聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。
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a new day 1
たった一つ、超えられなかった壁。
それを超えることは、旅立ちの為の"約束"でもあった。
その日、魔界で修行中だった雷神界の皇太子…ライデンは、魔界の皇太子…ダミアンの執務室に呼ばれていた。
「…今日、呼んだのは他でもない。お前に、我々の職務に参加して貰おうと思ってね」
「…我々の職務、って…?」
ダミアンの言っている意味が良くわからず、首を傾げるライデン。するとダミアンは、机の引き出しから一束の書類を取り出した。
「まぁ、これを見てくれ」
渡された書類の表紙には、見慣れない言葉。
「…太陽系第三惑星潜入計画…?」
「そう。別名、"地球"と呼ばれている惑星だよ。その惑星に、天界がちょっかいを出し始めたらしい。我々の目的は、惑星を救うこと。その為に、惑星に潜入する」
「…ダミ様自ら?」
「あぁ。あと幾名か連れて行くつもりだ。その中の一名に、お前を加えたいと言う訳だ。勿論、雷帝の許可は得ている。魔界での修行中だからね、魔界の意向に沿うとの答えだよ」
「…はぁ…」
今一つピンと来ない。ライデンの表情は、そんな所だ。
渡された書類をぺらぺらと捲りながら、再び問いかける。
「…あと、誰が行くんですか?」
「知りたいかい?」
笑いを含んだダミアンの声。その声に、ライデンは書類に落としていた眼差しを上げ、思わずダミアンを見つめた。
非常に楽しそうな顔。ダミアンがそんな顔を見せると言うことは、何か含んでいるに違いない。
「今のところ親父に話をして許可を貰ったのはね、まずデーモンだろう?それからエース、ジェイル、ゾッド、それからジードもどうしても行くって聞かないし…」
指折り数えるダミアン。その名前の数々に、ライデンは思わず声を上げる。
「ちょっ…ちょっと待って下さいよっ!それって、有力者たちばっかりじゃないですか…っ!?」
目を丸くするライデンに、ダミアンはにっこりと微笑む。
「そうだよ?わたしが参戦するんだから、それぐらいの陣営は揃えないと、見栄えも悪いだろう?」
「…見栄え、って…」
「勿論、そこにお前も入るからね。雷神界の皇太子だ、上等だろう?」
にっこりと微笑まれても、そうですね、と返せるはずもない。
「そんなことして、魔界は大丈夫なんですか…っ!?」
「魔界?大丈夫に決まっているだろう?親父がいるんだから。それに、ルークもゼノンもいるしね」
ダミアンのその言葉に、ライデンは思わず息を飲む。
「…え…?ゼノンは…行かないんですか…?」
「あぁ。今のところはそのつもりだよ。本当は全員連れて行きたいところだけれど、そうすると親父も煩いしね」
ダミアンはそう言いながら、目の前にいるライデンの様子をじっくりと見つめていた。
ライデンが魔界にいる間、副大魔王のデーモンが面倒を見ている。そんなこともあり、ライデンとゼノンの関係をデーモンから聞いてはいたのだ。
唯一つ、ダミアンが気になっていたこと。それは…ライデンが本当に"成体"であるのか、と言うことだった。
勿論、背の高さや体格からして、見た目は立派な成体である。けれど、どうもその内側の精神面を含め、"オトナ"になりきれていないところが見受けられる。それも、デーモンの報告の一つであった。
古くからの文献によれば、雷神族は魔族とは違う成長の過程を追うとも言われている。より強い遺伝子を持つ雷神族は、多くの種族の魔族に必要な"成長"を必要としない。
それは、魔族が強大な能力を維持する為に、肉体の成長と精神の成長を結びつける為に必要な"壁"を乗り越えること(俗世では、その行為を"儀式"と呼んでいるが…)を必要とせずとも、成体となる。
