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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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誓いの詞 後編
こちらは、本日UPの新作です
 ※シリーズ小説はカップリング小説です。
(勿論DxAですが、ダミアンxルークもあります。
でもこのシリーズのメインはRXです…多分/^^;

拍手[2回]


◇◆◇

 上皇との謁見の許可は直ぐに下りた。
 フィードはライデンの傍に戻った為、上皇を待つ間、ゼノンは一名で謁見の間にいた。
 考えは…まだ、しっかり纏まってはいない。けれど、その想いだけは真っ直ぐだった。
 暫く待っていると、上皇が現れる。
「おはよう。もう動いても大丈夫なのか?」
 ゼノンを気遣う言葉に、ゼノンは深く頭を下げる。
「御心配と御迷惑を御掛けしまして、申し訳ありませんでした」
 前回ここへ来た時も…同じように、頭を下げた。そんな記憶がふと甦る。
「顔を上げなければ、話にならないぞ?」
 くすっと小さく笑う声に、ゼノンはゆっくりと顔を上げた。
 真っ直ぐに自分を見つめるのは、ライデンと同じ色の眼差し。
「して?そなたが話したい事とは?」
 問いかけられ、一つ大きく息を吐き出す。
 そして。
「…ライデンとの今後の事について…ライデンから、話を聞いていると思うのですが…」
 ゆっくりとそう言うと、上皇は小さく息を吐き出した。
「あぁ、聞いておる。婚約を白紙に戻し、そなたを将来の伴侶としてやり直したいとな。その話を聞いたのは、そなたが目覚める前であったが…そなたの意向はまだ聞いていなかったな」
 ゼノンは、そのライデンの想いに対してどう想っているのか。それは、上皇としても直接ゼノンに問いかけたい事でもあった。
「ライデンの独断での結論である事は良くわかっておる。だが、まずそなたがここへ来た理由は、ライデンとの復縁だったな?だとすれば、そなたも合意と言う事になるのかな?」
 そう問いかけられ、ゼノンは一つ息を吐き出すと、僅かに視線を伏せた。
「それが…許されるのであれば。勿論、各方面に迷惑をかける事は重々承知です。ですが…もう、手を離したくはないんです。一度手を離したクセに、都合の良い事ばかり言ってと思われる事もわかっています。ですが、周囲の賛同を得るまで、幾らでも頭を下げる覚悟は出来ています。何年かかっても…認めて貰えるまで、頭を下げるつもりです。ですから…まず、上皇様に、正式に認めていただきたいと…」
 一旦そこで言葉を切ったゼノンは、再びその視線を上げる。そして、真っ直ぐに上皇へと視線を向けると、再び頭を深く下げた。
「御願いします。ライデンと…結婚させてください」
 はっきりとそう言ったゼノン。そして、暫しの沈黙の後…背後から声が届いた。
「…駄目じゃん、一悪魔で先走って…一緒に頭下げよう、って言ったのに」
「…ライ…」
 思わず顔を上げて振り返ると、そこにはいつの間に開けたのか…ドアに寄りかかって、涙を一杯に溜めた眼差しでじっと見つめるライデンの姿があった。
「一緒に、ね」
 今にも泣き出しそうな顔。けれど、ほんのりと赤くなった頬でにっこりと笑ったライデンは、袖で涙を拭うとゼノンへと歩み寄る。そして、その手をそっと取ると、上皇へと視線を向けた。それにつられ、ゼノンも再び上皇へと視線を向ける。
 上皇は、真っ直ぐに二名を見つめている。その表情からは、まだはっきりとした答えは見えなかった。
「御願いします。結婚の許可をください」
 ゼノンの手をしっかりと握ったまま、頭を下げたライデン。
「…御願いします」
 もう一度、頭を下げるゼノン。
 そんな二名の姿に、上皇は思わず笑いを零した。
「何を今更」
 くすくすと笑う声に、ライデンもゼノンも顔を上げた。
