聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
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STILL ALIVE 8
こちらは、以前のHPで2003年08月31日にUPしたものです
※シリーズ小説はカップリング小説です。
(勿論DxAですが、ダミアンxルークもあります。
でもこのシリーズのメインはRXです…多分/^^;
13話完結 act.8
※シリーズ小説はカップリング小説です。
(勿論DxAですが、ダミアンxルークもあります。
でもこのシリーズのメインはRXです…多分/^^;
13話完結 act.8
ルークの屋敷を出たエースは、未だ濡れたままで文化局の、ゼノンの研究室へとやって来ていた。
そこで留守を守っていたリンは、髪も服もしっとりと濡れたエースを怪訝そうに見つめながらも、エースに主は未だ戻って来ていないと告げた。だがエースは、そのままそこで待つことに決めたようだ。
自分がここにいるからとリンを追い払うと、濡れた上着を脱ぎ、ゼノンがいつも座っている椅子に腰を降ろし、先程のことを思い出していた。
ライデンの報告を聞いて、怒りを感じたことは確かだった。だが、ルークがエースに諭したこともまた、確かなことだった。
一時の怒りで、真実を曲げる訳には行かない。それは、情報局を背負って立つエースならば、尚更のこと。
運良く濡れずにいた煙草を取り出すと一本銜え、その紫煙をゆっくりと燻らせながら気持ちを落ち着けているところに、やっと主が帰還した。
「あぁ、来てたんだ」
常よりも、低い声。それだけで、この主が落ち込んでいることは明確だった。
「ライデンから、話は聞いた」
「…そう」
目を伏せた表情は優れない。その重々しい雰囲気も、尋常ではなかった。
しかし、話はそこで終わりではないのだ。
煙草を携帯用の灰皿に押しつけて火を消すと、エースは徐ろに立ち上がって固めた拳でゼノンの頬を一発、殴りつけた。
「…っ!」
その反動でよろけて倒れたゼノンであったが、それは最初から予想していたことだったのだろう。文句の一つも言わずに大きく溜め息を吐き出した。
「…御免」
「…もう良い。俺の怒りは、今の一発に全部叩き込んだからな」
「エース…」
もっと責められると思っていたのだろう。エースの怒りがその一撃だけで済まされると言うことに、当然ゼノンは驚きの眼差しでエースを見つめていた。
エースも大きく息を吐き出し、その無言の問いかけにゆっくりと口を開いた。
「…本当は…それぐらいじゃ許せないぐらいの怒りを感じたさ。だが…ルークに諭された。一時の感情で、真実を曲げるな、ってな。確かにその通りだ。御前を責めたって、今更どうなる訳でもない。今は、前を見ることしか出来ないことぐらい、俺にだってわかっていたはずなのにな。だが…デーモンの生命が、そこにかかっているんだ。一発殴られただけで済んだことは、彼奴等に感謝するんだな」
そう言うと、エースは手を差し出した。ゼノンがその手を取ると、その身体を引っ張って立ち上がらせる。
「…ホント、感謝しなくちゃね。俺はてっきり、御前には殺されるかと思ってたから」
「デーモンにもしものことがあったら…ウイルスを撲滅させることが出来なかったら、その時は覚悟しとけよ」
「わかった。覚悟しとく」
----御免ね。
小さくつぶやいたゼノンの声に、エースはその表情を和らげると、ゼノンの背中を軽く抱き締めた。
「そんな顔するな。御前には似合わないぞ」
泣き出しそうな顔。それをエースは一笑した。そしてポンポンと背中を軽く叩き、笑いを零すエースの声に、ゼノンは笑ってみせた。
「そうだね。泣いてる暇はないんだから。それにしても、どうしたの?頭から濡れてるけど…風邪引くよ?」
俺まで濡れちゃう。
そう言いながら、タオルを手渡す。エースはそのタオルで髪の毛を拭きながら、苦虫を噛み潰したような表情をした。
「あぁ…ルークに水かけられてな。頭冷やせって、ホントに水ぶっかけるか?普通…」
「それだけエースが興奮してた、ってことだよ。当事者の方が冷静だったのかもね」
その一言で、二名とも現実に引き戻された。
「…さて、それじゃあ本題に戻ろうか」
そう口にしたエースの表情は、任務に向かっている表情に他ならない。既に彼は、情報局の長官に戻っていたのだ。
