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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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熾烈なる戦い 2
こちらは、以前のHPで2000年7月31日にUPしたものです
 ※シリーズ小説はカップリング小説です。(基本DxAです…/笑)
5話完結 act.2

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◇◆◇

 明け方になり、ソファーでウトウトしたゼノンを起さないように立ち上がったライデンは、そっとルークの部屋を覗きにやって来た。
 まだ薄暗い部屋の中、ベッドのライトだけがほんのりとした灯りを放っている。その灯りの元、ルークは険しい表情のまま、未だ眠っていた。
「…ルーク、大丈夫…?」
 ベッドの横に跪き、顔を覗き込むように声をかけてみる。すると、その声に導かれるかのように目蓋が震え、ゆっくりと目を開けた。
「…ルーク?」
 もう一度声をかけると、その視線がゆっくりとライデンへと向けられた。
「……俺の部屋?」
「そう。エースがあんたを連れて帰って来たんだよ。わかる?」
「…何となく…」
 そう答えてから、大きく息を吐き出す。そして、痛みに顔を歪めながら身体を起した。
「エース…大怪我してたでしょう?」
「うん。ゼノンが手当てしたんだけど…また出て行っちゃってさ…デーさんが追いかけて行ってる」
 勤めて冷静に、ライデンは言葉を返した。
 その言葉に、ルークは再び大きな溜め息を吐き出す。
「…馬鹿だよ、彼奴は…そんなんじゃ、折角助かった生命だって言うのに…」
「多分…無理は承知、だと思うよ。それだけ、必死になってる。でも、あんたも一緒にいたのに、二名して重傷なんて…一体、どんな天使と戦って来た訳?」
 誰にも聞けなかった疑問を投げかけたライデンに、ルークは一瞬戸惑いの表情を浮かべる。
「…俺にも…はっきりとわからないんだ。天使だって言う話だけど…戦ってみた感じが、天使とは違う気がして…だから、油断した。エースも戸惑ってたみたいだったけど…」
「…そうか…」
 小さくつぶやいたライデンは、その眼差しを伏せる。
 ゼノンの前では、相手を落ち着かせる為に冷静に対応していたライデンだが、その本心は自分も落ち着かない。自分だけ、蚊帳の外にいるようなものなのだから。
 それをルークに零したところで…ただの愚痴になるのは目に見えているのだけれど。
「…エースは、何でもかんでも独りで背負い込もうとするんだから…残される俺たちの気持ちを、考えてくれない…」
 思わず零した言葉に、ルークはその掌をライデンの頭にそっと乗せた。
「…大事、なんだよ。デーさんだけじゃなくて…あんたのことも、ゼノンのことも。意地悪してる訳じゃない。俺だって…強引にくっついて行っただけだもん」
「ルーク…」
 顔を上げてみれば、ルークは微かに笑っていた。
「残される方の気持ちがわからない訳じゃないと思う。でもそれ以上に、自分が護らなきゃ、って思ってるんだと思う。くっついて行った俺だって、殆ど手出しさせて貰えなかった。それでもこんだけ怪我しちゃったけどね。人一倍、心配だから…自分の手で、護ろうとしてるんだ。それはわかった。ただ、パッと見は周りに心配かけまくって、独りで暴走してるみたいだけどね」
「…ホントにそうだよね」
 いつも、護られるべき存在として扱われているライデンにとって、戦わせて貰えないことが何よりの不満であることは、とっくにわかっていたことであった。それを彼の口から聞かなかっただけで。
 けれど、置いて行く方もまた…色々と思いを抱えているのだと。それを知っただけ、ライデンには収穫だったのかも知れない。
