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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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DISHARMONY 2
こちらは、以前のHPで2002年9月28日にUPしたものです
 ※シリーズ小説はカップリング小説です。
(基本DxAですが、色々複雑です…スミマセン…/苦笑)
4話完結 act.2

拍手[2回]


◇◆◇

 その日の職務が終わって直ぐ、デーモンはエースの屋敷を訪れた。突然の訪問に、当然面喰らったエース。
「何だよ、急に」
「…いや…その…この前は悪かった。まずそれを謝ろうと思ってな…」
「…別に謝って貰ってもな。どうせ、何も変わらないだろう?無駄な時間の使い方をするなよ」
 エースの部屋に、ルークの姿はなかった。そのことに多少は安心したものの、デーモンに向けるエースの眼差しも言葉も素っ気ない。それが、先日の喧嘩によるものだと言うことは、デーモンにもわかってはいたが。
「何だ、帰って来たばかりなのに、また出発の準備か?」
 黙々と支度をしているエースを前に、デーモンはそう尋ねた。
「あぁ。尤も暇潰しになって良いけどな。執務室に捕われてる御前とは違って、元々俺は外回り専門だから」
 はっきり言ってしまえは…それは嫌みである。それを感じ取ったデーモンは、溜め息を一つ。
「今度はどれくらいだ?」
「さぁ。ダミアン様に聞いてくれ」
 これは明らかにデーモンの分が悪い。デーモンの顔を見たくないだけに留まらず、王都にすらいたくはないと言うのだろうから。
「ルークは…いつ頃来るんだ?」
 思わず問いかけた声に返って来た、エースの声。
「…ルーク?来るなんて、一言も聞いてないぞ」
「…は?」
 平然と答えたエースは、嘘など付いているようには見えない。と、なると…デーモンを一杯食わせたのは、ルークの方と考えるのが妥当だろう。
 このままでは埒が開かないと踏んだルークが、何とかデーモンに発破をかけようとしたに違いない。まさか、忘れてるだなんてことは考えられないだろうし。
 一名で腕を組みぶつぶつと言っているデーモンを横目に、エースは小さな溜め息を一つ。
「ルークに用事なら、ここに来たって逢えないぞ。彼奴の屋敷に行ったらどうだ?」
「あ…いや…そうではなくてな…」
 一瞬、どう説明をしようかと語尾を濁らせたデーモンであったが、結局は正直に話すことに決めた。どうせ、回りくどい言い方をしても、今のエースにはかえって火に油を注ぐだけだろうから。
 一つ呼吸を置き、デーモンは背を向けて支度をしているエースの背中に向け、言葉を放った。
「ルークが…御前を堕とすと、吾輩に宣言して来た」
 その言葉にエースは手を止め、デーモンを振り返った。
「は?何の、冗談だ?」
 当然、エースは本気にはしていない。だが、デーモンの表情は真剣そのもので。
「冗談ではない。彼奴は、本気で吾輩にそう言って来た。それも御前が任務から帰って来て、直ぐに…だ。今日、御前の所を訪れると言っていたのでな、吾輩も来た訳だ」
「…何の必要性があって?俺たちの情事を覗きにでも来たのか?」
「…あのなぁ…」
 こんな時に、そんな冗談を…と言う表情を浮かべたデーモンであったが、目の前のエースはどう見ても冗談を言う表情ではなかった。だから、デーモンもついその口を噤んでしまった。
「来て、どうなるモノでもないだろう?第一、御前は俺のことは単なる片腕としか、思ってはいはずだ。エースの名を語れるのは…御前の前でその名を口に出来るのは…昔の俺だけなんだろう?だからあの時…」
 そうつぶやき、エースは僅かにその眼差しを伏せた。
 そう。精一杯の勇気を出して、デーモンの元を訪れたはずなのに。デーモンはそれを、馬鹿だと言った。無謀だと、言った。勿論…自分でも、馬鹿なことをしていると言う自覚はあった。
 けれど、問題はそんなことじゃない。
「…御前は…まだ、昔の俺に拘わってる。俺が幾ら、御前の気を引こうとしたって…当の御前の心が俺の方に向いていないなら意味がない。そんな馬鹿なこと…やる必要もないしな」
「エース…」
 視線を上げ、デーモンを見たエースは…とても哀しそうに見えた。
「御前は卑怯だ。俺が、昔には戻れないってわかってるクセに。そう言うつもりがなかったら、最初にそう言えば良かったじゃないか。俺はただ片腕として必要なのであって…恋悪魔として相手をするつもりはないって、どうして言わなかったんだ?思わせぶりなことを言って、俺を縛り付けて…結局、そうやって何もなかったことにしようとしてるじゃないか」
「…そう言うつもりじゃない。ただ…一足飛びにそうは出来ないだろう?」
 慌てて言葉を繕ったつもりであったのに、それはエースの前では単なる言い訳にしかならなかったのだ。
「一足飛び…?じゃあ何か?御前は、俺が昔のエースのように御前に取り入って、場数を熟していかなければ、話にもならないって、そう言うことなのか?御前が俺を見てくれるのは、後何万年先のことなんだ?」
「だから、そうではなくて…」
「そう言ってるだろう?俺が生まれ変わってから今まで、俺たちが向き合った時間は何だったんだ?御前は、俺の何を見ていたんだ?無駄な…語るのも馬鹿馬鹿しいと思える時間しか、俺たちは過ごせなかったのか?」
「エース…」
 切ない。どれだけ想っても、一向に報われないなんて。
 唇を噛み締めたエース。報われない想いを初めて思い知った。
 一体何の為の、努力だったのだろう。デーモンに、何を求めていたのだろう。どんな希望を抱いていたのだろう…?
 全てが無駄だったとわかった時の絶望感は、その心に再び鍵をかけた。
「わかっただろう。御前にとって、俺はそれだけの存在だ。御前がそれをわかっていなかっただけの話で…俺たちはこれ以上、歩み寄れない。御互い…無駄な努力は止めよう。もう…これ以上は無理、だ」
 小さくつぶやいた、エースの声。ドキッとして顔を上げたデーモンに、その宣告は下された。
「職務以外で…二度と俺に近付くな。二度と…俺の前に現れるな」
 その言葉は冷たく、鋭い。御互いの間に作ってしまった溝を、簡単に埋めることは無理なのだろうか。
 エースの部屋から追い出されたデーモン。噛み締めた唇だけがその想いの深さだった。
 大きく息を吐き出し、一悪魔になった部屋の中でベッドに腰掛けたエースもまた、何かを堪えるかのように唇をきつく噛み締めていた。