 笑っているその顔は…とても、柔らかい表情だった。
 上皇は椅子から立ち上がると、二名の方へ歩み寄る。そしてライデンの頭を一撫ですると、ドアへと向かって歩き出した。
「一緒に来ると良い」
 先に立って謁見の間を出て行くその背中。僅かに顔を見合わせたライデンとゼノン。けれど、直ぐにその背中を追って歩き出していた。

 歩みを進める上皇は、そのまま自室へと入って行った。その背中を追ってやって来たライデンとゼノンの二名は、その自室のドアの前で足を止めた。
「入っておいで」
 声をかけられ、ゆっくりとその部屋の中へと足を踏み入れる。
 その部屋の一番奥…外の景色が一番良く見えるその場所にかけられた、一枚の肖像画。その前で、上皇はその肖像画を見上げて佇んでいた。
「…この方は…?」
 見慣れないその肖像画に、ゼノンはそっとライデンに問いかける。
 肖像画を見上げる上皇を真っ直ぐに見つめたまま、ライデンはゆっくりと口を開いた。
「…俺の…母様」
「………」
 その言葉に、僅かに息を飲んだゼノン。
 初めて見た、ライデンの母親の姿。ライデンが生まれて直ぐに亡くなったと聞いていた。
 柔らかな眼差しを浮かべる、赤い紋様を戴いた、黒髪の美しい悪魔。それが、王妃でもあり、ライデンの母親だった。
 小さく息を吐き出したライデン。そして伏せられた眼差し。
「俺も…母様の事は、あんまり良く知らないんだ。この肖像画を見て、わかる事ぐらい。親父もあんまり話してはくれなかったけど…誰よりも母様を愛していた。それだけはわかってる。だから、親父の部屋の一番景色の良いこの場所が…母様の居場所なんだ」
「そんな大事な場所に…どうして…俺を…?」
 ライデンに問いかけた声だったが、それに答えたのは上皇の方、だった。
「ライデンの母親は…まぁ、わしの妻、だがな。見ての通りの悪魔だ。わしの一目惚れだったが…種族も、身位も違う。幾ら、雷神族は必ず血筋を残せると言う保障はあれど、昔は全くの他種族はなかなか受け入れて貰えなくてな。当然、わしも周囲には反対され、味方など誰もいなかった。だが…わしは、負けなかった。どうしても、彼女と一緒になりたかった。だから、何年もかけ、幾度も頭を下げ…漸く認められた。まさか…ライデンが、わしと同じ道を歩むとは思ってもみなかったが…ライデンには、味方が大勢おる。二代続けて魔族と結婚するのだから、反感を抱く者がいるのは当然だろう。今すぐに認められないかも知れないが…きっと、大丈夫だ。そなたたちが真っ直ぐにその想いを伝えれば、きっと報われる。わしは、そう思っておるからな」
 にっこりと笑って彼等に向けた眼差しは、とても優しい。
 そしてそれが…何よりも心強い。
「しっかりな」
 その言葉は、彼等を祝っての言葉。
 しっかりと手を繋ぎ、顔を見合わせた二名は、にっこりと微笑んだ。
「…はい」
 認めて貰えたと言う喜びを実感しつつ、これから先は自分たちでしっかり歩いて行かなければならないと言う現実を、噛み締めていた。

◇◆◇

 ライデンの自室へと戻って来た二名は、向かい合ってソファーに座っていた。そしてフィードが御茶を淹れている間は、何となくどちらとも口を噤んでいた。だが、フィードが部屋から出て行くと、ゼノンがまず大きく息を吐き出した。
「…大丈夫?」
 傷や体調の事も含め、心配そうに問いかけたライデンに、ゼノンは小さく笑いを零した。
「大丈夫。ちょっと、緊張してただけ」
 その言葉に、ライデンも少し笑いを零した。
「親父には何度も会ってるのに?」
「何度会ったって、緊張するよ?ライデンの父上様だもの。迂闊な事して嫌われる訳にはいかないからね」
「嫌う訳ないのに。結局のところ、親父は悪魔贔屓だって事だよ」
 くすくすと笑っていたライデンであったが、その笑いをふと止める。そして向かい合っていた席から、ゼノンの隣へと席を替えた。
「ねぇ…聞きたい事があるんだけど…良い?」
「…聞きたい事?」
 怪訝そうな表情を浮かべたゼノンに、ライデンは小さな吐息を吐き出した。
