聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
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首謀者~Fixer~
取り立てて何も変わったモノのない世界。
知的生物が住まい、一つの文化を形作って行く。その先にあるのは、成功と敗北。栄えたはずの都市も、何れ廃虚と化すことは、幾度となく繰り返されて来た別世界の歴史が何よりの証拠だった。
高い知恵を持った知的生物たちは、己の才能と可能性に気付いた瞬間から、それは絶望への階段を登り始めることになることすら、気付かないのだ。
もし仮に、そんな世界がただあるだけなら、俺は別に気にも留めない。滅んだなら滅んだで、奴等はまた性懲りもなく同じ歴史を繰り返すだけなのだから。
だが、俺がこの世界に足を踏み込んだのは…"奴"を、捜す為に。
当時は、まだ生まれたばかりの知的生物がどんな経緯を辿って知識を得て行くかと言うことを、まるでゲームでも楽しむかのように傍観することがメジャーだった。勿論俺も"奴"も、その中にいたことは間違いない。
だが、一定の時間を刻んでその世界との接点を作っていたはずのプログラムの異状から、"奴"は突如その世界に引き込まれてしまった。全く以って馬鹿な話だが…いつまでもそう馬鹿呼ばわれしている訳にもいかず、俺とルークは"奴"を捜し始めた。
それがもう、一万年も前の話になる…
「…顔に、紋様を戴いた男…?さぁ、見たことないねぇ」
俺の声に首を振って答えたのは、毛むくじゃらの…まるで熊かでかい犬みたいな顔の…多分、男。多分と付けるからには、その性別がはっきりしていないと言うことが前提である訳だ。
「ここの世界の知的生物は、みんな毛深くて不気味だね」
そう、溜め息を吐く声。
「人間界が懐かしいか?でもこの世界なら、人間界で御前が気にしてた毛深さも目立たないぞ」
「冗談は止めてよねっ」
頬を膨らませて口を尖らせる声に、俺は思わず小さな笑いを零していた。だが、そんな呑気な気分も長続きはしないんだ。
「…ちょっと…ここ、さっきも通らなかった…?」
俺の後ろを付いて歩いていたルークが、不安そうにそう尋ねる声が聞こえた。
「さぁ、な。似たような路地が多いからな」
安易にそう答えてみたものの…確かに見覚えのある壁の落書きや洗濯物なんかは、ルークの言葉を裏付けていた。
「こんな路地、闇雲に捜したって無駄なんじゃない?」
迷うだけだよ…
呆れた声を聞きながら、俺は溜め息を一つ吐き出して空を見上げた。
路地とは言え、高い建物に囲まれている。まるで、巨大迷宮にでも迷い込んだような錯覚さえ、覚え始めていた。
「一旦、空に行くか。そうすりゃ、ここから出られる」
「まぁ、ね」
仕方なく、俺たちは背中に翼を構えた。
宛もなく空を彷徨った結果、俺たちは結局拠点である街の一角に借りた部屋に戻って来ていた。
「今日も一日、無駄に過ごしたね」
大きな欠伸をしながら、ベッドに横たわって伸びをしているルークを横目に、俺は巻煙草に火を付ける。煙に咽るルークの顔にも相当疲れた陰が見え始めている。
「明日はもう少し、足を伸ばしてみるか?」
そう問いかけると、ルークはベッドから身体を起こす。
「それはいいけどさ…あんたも少し、気晴らしした方がいいんじゃない?あんまり思い詰めると、身体に悪いよ」
最近頻繁にそう言うルークの声。ルークからしてみれば、俺も疲れた顔をしているのかも知れない。
「もう寝よう。明日も早いぞ」
それ以上何も言わず、俺はベッドに潜り込んだ。その意識は、直ぐに闇へと落ちて行った。
今のこいつは、何を言っても聞き入れない。
そんな呆れたような、仕方がないと言ったような溜め息を吐き出したルークもまた、その疲れに耐え切れずに眠りの世界へと落ちていった。
翌日。
「…顔に、紋様を戴いた男…?さぁ、見たことないねぇ」
俺の声に首を振って答えたのは、毛むくじゃらの…まるで熊かでかい犬みたいな顔の…多分、男。多分と付けるからには、その性別がはっきりしていないと言うことが前提である訳だ。
「ここの世界の知的生物は、みんな毛深くて不気味だね」
そう、溜め息を吐く声。
「人間界が懐かしいか?でもこの世界なら、人間界で御前が気にしてた毛深さも目立たないぞ」
「冗談は止めてよねっ」
頬を膨らませて口を尖らせる声に、俺は思わず小さな笑いを零していた。だが、そんな呑気な気分も長続きはしないんだ。
