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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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熾烈なる戦い 4
こちらは、以前のHPで2000年8月13日にUPしたものです
 ※シリーズ小説はカップリング小説です。(基本DxAです…/笑)
5話完結 act.4

拍手[2回]


◇◆◇

 デーモンの様子を見にルークの部屋へ立ち寄ったゼノン。
「…起きてる?」
 薄くドアを開けて小さく問いかけてみると、うっすらと目が開いた。
「…起きてる…」
「そう。じゃあ、ちょっと様子見せてね」
 そう声をかけ、部屋の中へと入る。
「…エースは…?」
 口を開いたデーモンの第一声はそれだった。
「ライデンと揉めたみたいだよ。それでライデンが不機嫌になってる。俺もさっきまで魔界に行ってたから、その場には居合わせてないんだけどね。まぁ、揉める元気があるくらいだから、意識もしっかりしてるんだろうし、直ぐに良くなるよ」
「そう…か」
----良かった。
 安堵の溜め息を吐き出したデーモン。その表情も穏やかで、ライデンのようにカリカリしていない。
「動ける?」
 問いかけられ、デーモンはゆっくりと身体を動かす。けれど直ぐに、痛みに顔を歪めた。
「…ちょっと、厳しいな…」
「そう。じゃあ、ちょっと包帯外してもう一回診ようか」
 そう言うとゼノンはデーモンの身体をゆっくりと起こし、肩から胸にかけて厚く巻かれた包帯をゆっくりと外す。そして、肩に手を当てるとゆっくりと魔力を送り込む。
「肩の骨がやられてる、って言ってたよ。今診ても、やっぱりそうだね。それに、傷も表面は塞がっているけど、塞がっただけで完治ではないから。ちょっと時間かかるかな」
 治療のあと包帯を巻きなおして、そうデーモンに伝える。
「そう、か。まぁ…仕方ないな」
 潔いデーモンの言葉に、ゼノンはくすっと笑いを零す。
「そう答える辺り、流石デーモンだね」
「…どう言う事だ?」
 苦笑いを浮かべるデーモンに、ゼノンは言葉を続ける。
「前向き、でしょ?」
「…まぁ…な。取り合えず、エースが助かったなら問題ない。吾輩の怪我は、大人しくしていれば治るんだろう?」
「まぁ、ね。でも、ライデンはかなり不安になってる。デーモンもルークも大怪我をしたからね。また、エースが戦いに出て…その時は、ちゃんと帰って来られるのか、もしもの時はどうするんだ、ってね。ルークも回復して来たから、ゆっくり話し相手になってくれてるけど…色々鬱憤は溜まっているんだろうね。その気持ちも、わからなくはないよ。でも…俺としては、俺たちがちゃんとわかっている状況で、思い切り良くケリをつけてくれればすっきり終わるのかな、とも思うんだけど…」
「吾輩も、そう思う。エースがちゃんと踏ん切りをつけるには、それしかないだろうと思う。吾輩にだって、責任はある。だから、ちゃんと説明してくれれば、無碍に止めたりはしない。我々が出来る、精一杯のサポートをして、送り出してやるさ」
「でも、ライデンにはそれが納得出来ないんだよ。エースがちゃんと帰って来るって言う、保障がないから」
「成程なぁ…」
 小さく、と息を吐き出すデーモン。
「ライデンの気持ちも、わからなくはない。ただ…そんな不安は、直ぐにどうなるものでもない。エースも言い方が悪いからな、ライデンも安心して待っていられないんだろう。特に、彼奴は戦地に立つタイプではないからな。黙って待っていることに絶えられないのかも知れないな。だが、寧ろ彼奴の性格を考えると、慣れない方が良いんだろう。周りは八つ当たりされて大変だけどな」
「まぁね。でも、俺もそれで良いと思う。泣かせてしまう事は不本意だけどね。最終的に、俺が宥めれば良い話でしょ?」
「それで、御前はライデンを甘やかす、って言われ続けるんだな」
 くすくすと笑うデーモンに、ゼノンもちょっと笑いを零す。
「良いんだよ、別に。俺は、今のライデンが好きだし、宥めるのだって好きでその役割を背負っているんだから。変に聞き訳が良くなられると、寧ろ心配だし」
「まぁ、御前が良いなら良いんだ」
 ライデンがただ護られるだけの存在ではないことは、デーモンもちゃんとわかっている。長い付き合いだからこそ、笑って見守っていられるのだ。