当然、ライデンも例に漏れず通常の成長を踏み、成体としての立派な体躯である。けれど、どうもこのライデンはそのバランスが崩れているような気がしてならないのだ。
その原因の一つとしてダミアンが考えていたこと。それは、精神力の弱さ、だった。
「…ゼノンがいないと、不安かい?」
やんわりと問いかけたダミアンの声。
「…そう言う訳では…」
口籠もりながら答えるその表情は、困惑していると言った感じを受ける。ほんのりと赤く染まった頬は、純粋無垢な素顔を晒している。
「まぁ、まだ時間はあるからね。色々と準備することもあるだろうし…何より、気持ちの整理をきちんとつける事だね」
「…はぁ…」
その顔は、複雑極まりなかった。
「…はぁ~…」
大きな溜め息が一つ。
ごろりと草の上に寝転び、空を見上げながら零した溜め息。それは、先程枢密院から戻って来たばかりのライデンに他ならない。そして、その溜め息に答えたのは、彼の最愛の悪魔。
「どうしたの?そんな大きな溜め息吐いちゃって…」
寝転ぶライデンの隣に腰を降ろす恋悪魔は、不思議そうな表情で空を見上げるライデンを眺めている。
「…空が青いな~、と思って」
「…は?」
返って来た答えは、多分的確ではない。だからこそ、奇妙な声を零したのだ。
眉をハの字にしたまま、しかめっ面で空を見上げるライデン。その心中は、かなり穏やかではないのだろう。ならば、余り触れない方が良いだろうか…。そんなことを考えながら、隣の恋悪魔も同じように草の上に寝転び、空を見上げて見た。
青い空は、とても透き通っている。時折流れる雲は白く、風はとても穏やかで。
いつまでも、こうしていられたら良いと思う。
勿論、その想いは一悪魔では叶えられるものではない。けれど、お互いに歩み寄れば、手に入れられるもの。
ただ…今の自分には、まだ無理なことだけれど。
ぼんやりと、隣に横になる姿に視線を向ける。
手を伸ばせば、直ぐに届く距離。けれど…酷く遠い。
「…時間、だね。帰らないと…」
よいしょ、と身体を起こし、ライデンは隣に寝転んだ恋悪魔に視線を向ける。
「無意味な時間だったでしょう?御免ね」
「うぅん。そんなことないけど…」
同じように身体を起こし、ライデンへと向ける碧の眼差しは、何かを言いたそうにも見える。
歩み寄れない理由は、お互いの中にあった。
その夜遅くに屋敷に戻ったデーモンは、思いがけず出迎えに出て来たライデンに、首を傾げていた。
「まだ起きてたのか?いつもだったら、もうとっくに寝てるはずだろう…?」
日付は直に変わろうとしている。こんな時間にライデンが起きていることは滅多になかった為、首を傾げずにはいられなかったのだろう。
「ん…眠れなくて」
リビングのソファーでデーモンの前に腰を降ろし、浮かない表情でそう答えるライデン。
「…夜食、付き合う…か?」
そう、問いかけてみる。常ならば、直ぐに満面の笑みで首を縦に振るはずだが、今日は浮かない表情のまま首を横に振った。
「…いらない」
「…具合でも悪いのか?」
そう尋ねる声にも、首を横に振る。
「…喧嘩でも…したのか?」
試しに、そう問いかけてみる。けれど、その問いかけにも首を横に振る。
「じゃあ、どうしたんだ?」
他に思い当たるところがないデーモンは、小さな溜め息と共にそう言葉を吐き出した。
「うん……」
心持ち、声が低くなる。そして、一呼吸置くと、デーモンへと視線を向けた。
「ねぇ、デーさん…"地球"って…遠いんだよね…?」
「…は?」
思わず、声を上げたデーモンであったが、デーモン自身も先日ダミアンから聞いた話をふと思い出した。
「…あぁ、お前もその話を聞いたのか…」
それなら、この姿は想像がつく。デーモンはそう思って、小さく笑いを零した。
「遠いかも知れないが…近いかも知れない。ダミアン様の話だと、割合簡単に帰っては来られる距離、だ。異世界だから、遠いかも知れないが…その気になれば、近いんじゃないか?」
