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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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STILL ALIVE 6
こちらは、以前のHPで2003年08月17日にUPしたものです
 ※シリーズ小説はカップリング小説です。
(勿論DxAですが、ダミアンxルークもあります。
でもこのシリーズのメインはRXです…多分/^^;
13話完結 act.6

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◇◆◇

 無言のままゼノンの屋敷までやって来た二名は、ゼノンの寝室に来るまで、ずっとそのままだった。
 そのドアを背中に締めた途端、大きな溜め息がゼノンの唇から零れた。
「…ゼノ」
 そう、小さく呼びかけた声。
 まだ夜も明けず薄暗い部屋の中、ドアに凭れかかったままのゼノンを、ライデンは真っ直に見つめていた。
「…エースが言ってた。あんたが酷く取り乱してるって。さっきは気丈に振舞ってたけど…あれは、あんたの常じゃないってことぐらい、俺にだってわかるよ。今のあんたには、休息が必要なんだ」
 ただ、ゆっくり休ませてあげたい。
 その想いは、ゼノンに通じているのだろうか。
 そんな小さな不安が、ライデンの表情に伺えた。
「まさに的確だね。御前を叩き起こしたのは、利に叶ってるだろうね。俺は…」
----御前に、頭が上がらないもの。
 くすくすと、小さな笑いが零れた。
「ゼノン!俺は、真剣に…っ」
 そう言いかけた途端、きつく抱き締められた。
「…ゼノ…」
「…御免…」
 震える声でそう紡ぎだされた、たった一言の言葉。
 押し潰されてしまいそうなくらい…酷く、不安定になっているゼノンが、ここにいた。
 その理由はわからない。ただ、それを受け留められるのは…それを許されているのは、自分だけなのだと言うこと。
「大丈夫。俺は、あんたの傍にいるから」
 しっかりとその身体を抱き返し、ベッドへと促す。そして彼をベッドへと埋めると、その隣に潜り込む。
「ゆっくり眠って。あんたの代わりはリンがやってくれるから」
「御前は?ここにいる?」
 問い返され、軽く微笑む。
「いるよ。大丈夫。心配しないで」
「…わかった」
 そう言うなり、ゼノンは腕を伸ばして隣に寝転ぶライデンの身体を引き寄せた。
「…ゼノ…」
「御免。こんなことしてる場合じゃないのはわかってるけど…」
 何かに縋っていたい。そんな、不安に怯えるようなゼノンに、ライデンは小さく笑った。
「謝らないでよ。良いよ、俺なら」
「…ライ…」
 しっかりとゼノンを抱き返し、その唇に深く口付ける。
 既に慢性的になりつつある睡眠不足と、押しつぶされそうな現実と。その中で、歯を食いしばって必死に走り続けたゼノンは、張り詰めた神経も限界ぎりぎりだった。
 その神経を緩める為、宥める為。ライデンは、その想いを全て受け止めた。
 それが、ゼノンを宥める唯一の方法であるとわかっていたから。

 微かな寝息が聞こえ始めた。
 頭を動かし、ちゃんと眠っていることを確認したライデンは、抱え込まれている腕からそっと抜け出してベッドを降りる。
 裸の上半身にガウンを羽織り、書斎へと向かう。そして、思い詰めた表情でそのコンピューターの暗い画面を見つめた。
 そこに映る自分の顔は…何て、不安で一杯の顔をしているんだろう。
 そう思うと、溜め息しか出て来ない。
 これでは、ゼノンを安心させるどころか…余計な心配を増やしてしまいかねない。
 否…ゼノンだけではない。これから連絡を入れるエースにさえも。
「…こら、しっかりしろ。ゼノンを支えられるのは…御前だけだろう?」
 画面に映る自分に向け、小さく言葉を放つ。そして大きく息を吐き出すと、強引に笑ってみせた。
「ちゃんと…笑ってろよ。泣くなよ…」
 その言葉は、何を思ってのことか。