◇◆◇

 ずっと愛していると思っていたのは…一体、いつのことだっただろうか。
 ただ一名だけを心に決めていたはずだったのに…いつから、こうなったのだろう。
 いつから、心が離れてしまったのだろうか。それとも、気がどうかしてしまったのだろうか。
 答えは、わからない。
 ただ、心が痛くて。魂が痛くて。
 疼くような痛みが、肉体的にも精神的にも、彼らを支配していた。

 微睡みの中、懐かしい声を聞いた。
『デーモン』
 間違えるはずなどない。とても愛しい悪魔。
「エース…」
 つぶやいたデーモンの声と共に、その視界に映った姿。確かにかつてデーモンが殺したエースの魂に、他ならない。
「逢いたかった…御前に」
 デーモンの口から零れたその言葉に、エースの表情はすっと曇る。
『俺は、御前の傍にいるだろう?エースと名の付く悪魔は、一名だけだろう?どうしてその言葉を…素直に彼奴に言えなかった…?』
 その悲痛そうな表情に、デーモンは思わず息を飲んで、目を伏せた。
『何を…躊躇ってる?』
 問いかけた、エースの声。
「躊躇う…?吾輩が?」
『だろ?他に、誰がいる?』
 問いかけるエースの眼差しは、デーモンの眼差しを捕えて離さない。
『何も、変わりはないはずだ。彼奴は俺であって、俺は彼奴なのだから』
「だが…吾輩が御前を壊してしまったことが事実である以上、同じことの繰り返しになるであろうことは目に見えている。吾輩の感情が、御前に向けられていたモノと同じであるならば」
『同じ感情を向けられ、俺がまた死ぬとでも?』
「エース…」
 エースの言葉は、デーモンの胸に突き刺さる。
『何の為に、俺が生まれ変わったと思ってるんだ?俺は、もう一度御前に殺される為に彼奴を再生(リバース)させたんじゃない。御前の想いに応える為に、再生させたんだ。俺の弱かった部分を、彼奴は克服した。それが、不服だとでも?だから…別魔だとでも…?』
 胸の奥が、痛かった。つと、涙が頬を伝う。それを拭うかのようにすっと伸ばされたエースの手が、優しくデーモンの頬に触れた。
『躊躇う必要はない。今の俺は、御前を受け留めてやれる。だから、ちゃんと見てくれ。そこに、誰がいるのかを。彼奴は、御前の"言葉"を待ってるんだ。だから後は御前が…』
----勇気を出してくれ。
 傾けたエースの頬が、デーモンの顔へと近付く。
『御前を、愛してるよ。ずっと…』
 目を閉じたデーモンに、そっと囁きが聞こえた。甘いその言葉は、デーモンの耳の底で疼いていて。
 デーモンの唇にエースの唇が触れた瞬間、デーモンの中の何かが弾けたような、そんな気がしていた。

