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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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太陽の腕 月の瞳 3
こちらは、以前のHPで2000年5月4日にUPしたものです
 7話完結 act.3

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◇◆◇
 場所は変わり、情報局の管理部の資料室。ここに、彼はデーモンと二名でコンピューターに向かっていた。
 ダミアンの執務室からアクセスしてみたところ、個魔情報は他局からのアクセスでは非公開として処理されてしまった為、原本がある情報局までやってきていたのだ。
「ここなら多分、見られると思うんですが…」
 そう言いながらコンピューターに向かうデーモン。
 管理部が所有する配任名簿は、圧縮ファイルで保存してはあるが、何せ膨大な数である。当時の名簿を捜し出すだけでも大仕事なのだ。
 扱いのわからないライデンは、迂闊に手を出せない。その為、どうしてもデーモンに任せっきりになってしまうのだ。尤も…デーモンも、得意、と言う訳ではなさそうだ。どうもキーボードを操る手つきがぎこちない。
 しかしながら、その作業に多大な時間を費やした甲斐があり、やっとで該当する者を見つけることが出来た。
「…この者ですか?」
 問いかけられ、液晶ディスプレイの画面を覗き込む。そこに写し出されているのは、確かにあの時に見た悪魔、アディエラだった。
「そう、こいつ!」
 歓喜の声を上げたのも束の間。
「ですが、この者は…随分前に名簿から排除されている…」
「何で?」
 問いかけた彼の声に、デーモンは溜め息を一つ。
「恐らく、解雇されたか自ら辞職したか…最悪、死亡したかのどれかでしょう。何なら、彼が属していた軍事局に行って、聞いてみますか?」
「いや、そこまでしなくても…」
 思いがけなく、大変な方向に話が進み始めた為に、躊躇を見せたライデンであったが、デーモンは表情一つ変えることはない。
「捜し出さなければならないのでしょう?現在の足取りを掴むには、闇雲に捜すよりも、当時を知る者に尋ねるのが一番早いじゃないですか」
「そりゃそうだけど…ちょっ…待ってよぉ!」
 さっさとファイルをしまい、管理部を立ち去ろうとするデーモンを、慌てて追いかけるライデン、ここにあり…。

◇◆◇

 今度は軍事局にやって来た両名。デーモンは、担当者を捜す為に何処かへ行ってしまった。
 彼はロビーで待たされている間、今日は良く移動するなぁ、などと呑気なことを考えて、暫しの時間を潰す。
 そしてデーモンが戻って来た時には、傍らにもう一名の姿があった。
「殿下、こちらは軍事局参謀長であるマラフィア殿です」
 デーモンにそう紹介され、マラフィアと呼ばれた参謀は軽く会釈をする。
「御初にお目にかかります、殿下」
「どうも…」
 慌ててソファーから立ち上がり、マラフィアと同じように会釈をする。
----軍事局の参謀長って言ったら、確か副大魔王付きの…?
「まぁ、ここでは何ですから、わたしの執務室へどうぞ」
 彼がぼんやりと考えている間に、マラフィアは彼とデーモンを促し、自ら先頭に歩き始めた。
 その後を、彼はデーモンと共に歩み始めた。

 マラフィアの執務室。そのソファーに座り、マラフィアが淹れてくれた紅茶を目の前に、ライデンは大きな溜め息を一つ吐き出した。
「どうなされた?」
 マラフィアからそう尋ねられ、彼はちょっと躊躇する。
「…思った以上に、大事になっちゃったから…ちょっとね」
「御気持ちは察します」
 マラフィアの声。そして、言葉は続けられた。
「…このような不祥事を、貴公にお伝えしても良いものかどうかと思い悩んだのですが…その為にわざわざお越しいただいたのだから、正直に申しましょう。貴公が捜していらっしゃるアディエラは…数千年前に、職務永久追放の処分を…」
「職務…永久追放?」
 言葉の、一つ一つの意味はわかった。だが、それが指す処分の意味は、わからなかった。
「禁忌違法行為による処分です。現在は、魔界の在籍名簿からは抹消され、魔力を封じて僻地に幽閉されております」
 マラフィアの説明を聞きながら、彼の胸はどんどん重くなっていくのだった。
「アディエラは…ユーリスを、愛していたんだよ。ただそれだけなのに、それが罪になるなんて…惨いよね」
 思わずつぶやいた声に、マラフィアの小さな溜め息が零れる。
「魔界を護って行く為には、必要な処分です。無秩序を繰り返せば…魔界は、滅んでしまうでしょう」
「……」
 それ以上、何も言えない。それが、魔界では合法的な理由なのだから。
「…逢えないかな?アディエラに」
「彼は、罪魔ですよ?」
「わかってる。でも…アディエラがそんなに悪い奴じゃないってことは、あんたの方が、もっと良くわかってるだろう?少なくとも、あんたの下で働いていたんだから」
「…そう、ですね。では、ご案内しましょう。デーモン殿もご一緒に…?」
「え?…あぁ、そうですね」
 何を、考えていたのだろう。一言も口を開かなかったデーモンは、明らかに別のことを考えているように思えた。
 だが、そんなことよりも…今のライデンの胸のうちは、アディエラのことで一杯だった。