「ライデンのことは、心配しなくても大丈夫だから。これからちゃんとフォローするし。だから、ゆっくり休んで、しっかり治して」
「あぁ、そうさせて貰う」
 デーモンは再びベッドに横になる。が、直ぐに声を上げる。
「悪いが…吾輩の部屋まで戻るの、手伝って貰えるか?ここ、ルークの部屋だった…。ルークに悪いことしたな…」
「そうだったね。じゃあ、もう一回起き上がろうか」
 すっかり忘れていた。
 そう言わんばかりにくすくすと笑いながら、ゼノンはデーモンが起き上がれるように手を貸す。そして、ゆっくりと立ち上がらせると、肩を貸して部屋を出る。
「ちょっとデーさん…大丈夫なの?」
 物音を聞きつけてキッチンからやって来たルークとライデンに、デーモンはちょっと笑ってみせる。
「心配かけたな。吾輩は大丈夫だ。暫く安静らしいけどな」
「当たり前だよ。大怪我してるんだから…」
 溜め息を吐き出すルークに、デーモンは笑いを零す。
「悪かったな、部屋を借りてしまって。今、引っ越すから」
「大丈夫、気にしないで」
 その言葉に、ルークはくすっと笑いを零す。
 その隣で、未だ消化不良の表情を浮かべているライデン。デーモンは、そのライデンにも小さく笑いを零す。
「いつまでも、そんな顔するな。エースは大丈夫だ。吾輩がちゃんと、保障する」
「…デーさん…」
「笑った方が良いぞ?その方が、気分が晴れる」
 デーモンはそう言い残すと、ゼノンと一緒に二階の自室へと向かった。
 その背中を見送ったルークとライデン。そして、ライデンが大きく息を吐き出す。
「…洗濯…しよう、か」
「はい?」
 徐ろにつぶやいたライデンに、ルークは思わず問い返す。
「ルークのベッド、デーさんの血が付いてるし…それじゃ、ルーク眠れないでしょ?」
「…そりゃ、そうだけど…でも洗濯なら、俺が自分で…」
「駄目。手洗いしなきゃいけないし、ルーク、怪我治ってないでしょ…?」
「ライ…」
「やらせて。気分転換に」
 そう言い残すと、ライデンはルークの部屋へ行き、シーツと上掛けのカバーを外すと、新しいカバーに取り替える。それから汚れ物を持って、洗面所に篭った。
 その間、ずっと俯いていて…笑顔とは、まだ程遠い。
 そんなことをやっていると、ゼノンが二階から降りて来た。
「…どしたの?」
 キッチンの入り口でぼんやりと立ったままのルークに、ゼノンはそう声をかける。
「…いや、ライデンがさぁ…」
 ルークはライデンの行動をざっとゼノンに説明する。
「…良いんじゃない?やりたいって言うんだから、やらせてあげれば。まだ怪我魔なんだし」
「そりゃそうだけど…」
 ゼノンの言葉に、ルークは呆れた溜め息を一つ。
「やっぱ、あんたはライデンに甘いわ」
「そう?まぁ、良いじゃない」
 くすくすと笑うゼノンに、ルークは苦笑する。
「まぁ良いや。好きにして」
 そう零すと、自分の部屋へと足を向ける。
「折角だから、少し眠るよ」
「そうして。俺はエースと話しして来るから」
 ルークが軽く手を振って自分の部屋へと納まると、ゼノンも自分の部屋へと向かった。

◇◆◇

 ベッドに横たわり、耳を済ませていると…ライデンの声が聞こえた。
 内容は良く聞き取れなかったけれど…多分、自分の愚痴を零しているのだろう。
 エースはぼんやりとそんなことを考えていた。
 そうしているうちに、うとうとしていたらしい。ドアをノックする音でふと、目を開けた。
「…どうぞ」
 声をかけると、ドアが開いてゼノンが顔を出す。
「入っても良い?」
「あぁ…って言うか、御前の部屋だろう?」
「まぁ、そうなんだけどね」
 ゼノンはくすっと笑って部屋に入って来る。
「悪かったな。部屋、借りっぱなしで…」
「俺が運んだんだもん。別に構わないよ」
 そう言うと、ベッドの端に腰を下ろす。
「どう?少し、動けそう?」
「あぁ…ちょっと待って…」
 エースはゆっくりと身体を動かし、何とか上体を起こす。
「さっきよりは少し良いか。さっきはライデンに手伝って貰わないと起きられなかったしな」
 ルークが作ってくれたスープを飲んで、少し眠ったことで、ほんの少しだが回復傾向にあるようだった。
「そう。じゃあ、もう少し協力しようか」
 ゼノンはそう言うと、着ていた上着のポケットから小さな箱を一つ、取り出した。
「エースに渡さなきゃと思って…魔界まで取りに行って来たんだ」