「王都から出て行った後さ…何処で、何してたの…?」
 そう問いかけられ、今度はゼノンの方が小さな溜め息を吐き出した。
 そう言えば、それに関しては話してはいなかった。勿論、後ろめたい何かをしていた訳ではないけれど…誇れるような事も、何一つしてはいない訳で。要は、ただの放浪悪魔だっただけなのだから。
「まぁ、色々…ね。王都以外では顔も知られてなかったから、あちこち渡り歩いてたかな…」
 つい数日前まで、そんな生活だったはず。ルークに、見つかるまでは。
「正直ね…ルークに見つかった時は、ここへ戻って来てはいけないと思ってたんだ。俺は罪魔だし…俺がそんな械を背負ってしまったから、その事で御前の将来を傷付ける訳にはいかないもの。だから、ピアスを増やして、御前から離れても大丈夫だって、自分に言い聞かせてた。でも…エースにピアスを引き千切られて、御前が置かれている状況を目の当たりにして…自分の考えが甘かったんだと思い知った」
 ゼノンは、真っ直ぐにライデンへと視線を向ける。ライデンが浮かべていたのは…とても、辛そうな表情。それは…つい先日までの表情と同じ、だった。
 そんなライデンの頬へと手を伸ばす。
「…俺は…御前のそんな顔を、望んでいたんじゃない。御前に、倖せになって貰いたかったから離れたはずなのに…結果的に、御前を傷つけて…苦しめて。御前にそんな想いをさせたのは、俺の罪。だからもう一度戻るなんて許されないと思っていたんだ。でも…やっぱり俺は、御前が好きなんだ。それは、実感したよ。だから、御前が笑っていられるように頑張るから…」
 そう言ったゼノンの言葉に、今まで苦しそうな表情をしていたライデンは目を細めて笑いを零した。
 それは、とても柔らかくて、倖せそうな…嘗てと、同じ微笑み。
「…頑張り過ぎなくて良いから」
「…ライ…」
 頬に触れられていた手に自分の手を重ね、笑いを零すライデン。
「俺もね、反省したの。俺の想いが…次期雷帝としての俺の存在自体が、ずっとあんたの重荷だったのかな、って。だから、自分から切り捨てるつもりでいたんだけど…それが寧ろみんなに心配かける事になってさ。でもね、デーさんに言われたんだ。出来る事なら…あんたの事、諦めて欲しくはない。折角繋ぎ続けて来た絆を断ち切って欲しくはない。それが、雷帝としての俺が望んで良い事なのかどうか、正直わからないけど…デーさんは、そう願い続けるから、って。あんたの気持ちを素直に受け止めれば…俺の思いは、きっと届くから、って。その言葉に、励まされた。だから俺も…あんたの傍にいられるように、頑張るから。俺たちが倖せになれる道を、ちゃんと見つけよう?ちゃんと…ニ名で、ね」
「…そうだね」
 自然と、笑いが零れる。
 一番大切なヒトと共にいる時間。それは、今だけではなく、これから先もずっと。それが、何よりも倖せだと思う。それは、御互いの心の中に甦って来た想いだった。
「…って言うか、引き千切られたんだ」
 ふと思い出したように、ゼノンの左耳に触れたライデンの指先。エースが治してくれたので、傷は残ってはいないが…その強引さに、エースらしさを感じていた。
「まぁ、エースだからね」
 くすっと笑ったライデンに、ゼノンも小さく笑いを零す。
 けれど、ふと脳裏を過ぎった記憶に、ライデンの表情が一変する。
 それは…今、魔界で起こっている事態について。
 愛する恋悪魔を取り戻す手伝いをしてくれた大事な仲魔たちが…今、バラバラになろうとしていると言う事実。
 今がどんな状況になっているのかライデンにはわからないが…支えてくれた仲魔を、見捨てる事は出来なかった。
「…ねぇ…御願いがあるんだけど…」
「…御願い?」
 笑う事をやめたライデンの表情は、酷く真剣で。その御願いの内容はまだわからないものの、何を言われるのかとゼノンもその表情を引き締めた。
 そして、どう言葉を続けようかと僅かに想いを巡らせていたライデンが、ゆっくりとその口を開く。