「…ちょっと…ここ、さっきも通らなかった…?」
俺の後ろを付いて歩いていたルークが、不安そうにそう尋ねる声が聞こえた。
「さぁ、な。似たような路地が多いからな」
安易にそう答えてみたものの…確かに見覚えのある壁の落書きや洗濯物なんかは、ルークの言葉を裏付けていた。
「こんな路地、闇雲に捜したって無駄なんじゃない?」
迷うだけだよ…
呆れた声を聞きながら、俺は溜め息を一つ吐き出して空を見上げた。
路地とは言え、高い建物に囲まれている。まるで、巨大迷宮にでも迷い込んだような錯覚さえ、覚え始めていた。
「一旦、空に行くか。そうすりゃ、ここから出られる」
「まぁ、ね」
仕方なく、俺たちは背中に翼を構えた。
宛もなく空を彷徨った結果、俺たちは結局拠点である街の一角に借りた部屋に戻って来ていた。
「今日も一日、無駄に過ごしたね」
大きな欠伸をしながら、ベッドに横たわって伸びをしているルークを横目に、俺は巻煙草に火を付ける。煙に咽るルークの顔にも相当疲れた陰が見え始めている。
「明日はもう少し、足を伸ばしてみるか?」
そう問いかけると、ルークはベッドから身体を起こす。
「それはいいけどさ…あんたも少し、気晴らしした方がいいんじゃない?あんまり思い詰めると、身体に悪いよ」
最近頻繁にそう言うルークの声。ルークからしてみれば、俺も疲れた顔をしているのかも知れない。
「もう寝よう。明日も早いぞ」
それ以上何も言わず、俺はベッドに潜り込んだ。その意識は、直ぐに闇へと落ちて行った。
今のこいつは、何を言っても聞き入れない。
そんな呆れたような、仕方がないと言ったような溜め息を吐き出したルークもまた、その疲れに耐え切れずに眠りの世界へと落ちていった。
翌日。
「…顔に、紋様を戴いた男…?さぁ、見たことないねぇ」
俺の声に首を振って答えたのは、毛むくじゃらの…まるで熊かでかい犬みたいな顔の…多分、男。多分と付けるからには、その性別がはっきりしていないと言うことが前提である訳だ。
「ここの世界の知的生物は、みんな毛深くて不気味だね」
そう、溜め息を吐く声。
「人間界が懐かしいか?でもこの世界なら、人間界で御前が気にしてた毛深さも目立たないぞ」
「冗談は止めてよねっ」
頬を膨らませて口を尖らせる声に、俺は思わず小さな笑いを零していた。だが、そんな呑気な気分も長続きはしないんだ。
「…ちょっと…ここ、さっきも通らなかった…?」
俺の後ろを付いて歩いていたルークが、不安そうにそう尋ねる声が聞こえた。
「さぁ、な。似たような路地が多いからな」
安易にそう答えてみたものの…確かに見覚えのある壁の落書きや洗濯物なんかは、ルークの言葉を裏付けていた。
「こんな路地、闇雲に捜したって無駄なんじゃない?」
迷うだけだよ…
呆れた声を聞きながら、俺は溜め息を一つ吐き出して空を見上げた。
路地とは言え、高い建物に囲まれている。まるで、巨大迷宮にでも迷い込んだような錯覚さえ、覚え始めていた。
でも…待てよ。ホントに、この路地に迷い込んだのは、今日が初めてだったか…?
ふと浮かんだ疑問を、俺はルークに問いかけていた。
「なぁ、ルーク…ホントに、ここに来るのは今日が初めてだったか…?」
「…何言ってんの?昨日も来たんだったら、迷うはずなんてないじゃんよ」
「それはそうだが…」
返されたルークの答えに、どうも納得出来ない。だが、ルークがそう言うのなら…多分、そうなんだろう。俺が相当疲れてるのかも知れないからな。
諦めた溜め息を吐き出し、俺は改めてルークに向かう。
「一旦、空に行くか。そうすりゃ、ここから出られる」
「まぁ、ね」
仕方なく、俺たちは背中に翼を構えた。
宛もなく空を彷徨った結果、俺たちは結局拠点である街の一角に借りた部屋に戻って来ていた。
「今日も一日、無駄に過ごしたね」
大きな欠伸をしながら、ベッドに横たわって伸びをしているルークを横目に、俺は巻煙草に火を付ける。煙に咽るルークの顔にも相当疲れた陰が見え始めている。
「明日はもう少し、足を伸ばしてみるか?」
そう問いかけると、ルークはベッドから身体を起こす。
「それはいいけどさ…あんたも少し、気晴らしした方がいいんじゃない?あんまり思い詰めると、身体に悪いよ」
昼間のことを考えていた俺の耳に飛び込んで来た、ルークの言葉。どうも…その言葉も、今日始めて聞いた気がしない。幾度となく…聞いた気さえするのは、何故だろう。
いつから…それを聞いて来たんだ…?