◇◆◇

 エースが任務に出発したとの連絡が入って数刻の後、慌ただしくデーモンの執務室に駆け込んで来る悪魔が一名。
「どぉ言うつもりっ!?俺があれだけ発破かけたのに、何もしないどころか、大喧嘩して帰って来るなんて…っ!」
 エースから何か言われたのだろう。両手で机を叩いてそう叫ぶ姿に、デーモンは溜め息を一つ。
「少し落ち着け」
「十分落ち着いてるよっ」
 未だ興奮冷めやらぬルークの言葉を遮るかのように、デーモンは言葉を吐き出した。
「夢を、見たんだ」
「夢ぐらい、誰だって見るよっ」
 声を荒立てるルーク。
「彼奴の…吾輩が殺した、エースの夢…だ」
「…デーさん…」
 一瞬にしてルークの気が鋭く変わったことには、デーモンも気が付いていた。だがそれを宥めるかのようにデーモンは言葉を続けた。
「…エースもわかっていた。吾輩が彼奴に捕われたままだと言うことを。今のエースの中に…彼奴を求めてしまっていることも」
 デーモンの声は、心無し常よりも低い。
「吾輩は…何を、求めていたんだろうな。エースを壊したのは吾輩であるはずなのに…再び、彼奴を手に入れようとしていた。だが、それがどう言う意味での必要だったのか…その答えを見つけられずに、結局また、エースを傷付けた。吾輩には、エースを傷付けることしか出来ないのかと…いつもそう思う」
 伏せた睫が、僅かに濡れているような気がして。ルークは、その真意を考えあぐねていた。そして、出した結論。
「幾ら傷付けたって…やっぱり、愛してるから必要としたんじゃないの…?」
「…ルーク…」
 顔をあげたデーモンは、真っ直ぐに自分を見つめる黒曜石を見た。
 真っ直ぐなその眼差しは…明らかに、デーモンを咎めている。
「だってそうでしょ?カタチとしてだろうが、メンタルとしてだろうが、エースを必要としていたのは確かじゃない。結果、カタチを欲したからって、それがデーさんの責任?」
「…しかし…」
「何処までは安全か。なんて、そんな計算してちゃいつまで経っても同じことの繰り返しじゃない。もう、答えを出してあげてよ」
「…どう言うことだ?」
 問いかけた声。その問いに、ルークはそっと目を伏せる。
「今のエースは、それを否定してる?あんたがカタチとしてエースに求めることを、一度でも否定した?する訳、ないよね。だってエースは…」
----あんたを信じて、あんたに全てを求めたんだもの。
 鋭い答えに、デーモンは思わず口を噤む。今でも迷っているのは…躊躇っているのは、何故か。
「逃げないでよね」
 ルークの唇が紡いだ、たった一言の言葉。
「他悪魔より頭が良い分、三つも四つも先のこと考えて逃げるのは、悪い癖だよ。深く考える必要なんてないじゃない。どうして、真っ直ぐぶつかって行かないの?エースはあんたを待ってるのに。どうして、素直になれない訳?」
「……」
 口を噤んだままのデーモンに、ルークは溜め息を一つ。
「俺は…あの時、エースを助けられなかった自分が嫌い。あんなに傍にいたのに、傷付いたエースを見過ごしてしまった自分が嫌い。だから…同じ事は繰り返さない。今度こそ、エースの心を護るつもりでいるよ。そして、その為に何をするべきなのかわかってる。だから…あんたに言うんだよ。あんたしか…エースを受け止められないって、わかってるから」
 後悔しているのは…ずっと、胸が痛かったのは…デーモンだけではなかった。
 当事者同士の問題だからと、見て見ぬ振りをすることは出来たはず。けれど、目を背けずに向き合っていたのは…ずっと、彼らを見つめて来た仲魔だから。
 何よりも…大切な、仲魔だから。
「俺…明日から、任務で出かけるから。当分帰って来ないと思う。だから、俺が帰って来るまでにエースと仲直りしておいてよね。喧嘩したままだったら…俺は、あんたの参謀を降りるよ。そんなあんたの下では、一緒にやっていけないもん」
 今のデーモンには何を言っても無駄だと察したのか、ルークはそう言い残し、踵を返して執務室を出て行く。
 デーモンは黙ってその後ろ姿を見送った。噛み締めた唇が白く変わり、デーモンの心の内も伺える。
 ルークの気持ちは、痛いほど伝わっている。そして、ルークだからこそ…デーモンにはっきりとその心の中を晒したのだ。
 けれど…デーモンの気持ちは、まだ整理出来ていない。簡単に結論を出せたら、どれだけ楽だっただろう。だがそれが二度とエースを失わないと言う確証の下ではないのだ。だからこそ、今までこうして躊躇っていたのに…
 酷く哀しそうな表情のエースが、脳裏に甦る。だが、果たしてそれはどちらのエースなのだろう…
 大きく息を吐き、デーモンはそっと目を閉じる。色々と思いが巡る中で、やっと一つの決断を見つけた。
 まだ、間に合うのなら。とにかく、精一杯…足掻いてみよう、と。
 意を決したデーモンは、その足でダミアンの執務室へと向かった。

