忍者ブログ

聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

TEARS IN THE RAINBOW
こちらは、本日UPの新作です
 ※シリーズ小説はカップリング小説です。
(基本DxAですが、色々複雑です…スミマセン…/苦笑)

拍手[2回]


◇◆◇

 エースがいなくなったと言う報告を皇太子たるダミアンにしたのはルークであったが、その数日後、その件に関して呼び出されたのはデーモンだった。
「…お呼びですか…?」
 そう問いかけたデーモンの声に、小さな吐息が返って来た。
 デーモンの表情も声もその眼差しにも…心がまるで伴っていない。エースがいなくなってから…完全に生気を失い、抜け殻のような姿だった。
「…エースに関する報告は、ルークから聞いたが…わたしは御前と、話がしたいと思ってね。精神的に苦しいのはわかっているが、ちょっとだけ…時間を貰うよ」
「…はい」
 言葉少なに返すデーモンの姿を見つめるダミアンの姿は、いつもと変わらない。けれど…その眼差しの奥にある光は…ほんの少しだけ、複雑な色が見えた。
「正直なところ、御前は…どう思っているんだい?ルークは、御前はエースを捜す意思はないと言っていた。それで合っているかな?」
 口調はいつもと変わらないが…やはり、その言葉は重い。ダミアンもダミアンなりに…思うところはあるようだ。
「…はい。吾輩は…エースに、殺してくれと…頼まれました。でも、それは出来ませんでした…吾輩に、エースを殺すことは…どうしても無理でした。それを告げると…エースは…自分の意思で、出て行きました。あの精神状態では、自分はもう…長くは生きられないと。迷惑をかけるよりは、と…。そして…捜さないでくれ、と…」
 目を伏せたまま、デーモンは言葉を紡ぐ。エースのことを報告するその言葉にも表情にも感情はなく…まるで、機械が発する言葉のように、無機質で。義務的に喋っているのは、明確だった。
「…そう。その時の状況はわかったよ。では…これからは、御前の話、だ」
「…吾輩の…ですか?」
 ふと、デーモンの視線がダミアンへと向いた。
「そう。御前の、心の話、だ」
「………」
 大きく息を吐き出し、口を噤んだデーモン。再び伏せられた眼差しは…何かを、覚悟しているようで。
「…ゼノンから、御前の診断も出ているね。今まで辛かったとは思うが…これからはもっと、辛い思いをする。それはわかっているね?」
 ゆっくりと問いかける声に、デーモンは小さく頷く。
 今までは、危うい状態だったとは言え…エースは、直ぐ近くにいた。けれどこれからは…生きているのか、死んでしまったのかすらわからない状況で…助けてやることも出来ず、過ごしていかなければならない。それ故に…デーモンの心には、常に癒えない傷が残ることになる。
 自分で…選んだ道だから。それは、デーモンも覚悟の上、だった。
「ルークは…ずっと、エースを心配していたよ。ルシフェルと同じ道を辿ることだけは、阻止したかったと…ここに報告に来た時も、そう言っていた。だが、一度はルークも納得したことだからね、御前たちを咎めることはしないだろう。寧ろ…御前の顔を見る度に、止められなかった自分を責めるかも知れないけれどね」
「…ルークに、罪はありません。全部…吾輩の責任です。だから吾輩は…自分が幾ら傷を背負っても、誰を責める事もしません」
「御前らしい答えだね」
 ダミアンは、小さく溜め息を吐き出す。そして、今までデーモンと向かい合って座っていた椅子をくるっと回し、デーモンに背中を向ける。
 デーモンから隠されたその顔が、一瞬苦しそうに歪んだ。けれど、直ぐにいつもの冷静な表情をその顔に貼り付ける。そうすることで…自分の心を、隠すように。
「…御前は今でも…エースを、助けたいかい?」
 ふと、ダミアンにそう問いかけられた。
「…もしも…それが、許されるのなら…。ですが…捜すつもりはありませんから、何処にいるのかもわかりませんし…手立ても、ありません」
 僅かに考えた後、デーモンはそう答えを返す。
 ゼノンですら…エースを助ける手立てを見つけることは出来なかった。だからこそ、今のこの状況なのだ。
 しかし。
「…手立ては、あるよ。御前にそのつもりがあるのなら」
「…ダミアン様…?」
 思いも寄らぬ言葉に、デーモンは思わず顔を上げる。
 背中を向けるダミアンの表情は、デーモンにはわからない。そして、何を考えているのかも。
「どう言う…ことですか?」
 問いかける声に、小さな笑い声が届く。
「手立てを教えてやっても良いと、言っているんだよ。ただし、御前にはそれなりの代償はあるけれどね。だから、聞いているんだ。御前が、エースを助けるつもりがあるか、とね」
「………」