ふと過った意識。今がいつで、俺たちにとってどれだけの時間、ここにいたのか…いつの間にか、それが記憶から零れ落ちていて。
俺たちがここへ来た目的は…迷い込んだ”奴”を、捜していたはず。顔に、紋様を戴いた……
「…顔に、紋様を戴いた男…」
思わず零した俺の声に、ルークが顔を向ける。
「なぁに?どしたの?そんなに思い詰めた顔して…」
相変わらず呑気な声。その声に、ふとルークの顔に見入る。
白い顔に、蒼い紋様。こいつは間違いなくルークだ。そして、俺の相棒だ。それでは…俺が捜していた、顔に紋様を戴いた"奴"は…誰、だ?
「ルーク…」
奇妙な感覚。目の前にいるのが、ルークであると言うことは理解る。それでは……
「…俺は、誰、だ?一体…誰を、捜していたんだ…?」
突如、自分の存在が理解らなくなった。俺は俺であるはずなのに…誰なのか理解らない。気が付けば、暫くルークから名を呼ばれた記憶もない。
一瞬にして混乱した俺の意識を察したのか、ルークは小さな笑いを零した。
「何、今更慌ててんのさ。あんたが誰か、なんてことは、俺たちがここへ来た時から、理解ってたでしょ?俺たちが捜している"顔に紋様を戴いた悪魔(おとこ)"が誰か、なんてことも…ね」
「…ルーク?」
こいつの言っている言葉の意味が理解らない。こいつは何もかも理解っているんだろうが…どうして、それを理解出来ないんだ?昔の俺なら……あぁ、そうだ。俺が誰かも理解らないのに、昔の俺なんてもっと理解らないか。だがそれならどうして、そんなことを…
もっと混乱し始めた俺を、ルークはそっと差し出した腕で抱き締めた。
「…ねぇ、理解らない?そんな簡単なことすら、忘れてしまったの…?」
甘く、紡がれる声。俺を抱き締めたルークの温もりは、俺を多少落ち着かせたものの…思い出せない過去は相変わらずだった。
ゆっくり、俺を引き離したルークは、その笑いを含んだ黒曜石で俺を見つめた。
「あんたが捜してるのは、あんた自身。あんたは、自分の名前と自我を、この世界に落としたんだよ」
「……」
「今のあんたは、残された肉体と僅かな記憶で動いてるんだ。この世界は一種の幻。世界自体は存在してるけど、時間の流れは止まってる。だから、俺たちは同じ毎日を繰り返したんだ。最も…それに気付きさえすれば、抜け出せるけどね」
「操作したのは御前なのか?」
「そう。だって、時間が流れてしまえば、あんたを見つけられないもの」
くすくすと笑いを零すルーク。だが、その眼差しは笑っていない。俺を真っ直見つめ、決して逸らさない。
「…見つけた?」
そう、問いかけられる。
「俺は……」
破片は、ここにあるのだろう。もしかしたら、最初からルークが握っていたのかも知れない。だが、それに気付かなかったのは、俺なのだ。そう、俺が…忘れたんだ。俺自身を。
「…帰ろうか、ルーク」
小さく笑いを零した俺に、ルークはにっこりと微笑みを返した。そして、その掌を開いて俺に見せた。
そこにあったのは…小さな水晶。その中に見えるのは…
「俺、だ」
「そう、あんた。俺が、拾ったんだよ……エースをね」
そう言葉を放つと、ルークは掌の水晶を床へと落とす。
乾いた音を立てて壊れた破片。その一つ一つの輝きが眩しくて、俺は思わず目を閉じる。その耳に届いたのは、遠くから呼ぶ声。
「…帰ろう、エース。魔界へ…」
何処かに、呼び寄せられる…と言うより、引き寄せられる感覚。俺の意識は、そこでぷっつりと途絶えていた。
「…ったく…何回、同じこと繰り返してるんだか…」
水晶球で、その知的生物の進化の様子を見ていた俺は、何度も同じ過ちを繰り返す知的生物の知能の低さに、思わず呆れた溜め息を吐き出していた。
「エース、いい加減にしたら?もう少し気長にやろうよ」
そう声をかけたのは、ルークだった。
「気長にやってたら、こうなったんだ」
「じゃ、もう少し見守ってやろうよ」
くすくすと笑いを零す、ルーク。こいつはその呑気そうな表情の裏に、もう一つの顔を持っている。
ホントは…俺も、こいつに操られたのかも知れない。
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プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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