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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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初恋 2
こちらは、本日UPの新作です
 5話完結 act.2

拍手[3回]


◇◆◇

 デーモンがゼノンにレイラ=クーヴェイのことを問い質していた同じ日の、ほぼ同じ時刻。
 エースの執務室を訪ねて来たのはルーク。
「…御免ね、忙しい時に」
「いや…もう、職務終了時間も過ぎてるから、別に良いんだが…」
 ルークが来た理由が良くわからず、首を傾げるエース。ソファーに向かい合って座ると、ルークは徐ろに話を切り出した。
「あのさ…デーさんに、謝っておいて貰いたいんだけど…」
「…は?何を?」
 謝る、の意味も良くわからず首を傾げていると、ルークは溜め息を一つ、吐き出した。
「……レイラ=クーヴェイが指揮を取った最後の任務の…報告書…間違えて渡しちゃったみたいで……」
「…渡した…?」
 その言葉に、エースは小さく息を飲んだ。
「…この間書類の整理をしてたらさ、出て来たんだよね。それが、デーさんに渡した書類に紛れ込んだみたいで…若しかしたら、何か言われるんじゃないかと思って…」
「…何だよ…だったら、自分で謝りに行って、回収して来いよ…」
 そう零しつつ、溜め息を吐き出す。
「今更、何の話があるんだよ。クーヴェイなら、ちゃんと弔った。俺は、もう心残りもないし…話すこともない」
「でもさ?そう思ってるのは、あんただけかもよ?デーさんは…すんなり受け入れられないかも知れないじゃない…?」
「馬鹿言え。何がすんなり受け入れられない、だよ。俺の恋悪魔は彼奴だぞ?今更…何を…」
 呆れた表情でそう言ったエースだが、目の前のルークは真剣な表情のまま。
「今更だから、ってこともあるよ?まぁ…俺が間違えて渡さなきゃ良かっただけの話なんだけど…それでも、良い気はしないじゃない?昔の恋悪魔のこと聞くのって、何か嫌じゃん…?」
「…昔の恋悪魔…?誰の話だ?」
「…は?」
 ルークの言葉が引っかかり、問いかけたエースの声。けれどルークの方が驚いている。
「レイラ=クーヴェイの話をしてるんだけど?あんたの恋悪魔だったでしょ?」
「………は?」
 目を丸くしているエースを前に…ルークは首を傾げる。
「…違うの?だって…大事な悪魔だった、って…」
「…大事だったさ。だが、補佐官としてであって……既成事実は何もないぞ?恋悪魔だなんて、一言も言った記憶もないんだが…?」
「…はい?」
 怪訝そうに眉を寄せ、首を傾げているエース。その前で、ルークも同じように眉を寄せ、首を傾げている。
「…違うの?」
「当たり前だ。俺からは何も言ったことはないし、クーヴェイだってそんなことは一言も…言われてない」
 大きな溜め息を吐き出したエース。勿論、告白しなければ恋悪魔ではない、と言う考えは些か強引だが…それでも、既成事実もない、と言うことに関しては、何となく納得は出来そうだった。
 相手は"鬼"の種族。ゼノンを見ていればわかる通り…"鬼"の性質は、恋愛には向かない。"鬼"を制御していなければ、肉体的な関係を持ったら最後、その身を喰らう。
 エースが無傷なことを考えれば、そこに何もなかったことは事実だろう。
 だがしかし。
「…何で…言わなかったの?好きだったんでしょ…?」
 納得がいかない、と言った表情のルーク。エースに問いかけたその声は、先ほどまでとは違い…真剣そのもの。
「……何の話だよ…」
 再び溜め息を吐き出したエース。だが、その一瞬の間に、ルークが気付かないはずはない。
「何で、レイラ=クーヴェイに気持ちを伝えなかったの、って聞いてるんだよ。好きだったんでしょ?そうでなきゃ、あんなに……デーさんを憎む訳、ないじゃない…」
 真っ直ぐに向けられた黒曜石のその眼差しは、まるで尋問をしているような光を持っていた。
 だがエースも負けてはいない訳で。その眼差しから逃れるように目を伏せ、溜め息を吐き出す。
「彼奴に…クーヴェイに想いを伝えることと、デーモンを憎むこととは…また別問題、だ。あの時は…デーモンの安易な決断で、クーヴェイを始め、大勢の局員が犠牲になった。だから、許せなかっただけだ。クーヴェイは…ただの、補佐官だ。俺が長官になった時から一緒にいたから、当然情はある。今のリエラと同じだ」
「…違うよね?リエラとは、同じじゃないじゃない。そりゃね、補佐官が大切なのはわかるよ。あんたの全部を支えて来たんだろうから。でも…レイラ=クーヴェイに対しては、それだけじゃなかったでしょ?」
「…御前に何がわかる」
 まるでドスを聞かせたような、低い声。そして、顔を上げたエースの琥珀の眼差しは、鋭い光でルークを見据えた。
「わかったような顔をして、何にでも首を突っ込むな。俺とクーヴェイのことは、御前には関係ない。書類一つで、過ぎたことを、今更穿り返すんじゃねぇよ」
「……御免…」
 流石に深入りし過ぎた。
 ルークも溜め息を吐き出し、ソファーに深く背を凭れた。
「…確かにね、俺たちにはあんたとレイラ=クーヴェイのことは…これ以上、踏み込んじゃいけないことかも知れない。でも…デーさんにだけは…ちゃんと話しなよ。俺のミスだけど…多分、また思い出してると思うし…あんたからはっきり話をすれば、きっとすっきりするから。深入りして御免…」
 それだけ言うと、ルークはソファーから立ち上がった。
「御邪魔しました。御免ね。引っ掻き回して」
 そう言って踵を返すその背中に、エースは幾度目かの溜め息を吐き出す。
「…ばーか。何回謝るんだよ。一回謝ったら、それですっきりしろよ」
「…エース…」
 振り返ったルークは、そこで小さく笑うエースを見た。
「心配するな。心底惚れたのは…彼奴だけ、だよ」
 それが、デーモンへの想いであることは、その顔を見れば明確。
「…わかった。その顔見れば納得」
 くすっと笑ったルーク。
 こんな顔を出来るのなら…最初から、何の心配もいらなかった。
「じゃあ、ね。また明日」
 笑いながら、ルークは軽く手を上げて執務室を後にする。
 その背中を見送ったエースは…再び、笑いを零した。
 ルークの言う通り…書類が届いているのなら、多分デーモンは気に病んでいるはず。
 まずは、それを宥めるのが自分の仕事。
「…しょうがない。ルークの代わりに謝りに行くか…」
 そう小さく零すと、ソファーから立ち上がって帰り支度を始める。
 本来なら、エースが謝りに行く通りはないのだが…それがきっかけとなるのなら。それを潔く受け入れれば良いのだろう。
 身支度を終えたエースは、デーモンの屋敷へ向かって歩き出していた。

