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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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SITLL ALIVE 9
こちらは、以前のHPで2003年09月07日にUPしたものです
 ※シリーズ小説はカップリング小説です。
(勿論DxAですが、ダミアンxルークもあります。
でもこのシリーズのメインはRXです…多分/^^;
13話完結 act.9

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◇◆◇

 デーモンと共に、皇太子宮を訪れたゼノン。当然、まだデーモンはダミアンの張った結界を通ることが出来ないのだから、そこはゼノンしかいない訳である。
「…ゼノンです」
『…どうぞ』
 結界が解除されたことを確認すると、ゼノンはゆっくりとそのドアを開け、中へと入って行く。
「どうした?今日は検診の予定はなかっただろう?」
 そう問いかけるダミアンの顔色は、前よりも優れない。ダミアンが発病してからもう二週間は経っている。しかもルークと違って、症状は悪化する一方。普通なら、もう話すことも出来ないはず。それ故に、皇太子と言う存在の大きさを改めて感じるのだ。
「実は…」
 重い口をゆっくりと開き、ゼノンはその不安を、残らずダミアンに打ち明けた。
 そして、ダミアンから返って来た反応。
「わたしは、構わないよ」
「ダミアン様…そんな簡単に……」
 当然、戸惑うゼノンの表情に、ダミアンは小さく微笑んだ。
「簡単か、簡単ではないかは、御前もわかっているだろう?我々がルークと出逢って、どれくらいの月日が流れていると思う?その月日の分だけ、わたしはルークと言う存在を、良く見て来て、理解して来たつもりだ。今更、何を迷う必要がある?」
「……」
 大きな溜め息が零れる。それは当然、ゼノンから。
「ルークは、もう立派な悪魔だよ。わたしが彼にその名前を与えたその時からな。わたしが良いと言っているんだ。何も心配いらないよ」
「…楽天家です、殿下は…」
 再び大きな溜め息を吐き出したゼノンに、ダミアンは目を細めてゼノンを見つめた。
「元々は、御前が決めたことだろう?デーモンにはエースを、わたしにはルークを。わたしは、その考えが間違っていないと言っているだけだよ。どんな理屈よりも、勝るものがあるんじゃないのかい?」
 その言葉に、ゼノンは小さく笑いを零した。やっと踏ん切りがついたようだ。
「では…良いんですね?」
「あぁ。御前に任せる」
「…御意。では、デーモンの検査結果が出次第、次のステップへ続きます。ルークの様子を見て…あの分だと、一週間とかからずに結果が出せると思います。それまで…大丈夫ですか?」
「誰を見てモノを言っているんだ。あと一週間ぐらい、大丈夫だよ」
 くすくすと笑いを零すダミアン。そのいつもと変わらぬ姿に、ゼノンは僅かな安堵感を覚えていた。

 ダミアンの寝室から出て来たゼノンは、デーモンが待っているリビングへとやって来た。
「どうだった?」
 ソファーに落ち着いたままでそう尋ねるデーモンに、ゼノンは小さな溜め息を一つ。
「御前の言う通り」
「だろう?」
 くすっと笑うデーモンに、ゼノンは呆れたように吐息を吐き出す。
「ホントに、当事者って呑気なんだから…」
「呑気だなんてとんでもない。エースは当事者の方が前向きだって言ってたぞ。せめて、それくらいは言って欲しいな」
「…それだけの元気があれば、もう全快ね」
「おいおい、ちゃんと結果は出してくれよ」
「はいはい」
 そんなやりとりを、部屋の隅で眺めていた執事は、目を細めて見つめていた。まるでそれが、主たるダミアンの、近い未来であることを願うかのように。