「今回問題になっているウイルスが、御前が手がけたモノであること。その特性を調べる前に、研究室から盗まれたモノ。俺はライデンにそう聞いたが、それは事実なのか?」
問いかけるエースの声に、ゼノンは大きく息を吐き出しながら、頷いてみせた。
「…そう。ライデンには全部話したから。多分…真実を知って、一番、傷付くんじゃないかと思ってね。案の定…泣かせちゃったけどね。俺が泣かないから、代わりに泣くんだって言ってたけど…」
「彼奴らしいと言えば彼奴らしいけどな。俺に話す前に『怒らないで』なんて予防線張りやがって…結局それで揉めてこのザマだ。だが、問題はそんなことじゃない。御前が手がけたウイルスだろう?どうして盗難に気がつかなかったんだ?」
それは、盗難にあったと聞いた時から、気になっていたこと。ゼノンともあろう者が、どうして今頃になるまで、盗難にあったことを忘れていたのだろう。
「…言い訳をするつもりじゃないけど…バタバタしてたんだろうね。山のような資料や報告書が絶えず溢れてたし、丁度忙しい時期だったから…」
そう口にしたゼノンの表情は優れない。その口調も、何処かよそよそしい気がするのは、気の所為だったのだろうか。
「盗難にあったのはいつだ?」
問いかけられた言葉に、ゼノンは小さな溜め息を吐き出すと、その資料をエースに手渡した。
「資料と…出していなかった盗難届けは…これ、ね」
「……」
その答えに…エースも思わず口を噤んだ。
資料の日付を確認し、確かに忙しかったと言うことを思い出す。その記憶はエースの中にも、未だしっかりと残っていたのだ。
何より、その当事者だったのが、エースだったのだから。
"清水"と言う媒体だった人間を残して、エースがいなくなった。その手がかりを捜す為に、ゼノンは昼夜を問わず、忙しく動き回っていたはず。執務室で資料に目を通す時間がなかったことも、事実だったはず。
元々の責任はゼノンではなく、自分にあったのではないか。
そう意識するにつれ、エースの胸が軋んだ。
「…御前は、原因じゃないよ」
エースの表情でその胸の傷を見透かしたかのように、ゼノンが口を開いた。
「報告書を見落としたのは、俺の責任だもの。幾ら忙しくても、あってはならないこと、だよね。職務怠慢なのは重々承知。御前が怒るのも無理はないよ」
「……」
言葉が、出て来ない。複雑に絡み合った想いに、エースはどうしても口を開くことが出来なかった。
大きく、溜め息が零れる。
「…御免ね」
その言葉を発したのは、ゼノンだった。
「…何で、御前が…」
ゼノンが、謝った理由がわからない。だから、エースの問いかけはある意味正論。
「思い出させちゃったから…」
「…ゼノン…」
あの時、誰よりも辛い想いをしたのはエースだった。だからこそ、ゼノンはそれを思い出させてしまったことを…それが、今回のことにも繋がってしまったことを悔やんでいるのだ。
「…馬鹿、だな。御前は」
消化出来ない想いを飲み込み、エースは小さく笑ってみせた。
「俺のことは良い。もう過ぎたことだしな。今は、事実を追求することが一番だ。不審者が確認されていれば、多分、まだうちの局にも報告書が残ってる。一応、調べてみる」
「…あぁ、頼むね」
御互いに、何処かぎこちない。そんな雰囲気を漂わせながらも、上辺だけはなるべく平生を装い、御互いの任務に戻ることとなった。
全ては、大切な仲魔を…恋悪魔を、護る為に。
情報局の執務室で、副官であるリエラに報告書の検索を頼み、エースはデーモンの様子を見る為に、副大魔王の私邸へと足を運んだ。
すっかり夜は更け、当のデーモンはぐっすり眠っているようだった。
それを確認すると、エースは自分にと用意されている部屋へと戻り、ベッドに崩れるように倒れ込むと、大きく溜め息を吐き出し、薄暗い天井をぼんやりと見上げていた。
今日一日で、何年分も老け込んだ気分がする。忘れようとすればする程、その事実がエースの心を苛んでいくのだ。そしてそれが、精気さえも奪っていくようで。
目を閉じると、彼の媒体であった人間の姿が浮かんで来る。
あんなに大切にして来た媒体を…自分は、見殺しにした。
それは果たして、正当だったのだろうか。
今更ながらに、その胸の痛みが蘇って来る。
再び、大きな溜め息を吐き出した時、遠慮がちにドアがノックされた。
「…はい」
『吾輩、だが…良いか?』
そして開かれたドアから顔を覗かせたデーモン。
「…寝てたんじゃないのか?」
先程覗いた時には、ぐっすり眠っていたはずのデーモンが、どうしてここに?