◇◆◇

「エース長官」
 その声でそう呼ばれることにまだ慣れてはいなかった。
 彼の前には、肩までの白金の緩いウエーブを揺らして微笑む相棒、レイラ=クーヴェイ。だが、彼の微笑みの意味がわからない。何故、これ程穏やかに微笑むのかも。
「クーヴェイ…」
 問いかけようとした言葉さえ、続かない。その微笑みのまま、重ねられた唇が、その言葉を飲み込んだ。
「貴方に…捧げます。この、生命を」
「……」
 誓約を終えたクーヴェイは、とても綺麗な微笑みを向けていた。
「何故…だ?」
 幾ら、自分の補佐だからと言っても、まだ顔を合わせて数日しか経っていないのに。何故、軽々しくその生命を自分に捧げるのだろう?それも、大魔王陛下や皇太子殿下にではなく…まだ経歴の浅い長官などに。
「貴方を、信じているから…では、納得出来ません?」
 くすくすと笑いを零すクーヴェイは、戦いなどまるで無関心のようにさえ思える。だが実際は、その能力は標準値を軽く上廻る程の実力を持っているのだ。だからこそ、その穏やかな表面とのギャップが信じられない。
 未だ戸惑いの表情を見せる彼に、クーヴェイはにっこりと微笑んでいた。

 愛しい記憶は、消えることはない。例え…その想いを超える恋悪魔が出来たとしても。
 ただ…昔のように、もう胸は痛まない。
「…今更…だよな、クーヴェイ…」
 闇の落ちた空を見上げながら、そうつぶやいたエースは…小さな笑いを零していた。
 今更、何を。
 笑いを零したまま、恋悪魔の屋敷へと足を進めていた。