 そのまま、エースの様子を見に情報局へとやって来た二名。
 長官の執務執のドアをノックすると、バタバタと慌ただしい物音の中、答える声があった。
『どうぞ』
 その声にドアを開けると、丁度エースと目が合った。
「…ゼノンはともかく、何で御前がここにいるんだ…?」
 それは当然、デーモンを指した言葉である。
「ゼノンから許可が出たんだ。ちょっと、ダミアン様のところに行って来た」
「…許可した覚えはないけどね」
 溜め息を吐き出すゼノン。
「…で、御前は何をやってるんだ…?」
----大掃除か?
 デーモンがそう首を傾げるのも無理はない。
 いつもなら、ある程度は片付いている執務室の机は、今や山積みの資料が倒れそうになっている。そして、エース本魔も、両手一杯の資料を抱えていた。
「馬鹿言え。大掃除の時期じゃないだろうが。資料捜しだよ、資料捜し」
「コンピューターにファイルされてたんじゃないのか?」
 この頃は、資料や報告書のほとんどがコンピューター任せの御時世でありながら、どう言う訳か、今のエースは紙の資料に囲まれている。
「全部が全部、ご丁寧にコンピューターにファイルされた報告書じゃないってことだ。まぁ、リエラも手伝ってくれたから目当てのモノは見つかったけどな」
 そう言うと、手に持っていた資料を机の上に置き、デーモンとゼノンをソファーに促すと、その前のテーブルに数枚の報告書を置いた。
「ゼノンのところから出されたウイルス盗難の報告書の日付の前日に確認された不審者がいたことは間違いない。文化局から出された報告書にも、それは記されている。それから、恐らくダミアン様が感染したであろう時期のモノもあった」
 エースが置いた数枚の報告書は、文化局、枢密院の管理部からのモノだった。
「枢密院の報告書があると言うことは…」
「そう。何らかの関係者、と言うことだな」
「……」
 それを、想像していなかった訳ではない。最初に発病したのがダミアンだと言うことで、それはある程度当然と言える結果だったのかも知れない。
「どうやら、事件の数日前から、文化局には何度か足を運んでいたらしいな。そして、事件が起こる。そこから突如、追跡不能になる」
「つまり、いなくなった、と言うことか?」
「恐らくな。逃げ込んだ先は何処の世界かはわからない。そして、二度と魔界へ足を踏み入れてはいない。盗んだ犯魔と、ウイルスを広めた犯魔は別魔だろう。こちらも枢密院からの報告書だが、消息は不明だ」
 大きな溜め息が零れる。
 これでは、ウイルスを盗んだ犯魔を捕えることは出来ない。そしてまた、ウイルスを広めた犯魔も、最早魔界にはいないのだ。流石の情報局も、手も足も出せないのが実情。
「これ以上の捜査は無理だ。逃げ込んだ先の世界がわからない上に、例え見つかったとしても、盗難から随分経っている。ゼノンに見覚えがあったとしても、それが別のウイルスだと言われればそれまでだ」
「…仕方ないな。捜査はこれで打ち切りか」
「…今の段階では、な」
 溜め息を吐き出すのは、デーモンとエース。その間、ゼノンは終始、口を噤んでいた。
「もっと早く、わかっていたら…捕まえられたかな…」
 ぽつりとつぶやいた、ゼノンの言葉。だが、それは、デーモンの言葉で打ち消された。
「振り返るな」
「…デーモン…」
 ゼノンの不安げに揺れた眼差しの先に、デーモンの真っ直に見つめる金の瞳があった。
「今は、前だけを見てろ。あの時こうだったら、なんて言葉、言うだけ無駄だ」
 その言葉に、エースは腕を伸ばして、ゼノンの肩を軽く叩いた。
「俺が適わなかったんだ。御前がデーモンを言葉でやり返せるはずはないぞ」
「…だね」
 零れた小さな溜め息は、諦めだったのか、安堵だったのか。
「じゃあ、俺は局に戻るよ。多分、明日には結果が出るから。まだ無茶しないで、ちゃんと屋敷に戻るんだよ」
 ソファーから立ち上がったゼノンは、デーモンにそう釘を刺して踵を返した。
「しっかりな」
 その背中を後押しするように、笑いを含んだ声でデーモンがゼノンに一声かける。
 ゼノンは振り返らず、軽く片手を上げてそれに答えると、そのまま執務室から出て行った。
「…で、御前は何やってたんだ?」
 内ポケットから取り出した煙草を指先で弄びながら、改めてエースがデーモンに問いかけた。
「…ちょっとな。進めば進むだけ、新しい不安を見つけて来るゼノンに釘を刺して来たところだ」
「…このまま、何事もなく、事が終われば良いけどな」
 ふと零したエースのその言葉。それが予言にならなければ良いと、思わずにはいられなかった。