◇◆◇

 皇太子の執務室の前で、デーモンは気持ちを宥めるかのように大きく息を吐き出し、そのドアをノックする。
「どうぞ」
 厘としたダミアンの声に、デーモンはそのドアを開ける。
「失礼します」
 デーモンの表情は、いつも通りの冷静な表情。だがその裏にある僅かな不安を見出したダミアンは、それをデーモンの口から聞くことに決めたらしい。
「何か、用かい?」
 にっこりと微笑むダミアンの前、デーモンの表情は崩れない。
「エースの任務地は、何処なんですか?」
「おや。書類は届いていなかった?」
「いえ…見かけませんでしたが」
「そう」
 直に届くと思うけどね。
 ダミアンはそう言いながら、己の机に積まれている書類の山の一角から一綴りの書類を取り出してデーモンに手渡す。
「それは一応、わたしが受け取ったものだが…まぁ、目を通してみると良いよ」
「御借りします」
 ダミアンから受け取った書類に目を通しているデーモンを、ダミアンは観察でもするかのようにじっくりと眺めている。
「今回の任務は、単なる区域調査だよ。移動の日数も含めて、五日もあれば十分だろうね。長くても一週間あれば帰って来れる」
「…はぁ…」
 書類を見れば、魔界でも指折りの安全区域である。長くても一週間程の区域調査ならば、心配する必要もないだろう。
 僅かに安堵の表情を覗かせたデーモンに、ダミアンは小さく溜め息を吐き出す。
「今…エースに流している任務は、どれも長官自ら赴くような仕事ではないよ。わたしは、御前たちのことをとやかく言うつもりはない。御前の想いも良くわかっているつもりだからね。だが、今のエースは少し気持ちが荒んでいるようだね。一時でも、王都を離れていたい。そんな気持ちがありありとわかる。まるで、死に場所を求めているみたいにも見える。流石に…そんな顔をさせるのは、どうかと思う。それに…ルークを泣かせるのも如何なものかと思うよ?デーモン」
「…わかっています…御心配を御掛けして申し訳ありませんでした…」
 確信を突いて来るダミアンの言葉に、デーモンはその心の中を全てを見透かされているような錯覚さえ覚えていた。
 咎められている意味はわかっている。だからこそ…進まなければ、ならないのだと。
 エースが帰って来たら、今度こそ…ちゃんと、向き合わなければ。
 今のデーモンに出来ることは、ただ、エースの帰還を待つことだけだった。
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