「…で、ゼノンはどうしたの?」
 いつもなら、自分で様子を見に来るゼノンの姿が一向に見えないことに、ルークは首を傾げる。
「あぁ、ゼノンなら今リビングで……」
 …と言い掛けた時。
 突然ゾクッと背中を這い上がった気配に、二名とも息を飲んだ。
 酷く不愉快で…酷く不安にさせる。
「俺、見て来る!」
 その顔に不安をあからさまにして、ライデンは廊下に飛び出す。そしてそこで、リビングから飛び出して来たゼノンと鉢合わせた。
「あんたも…?」
 眠っていたはずのゼノンまで起きて来るくらいなのだから、かなり異様な気配なのだ。
「ちょっと、まずいね…」
 短く言葉を交わした瞬間、玄関のドアが蹴破られる。
「デーさん…っ!」
 思わず声を上げたライデン。
 二名の視界に入ったのは、まずデーモン。そして、デーモンが担ぐように引き摺って来たエースの姿。
 デーモンも著しく魔力を消耗していたが、それ以上にエースの方が気になるくらい、とても気が弱い。
「結界を張ってくれ!早く…っ!」
 デーモンの言葉が終わるか終わらないかの瞬間。
 開け放たれたドアの向こう。まだ薄闇が広がる外界に、幾筋もの光を見た。
「デーさん伏せて…っ!!」
 咄嗟に声を上げたライデン。けれどその声は僅かに遅かった。
 振り返ったデーモンの肩を、その光が貫く。それは一度ならず、幾度も。
「デーモン!!」
 悲鳴のようなゼノンの声。
 デーモンは意識を保つことも出来ず、担いでいたエース諸共倒れ込む。そして、倒れた二名の上に、追いかけるように更に幾筋もの光が落ちて来ようとしていた。
「このヤロー…っ!!」
 次の瞬間、ライデンの掌から雷撃が放たれる。そして、光の攻撃がデーモンたちに届く前に雷撃とぶつかり、爆発が起こる。
「ゼノン!」
「こっちは大丈夫!」
 反撃しながら声を上げると、ゼノンはデーモンとエースに結界を張り終えていた。
「これで最後!」
 一際大きな雷撃を薄闇の空へと打ち込むと、タイミングを合わせてゼノンが屋敷全体にと結界を広げた。
「早くデーモンとエースの手当てをしないと」
 取り合えずの安全を確保したゼノンは、大きな溜め息と共にそう言葉を吐き出す。
「…俺も手伝うよ」
「ルーク…」
 ゼノンとライデンが振り返った先…自室のドアに寄りかかるようにして、神妙な顔のルークがそこに立っていた。
「駄目だよ、御前は怪我魔だもの。無茶はさせられない」
 きっぱりとそう言い切ったゼノンに、ルークは溜め息を一つ。
「大丈夫、無茶はしない。今は、一悪魔でも手があった方が早く処置が出来るでしょ?この状況で、大人しく寝ていられる訳ないでしょ?」
「でもだからって…」
「俺が、ちゃんと見てるから。だから、ルークにも手伝って貰おう?ね、ゼノン?」
「ライ…」
 ゼノンの言葉を遮ってまで声を上げたライデンに、ゼノンは困ったように眉を寄せる。
「俺の魔力もだいぶ回復してるし、ライデンと一緒にデーさんの傷を塞ぐぐらいなら出来るから。大丈夫、無茶はしない」
 ライデンの言葉に便乗したルークは、そう言葉を続ける。
 そんな二名を前に、無碍にも出来ず…そして、のんびりしている場合でもないのだから、ここはゼノンが引くしかなかった。
「…わかった。じゃあ、デーモンを頼むよ。取り合えず、ルークの部屋に運ぼうか。エースは俺の部屋に連れて行くから」
 溜め息と共に吐き出されたゼノンの言葉に、ルークとライデンは顔を見合わせて頷く。そして、上になっているエースをゼノンが抱え上げると、ライデンはデーモンを抱え上げてルークの部屋へと運んだ。
「エースが終わったら見に行くから。宜しくね」
「了解」
 デーモンを運ぶライデンと、その後について行くルークを見送った後、ゼノンは大きな溜め息を吐き出していた。

◇◆◇

 デーモンをルークの部屋へと運んで来たライデンは、そのベッドの上にそっとデーモンの身体を傷を受けた肩を上に向け、横向きに寝かせると、大きく息を吐き出してからルークを振り返った。