 ライデンは再び大きく息を吐き出してから、先程まで自分がいたルークの屋敷の部屋への通信パスワードを叩いていた。

 その頃エースは、ルークの屋敷でライデンが使っていた部屋のベッドに横たわり、ぼんやりと天井を見つめていた。
 時間が経つのが、酷く遅く感じる。
 ルークは、ぐっすり眠っているようだ。多分、デーモンもゆったりと休息の眠りの中にいるのだろう。
 そして自分は、休息を得る手段としての眠りを欲することが出来ず、ただ、闇の中の天井を見つめているだけだった。
 大きな溜め息を吐き出した時、ライデンからの呼び出しがかかった。
「…御前、何だよ…その格好は…」
 回線を繋ぎ、ライデンの姿を見た次の瞬間、エースの口はそう言葉を放っていた。
 確かに、裸の上半身にガウンを羽織っただけの姿は、どう考えても情事の後としか思えない訳で。
『しょうがないじゃん。ゼノン宥める為だもん。下はちゃんとパンツはいてるんだから良いじゃん』
 悪びれもせず、そう口にしたライデンに、エースは溜め息を一つ。
「…そんなに…不安定か?」
『…まぁ、ね。取り敢えず今は眠ってる。起きた時はどうかわからないけど』
「そう、か」
 気丈なライデンの姿に、エースは再び溜め息を一つ吐き出す。
「御前にも確証はないのか」
 そうは言うものの、ゼノンを宥められるのはライデンしかいない。ライデンが傍にいれば、暴走することはないだろうと、エースは踏んでいた。
 時にゼノンは、ライデンを護る為に冷酷にすらなる。
 時にライデンは、ゼノンを護る為に強くなれる。
 この二名の相互関係には、脱帽するしかないと、エースは常々考えていたりもした。
 そして今、目の前でそれが起こっているのだから。
『デーさんとルークは?』
 心配そうなライデンの声に、エースはほんの少しだけ表情を和らげた。
「心配いらない。デーモンの屋敷からの呼び出しも届いていないし、ルークの部屋も静かだから」
『そう、なら良かった』
 安堵の溜め息を吐き出したライデン。
 見守ることしか出来ない歯がゆい思いは、ライデンも同じなのだろう。
 ふと、脳裏を過った思い。
「…御前は…ゼノンがいなくなったらどうする?」
 思わずそう問いかけた言葉に、ライデンは一瞬口を噤む。その表情は…何かを堪えるかのように歪む。けれどそれはほんの一瞬。直ぐに、表情を変えた。
『やめてよ。縁起でもない』
「…そうだな。悪かった…」
 聞かない方が良かった。それは、エースが感じた罪悪感。
 ライデンも…すぐ目の前にある不安と戦っていると言うのに。
 そんなエースの姿を前に、ライデンは小さく笑ってみせた。
『俺は…そんなこと、考えないよ。ずっと…一緒にいるんだから』
「…そう、だよな」
 相手を想う強さは、最初から誰よりも強かったのかも知れない。それだけ、相手を信頼しているから。
『頑張ろうよ』
 たった一言の想いに、エースは微笑んでみせた。
 それが、今の全てならば。

◇◆◇

 最悪の状態が小康状態を保ったまま日はゆっくりと昇り、真上に来る頃にやっとゼノンは目を覚ました。
 直ぐ傍にいたライデンは、その目覚めに笑顔で応えた。
「御早う。気分は?」
「…大丈夫だよ。夕べは御免ね…心配かけて…」
 上体をベッドから起こし、ライデンを見つめた。
「…その…あんまり記憶がないんだけど…変なことしなかった…?」
 その心配そうな眼差しを前に、ライデンは小さく笑った。
「変なことって何さ。大丈夫に決まってるじゃん。今更そんな心配しなくて良いから」
「…そう。なら良いんだけど…」
 いつになく、気弱な言葉。そんなゼノンを前に、ライデンは笑ってはいるものの…本当は、不安で堪らなかった。
 そんな心情を気取られないように、小さく息を吐き出して平生を保つ。
 ゼノンも小さく息を吐き出すと、言葉を続けた。
「エースから連絡は?」
「心配ない、って。リンからもさっき連絡が入った。特に今まで以上に最悪な状況にはなってないから、あんたにはまだ休息を取る時間はあるよ」
 にっこりと微笑むライデン。だが、それを見つめるゼノンの表情には、悲痛さしか見られなかった。
「…そんな顔、しないでよ…」
