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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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笹に子虎
こちらは本日UPの新作です。

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◇◆◇

 それは、とあるツアーの、中休みのこと。
 久し振りの休日をのんびりと過ごし、夕食の後まったりとゼノンの部屋で寛いでいたライデンは、ベッドの上で寝転がって本を読みながら、机に向かって仕事をしているゼノンの背中にふと問いかけた。
「…ねぇ、ゼノン」
「何?」
「あのさぁ…あんたと石川くんってさぁ、どっちがエロエロだと思う?」
 そう問いかけられた瞬間、丁度飲んでいたお茶をぶーっと吹き出してしまったゼノン。
 げほげほと咽る姿に、ライデンは首を傾げる。
「…大丈夫?書類、お茶塗れになってるけど…」
「…誰の所為なの、誰の…っ」
 未だ咽ながらも、慌ててティッシュで机の上の書類を拭いている…。
「もぉ…何なの…っ」
「いや、前から気になってたんだよね」
 大慌てのゼノンの姿に、ライデンは首を傾げる。
「だってさ、俺はあんたのことはわかるけど、石川くんのことは湯沢しかわからないでしょ?直接は聞かないけどさ、同じ身体を共有している訳だし。どっちの方がエロいかなんて、比べたことないじゃん」
「…それを知ってどうする…」
「いや、面白いかな~と?」
「…別に、面白くないけど…」
 比べられる方は、それは面白くはないだろうが…ライデンの方は、実に楽しそうである。
「試しちゃ駄目?」
 興味津々の顔で尋ねられ、ゼノンは当然、眉を潜める。
「…駄目に決まってるでしょう?同じ身体を共有していたって、それは人間界にいる時だけでしょ?元々、俺と石川の意識は別物ですよ?」
「知ってますよ?俺だって湯沢とは別だもの」
「だったら、そんな馬鹿なことは言わないの。石川に聞いたって、却下されると思うけど?」
「…じゃあ、湯沢があんたとは?」
「当然却下。同じことでしょうにっ」
 何を楽しそうに…と言わんばかりのゼノンの表情。まぁ確かに、それが当然の反応なのだが。
「もぉ…」
 溜め息を吐き出すゼノンを、くすくすと笑うライデン。一体、何を考えているのやら…。

◇◆◇

 その数日後の地方のミサが終わった後。
 打ち上げに繰り出した彼らであったが、ライデンの近くに座ったゼノンは、その気がいつもと少し違うことに気付いた。
「…どうしたの?」
 ふと、問いかけた声に、ライデンは小さく笑う。
「何が?」
「何が、って…ライデンじゃなくて、湯沢くんでしょ…?」
 いつもは姿は湯沢でも、中身はライデンであるはず。なので、今日はそこに湯沢がいる、と言うことが奇妙に思えて。
「ちょっと不調だから眠るって。勿体無いから俺にここにいろ、って言うから。まぁ、気付いたのはあんただけ…かな?」
 ミサの余韻か、まだまだその身体にはライデンの気が強く残っている。元々、湯沢の身体なのだから、そこに湯沢の意識があっても何ら不思議はない。疲れ切っている今の状況では、それを見抜くのは難しいのかも知れなかった。
「ライデン、大丈夫なの?」
 問いかけた声に、ライデン…もとい、湯沢は小さく頷いた。
「多分、大丈夫。そんなに苦しそうでもないし。疲れが出たんじゃないかな?」
「そう。なら良いんだけど…お前は大丈夫?」
 そう問いかけた、ゼノンの言葉。
 ライデンを心配すると共に、媒体である湯沢の身体も心配であることには変わりない。
「大丈夫、大丈夫。折角の打ち上げじゃん。そんな顔しないでよ」
 くすくすと笑う湯沢に、ゼノンも小さく笑った。
「無理しないでね」
「おう」
 にっこり笑ってそう返事をした湯沢。
 しかし、ライデンが不調であるのに、湯沢だけが元気であるはずもなく。体調の悪さは直ぐに表立って来た。
 酒には殆ど口をつけていないにもかかわらず、あっと言う間に酔っ払って真っ赤な顔でうとうとし始めている湯沢に、ゼノンは再び声をかけた。
「大丈夫?」
「…眠い…」
 壁に寄りかかって、目を擦っている姿は、どう見てももう無理だった。
「先に帰ろう。ホテルの部屋まで送って行くから」
 ゼノンの声が、遠くに聞こえる。そう思った直後、湯沢の意識はもうそこにはなかった。