「…訳わかんない…」
デーモンの言葉に、再び大きな溜め息を吐き出したライデン。
「お前が悩んでいるのは…ゼノンのこと、だろう?あいつはまだ、許可が下りていないみたいだからな」
「…許可?」
問い返したライデンの声に、デーモンは頷く。
「あぁ。ダミアン様は、最初から主要魔はみんな連れて行くつもりだったのさ。勿論、ゼノンやルークもな。だが、魔界の要を根こそぎ連れて行ってしまうことに、大魔王陛下は難色を示した。まぁ、当然と言えば当然だよな。そんな無茶をして、その隙に魔界が攻め込まれでもしたら、最悪の事態すら招くかも知れない。だから、全員を連れて行く許可が下りなかったんだ。元々あの職務は、ダミアン様が勝手に決めたこと…と言ったら聞こえは悪いかも知れないが…とにかく、正式に下りた任務じゃないからな」
「…そうなんだ…じゃあ、ゼノンが参加することも有り得る訳?」
「あぁ、何れはな。ただ、その時は…先に参加した誰かが、魔界へ戻る時だ。それがいつになるかは確定は出来ないし、その時が来ないかも知れない。それは、今は全くわからないことだ」
「…そっか……」
デーモンの言葉に、ライデンは大きな溜め息を吐き出す。
自分の能力を評価して貰ったことは嬉しい。それは、ライデンも素直にそう思った。けれど…最愛の悪魔と、遠く離れてしまうことは…今のライデンには、まだ不安で堪らないのだ。
そこに、確かな絆がないから。
けれど、その不確かな絆を結ぶ術を、ライデンは知らなかった。
どうしたら、強い絆を結べるだろう。
それは、ライデンが任務で"地球"へ出発するまでの課題だった。
数日後。いつもの約束の時間。約束の場所。そこに先に来たのはライデンだった。
ごろりと草の上に寝転び、木々の間から見える空をぼんやりと見つめていた。
空は、透き通るように青い。そして、時折聞こえる鳥たちの囀り。いつもならその長閑な時間は、待ち合わせの相手を心待ちにする時間だった。
けれど、今日はどうもそんな気持ちになれない。
大きな溜め息を吐き出すライデン。
この数日、彼は実家のある雷神界に戻っていた。遠征へ出る為の準備もあったが、何よりも…自分の気持ちを、落ち着かせる為に。
だが、気持ちの整理は何一つ出来なかった。いや、寧ろもっと不安に苛まれていた。
その根本的理由を…ライデンは何となく感じ始めていた。
お互いが、お互いの距離を縮めることを恐れている。その理由は、それぞれが良くわかっていた。ただ…それを、どう縮めて良いのかわからなくて。
再び、溜め息を吐き出す。
青い空は…何処までも青かった。それが…妙に、不安を煽る。
それから暫くして、やっと相手が現れた。
「御免ね、遅くなって」
急いで着てくれたのだろう。呼吸を乱し、額にはうっすらと汗が滲んでいる。
「別に、そんなに急いで来なくても大丈夫だったのに」
その一生懸命な姿に、思わず苦笑したライデン。けれど、その表情はパッとしない。
「…出発の準備、進んだ?」
ライデンの隣に腰を降ろしたゼノンは、袖口で軽く汗を拭うとそう問いかける。
「ん~…大体ね。準備って言っても、別に引越しする訳じゃないし」
「それはそうだけどさ…」
ライデンの様子を伺いながら、ゼノンは自身が先程呼び出された相手の言葉を思い出していた。
ここへ来る前。ゼノンは、デーモンの執務室に呼ばれていた。そこで、ライデンがダミアンから与えられた"試練"で悩んでいることを聞いた。
----後はお前に任せるからな。
最後にそう結んだデーモンの言葉。それが、ゼノンにとっても一つの"試練"となる訳で…。
小さく吐き出した溜め息を隠すように、ゼノンもライデンと同じように草の上に横になる。
空は青い。
「…あのさ…」
口を噤んだままの時間を止めたのは、ライデンの言葉だった。
「…ん?何?」