そんな表情を覗かせたエースに、入って来たデーモンはくすっと小さく笑いを零した。
「御前の気が乱れ過ぎてる。隣からそんな気を発せられて、呑気に寝ていられる訳ないだろう?」
「…あぁ、そうか…」
尤もな意見に溜め息を吐き出したエース。デーモンはそんなエースに寄り添うようにベッドに腰を降ろすと、エースの額にかかる黒髪をそっと掻き上げた。
「大丈夫か?」
そう、労りの声をかけると、エースはゆっくりと身体を起こした。
「俺は大丈夫だ。それよりも、御前は?無理しない方が良いんじゃないのか?」
昨夜の情事から、忙しくてゆっくり話をする暇もなかった。だからこそ、デーモンの身体の調子が心配で。
「大丈夫。調子は良い」
くすっと、笑いを零すデーモン。確かに顔色も良いし、触れた指先も冷たくはない。昨夜よりは少し、魔力も感じられるようになって来ている。もしかしたら、今のエースよりも、ずっと元気なのかも知れない。そう思うと、エースの表情に苦笑いが浮かんだ。
「俺の方が重症、か」
病魔のデーモンに足を運ばせるくらいなのだから、それは自分の方が重症だと言わざるを得ない状況だったのだ。
「昼間、ライデンが来たぞ」
エースの胸の内を察したように、デーモンはそう口を開いた。
「ウイルスの発生場所の件。御前が絶不調なのはそれが原因だろう?」
「…無関係とは言えないな。御前は、それを聞いてどう思った?」
ふと、そう問いかけてみる。
「吾輩は…別に、ゼノンの責任だとは思っていない。その報告を、その時にきちんと受理していたとしても、広がり始めたウイルスを留める決定打が必ず用意されていたとは限らないだろう?過ぎてしまったことは仕方がない。今は、ウイルスを撲滅させることが先決だ。ゼノンの処罰に対しては、ダミアン様がちゃんと考えてくれる」
「…前向きだな」
「当たり前だろう?当事者が後ろ向きじゃ、前に進めないじゃないか」
「成程な。当事者外の方が後ろ向き、か」
そうつぶやくと、再び溜め息が零れる。
確かに、当事者たるダミアンも、デーモンもルークも、殊の外冷静で、自分に与えられた運命をしっかり受け留め、前向きに考えていた。
それに比べ、当事者外のエースやライデン、ゼノンはどうだろう。そう思うと、その後ろ向きさ加減には我ながら情けなくも思う。だからこそ、その胸が重くなるのだ。
デーモンはと言うと、そんなエースの気持ちを落ち着かせるかのように、長く伸びた後ろ髪に手を伸ばして指を絡ませる。その仕草が、くすぐったくて。
「昨夜と反対だな」
多少表情の柔らかくなったエースは、小さく笑った。
「御互いに、支え合えるのは、倖せだぞ?帰る場所があるんだから」
「…まぁな」
この時ばかりは、素直にデーモンの愛撫に身を任せるエース。だが、その胸の内の痛みは、そう簡単には消えないのだ。
考えた末、エースはそれを口にした。
「もしも…今回のウイルスの、根本的な原因が…ゼノンのミスではなく、俺の責任だとしたら…御前はどう思う?」
その問いかけに、デーモンは一瞬エースの顔を見つめた。
だがやがて、その表情に浮かんだのは、微笑み、だった。
「構わんよ、吾輩は。その代わり、御前は吾輩の生命を護ってくれたんだからな」
「…デーモン…」
「原因が何だ、誰の責任だ、なんてことは、今は保留だろう?前を見なければ、何も始まらない。だから、吾輩たちは生き延びることを心に決めて、前を見ている。生き延びなければ、罪を問うことも、償うことも出来ないだろう?」
「……」
口を噤むエースを前に、デーモンは軽く微笑む。
「実のところな、ルークとゼノンから連絡があったんだ。きっと御前が憤慨して帰って来るだろう、ってな。だが、ゼノンからの連絡は、"清水"の話も出て来た。だから、御前が伏せっている理由もわかっている。でも、だからって、それは御前の責任か?あの時のことだって、御前が全ての原因だった訳じゃない。それは、"清水"だってわかってるはずだ。だからもう、そのことに関しては振り返らない方が良い」