◇◆◇

 マラフィアの転移術により、一行は静かな場所にやって来た。
 確かに僻地と言うだけあって、回りには何もなく、通り抜ける風も、今までとは比べものにならないほど冷たい。
「こちらです」
 その言葉に促され、彼は足を進めた。
 その先にあったのは、明らかに魔力を封じる能力が働いている岩牢だった。
 幾つかの空牢があり、その一番奥に、たった一名だけ捕われている姿がある。
「…アディエラ…」
 その確かな姿を確認したライデンは、足早にその牢の前へと歩み寄る。そして鉄格子を握り締め、再び声を上げた。
「アディエラ!」
 その声に、中にいた姿が僅かに反応する。
 伏せた顔を持ち上げ、その眼差しを確認する。
「……そ…の、紋様は……ラ…イデン…殿下…?」
 声は掠れ、姿は疲れ果てていたものの、琥珀色の眼差しは昔と変わりなかった。
「何故…ここに?」
 問いかけられ、彼は大きく息を吐く。
「あんたを捜しに来たんだ。どうしても、聞きたいことがあって」
 彼は地に跪く。それでも、握り締めた鉄格子だけは手放さなかった。
「あんた…"太陽の腕"のこと、知ってる…?俺、そいつを捜してるんだ」
「…太陽の…腕?」
「そう」
 アディエラは彼を見つめ返し、暫し口を噤んでいた。
 やがて、問いかけた声。
「"彼"を、捜している理由は…?」
「理由…?あぁ、あんたにはまだ説明してなかったね。親父が…雷帝が、言ってたんだ。雷神界の平和を護る為に、"太陽の腕"と"月の瞳"を持つ者を捜してる。顔も、名前も知らない。ただ、魔族と天界人で、お互いに引かれ合っているらしいと言うことしか。昔、あんたがそんなこと言ってた記憶があったから…あんたを頼りに、捜してたんだ」
「…そう、ですか…」
 アディエラは、その琥珀の眼差しを伏せた。その先にいた、マラフィアの姿を見たからかも知れない。
「魔界や天界にしてみれば…中立区域なんて、なくてもいいんだよな。お互い、領地の拡大の為に協力さえしてもらえば、それで。でも…そこに生まれ、そこに住まう俺たち雷神族には…護るべき土地なんだ。だから…」
 必死の思い。それが、今のライデンの思いの全てだった。
 誰でも、生まれた地を、侵されていいはずがない。
 大切なのは…それが、自分の護るべき場所であるから。
「…殿下は…やはり、雷帝の血を引いていらっしゃる…」
 思わず零れたアディエラの言葉の意味がわからなかったのは、多分彼だけだろう。
 気づかないうちに、彼はそのオーラを纏っていたのだ。
 雷神族の、皇太子としての威厳と言うオーラを。
 眼差しを上げたアディエラは、その表情に僅かな微笑みを称えていた。
 そして、語られた言葉。
「…"月の瞳"を持つ者は、百万年に一度、月の力の最も満ちた時に生まれし天界人。その力は、闇の静けさ。全ての能力を飲み込み、静寂を支配する。
 "太陽の腕"を持つものは、時同じく、百万年に一度、太陽の力の最も満ちた時に生まれし魔者。その力は光の反射。全ての能力を跳ね返し、闇へと誘う。
 但しそれは、お互いの能力と向かい合ったときのみに満たされる。
 "太陽の腕"と"月の瞳"を持つ者は、互いに引かれ合い、互いを己の所有物とするまで、求め続けるものなり……"太陽の腕"と"月の瞳"の、雷神界には伝わっていない…我が一族に伝わる、もう一つの伝説です」
「あんた…何でそれを…」
 思わず問いかけた彼であったが、そんなことは問わずともわかっているはずだった。  アディエラこそが…"太陽の腕"を持つ者ならば。
「…じゃあ、やっぱり…ユーリスもそうなの?ユーリスが…」
 "月の瞳"…?
 問いかけた声に、アディエラは小さく頷いた。
「雷神族は、元来自然を司る全ての能力を操ることが出来ます。だからこそ、太陽と月の能力も得ることが出来たのでしょう。雷神界にのみ、"太陽の腕"と"月の瞳"を持つ者が語り継がれて来たのは、当然のことです」
 静かなアディエラの声。全てを悟っていたからこそ、アディエラはユーリスを求め続けたのだろう。
 彼女を愛し…所有する為に。運命に逆らわず…罪を受けることも承知で。
「捕えられたことに、何の言い訳をするつもりはありません。運命だったとは言え、彼女を愛し、罪を犯したのは他ならぬわたしです。彼女も同じように捕えられていると聞きました。わたしはどんな罪にも耐え得ることが出来ます。ですが…彼女への償いの言葉は、もう届かないのです。それだけが…心残りです」
「アディエラ…」
 気持ちは、痛い程、良くわかる。だが、どうすることも出来ないのが実際なのだ。
 それっきり、アディエラは口を開かなかった。
「戻りましょう、殿下。今は…戻った方が無難です。今は…殿下がアディエラを連れていくことは出来ないのですから」
 その様子を見兼ねたマラフィアの声が、背後から届く。
 常に冷静なトーンの声が、この時ばかりは酷く非情にさえ感じた。
 だが、その言葉が尤もだった故に…彼も、頷かずにはいられなかった。
 ゆっくりと鉄格子を放し、立ち上がる。
「…また、来るから。必ず…」
 ライデンの言葉に、アディエラは小さく微笑んだ。
 その儚い微笑みが…いつまでもライデンの胸に残っていた。
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がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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