◇◆◇

 デーモンの屋敷へとやって来たエースだが、その玄関で主はまだ戻っていないと告げられた。
「…遅くなると言う連絡は入っておりませんので、もう直戻られるかと思いますが…」
 申し訳なさそうにそう零す使用魔長のアイラに、エースは小さく息を吐き出した。
 屋敷ではなく、執務室へと出向いた方が良かったか。
 そう思っていると、アイラは小さく微笑む。
「中で御待ち下さい。エース長官をそのまま御帰しする訳にはいきませんので」
「あぁ……いや…」
 流石にどうしようか…と思い始めた時、背後から声をかけられた。
「エース?」
「あら、閣下、御帰りなさいませ。ゼノン様もいらっしゃいませ」
 アイラの声にエースが振り返ると、そこには主たるデーモンと、その背後にゼノンの姿もあった。
「何だ、来ていたのか」
「あぁ…今来たばっかりだが…」
 思いがけず声をかけられ、エースもどう返して良いものかと一瞬困惑の表情を浮かべたものの…今更、悩む必要もない。
 そう思っていると、デーモンの背後にいたゼノンがくすっと小さく笑った。
「エースも来たの。じゃあ、二名の方が良いかな?俺は帰るね」
「…ゼノン?」
 言っている意味が良くわからず、首を傾げるエースだが…デーモンの方は、何とも言えない複雑な表情を浮かべている。
 だが、そんなデーモンをそのままに、ゼノンはじゃあね、と踵を返してさっさと姿を消してしまった。
「…何だ、あれ…」
「…あぁ…まぁ……なぁ。取り敢えず…入るか…」
 気まずそうな表情のまま、デーモンはエースの横を抜けて先に屋敷の中に入る。その背中を追いかけるように、エースも屋敷の中へと足を踏み入れる。そしてそのまま、デーモンの自室へとやって来た。
「着替える間、先にやってて良いぞ」
 外套と上着を脱いだデーモンは、ソファーに座ったエースの前にグラスと酒の瓶など一式を置くと、着替えを始めた。
 だがエースは、グラスに酒の準備をしたものの…口をつけない。
「…呑まないのか?」
「あぁ…待ってる」
 着替え終わったデーモンは、エースの正面に腰を下ろす。
「御待たせ。で、一体何なんだ…?」
 改めて問いかけると、エースは溜め息を一つ。
「いや…ルークが、御前に謝ってきて欲しいってな…」
「…は?何でルークの謝罪を御前が?」
「まぁ…その辺は…なぁ」
 こちらもどうも歯切れが悪い。そう思いつつ…先にグラスに口を付ける。
「で、何の謝罪だ?」
 ルークに謝罪を受けるようなことがあっただろうか…?そう思いながらエースへと視線を向ける。
 エースの方も…デーモンは、何も気付いていなかったのか…それとも、何とも思っていなかったのか、その辺りがイマイチ掴めなかった。
「…ルークから書類が届いただろう?その中に…クーヴェイが指揮を取った最後の任務の報告書を、間違えて一緒に入れてしまった、と…それで、御前が気にしているんじゃないかと、俺に謝って来いとさ…」
「…何だそれ…」
 何故自分で来ないのか…何となく、その気持ちも察した。
 そう思うと…思わず、笑いが零れた。
「馬鹿だな、彼奴は」
 くすくすと笑いを零すと、当然目の前のエースは唖然としている。
「あぁ…笑うのか…」
 まさか、笑うとは思っていなかった。だからこそ唖然としているのだが…そんな姿に、デーモンは笑いを収めると、グラスの酒をぐいっと煽る。そして大きく息を吐き出すと、ゆっくり口を開く。
「…正直な…その書類を見た途端色々不安になった。つい、ゼノンを呼んで、話を聞くくらい…な」
「…それで、さっきゼノンが一緒にいたのか…」
「まぁ、な。一応、心配して付いて来てくれたんだが、御前が来ていたから丸投げしたんだろう。結局は…吾輩と御前の間の話だからな」
 再び、くすっと笑いが零れた。
「だが…ゼノンから色々聞いた結果…吾輩が悩んでもしょうがないと…思い直した。吾輩の知らない御前の過去を…全部、知る必要はない。それで良いんじゃないか、と…な」
 そう言って笑うデーモンだが…多分、その胸の奥には…まだ何か、しこりがあるはず。それはその目を見ればわかった。
「…馬鹿は…御互い様、だな。ルークだけじゃない。俺も…御前も」
「…エース…」
 エースはグラスを手に取ると、その中身を一気に煽る。そして一息吐くと、ソファーに深く背を凭れた。
「クーヴェイは、恋悪魔じゃない。俺は一度だってそう言った覚えはないはずだ」
「……そう…だったか…?」
「当たり前だろう?彼奴はただの補佐官だ。それ以上の何もないから」
「………」
 溜め息を吐き出すようにそう言葉を吐き出したエース。ゼノンの言う通り…そこには、何の既成事実もなかったのだろう。