そして、エースの頭をその胸にと抱き締めた。
気丈に見えて、深く深くまで自責の念に陥るのは、エースの悪い癖。それを表情にすら見せないから、回りからはクールで冷静沈着だと思われているのだ。だが、そうして自分を追い詰めて、傷付けて、最終的には自分で自分を壊してしまう。それを見抜いて留められるのは、デーモンしかいないのだ。
ゼノンを宥められるのがライデンだけであるように、エースを宥められるのもまた、デーモンだけなのだ。
デーモンの穏やかな呼吸と鼓動に、エースは小さく息を吐き出した。
「…昨夜のゼノンも、きっとこうだったんだな…」
「あぁ。だから御前がライデンを押しつけたのは正解だったと言うことだ。今夜は吾輩が御前の傍にいてやるから。御前も…ゆっくり休んだ方が良いぞ」
エースをベッドに横たえ、きちんと上掛けをかけてやってから、その両目蓋にそっと口付ける。
「御休み、エース」
「あぁ、御休み」
エースは素直に目を閉じた。やがて、穏やかな寝息が聞こえて来る。
その寝顔を、デーモンは静かに見つめていた。
それから一週間後。デーモンの屋敷に、検診に訪れたゼノンの姿があった。
「…エース、どうしてる?」
検査を終えたゼノンは、帰り支度をしながらデーモンにそう尋ねた。
「このところ、ずっと局に籠ってるらしい。こっちにもほとんど顔を出さないし、屋敷にも帰っていないみたいでな」
「…そう」
僅かにその表情に見えたのは、不安の色。
「…吾輩…駄目だったのか…?」
それが、己の検査の所為かと思い、デーモンも不安げにそう問いかける。だが、ゼノンはそれに関してはにっこりと微笑んだ。
「大丈夫。まだ検査結果は出ていないけど、体温も戻ったし、顔色も良いし、魔力も平均値ぐらいまでは戻って来てるんじゃないかな。検査の結果が出れば、きっとエースも喜ぶよ」
「そう、か。なら御前は、何をそんなに心配してるんだ?」
自身のことではないのなら、ゼノンの不安は何だろう。
その不安の正体を知りたくて。
するとゼノンは小さく息を吐き出すと、窓の外へと視線を向けた。
「ルークの、こと」
「…ルーク?」
話に聞いていた様子では、ルークの症状はそれ程酷くないとのことだった。なのに、どうしてそれがゼノンの不安の種になっているのだろう。
「症状が…悪化でもしたのか?」
思わず、そう問いかけた声に、ゼノンは首を横に振る。
「なら…」
「強いて言えば、軽過ぎる、って言うのかな…」
「軽過ぎる…?それが心配なのか?」
「そう」
「……?」
その言葉の意味が良くわからず、首を傾げたデーモンに、ゼノンは再び溜め息を吐き出す。
「ルークの症状は、小康状態のままだよ。貧血気味で倒れたことはあったけど、症状が出たのはデーモンが調子を悪くした翌日に一度だけで、後は殊の外元気なんだ。一応、安静にとは言ってあるけどね。でも、他の《青の種族》は違う。どんどん症状が悪化してるんだ。だからかえってそれが引っかかるんだよ。もしかしたら…」
「もしかしたら…?」
「ルークには言い辛いんだけど…もしかしたら、純血じゃないから、かなって…」
「……」
ゼノンの言っている意味はわかった。
「ルークの症状が軽くて、早く治るなら、それに越したことはないんだけど…次に重要になるのは、ルークだと思ってる。もし、そこで上手く行かなかったら…」
----ダミアン様は……
その先は、どうしてもゼノンの口から出ることはなかった。だが、デーモンにもそれを察することは出来ていた。
皇太子たるダミアンが助からなければ、魔界はどうなるかわからない。例え、《赤の種族》と《青の種族》が生き残ったとしても。
ゼノンが躊躇っている理由はわかった。だが、だからと言って、今更中止する訳にも行かないのだ。
「御前は…最初の臨床実験の時に、どうしてエースと吾輩を選んだんだ?」