横になったまま、頭を僅かに動かしてライデンへと視線を向けるゼノン。けれど、ライデンは空を見上げたまま、だった。
その表情は…酷く、思いつめていて。
暫く、沈黙が続く。けれどゼノンは、ライデンの次の言葉を待っていた。
そして、ようやく口を開いたライデンは、ずっと胸の奥に蟠っていた"言葉"を発した。
「俺のこと…どう思ってる?」
「…はい?」
突然そう問いかけられて、ゼノンは思わず奇妙な声を上げた。しかし、ライデンの真剣な表情は相変わらずで…奇妙な気まずさを感じた。
「…どうって……」
改めて呼吸を整え、答えを探す。
「………好きだよ」
どう答えようか、ゼノンも迷っていた。そうして、当たり障りのない言葉で返したつもりだった。
だが、ライデンはむくっと起き上がると、ゼノンににじり寄る。
「好きって、どのくらい?」
「……どのくらい、って……」
ライデンににじり寄られ、ゼノンは思わず身を捩って距離を置こうとする。
だが…慌てた末のその姿は、ライデンの表情を変えた。
「…俺…迷惑?」
「……ライ…?」
不意に零れたその言葉。それは、ゼノンに後悔を感じさせるのに十分な言葉だった。
「…いや、違うよ…そうじゃなくて…ちょっと、びっくりして……」
慌ててそう口にしたものの、ライデンの表情は曇ったまま。
「…御免…」
どうして良いのかわからず、ゼノンは取り敢えずそう口にした。
ライデンは大きな溜め息を吐き出すと、大きく首を横に振る。そして、体勢を戻すと、膝を抱えて頭を垂れて座り込んだ。
「…ライ…?」
何だろう、この不安定さは。それは、ゼノンが感じたライデンを取り巻く気。
酷く不安定で、乱れも半端ではない。
それが、これから控えている任務によるものなのか……それとも、自分との関係の行く末によるものだろうか。
そんなことを考えながら、ゼノンもゆっくりと息を吐き出し、身体を起こして体勢を立て直す。
もしも、相手が魔族だったなら。答えを出すのは、簡単だっただろうか?
ゼノンの脳裏を過ぎる"試練"の第一歩。その答えを、ゼノンはまだ見つけていなかった。
「…あのね…」
ライデンの様子を伺うように、ゼノンはゆっくりと言葉を紡ぎ出した。
「……俺は…ライデンのこと、好きだよ。それは、前からずっと変わらない気持ちで…だから、どのくらい好きか、って聞かれても、どう答えて良いのかわからないんだけど………」
胡坐に組んだ自分の膝をじっと見つめながら、ゼノンは自分の気持ちを探していた。
好きであることには変わりはない。寧ろ、前よりも好きになっている。ただ…それを、どう伝えたら良いのかわからなかっただけで。
もう時期、地球任務に旅立つライデンは、その微妙な距離感が不安なのだろう。それは、十分わかっていた。
キスより先に進めない。
昔なら…相手が魔族なら、多分、悩むことなんてなかったはず。ライデンには話していないが…ゼノンとて、キス以上の経験ぐらいある。尤も、それがなければ魔族は成体にはなれていないのだから。
ただ…自分の中の血が……良い思い出、では終わらせてはくれなかった。
血を好み…肉を喰らう。その、血による呪縛は、ゼノンの中で"恋悪魔"と言う存在を求めない結果となった。
けれど…今隣にいるのは、紛れもなく"恋悪魔"と証する存在。血を押さえる為に、制御ピアスもつけたはずなのに…心の中に住まう"恐怖"は、二の足を踏ませるのだ。
もしも。もしも…制御が十分ではなく、自分の中の"鬼"の方が勝ってしまったら。それは、単なる恋悪魔同士のじゃれ合いから発展した惨劇では済まされないのだ。国家を介する争いになるだろうことは目に見えている。
でも、問題はそんなことではない。
ただ、純粋に…相手を失うことが怖い。ただ、それだけ。
大きく息を吐き出したゼノン。
「…御免…今はまだ……」
情けないの一言に尽きる。ゼノンは、自分でそう自覚していた。