 ふと、デーモンの胸に甦って来たモノは…"感情"と言う波。
「…それは…今まで迷惑をかけたことへの制裁、と言うことですか…?」
 問いかけた声が、微かに強張っていた。
 勝手なことをして上層部を巻き込み、魔界にとっても重要な要であったエースを失ったのは、全てデーモンの責任であると。エースを助ける代わりに、その全てを背負い、制裁を受けろと言うのかと。
 ダミアンだから、今まで目を瞑ってくれていたのだろう。けれど、もう面倒を見切れないと…突き放されたと言うことなのだろうか。ならば、副大魔王の身位のみならず…デーモンの生命も、奪われるかも知れない。
 けれど…それで、エースが戻って来るのなら…。
 そんな思いがデーモンの頭の中を巡る中。ダミアンは、くすくすと笑った。そして、再び椅子を回してデーモンと向き合う。
「御前のことだ、どうせ馬鹿なことを考えているんだろう?副大魔王の身位と、自分の生命がその代償か、とかね」
「…違うんですか…?」
 考えを見透かされ、思わず問いかけると、ダミアンは再び笑いを零した。
「わたしが言ったのは"代償"であり、"制裁"じゃない。別にわたしは、御前をどうこうしようと言うつもりはないんだが?」
「なら…」
 困惑するデーモンに、ダミアンは笑いを押さえ、表情を引き締める。
「これから言うことは…冗談ではない。どう言う結末になるかは…わたしにも、まだわからない。だが、エースが生きているのなら…きっと、肉体(うつわ)と生命を助けることは出来る」
「…肉体(うつわ)と生命…?そこに…心は…?」
「…そこが、一番の問題でね。だから、御前に問いかけている。今、答えを出せるかい?今すぐが無理であれば、時間を置くのは構わないが?」
「………」
 ダミアンの言わんとしていることは、正直、まだ良くわからない。けれど…エースを、助けられるのなら。何が代償なのかはわからないが…そんなことは、悩む理由にはならなかった。
「…助けてください、エースを…吾輩は…どうなっても、構いませんから…」
 思わず、口を突いて出た言葉。
 今でも…消えるはずのない想い。消えかけた炎ではあるが…まだ、燃え尽きた訳ではない。
 僅かに紅潮した頬。そして、生気の戻った眼差し。それは、デーモンに感情が戻った証、だった。
「…苦しいよ?」
 ふと、ダミアンがそう零した。
「構いません。吾輩が、背負うだけの事ならば」
 即答するデーモン。その姿を、ダミアンは目を細めて見つめた。
「…そう。なら…教えてやろう。エースを助ける手立てを、ね」
 そしてダミアンは、目を伏せた。
 まるで…その奥に隠した感情を、悟られないように。
「御前は知らないだろうが…『錬叛刀(れんまとう)』と言う剣が、魔界にはある。それを使えば…エースを助けることが出来る」
「…『錬叛刀』…?」
「そう。それは不思議な剣でね。勿論、普通の剣と同じように扱うことも出来るが…願えば、魂の一部分だけを殺すことが出来るんだよ」
「…魂の…一部分だけを…?」
「そう、魂の一部分だけを、ね。わたしの言いたいことがわかるかい?」
「…いえ…」
 未だ、察することの出来ない展開に、デーモンは素直にそう答える。
 するとダミアンは、ほんの少しだけ視線を上げ、デーモンを見つめた。
「御前がエースの精神(ココロ)を壊したのなら…今度は御前が、『錬叛刀』でその壊れた精神(ココロ)を殺せば良い。エースの…御前への想いを、御前の手で、殺すんだ。そうすれば多分、エースは助かる」
「………」
 ダミアンの言葉に、デーモンは目を見開いて息を飲む。
「エースを助ける為に、御前への愛情を殺すんだ。つまり、エースの中に残る御前の記憶は…昔と同じ、御前への憎しみだけ、だ。御前は、憎まれこそすれど…愛されることはない。御前はそれに耐えられるかい…?」
 その言葉に、デーモンは大きく息を吐き出す。
 ダミアンの言う"代償"とは…エースの愛情を失う、と言うこと。そして…憎まれながら、生きていかなければならない、と言うこと。
「…それだけ…ですか?」
 デーモンが紡ぎだした声は、微かに震えている。
「そうだよ。けれど、それは御前が想像しているよりも、ずっと辛いだろう。御前がずっと求めていたエースの笑顔は、もう御前には向けられないかも知れない。そして何より…魂の一部分とは言え…御前は、エースを殺した、と言う事実を背負うことになる」
 ダミアンの答えに、デーモンは再び、息を吐き出す。
 そして、真っ直ぐにダミアンを見つめた。
「構いません。吾輩は…大丈夫です。エースが、生命を繋ぐことが出来るのなら…憎まれても、覚えていて貰えるのなら…失うよりは、ずっと良い…」
「…本当に、御前は…わたしの想像通りの答えを返して来るね」
 ダミアンはそう言って立ち上がると、デーモンの傍へと歩み寄る。