ふと、問いかけたデーモンの声。
「どうしてって…」
ゼノンが、その質問で戸惑っているのは当然。
「エースが典型的な、より原種に近い《赤の種族》だったから。吾輩が典型的な、魔界でも希少な有力者の血族である《青の種族》だったから、と言う理由だけではなかっただろう?そんな理由だけだったら、きっともっと強力な能力を持つ者は何処かにいるかも知れない。だが、御前が吾輩たちに狙いを定めた理由は、他にもあったはずだ。それは何だった?」
「…想いの、強さ…」
「…だよな。ならどうして、ルークを信用しない?」
真っ直ぐなその眼差しを向けられ、ゼノンは溜め息を一つ。
「信用してない訳じゃないよ。俺は、ルークの想いの強さも知っているし、ダミアン様の想いだって……ただ…」
「ただ、何だ?」
「…確証がないんだよ。純血ならともかく…ルークみたいに堕天使と言う存在で、ホントにこの臨床実験が上手く行くのか。失敗は、許されないんだよ。慎重になるのもわかるでしょ?」
「前例があれば、御前はそれで安心なのか?前例がないから、堕天使の血を信用出来ないとでも?」
「だから、そう言う意味じゃなくて…」
「…駄目だ。吾輩と話していても、堂々巡りじゃないか」
大きな溜め息を吐き出したデーモン。ゼノンも同じように、溜め息を吐き出している。
ゼノンの心配が、まるで理解出来ないと言うことではない。デーモンとゼノンとでは立場が違うのだから、無理もない。だが、その理屈に、何処か納得が行かないと言うのが正直なところなのだ。
「五分で支度をする。ちょっと待ってろ」
「ちょっ…デーモン、何するつもり?」
怪訝そうに眉を顰るゼノンを横目に、デーモンはベッドから立ち上がると、徐ろに着替え始めた。
「ダミアン様のところに行くに決まってるだろう?」
「行ったって、面会謝絶だよ?俺はともかく、御前はまだ完治したとは言えないんだから、立ち入れないんだよ?」
「そんなことわかっている。だから、御前が話を付ければ良いだけの話だろう?吾輩は大人しくリビングで待っている。吾輩は単なる付き添いだ。御前はダミアン様に全てを話して、ダミアン様がそれで良いと納得したら、次の臨床実験に踏み切れるじゃないか」
「ちょっと…待ってよ、デーモン…っ」
さっさと支度をするデーモンを、ゼノンはおろおろして追いかけることしか出来ない。
そんなゼノンに、デーモンは支度をする手を休め、その金色の眼差しを真っ直に向けた。
「御前が自信を失くしてどうする!吾輩たちは、御前に生命を委ねたんだ。御前の気持ちはわからなくもない。だが、御前がそうやって躊躇うことで、ルークがどれだけ不安になると思う?彼奴が堕天使だろうが何だろうが、吾輩たちの大切な仲魔だ。今は、同じ《青の種族》として、実験に立ち会えるはずだ。ダミアン様なら、きっとそう結論を出す。御前に自信がないのなら、直接ダミアン様の決断を伺うのは当然だろう!?」
「…デーモン…」
困ったように眉を寄せるゼノンの肩を軽く叩き、デーモンは今度は軽く微笑んだ。
「大丈夫だ。堕天使とは言え、天界の最有力者であった"あの方"の血をしっかり受け継いでいるんだ。その証拠が、あの蒼い紋様だろう?それがルークなんだ。心配いらない」
「…強引なんだから…」
「時には強引にもなるさ。さ、行くぞ」
「ちょっ…デーモンったらっ!」
マントを羽織り、踵を返したデーモンを慌てて追いかけるゼノン。デーモンには、もう既に完治と言っても間違いでないだろうと、ゼノンはその背中を追いかけながらそう思っていた。
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プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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