◇◆◇

 翌日、デーモンの検査結果が正式に出された。
「…まぁ、まだ魔力は完全に戻ってはいないけど、ほぼ完治と言っていいだろうね。血液中にウイルスも見つからないし、調子も良さそうだからね」
 デーモンの屋敷の寝室で、主治医たるゼノンはそう告げた。それを聞いたのは、一応安静を言い渡されているルークを除いた、デーモン本魔とエース、ライデンの三名。
「第一ステップ、クリア!」
 嬉しそうに声を上げるライデン。待ちに待った朗報だけに、その喜びは当然の反応だった。
「第一ステップクリアで喜ぶのは良いけど、まだ踏み出したばっかりだよ」
 無邪気なライデンの姿に苦笑しつつ、ゼノンはそう言葉を放つ。そして、それに便乗するように、エースも口を開いた。
「次は《青の種族》全般が相手だろう?直ぐに次に移れるのか?」
「正直言えば、魔力が完全じゃないから今のままだと《青の種族》の全てに《歌》が届くかどうかは微妙なところなんだよね。デーモンにとってもきついだろうし…」
「そうかも知れないな」
 ゼノンの意に賛成を唱えるデーモン。勿論、次の臨床実験とも称せる第二ステップに望むのはデーモン自身なのだから、彼が納得しなければ実験には移れないのだ。
「そこで、だ。ちょっと協力して貰えないか?」
 ふと、口を開いたデーモンに、三名の視線が向く。
「…は?協力って…?」
 問いかけた声に、デーモンは言葉を続ける。
「取り敢えず、もう少し魔力を上げる必要がある訳だろう?だが、このままだと完全に戻すにはまだ二~三日は必要だと思うが、そんな時間はない。そこで、御前たちの魔力も一緒に乗せようと思うんだが」
「…と言うと…」
「久し振りに、やらないか?」
 にんまりと笑うデーモンに、一同顔を見合わせる。
 デーモンが言おうとしていることは、つまり…
「俺たちの魔力を、BGMに利用しよう、ってこと?」
「そう言うこと。丁度良いだろう?ここに、有能な《赤の種族》が三名もいるんだ。その能力も、乗せることが出来れば、吾輩が一名で歌うよりもずっと効率が良いだろう?」
 再び、顔を見合わせる三名。
「ルークがいないのがちょっと物足りないが、そこは仕方がない。精一杯能力を高めるには、やっぱり慣れた環境って言うのは大きいんだぞ」
 説得するように口を開くデーモンに、エースが溜め息と共に言葉を零した。
「…いや、誰も反対はしないけどな。だが、急に言われてもなぁ…」
「ねぇ…」
「大丈夫。そんなに面倒なことじゃない。吾輩に任せておけ」
 そこに妙な自信を浮かべ、デーモンはにんまりと笑っている。
「まぁ…それはともかく、まずデーモンの魔力をもう少し上げることが先決ね。じゃ、エース、頼んだよ」
「…おい…」
 突然のご指名に呆然とするエースだが、ゼノンもライデンも、エースの肩をポンと叩くと、軽く微笑む。
「頑張ってね」
「あのなぁ…」
「じゃ、お邪魔虫は退散。リビングにいるからね、魔力が安定したら呼んでね」
 そう言い残し、ゼノンとライデンは部屋を出て行った。
 そして残されたのは、デーモンとエース。
「…ったく…」
「悪いな」
 仏頂面のエースをくすくすと笑うデーモン。だが、その眼差しがすっと細められると、その腕がエースの首へと回された。
「ちょっとだけ、だぞ」
「了解」
 くすっと小さく笑いを零し、そっとエースへと頬を寄せるデーモン。
 甘い吐息を分け合い、二名の恋悪魔たちは暫しの淡い時間を過ごしていた。

 リビングで使用魔であるアイラが出してくれた御茶を楽しんでいた二名。そのカップが空になる前に、デーモンとエースが連れ立って現れた。
「あれ?早かったね」
「…何を想像してたんだよ、御前等は…」
 くすくすと笑う二名を前に、僅かに頬を染めたのはエース。デーモンはと言うと、当然と言えば当然、上機嫌である。
「さて、八割方魔力も戻ったぞ。次は御前たちだな」
 デーモンとエースの分の御茶が用意されるや否や、デーモンはそう言葉を放った。
「…しょうがないな。上手く行かなくても知らないからな」
 デーモンの言葉に答え、エースはその手に一つの光を呼び出した。
 輝きが薄れると、その形がはっきりと伺えた。
 それは、かつて愛用していたギター。
 ゼノンもライデンも、同じように"それ"を呼び出す。
 ベースと、ドラムスティック。
「…で、何処でやる訳?魔界全般に聞こえなきゃいけない訳でしょう?場所も重要ってことじゃない?ドラムセット召喚するのも場所取るしね~」
 久し振りに握ったスティックで肩をポンポンと叩きながら、ライデンが問いかける。
「…それに関しては、良い場所があるんだ。ま、吾輩に任せてくれ」
 そう言うなり、ぐいっと御茶を飲み干すと、ソファーから立ち上がる。
「さ、行くぞ」
 その声に促され、彼等はその"場所"へと向かった。

 透明な《旋律(メロディー)》に乗せ、透明な《歌》が流れる。
 その《歌》は風に乗り、魔界全土へ広がっていた。
 《歌》に乗せた能力は、《青の種族》にとって、漲る《能力》となった。

 ルークは、その《歌》を、自分の屋敷の寝室で聞いていた。
 身体の底から溢れて来る"感覚"が、酷く心地良い。
 その《歌》の中で、ルークは蒼い眠りの波に飲まれていた。

 彼等の《音》を、一番近くで見つめる姿が一つ。
 その"場所"をぼんやりと見下ろしながら、その姿は小さく吐息を吐き出していた。
 彼等がいる"場所"は、広い庭の真中。麗しき木々と草花に囲まれたその庭の所有者こそ、彼等を見下ろす姿。皇太子、ダミアンである。
 数時間前、ダミアンの元を訪れたのは、完治したばかりのデーモンとエース、ゼノン、ライデンの四名。
 デーモンを媒体にした臨床実験が上手くいけば、その次はその能力を拡散する為に《歌》を利用することも聞いていた。そして、デーモンならば、この場所を使うであろうこともわかっていた。
 その想像通り、デーモンはこの場所を次の実験の場所に選び、主たるダミアンにその許可を求めた。それを拒む理由は当然あるはずもなく、現在に至るのだ。
 着実に、回復して行く同志たち。だが、自分は未だ、そこに取り残されている。
 そう思うと、気丈に振舞うことも次第に億劫になって来る。
 溜め息が、また一つ零れる。
 先の見えない不安は、まだ彼の中にあった。
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趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
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