「取り合えず、止血するのが先決かな」
「そうだね、手伝うよ」
 ルークはベッドへと歩み寄ると、その掌に魔力を集める。
「…無理しないでよ。俺がゼノンに怒られる」
「OK」
 ライデンもその掌に魔力を集め、そっとデーモンの傷口に触れる。ルークも背中側から傷口に手を触れ、ゆっくりと魔力を送り込んだ。
「心臓は外れてて良かったけど…負傷した箇所が多い上に、肩の骨やられてるね…」
 小さく零したライデンの言葉に、ルークも無言で頷く。その顔色は、余り良くない。
「…大丈夫?」
 治療する箇所が多ければ多い程、治療する側の負担が増えるのは当然。しかも、ルークは自身も大怪我を負っているのだから、無理はさせられない。それは、ルークにも手伝って貰うと言ったライデンにもわかっていた。
 大まかな止血が終わると、ライデンは顔を上げる。
「あんたは少し休んで。後は、俺がやるから」
「…わかった」
 大人しく引いたルークは、一歩後ろに下がるとそのまま床に座り込んでしまった。
「あんたの意見を後押ししといて何だけど…怪我してんだから、無理しなくても良かったのに」
 ルークのそんな姿を前に、ライデンは心配そうな表情を浮かべてそう言葉を零す。
「まぁ…ね。でも、俺が足手纏いになったから、エースがもう一回行くことになった訳でさ…その上、デーさんにまで怪我させちゃったら、責任も感じるしね」
 申し訳なさそうな表情を見せたルーク。
 デーモンの傷に包帯を巻きながら、ライデンはどう返したら良いかと暫し思いを巡らせる。
 そして、出た答えは。
「…あんたも…黙って見てられないんだな、と思って、俺も後押ししたけどさ…今は大人しく傷を治してよ。あの分だと…まだ終わってないみたいだし…これからまた何か起こるなら、少しでも魔力は温存しておくべきだと思うよ」
「…全く、正論だね。まぁ、ゼノンがあんたを巻き込まないように…って過保護に護ってるのを、あんたがぶーぶー言う気持ちがわかった、ってとこかな。何もするな、って言われる事ほど、ストレスになるモンはないね」
 くすっと、小さな笑いが零れる。
 つい先ほど、ライデンの愚痴を聞いたばかりなのに…今度は同じ愚痴を自分が零すことになるとは。
「…さて、応急処置は終わったけど…デーさんもまだ意識戻らないし…どうする?何処で休む?」
 ライデンは、未だ意識の戻らないデーモンを動かしたくはない、と言う表情を浮かべているので、ルークはその生真面目さに思わず笑いを零す。
「あぁ、大丈夫。デーさんのベッドで寝るのも申し訳ないし、リビングのソファーにでも横になってるから。ゼノンにちゃんと見て貰って、動けるようになるまで寝かせおいて大丈夫だから」
「…そう?何だったら、俺の部屋使っても良いけど…煙草臭いから嫌だよね…?」
 本気で申し訳なさそうな表情でそう言ったライデン。
「そんなの、気にしなくて良いから。あんただって、夕べはロクに寝てないんじゃないの?あんたも、体力温存しておかないと」
「俺はまだ大丈夫。じゃあ、取り合えずリビングに行こうか。エースの様子も気になるし…」
「そうだね」
 ルークはライデンの手を借りて立ち上がると、そのまま一緒にリビングへと向かった。

◇◆◇

 ルークとライデンがリビングに戻ってから暫くして、漸くゼノンがリビングへとやって来た。
「エース、どう?」
 問いかけたルークの声に、ゼノンは溜め息を一つ。
「正直、芳しくはないよ。何をしたのかわからないけど、左腕はかなり酷い状態だったし。まぁ…生命に別状はなさそうだし、元々の能力が高いからね、安静にしていれば直に治るだろうけど…今の状況からして、じっとしてはいないだろうけどね」
「そっか。でも、生命が助かって良かったよ。あのまま生命を落としたって…不思議じゃない状況だったから…」
 最初の戦いを知っているルークは、安堵の溜め息を吐き出す。
「…で、デーモンの方は?」
 問いかけられ、ルークはライデンと顔を見合わせる。