「…もう直、魔界に戻るでしょ?そしたら…デーさんの味方でいてくれないかな…?」
「…デーモンの味方、って…どう言う事?別に、敵対してる訳じゃないけど…」
 状況が全く見えないゼノンが、怪訝そうな表情を浮かべたのは当然の事。
 自分がここへ来る為に仲魔たちには随分助けられた。それはデーモンに対しても同じ事。だから、今更そう念押しされる理由がわからないのだ。
 怪訝そうな表情のゼノンに、ライデンは大きく息を吐き出す。
「俺は、魔界に行けないし…今がどんな状況なのか、良くわからない。だから、予測であれこれ言う事は出来ないんだけど…でも多分、みんなの想いが、噛み合ってないんだと思う。それが、"魔界防衛軍"にとって、都合の良い状況であるようにしか思えない。だから、あんたが…その鎹になってくれないかな…?今一番辛いのは、間に挟まれているデーさんだと思う。だから、デーさんの味方でいて欲しいんだけど…」
「…ライ…」
 ライデンがここまで言うのだから、きっと自分が留守にしているここ数日で、何か状況が大きく変わってしまったのだろう。
 ライデンは今や雷帝であり、昔のように自由に魔界へ行く事は出来ない。本来ならば、自分が行って、力になりたいと言う気持ちが強いはず。だからこそ…自由に動けない今、ライデンも不安で仕方がないのだろう。
 そして何より…"魔界防衛軍"の一言は、ゼノンの纏う気が一気に変わった気がした。
「…"魔界防衛軍"って…どう言う事…?」
 問いかける声も固い。
「…聞いてないの?」
 思わず、ライデンもゼノンに問いかけた。
「…何も聞いてないよ?ロイドが、彼奴を操っていた第三者に殺された、って事は聞いたけど…」
 そう自分自身でつぶやいた後、ハッとしたようにゼノンは息を飲む。
「…まさか、その第三者が…"魔界防衛軍"だって言うの…?」
「…そうみたい。俺も、魔界の状況は良くわからなかったけど…雷帝を継いだその日に、デーさんからそう聞いた。"魔界防衛軍"の残党が、動き始めてるらしい、って。ウイルスの盗難とばら撒かれた事に関してもその可能性が高い事。ロイドがそこに一枚噛んでいたであろう事。文化局で、あんたの後任の選出の話を切り出したのもロイドで、その口封じの為に殺されたらしい。それに、ルークも、変な"影"に入り込まれて…ルークはその少し前にウチにも来てくれたりしてたから、危うく雷神界にもその"影"が入り込むところだった、って…それに今回の騒動も、"魔界防衛軍"の可能性が高い、って…詳しい事は、魔界に帰ってから聞く方が早いし、正確だと思うけど…」
 ゼノンが何も知らなかったのは、それを説明する時間がなかったからだろう。尤も、聞いていたところで状況は何も変わってはいないのだろうが。
 それでも自分の与り知らないところで動いている"魔界防衛軍"の脅威に、胸騒ぎがするのは当然の事、だった。
 大きく溜め息を吐き出したゼノン。その眉間に刻まれた皺に、その心の重さが見て取れるようだった。
「…わかった。魔界に戻ったら、デーモンの事も勿論だけど…"魔界防衛軍"に関して、状況を整理するよ。ロイドの事も含めて…ね」
「…ゼノン…」
 その固い表情と纏う緊張した気に、ライデンは溜め息を一つ。
「…どうした?」
 ライデンの心情を読み取れなかったゼノンは、僅かに首を傾げて問いかける。するとライデンは視線を落とす。
「…御免ね。折角療養中なのに、余計な事言って…」
 そう言って、再び視線を上げる。
「直ぐ、魔界に帰る…?」
 様子を伺うように問いかけられた声に、ゼノンは大きく息を吐き出す。そして手を伸ばすと、ライデンを抱き寄せる。
「感情に左右されるようじゃ、俺もまだまだ未熟だね」
 張り詰めていた気を緩め、その身体の温もりと芳香を堪能するかのように、大きく呼吸をする。
「…心配かけて御免ね。申し訳ないけど…魔界の事は、今は一旦保留にさせて貰う事にするよ。まず、自分の身体を治さないとね。だから、許されるのなら、もう少し療養させて貰いたいんだけど…」