 そう言ってゼノンは、その箱の蓋を開ける。そこには、小さな紅い透明な宝石を埋め込んだ金の台座。鮮やかな輝きを放つ、小さなヘッドのペンダントが入っていた。
「…クーヴェイ…」
「覚えてる?」
 忘れるはずなどない。それは、エースがクーヴェイと組んだ初勝利の時に、記念にクーヴェイに渡したモノだったのだから。
「唯一、残されてるレイラの形見。きっと、エースの役に立つと思って」
「どうして…御前がこれを…?」
 訳がわからず、じっと紅い宝石を見つめるエース。
「これには、レイラの精神エネルギーが封じられてるんだよ。あの任務に出発する前に、俺にこれを託しに来た。その時、そう言ってたんだ。御前に何かあったら、きっと助けてくれるって」
 そう答えを返し、ゼノンはそれをエースの首にかけてやる。
「御免ね。ずっと…渡せなかった。俺自身、彼奴のことを思い出すのが辛くて。時間が過ぎて、思い出しても胸が痛まなくなるまで待ってたら…いつの間にか、こんなに経ってたなんてね」
「…あぁ…」
 それは、エースも同じだった。レイラ=クーヴェイの存在を思い出しても、今は昔程胸が痛くなることもない。それは、他に愛する存在があるからだと言うことも、わかっている。ただ…その時間の長さだけが、エースとクーヴェイを繋ぐ、唯一のカタチであっただけで。
「…これでもう、思い出すこともなくなるのかな…?俺たちの記憶から消えてしまっても不思議じゃないくらい、時間が過ぎてる。それなのに、今こんなカタチで記憶を呼び起こされるのは不服だけど…こんなことがなければ…思い出さなかったかな…?」
 そう、つぶやく声がいつもよりも低い。それだけ、ゼノンもその辛い記憶を噛み締めているのだ。
「…多分…それが、彼奴の願いなんだと思う」
 小さな吐息を吐き出し、エースはそう答えた。
 本当は…感情のままに、暴走した訳じゃない。今抱えている色々なことを考慮した上で、行動したつもりだった。けれど現実は、ただの暴走と大差はない。それだけの結果しか出せなかったのは、エースが酷く動揺していたから、だったのだろう。
 動揺していた理由は、一つしかない。
 今の…大切な悪魔との関係を、壊さないように。
 その為に、一悪魔で飛び込もうと思った。それが、デーモンへの、精一杯の償いのつもりだった。
 再び、エースの唇から吐息が零れた。
「…ライデンを、泣かせた」
「…うん、聞いたよ」
 答えたゼノンも、言葉数が少ない。思うところは沢山ある。けれど、その思いはなかなか言葉にはならなかった。
「…彼奴は…真っ直ぐだな。ホントに真っ直ぐ…現実をぶつけて来やがる。クーヴェイのことは…誰の手も借りずに、俺の力だけでどうにかしたかった。でも…みんな心の何処かでわかってたんだろうな。俺一名では、どうにもならないってこと。今の俺は…昔の…あの時の俺じゃない。仇討ちの気持ちも…相手に対する憎しみも、何もかも…あの時と比べ物にならないくらい、薄らいでやがる。俺はただ、それを認めたくなかったのかも知れないな。今の俺には…護るべきものが、沢山ある。それを、ライデンに突きつけられたんだ。色々なモノを抱えて、片手間に倒せる相手じゃない。それを突きつけられて…正直、ショックだったな…」
「…今回のことはね、俺もかなり動揺した。それは事実。でも…やっぱり、ライデンに救われた。レイラのこと、何も知らないからこそ…冷静に状況が見ることが出来たんだよ。だから俺も、これを思い出せた。そうでなかったら、きっと仕舞いこんだまま忘れていたと思う。それが…レイラの本当の願いだったのかも知れないけどね」
「…そうだな」
 忘れてしまう悔しさや虚しさは、二名とも同じこと。けれど、それを割り切ってしまわなければ、前へは進めないのだ。
 いつまでも、感傷に浸っている暇はない。
 エースは一筋の迷いを断ち切り、大きく息を吐き出す。そして、真っ直ぐにゼノンを見つめた。
「俺を、治してくれ。御前になら、出来るだろ?」
 揺らがない眼差し。ゼノンはそんな眼差しを前に、僅かに目を伏せる。
「…強制的に…魔力を上げることは出来る。御前ならきっと、大部分の傷は治るだろうね。でも…辛いよ?」
「構わない」
「…わかった。ちょっと待って」
 ゼノンは小さく吐息を吐き出すと、戸棚に並んだ箱の中から、一つの小瓶を取り出す。その中には、赤褐色の液体が入っている。
「…かなり強力だから…あんまり使いたくはなかったんだけどね。まぁ、御前なら耐えられるかな」
 そう言って、その瓶の蓋を開けてエースに差し出す。
「頑張って」
