起き上がったルークは、目の前の剣に手を伸ばす。それは何かの魔力がかけられているらしく僅かな抵抗を感じたが、そんなことはどうでも良かった。
「朗報を待っている」
ターディルはそう言葉を残し、部屋を出て行った。
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プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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筋金入りのオジコンです…(^^;
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