「……良いよ、別に…」
それは、顔を伏せたままのライデンの答え。
ゼノンの言葉から、何を感じ取った末の答えだったのだろう?ゼノンには、それがわからなかった。
心を落ち着かせるかのように、ライデンは大きく息を吐き出した。そして徐ろに立ち上がると、真っ直ぐに空を見上げた。
青い空は…何よりも透明だった。
そして…何よりも、冷たかった。
「…俺…雷神界に帰るよ。準備があるから。出発の日まで…戻って来ないと思う。だから…あんたと会うのは、今日が最後かな」
「…最後、って……そんな、急に…」
思いがけない言葉に、ゼノンは声を上げる。
「ずっとね、考えてたんだ。俺は…あんたにとって、どのくらいの比重だろう、って。勿論、大切にして貰ってることは良くわかってたし…好きでいて貰えてるって実感もあった。でも……俺は、あんたを悩ませてる。俺が、雷神族だから。俺が……皇太子だから。わかってるよ。あんたが、ずっと迷ってたことも。だから…もう良い。もう、あんたを苦しめない。俺が地球任務に行けば、あんたは俺の顔を見なくて済むもの。苦しまなくても済むよ。だから……もう良い。御免ね」
ライデンは…どんな顔をして、そんな言葉を放っているのだろう。
見上げるゼノンに、その表情は見えなかった。ただ…泣いていたのかも知れない。その顔を見られたくないから、空を見つめていたのかも知れない。
「…じゃあ…ね」
自分の思いを断ち切るかのように、そのまま踵を返したライデン。だが、ゼノンとてそのまま見送る訳にも行かなかった。
「ちょっと待ってよ!そんなのないでしょう?!勝手にそんな結論つけないでよ!」
珍しく声を荒げたゼノン。それだけ彼も気が動転していたのだろう。
ライデンはその声に思わず足を止めた。だが、その顔は向こうを向いたままだった。
「このまま…終わりにして良い、ってもんじゃないでしょう?少なくとも…俺は、そんなことを望んでいる訳じゃない。ちゃんと…向き合わなきゃいけないと思ってるよ。だから…」
その声に、ライデンはゆっくりと視線を向けた。
その顔は、泣いてはいなかった。だが…その反対に、彼は笑っていた。
にっこりと微笑み、ライデンは膝を折ってゼノンと顔を合わせる。そして、両の手でゼノンの頬に触れる。
「…有難うね」
小さくつぶやき、頬を傾けると、そっと口付ける。
軽く触れただけの感触。
「…ライ…」
その瞬間、不意に風が吹き荒れる。
「…っ!?」
思いがけないその突風に、ゼノンは思わず目を硬く瞑る。そして、その風が収まった後で目を開けてみれば…既に、ライデンの姿はそこにはなかった。
「…ライ…っ」
その突風は、ライデンが巻き起こしたもの。けれど、今のゼノンにそれは意識の片隅にも浮かんで来なかった。ただ、追いかけなくては。その思いだけで。
ゼノンが背中に翼を構えたその瞬間。遠くで、自分を呼ぶ声が聞こえた。
彼の休憩時間は、とっくに過ぎていた。
本来なら…職務を放棄してでも、追いかけるべきだろう。けれど、局長と言う身位にいる今の彼には、それは許されないことだった。
唇を噛み締めると、ゼノンは背中に構えた翼を身の内へとしまう。
今日の夜にでも、ライデンの魔界での住居たるデーモンの屋敷へと行ってみよう。
今のゼノンには、そうすることしか出来なかった。
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プロフィール
HN:
如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
性別:
非公開
自己紹介:
がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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