 不意に心配になり、ライデンはベッドの端に腰を降ろした。
「デーさんたちのことなら大丈夫だってば。エースからもダミ様のところからも、緊急の連絡は入ってないんだから…」
「いや…そのことじゃないんだ」
「え…?」
 その話の向かうであろう方向がわからず、ライデンは首を傾げた。
「じゃあ、一体…」
「…ウイルスの、こと」
「…ウイルス?」
 大きな溜め息を吐き出したゼノンは、ライデンからその視線を背けじっと上掛けを握り締めた手を見つめていた。
「…昨日ね、ウイルスの発生場所が確定出来たんだ」
「ホント!?だったら、エースたちにも知らせた方が…」
 そう言いかけて、思わず口を噤んだ。
 ゼノンが、余りにも悲痛そうな表情をしているものだから…
「…朗報じゃ、ないんだ…」
 その真意を掴んだライデンは、そう言葉を零す。
「…まぁ…ね。どうして今まで気が付かなかったのか、不思議なくらいだよ」
 それに応えた、ゼノンの声。
「…で、その発生場所って…」
「…研究室、だよ。俺の」
「…ゼノ…」
 上掛けを握り締める力が、更に強くなった。
「俺が手がけた、ウイルスだった」
「そんな……だって、それだったらどうしてこんなに蔓延したんだよ!あんたならそんなヘマ、しないだろ!?」
「盗まれたんだ。ウイルスが引き起こすであろう症状を見極める前に。つまり、未確認のウイルスだったんだ。盗まれたこと自体、すっかり忘れていて…だから蔓延したウイルスが自分の手がけたものだなんて気が付かなかったんだ」
「……」
 多分、ゼノンの様子が可笑しいと思われ始めたのは、それに気が付いた直後からなのだろう。
 ゼノンだからこそ…その事実を全て自分の罪として、背負ってしまったのだろう。
「昨日…研究室に戻ってからね、ダミアン様の血液から培養したウイルスの成長具合を確かめてたんだ。そしたら…そのウイルスが、何処かで見たことあるような気がしてならなくてね。研究資料を片っ端から探したら、同形のウイルスが見つかったよ。初期段階で盗難にあったウイルスが。うっかりして…他の資料の隙間に紛れ込んでいたんだ。盗難届けも出していないみたいだったから……あの時、直ぐに届けていれば、こうはならなかった」
 大きく、溜め息が零れる。
「…あんたの所為じゃないよ」
 そうつぶやいたライデンの言葉も、今のゼノンの前では単なる戯言にしか聞こえなかったのだろう。
 ゼノンは悲痛な表情で首を横に振り、震える声で言葉を続けた。
「でも、俺が手がけたんだよ?盗まれた後に蔓延したんだとしても、その原因を造ったのは俺だもの。あのウイルスの確認さえ、きちんとしていれば…」
「もうやめろよ!!」
 その声を遮るかのように、ライデンは声を上げた。
「今更そんなこと繰り返して言ったって、どうしょうもないじゃん!あんたは確かにウイルスの発生を手がけたのかも知れない。でも、それを悪用したのはあんたじゃない!誰かがそれを盗んで、悪用したんだ!あんたがそこまで罪を背負う必要はないんだよ!?」
「…ライ…」
「御願いだから…それ以上、自分を責めないで。今は、治すことに専念しようよ…前を見ようよ!」
 上掛けを握り締めていたゼノンの手を包み込み、更に強く握り締めたライデンの掌。その温もりに、胸が痛くなる。
「…誰も…あんたの責任だなんて言わない。そんなこと絶対言わせない!あんたは、誰よりも頑張ってるんだもん。俺たち以上に戦ってるんだもん。これ以上、あんたを追い詰めるヤツがいたら、俺が許さない。俺があんたを…護ってあげるから…だから……」
----何処にも、行かないで。
 きつく、その身体を抱き締めた。それだけで、ライデンがどれだけ不安を感じているかがわかる。
 まさか…夕べのエースの言葉が、予言になるとは…思っても見なかった。
「…大丈夫、何処にも行かない」
 大きく息を吐き出したゼノンは、そう言葉を零していた。
 それが、ライデンを宥める為だけのモノではないことは、声を聞いたライデンにもわかった。
 逃げ場は、何処にもない。逃げようにも逃げられない。
 何処にも行かないのではない。四面楚歌の状態にあるゼノンは、何処にも行けないのだ。