「…ただね、『錬叛刀』は…とても、危険な剣だ。使い方を間違えれば…エースの全てを、殺してしまうかも知れない。御前は…そんな危険な剣を、エースに向けられるか?御前が出来なかった、エースを殺す、と言うことを…実行出来るかい?」
 幾度も問いかけられる度に…デーモンは一つずつ、自分が背負う苦しみを、再確認していく。そうして、その覚悟が本物かどうか…ダミアンも、確かめているのだ。
 デーモンが…本当に、耐えられるかどうかを。この、大事な友を…失わずに、済むかどうかを。
 デーモンは、エースを殺せなかったと言った。けれど、助ける為に殺すのだとしたら…。
 大きく息を吐き出すデーモン。
「…エースを…助ける為なら…出来ます。必ず…成功させます…」
 真っ直ぐにダミアンを見つめた、金色の眼差し。それは、デーモンの本来の姿に相違ない。
 デーモンなら…きっと、大丈夫。
 ダミアンは、小さく微笑んだ。そして、デーモンの背中をポンポンと叩いた。
「でも、先はまだ長いよ?今すぐにどうこう出来ることじゃない。まずは、他の奴の同意を得ること。そして、エースを見つけること。勿論、御前は無理に捜し出すつもりはないのだろうが…いつになるかはわからない。どんな精神状態であるかもわからない。けれど…エースは、必ず見つかる。最後には…必ず、自分を取り戻す。その時が…最良で、最後のチャンスだと思え。そして御前も…決して、躊躇わないこと」
「…わかって、います」
 デーモンは、大きく息を吐き出しながら…頭の中で、今言われたことを整理する。
 慌ててはいけない。落ち着いて…その時を、待たなければ。
「…ねぇ、デーモン。御前は…」
 ダミアンは、そこまで話して、ふと口を噤んだ。
「…ダミアン様…?」
 奇妙に途切れた言葉に、デーモンはダミアンを見つめる。
 ダミアンは…真っ直ぐに、デーモンを見つめていた。その柔らかい眼差しに…デーモンの不安は募る。
「…いや、何でもない。御前には、御前を支えてくれる仲魔がついている。独りではないのだから…ちゃんと、頼るんだよ。何もかも…抱え込んではいけないよ」
「…貴殿も…そのうちの一名…ですよね?」
 ふと、問いかける。
 ダミアンは…何かを、隠している。多分…『錬叛刀』に関する、何かを。
 今のデーモンに、それを詮索している余裕はない。けれど…その想いは…。
 ダミアンは、にっこりと微笑む。
「そうだね。わたしも…御前の、仲魔だ。だから…御前を、護ってあげるよ。御前が…」
----迷子に、ならないように。
 それは、いつでも見守っていてくれる、と言う安心感と…誰よりも傍にいてくれると言う、心強さと。
 その想いに、デーモンは胸が一杯になる。
「…ダミアン様…」
 その頬に零れた涙を、ダミアンはその指先でそっと拭う。
「まぁ…一杯、泣けば良いよ。そうすれば…また、歩き出せるからね」
 エースがいなくなってから、今まで…枯れるほど、泣いたはずだったのに。
 それでも…まだ、溢れる涙があった。そのことが、信じられないくらいで。
 それから暫くの間、デーモンは涙を止められずにいた。そして、ダミアンはずっとデーモンの傍で、その背中をそっと撫でていた。

◇◆◇

 デーモンが去った後。ダミアンは、ぼんやりと窓の外に目を向けていた。
 あの時…飲み込んだ言葉。それは…ずっと、問いかけることを躊躇っていた言葉。
「…御前は…いつまで、わたしを仲魔だと思ってくれるか…いつまで…わたしを、信用してくれるか…。ねぇ、デーモン。まぁ…今回は、御前に、見透かされたんだろうが…」
 それは…いつまでも…とは言えない、不確かな未来。
 でも、それでも…胸に秘めた想いは、いつまでも消えない。
 背負った罪の意識は…いつか、癒されるのだろうか。
「…わたしも、まだまだ未熟だね…」
 くすっと、自嘲の笑いが零れる。
 癒されることなど、期待をしてはいけない。
 それは…彼が、胸に刻んだ想い、だった。
PR
COMMENT
NAME
TITLE
MAIL (非公開)
URL
EMOJI
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
COMMENT
PASS (コメント編集に必須です)
SECRET
管理人のみ閲覧できます
 
  
プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
バーコード
ブログ内検索
Copyright ©  -- A's ROOM --  All Rights Reserved

Design by CriCri / Material by petit sozai emi / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]