「…ゼノ…」
 未だ、まだ不安そうな表情の残るライデンににっこりと微笑み、その髪にそっと口付ける。その仕草がとても懐かしくて、胸の奥が熱くなる。
「…何か、こんなにホッとするの久し振り…」
 ライデンの口から零れた言葉。
 そう。考えてみれば、こんなに密接してのんびりしているだなんて、数年振りの事。一度は手放したはずのその温もりは、やはり御互いにとっての一番の安定剤である事を思い知らされた。
「雷帝として、滞在を許可する。ってか、いてくれないと困る…まだ、全部満たされた訳じゃないし…」
「それは職権乱用じゃないの?」
 くすっと笑ったゼノンに、ライデンも笑いを零す。
「良いのっ。だって…俺の大事なフィアンセだもん」
 そう言いながら、包帯の巻かれた胸元へと手を伸ばし、耳元へと唇を寄せる。
「…まだ痛い?」
 問いかけた声に、再び笑いが零れた。
「多少ね。でも動けない事はないし。さっきも、上皇様のところまで普通に行ってたでしょ?」
「まぁ、ね。でも、ただ歩くのと動くのはまた別だしね。今日は大人しくしてるから…早く、良くなってね」
 甘い声で囁かれ、その耳にそっと口付ける。
「善処します」
 くすくすと笑いながら、その身体をしっかりと抱き締める。
 その温もりを実感しつつ、ふと、昨日聞いた言葉を思い出した。
 完治、と考えなければ、多分もういつでも魔界へ戻る事は出来る。ただ、問題はゼノンの"ココロ"と肉体の結び付きの回復次第、と言われたはず。その辺りはどうなのだろう…と思いつつ、視線を上げてその顔を見上げた。
「…何?」
 その視線に気が付いたゼノン。
「いや…"ココロ"と肉体の結び付きに、違和感はない…?」
「"ココロ"?」
 首を傾げたゼノン。
「そう。ほら、一度魂が離れてるからさ、ちゃんと結び付いているかどうかルーアンが心配してたみたい」
 そう言われ、ゼノンは暫く何か考えているようだったが、やがてその口を開く。
「…特に、何の変化もないと思うけど…まぁ、一旦魂が離れてしまったからね、心配されるのはわかるけど…俺からすれば、別に変化はないよ。御前はどう思う?」
 反対に問いかけられ、ライデンも軽く気配を探ってみるが、気になるところはない。
 …と言うよりも、正直なところ数年振りの密着に、否応なしに気持ちが高まってそれどころではない。
「違和感はない。ってか…駄目だ、密着し過ぎて興奮する」
 思わず零した言葉に、ゼノンも笑いを零してその腕の力を緩める。
「じゃあ、離れようか?」
「…駄目。あんたがここでゆっくりしていられる時間は限られているんだもん。くっついていないと勿体無い」
 自分で言っていて笑ってしまう。
 求める想いが満たされる倖せ。数年振りのその幸福感は、ナニモノにも変えられない。
「…愛してるよ」
 耳元で囁かれるその言葉が、とても心地良い。
「俺も。愛してるよ」
 甘い囁きと共に重ねられた唇。
 それはごく普通の、当たり前の行為ではなく…御互いの想いが結ばれた、特別な瞬間なのだと言う事を、改めて実感していた。

◇◆◇

 ほんの束の間の休息。
 それは、これから共に歩んでいく為の、スタートライン。これから、どんな道になるのかはまだわからない。
 それでも、倖せである事に変わりはない。今は…その倖せに浸っていたい。
 改めて手に入れたその幸福を、もう決して手放してはいけない。
 それは、御互いの心に刻み込んだ誓いだった。
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プロフィール
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如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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