 一言、そう告げられる。
 ほんの一口程度の液体に対しての言葉とは思えないのだが…それだけ強力な力を持っているのだろう。
 エースは大きく息を吐き出すと、瓶に口をつけ、一気に流し込む。次の瞬間、飲み込んだ喉が焼けるように熱い。
「…くっ…」
 熱さは一瞬にして身体全体に廻り、持っていた瓶がするりと手から滑り落ちるのを、危ういところでゼノンがキャッチしていた。が、エースにはそんなことはどうでもいい。
 動く右手で、素肌に巻かれている包帯の上から胸を押さえる。額から流れる汗と、唇から零れる荒い呼吸。その全てが、とても辛そうに見える。いや、実際に辛いのだ。
「もう少しの辛抱だよ、エース」
 その効力を知っているゼノンは、エースの様子を見ながら声をかける。だが、そんな声も、エースには届いていないだろう。
「…っぁ…」
 苦しそうに、幾度となく息を吐き出す。やがて、その呼吸が大きく息を吸い込むように変わって来た。どうやら、熱さが引いて来たようだ。
「…大丈夫?」
 頃合を見計らって、再び声をかけたゼノン。
「…あぁ…大丈夫だ」
 額の汗を拭い、エースはそう答えた。その腕は、いつもと同じように機敏に動く。
 しかし。
「…おい。左腕は動かないぞ…っ」
「そりゃ…ぼろぼろだもの。そう簡単に動くはずないよ。もう暫くは動かせないよ。無理すれば、一生ギターは弾けないから」
「あのなぁ…」
 予想外の言葉に、エースは呆気に取られている。まぁ、それは尤もだけれど。
「言ったはずだよ?"大部分は治る"、ってね。完治するとは言ってない。まぁ、魔力が馴染めば、治りも早いよ」
「…いつになることやら…だな」
 諦めたように溜め息を吐き出したエースは、ベッドから足を降ろして立ち上がる。足許が多少ふらつくものの、それもすぐに良くなるだろう。
「もう行くの?」
 そう問いかけられ、ゼノンを振り返る。
「あぁ。明日の夜明けまでに帰って来たいからな」
 窓から見えるのは、今沈み始めたばかりの太陽。明日の夜明けまでにとは、まだ時間があるように思えるのだが、実際はそんなにのんびりしていられないのだから。
「…彼奴、まだ眠ってるのか?」
 それは、デーモンを指す言葉だった。
「さっき一度起きた。ルークの部屋にいたから、二階に連れて行ったよ。今はわからないけど…寝てるかもね」
「…そう、か」
「デーモンには、ちゃんと言って行った方が良いよ」
「起きていればな」
 エースはそう零すと、ゼノンの部屋のドアを開ける。
 一歩踏み出したところでふと立ち止まり…ゼノンを振り返った。
「あぁ、悪い…着替え、手伝ってくれるか?」
「良いよ」
 エースの動く様を、腕を組んだまま眺めていたゼノンは、小さく微笑む。
 そして一緒に二階のエースの部屋へ行くと、まずエースの身体に巻かれていた包帯を順に解いていく。
 つい先程までの傷跡が、まだ薄ピンク色に残ってはいるものの、傷はほぼ治っていると言っても過言ではないだろう。後は、左腕が動けば完璧だったのだが…。
 エースはゼノンの手を借りて軍服を着込むと、左腕を三角巾で吊って貰う。
「…イマイチ、カッコ悪いなぁ…」
「文句は言わない。こうして置かないと、かえって身動きが取れないんだから」
 確かに、ゼノンの言うことは尤もである。だから、素直にそれに従っている訳で。
「…帰って、来るよね?」
 不意に、ゼノンが問いかけた。その真っ直ぐな眼差しは…ライデンと同じ、だった。
「御前等、そっくりだ」
 エースはくすっと小さく笑うと、小さく吐息を吐き出す。
「這ってでも、帰って来るさ。それだけの意味が…ここにはある」
「…そう。じゃあ、待ってるからね」
 そうつぶやいたゼノンの背中を軽く叩き、エースは部屋から出て行く。
 そして、隣のデーモンの部屋のドアをノックしてドアを開けて中に入る音が聞こえると、ゼノンは小さな溜め息を吐き出す。
 胸に残る想いを、消化する為に。
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趣味は妄想のおバカな物書きです。
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但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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