 身体が揺れる感覚でふと目を覚ました湯沢は、自分がゼノンに背負われている状況に思わず声を上げた。
「…あれぇ?何で俺、あんたにおんぶされてんのぉ?」
「目、覚めた?もう部屋の前だから、ちょっと待ってね」
 そう言うと、暫く歩いて直ぐに足を止める。そこはホテルの廊下で、もうライデンの部屋の前だった。
 鍵を開けて部屋の中に入ると、ベッドの上で湯沢の身体を背中から下ろす。そして、バッグの中からミネラルウォーターを取り出すと、湯沢に渡した。
「はい、どうぞ」
「せんきゅー」
 まだ酔いが残っているのだろう。ほんのりと赤い顔と、ぞんざいなその口調の湯沢は、ペットボトルに口を付け、ゴクゴクと飲んでいる。
「大丈夫?」
 問いかけたゼノンの声に、湯沢は笑いを零した。
「だいじょうぶぅ~」
 とは言うものの、ペットボトルの蓋さえ、きちんと閉められない…。
「…大丈夫に見えないんだけど…」
 いつもの酔ったライデンよりも心配になる訳で…。ゼノンはペットボトルを湯沢から受け取ると、代わりに蓋を閉めてベッドサイドに置いた。
「無理しないで、早く寝た方が良いよ。ライデンだって調子が悪いんでしょ?」
 その言葉に、湯沢は小さく笑った。
「ちゃんとねるからだいじょ~ぶぅ~」
「…なら良いけど…」
 心配そうに、そう零した直後。湯沢はじっとゼノンの顔を見ていたかと思うと、そっとゼノンの腕に手をかけた。
「…どうしたの?」
「うん?ちょっとね」
 笑いを零しながら、そう言った湯沢であるが、にっこりと笑いながらぐいっと引っ張る。
「うわ…っ!?」
 引っ張られれば当然前に倒れる訳で、そこに誰かいれば、その上に倒れることになる。
 当然といえば当然、ゼノンも湯沢の上へと倒れ込む。だが湯沢はそれを見越していたように、その首へと腕を回し、足を絡めて来る。
「つっかま~えたっ」
「ちょっ…湯沢くんっ!?」
 不意に体勢を崩され、抱き締められて、当然ゼノンは大慌てである。だが、にっこりと笑ったままの湯沢は、ゼノンの耳元でそっと囁いた。
「ねぇ…今、無性にやりたいんだけど。相手して?」
「…ちょっと何言ってるの…?酔ってる上に調子悪いんでしょ?それに俺は、石川じゃないから…どうしてもって言うなら、今石川を……」
 思いがけない言葉に慌てるゼノンに、湯沢は目を細めてほくそ笑む。
「"ゼノン(あんた)"とやりたい」
 そう言うなり、湯沢はゼノンを引き寄せ、口付ける。
 誘うように差し入れられた舌に、つい反応してしまったが…当然、同じ身体なのだからその感触も同じなはずなのだが、何か違う…。
「…キスの仕方が石川くんと違うね」
 小さく笑いながらペロッと自分の唇を舐め、ゼノンの瞳をじっと覗き込む。
 更なる甘い快楽に誘い込むようなその顔は…やはり、ライデンの意識である時とはまた違う。
「あんたのキスも悦いね。興奮する」
 くすくすと笑う湯沢に、ゼノンは溜め息を一つ。
 これは…数日前に、ライデンが言っていた状況そのものじゃないか。まんまと、ライデンに填められたのではないか…?
 そう思うと、溜め息しか出ないのだが…ここで応えてしまうのもどうかと思う…。
 そんなことを思っている間に、再び湯沢が口付ける。今度は先程よりも深く、甘い口付け。
 同じ顔をして、攻める場所が違う。それだけで、全く違う感覚。それは、湯沢だけでなく、ゼノンの意識も蕩けさせていた。
 唇を離し、甘い吐息を吐き出す。けれど…流石に、これ以上はマズイ。