 だが、しかし。
「…でも…好きだったんじゃないのか…?御前も…レイラ=クーヴェイも…」
 小さく問いかけたデーモンの声。
「……正直…良く、わからない。好きだったのかも知れないが…御互いに、言うつもりはなかったんじゃないかと思う。俺も…彼奴も」
「…どう言う事だ…?」
 意外とあっさりと吐露した気持ちに、今度はデーモンの方が些か驚いている。
「確かに、クーヴェイは一番大切な存在だと思っていた。だが、今になって思えば…御互いに踏み込む勇気もない。まだ…そこまで信用出来なかったのかも知れないな。ゼノンとライデンのように、その性質を丸ごと受け入れてやれる自信もなければ、性質を全て曝け出すことも出来なかった。俺は彼奴が本気で"鬼"に戻った姿も見たことはなかったしな。補佐官としては有能だった。それは間違いない。だが…恋悪魔には、多分一生なれなかった。今は…そう、思う」
 大きく、息を吐き出す。その脳裏には…初めて出会った時の笑顔があった。
 貴方を信じている。その言葉に応えてやることが出来なかったのは…自分自身。踏み込めなかったのは…その心の弱さ。
 その理由は、自分でもわかっている。
 ずっと、胸に引っかかっていたその想い。忘れられない…その色。その想いが…何処かでブレーキをかけていたのかも知れない。そんな気さえする。
 過去を思い出しているであろうそんなエースの姿に、デーモンも大きく息を吐き出す。そして意を決したようにソファーから立ち上がると、エースの隣へと歩み寄る。そして向かい合うように、その膝の上に跨って座った。
「…デーモン?」
 突然のその行動に、エースは怪訝そうな表情に変わる。けれどデーモンは、小さな吐息を吐き出すと、エースへと身体を寄せた。
「…吾輩は…御前に、全てを曝け出せていたんだろうか…」
 耳元で囁かれたその言葉に、エースは両手をその背中に回す。
「…どうかな…それは、俺にはわからない。だが…」
----俺は、今の御前で良い。
 耳元に触れた唇が、そう言葉を零す。
 甘いその囁きに、思わずゾクッとして吐息が零れる。
 きつくその背を抱き締めたエースの吐き出す息が首筋にかかり、それが…とても熱い。
 少し身体を離し、デーモンの顔を覗き込んだエース。
 上気した頬。うっすらと潤み始めた金色の眼差し。その熱っぽい色に、エースはふっと笑みを零した。
「…御前が良い」
 改めてそう口にする。その言葉に、恥らうように伏せられた眼差し。そこにかかる、長い睫。
 その全てが…記憶に重なる。
 何よりも…誰よりも、愛おしい。
「ずっと…言っているだろう?俺は、御前のモノだから。だから…曝け出してみろよ。俺に…何をして欲しい…?」
 その言葉に、デーモンの表情がぐっと変わった。
 一気に真っ赤になったその表情を両手で隠すように覆う。耳までも真っ赤に染まったその姿に、エースはそっと顔を寄せる。
 そしてその耳元で、再び囁く。
「ほら…何をして欲しい…?」
 その囁きに…デーモンは大きく息を吐き出す。
 もっと、求めて欲しい。誰よりも、必要とされていて欲しい。それが一番愛しい相手なら尚更。
「…もっと触れてくれ。唇で…掌で…指先で…御前の身体全てで、吾輩に触れていてくれ…吾輩を…離すな…」
 そう言いながら、その腕を伸ばして首に回す。強く引き寄せられたその身体が、熱い。
「エース…吾輩は…御前の、モノだから…」
 エースの耳元で囁かれたその声に、エースも大きく息を吐き出す。
 真っ赤に染まったその顔を隠すように、首元へと埋めたデーモン。
----相変わらず…スイッチ入るまではシャイなんだから…
 その愛らしい姿に、知らず表情が緩む。
 けれど……その姿は、まるで愛情に枯渇してるかのようにも見えた。
 どれだけ愛しても、満たされない。常に、愛情に飢えている。そんな気がしてならなかった。
「俺は…ずっと、御前の傍にいるから」
 その身体を強く抱き締めたまま、耳元で囁いた声。
 変わらない想いは…本当に、相手の心に届いているのか。
 脳裏を過ぎったそんな想い。けれど今は…求められる愛情を満たすことが先決。
 重ねたその身体の温もりは、一時の安らぎだった。
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がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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