 はらりと、ライデンの頬に伝わった涙。
「…泣かないで」
 ゼノンは、指先でその涙をそっと拭ってやる。
「御前が泣くことじゃないのに」
「だって…どんなに辛くても…苦しくても、あんたが泣かないから…代わりに俺が泣いてやってるの…っ」
 そんなことは、単なる言い訳にしか過ぎない。
 ただ、涙が止まらない。
 ゼノンの肩口に額を押し当て、懸命に堪えようとしても、どうしても涙が止まってくれなかった。
「…御免ね…」
 もう一度、ゼノンがそう口を開く。
 ショックを受けたのは、ゼノンよりもライデンの方だったと言うことを、改めて感じたゼノン。
 ゼノンの手をきつく握るライデンの力。その力強さが、ライデンの想いの全てだった。
 ライデンが落ち着くまでゼノンは黙っていた。
 考えなければならないのは…これからのこと。
 過去の償いに関しては…今はその胸の奥深くに眠っている。取り敢えず、それにはまだ触れずにいよう。
 大きく息を吐き出したゼノンは、落ち着き始めたライデンの背中を軽く叩いた。
「…そろそろ…ダミアン様のところにも行かないとね…」
 ゼノンのその言葉に、ライデンは顔を上げると、未だに潤んでいる真っ赤な目でゼノンを見つめた。
「…報告に、行くの…?」
 不安そうに尋ねた声に、ゼノンは軽く微笑んでみせた。
「うん。定期検診も兼ねてるから、行かないと…大丈夫だから、そんな顔、しないで」
 当事者のゼノンの方が、今は思いの外、落ち着いていた。寧ろ、ライデンの方が当事者のような落ち着きのなさである。
「ちゃんと…帰って来る?」
 思わず問いかけたその言葉。途端、くすっと笑いが零れる。
「他に何処にも行くところがないんだから、戻って来るしかないでしょう?大丈夫だよ。だって…ライデンが、ここで待っていてくれるから」
「…ゼノ…」
 真っ直ぐに見つめるライデンの眼差しを受け、微笑むのはゼノン。その瞳の奥には、未だ拭えない不安はある。けれど…今は、前に進むことを選んだ。
 それは、ライデンがいてくれたから。
 初めて出逢った頃は、とても幼くて、見ていてもはらはらしてばかりだった。
 それが、いつから、こんなに心の支えになったのだろう。いつから…こうして自分が頼れるくらい、強くなったのだろう。
 自分は、それに応えなければならない。
 せめて…自分が撒いた種の報いは、受けねばならない。
「エースは多分、まだルークの所にいると思うから、デーモンの様子を見て、そっちに寄ってくれる?デーモンの経過報告も聞きたいから、後で連絡するよ」
 服を着替えながら、いつものペースを取り戻すゼノンを、ライデンは心配そうに見つめたままだった。
「…大丈夫?」
 再び、その言葉を口にする。
「大丈夫」
 くすっと笑いが返って来る。だが、そんなことでは、ライデンの不安は拭い切れなかったのだ。
 しかしながら、これ以上ゼノンに心配をかける訳にもいかず、小さく微笑みを返した。
 恐らく、その微笑みは引き攣っていただろうが。
 そっと手を伸ばし、その首に腕を回すと、しっかりと抱き締める。
「…ライ?」
「…御免、大丈夫…」
 大きく息を吐き出し、ライデンはゆっくりと身体を離した。
「俺、先に行くね」
 にっこりと笑い、ぱっと踵を返す。
 その後ろ姿を見送ったゼノンは、小さな溜め息を一つ零す。
 ダミアンに全てを報告すれば、自分は問題となったウイルスを作った罪は、多かれ少なかれ問われるはずだ。そして、例えそれが盗難に遭った結果だったとしても、監督不行きであった罪は咎められないはずがない。
 そうなったら…もう、ここには戻れないかも知れない。ライデンにも…もう、会えないかも知れない。
 そう考えるだけで、その胸は重い。だが、今は出来ることを精一杯やるしかないのだ。
 覚悟を決めたゼノンは、大きく息を吐き出すと、外套を羽織って皇太子宮へと向かった。
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趣味は妄想のおバカな物書きです。
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