「…本気でするつもり?」
「…だったらどうする?」
 問いかけたゼノンの声に、湯沢の答えは拒否ではない。期待するような眼差しは、自分からやめる気など毛頭ないようだった。
 途端、大きな溜め息を吐き出したのはゼノン。
「…やめよう」
 その耳元で小さくつぶやくと、ゼノンは強引に身体を起こした。そして湯沢と少し距離を取る。
 それは、最後の自制。
「やっぱり駄目だよ。俺は、ライデンも石川も裏切れないし…酔った上の暴走みたいなカタチで湯沢くんを抱いたって、快楽よりも罪悪感で満たされるだけだし…何より、石川だって怒るよ?」
 真っ直ぐに湯沢を見つめる眼差しは、ぶれることのない想いを見せていた。
 そんな姿を、湯沢も眼差しを逸らさずにゼノンを見つめていた。
 そして。
「やっぱりね。あんたはそう言うと思った。それに俺も…流石にあんたへの罪悪感ハンパないしね」
 そう言って笑うその顔を見て、ゼノンは溜め息を一つ。
「…ちょっと…いつの間にライデンに戻ったのさ…」
「ん?今さっきね~。あんたが自制を効かせた辺り…?」
「…もぉ…」
 入れ替わったことさえ気付かなかった。その余りの気まずさに、思わず顔を伏せたゼノンであったが…湯沢…もとい、戻って来たライデンは、そっとゼノンを抱き締めた。
「…やっぱりさ、例え湯沢だったとしても…あんたとキスしてるのが俺じゃないって思ったら、嫌だったし。それに…同じ身体を共有してるって言っても、やっぱり湯沢と俺は違うしね」
「…だからそう言ったじゃない…」
「そうね。あんたが正しかった」
----御免ね?
 ライデンは顔を伏せるゼノンを覗き込む。そして、僅かに顔を上げたゼノンに口付けた。
 触れた感触は…いつもと変わらない。それが、何よりもホッとする。
「ねぇ…許してくれる?」
 未だ、表情の変わらないゼノンを前に、ライデンはそう言って再び顔を覗き込む。
「…あんなこと、金輪際御免だよ?」
 僅かにその眼差しを上げ、ライデンを見たゼノンに、ライデンはにっこりと微笑む。
「勿論。湯沢だって、あとで石川くんにこっぴどく怒られるだろうしね」
「…どっちが先に言い出した訳?」
 思わず問いかけた言葉には、ライデンはくすっと笑う。
「それは…この際、黙って目を瞑って?俺も湯沢も、反省してるしさ。やっぱり、お互いのパートナーが一番良いって実感しました」
「…もぉ…」
「御免ね。でもホント、例え湯沢でも…ゼノンを取られるのは嫌だからさぁ…」
 何とかゼノンの機嫌を直そうと頑張っているライデンを前に、流石にいつまでも引き摺ることは出来ない。
「…もぉ、"笹に子虎"なんだから…」
「子虎?」
「酔っ払って暴れることを"笹に虎"って言うでしょ?今回のは、酔った上の暴走って事にしといてあげる。大暴れしてないだけマシだったってだけだから"子虎"ね。具合の悪い時に呑まないこと。湯沢くんにも良く言っといてよ」
「そう言う事か。了解っ」
「じゃあ、仲直りね」
 諦めたように溜め息を吐き出したゼノンは、腕を伸ばしてライデンを抱き締めた。
 身体は同じ。でも、持っている雰囲気は微妙に違う。やっぱり…落ち着くのは、長年の恋悪魔。
 それは、石川も同じだろう。
「…体調はどうなの?あれもわざと…?」
 ふと問いかけた言葉に、ライデンは苦笑する。
「いや、あれはホント。寝たらだいぶ良くなったけど…あんたと一緒にいた方が、もっと早く回復すると思うんだけど…?」
----さっき、中途半端に煽られたし。