「傷は塞いだけど…結構な出血もあったし、何より肩の骨やられちゃってる。応急処置はしたけど、それこそ暫く安静だね。後でもう一回見てくれる?」
 そう言ったルークの声に、ゼノンは小さく頷く。
「それで…なんだけど…」
 ゼノンはそう言って、一つ息を吐き出す。
 そして。
「ちょっと…魔界に行って来るよ。だから、留守をお願いね」
「魔界?まさか、あんたまで戦うつもりじゃ…」
 そう問いかけたライデンの眼差しは、とても不安げで。けれどゼノンは、その問いかけに小さく笑った。
「まさか。俺では足手纏いになるのが最初から目に見えてるもの。魔界へは、"忘れ物"を取りに…ね」
「…忘れ物?」
「うん。夕方までには戻れると思う。だから、それまで宜しくね」
「わかった」
 ルークが頷いたのを見ると、ゼノンはソファーから立ち上がった。
 けれどその瞬間。
「待って!」
 慌てて立ち上がったのは、ライデン。
「…話がある。ちょっとだけ…良い?」
 躊躇いがちにそう訴えた声。
「…良いよ」
 何の話か、全く想像はつかなかった。だから、拒否することは出来ない。
「…席、外そうか?」
 奇妙な空気が流れた二名を前に、ルークがそう口を開く。
「いや…大丈夫。行きながら話すから」
 そう言って先に立ち上がったのはライデン。そしてゼノンを促すと、廊下へ出た。
「…話って…?」
 先を行くライデンの背中に向かって、ゼノンはそう問いかける。すると、不意に足を止めてゼノンを振り返ったライデンの表情は、酷く不安そうだった。
「…どうしたの…?」
 その表情に、思わず問いかける。
「…俺…足手纏いじゃない…?」
「…は?」
 ライデンの言葉の意味がわからず…と言うか、言葉の意味はわかるのだが、それがライデン自身が、と感じている意味が良くわからず…ゼノンは首を傾げる。
「…何で、足手纏いだと感じてるの…?」
 反対にそう問いかけると、ライデンは小さく溜め息を吐き出す。
「…俺…何も出来てない気がして。さっきだって、デーさんが危ないのわかっても、助けられなかったし…」
「…そう言う事…」
 そう言えば、何となく口数が少なくなったな…とは感じていたので、そんな事を考えていたのか…と、ちょっと納得したりする…。
 ゼノンは小さく笑いを零す。
「俺なら…もしホントに足手纏いな相手には、怪我魔が三名もいて、またいつ襲われるかわからない屋敷に、留守番を任せたりしないよ。それだけ頼りにしているんだもの。足手纏いな訳ないじゃない」
「…ホントに?」
 未だ拭えない、不安。それは、自分がいつも護られるのは…ホントは、足手纏いになるからではないか、と言う思い。
「ホントだよ。みんな、そう思ってるよ。大体、足手纏いになるレベルだったら、最初からダミアン様に誘われてないって」
「……そうかなぁ…」
「大丈夫、心配しないで」
 くすくすと笑いながら、ゼノンはライデンを軽く抱きしめる。
「何より…俺の安定剤だもの。いなくなられたら困る」
 その言葉が、どんな説得よりも一番効果覿面だった。
 ライデンは、ゼノンの腰に腕を回して抱き付くと、肩におでこを摺り寄せて大きく息を吐き出す。
「…よし、充電終わり!」
 途端に機嫌の直ったライデン。そんな無邪気な姿に、ゼノンはくすくすと笑いを零す。
「じゃあ、頼むね」
「おうよ。気をつけてね」
 その前向きさには幾度も救われていた。それだけ、心から頼りにしているのだ。
 魔界へと向かったゼノンの背中を見送ったライデン。
 先ほどの不安そうな表情は、既に見る影もなかった。
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趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
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