 ゼノンの耳元でそう囁き、ぐいっと身体を寄せて来る。
「…煽って来たのは湯沢くんでしょ?俺たちをエロいって言うけど…俺たちよりお前たちの方が上回ってると思うんだけど…?」
 思わず口にした言葉に、ライデンが笑った。
「え~、心外だなぁ。でもまぁ…ある意味そうかもね。本能に正直でしょ?」
 くすくすと無邪気に笑う姿は、どう見てもそんなに欲望に貪欲だとは思えない。だからこそ、そのギャップにやられてしまうのだ。
「どっちが良い?エロいのと、エロくないのと」
 そう言いながら顔を寄せ、その耳元に軽く口付ける。
「…ホント、煽るの上手なんだから…」
「ゼノンだからだよ?俺だって、馬鹿みたいに誰彼構わず欲情する訳じゃないんだから」
 その媒体に興味津々だったのは何処の誰だい…。
 そんな言葉を飲み込み、呆れた溜め息を一つ。
「…エロいのも好きでしょ?」
 ゼノンの様子を伺うように、ライデンが問いかける。その眼差しの奥には…茶目っ気のある色が見えた。
「……まぁ、ね」
 決して…嫌いではない。寧ろ、自分もそうだと自覚はしている。
 勿論…誰でも良いと言う訳ではない。ライデンの言葉ではないけれど…それが、愛しい恋悪魔だからこそ。
 ライデンはゼノンの答えを了解と取った。
「じゃあ、問題ないじゃん?」
「…じゃ、手加減しないからね。反省しといて」
「はい…。あ、出来ればゼノンの姿で御願いします。流石にこの状況じゃね…石川くん思い出しちゃうし…」
 くすくすと笑うライデンに、もう怒る気力はない。今そこにあるのは…求める欲望だけで。
「…周りに気付かれても知らないからね…」
「大丈夫。まだ打ち上げ中じゃない?」
「…もぉ」
 小さく息を吐き出したゼノンは、その能力を開放して悪魔の姿へと戻る。当然、それを眺めているライデンも、同じように悪魔の姿に戻っている。
「…じゃ、改めて。愛してるよ、ゼノン」
「…わざとらしい…」
 くすっと、ゼノンの口元から笑いが零れた。
 からかわれていたのか、本気だったのか…その真意はわからない。でも、目の前の相手が愛しいことには変わりない。
 深く口付けを交わしながら、その身体を押し倒す。
 甘い吐息は、まだまだ序章だった。

◇◆◇

「おぅ、ライデン。体調はどうだ?」
 翌朝顔を合わせた仲魔たちの声に、ライデンはにっこりと笑いを零す。
「夕べは心配かけて御免ね。もう大丈夫だから」
「そうか。それなら良いんだが」
 頗る上機嫌のライデンと…少し離れたところに、溜め息を吐き出すゼノンの姿。
「…大丈夫?あんたの方はお疲れみたいだけど?」
 そんなゼノンの姿を笑いながら、小さく問いかけたのは、嫌煙仲魔。
「まぁ…大丈夫だよ。いつものことだから」
 自分で言っていて笑ってしまう。
 とんだ"子虎"の暴走に巻き込まれたものの、結局は自分のパートナーが一番良い。丸く治めるには、その結論が一番最適だった。

 だがしかし。
----湯沢くんのキスも悦かった、なんて…口が裂けても言えないね…。
 小さく笑うゼノンの胸の内は…誰も知らない。
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趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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