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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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堕罪 2
こちらは、本日UPの番外編です
 ※番外編のメインは天界側です。本編の遠い伏線と言う感じです(苦笑)
4話完結 act.2

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◇◆◇

 例年に無く、この年のこの時期はとても雨が多かった。
 溜め息を吐き出しつつ、雨の降る帰路を辿る。
 今日もまた、"あのヒト"は"あの場所"にいるのだろうか?そう思うと、胸が痛む。
 助ける術を見つけられないまま、時だけが過ぎて行く。
 人伝に聞いたところでは、"色欲魔"の顔を覚えている者は誰もいないとのこと。勿論、顔を覚えていないのだから、その眼差しの"色"を記憶している者もいなかった。
 闇夜ならば当たり前と言えるのかも知れないが、それでも目が慣れてくればある程度の顔の判別は付くはず。
 現に自分は、最初に見かけたあの日に…あの眼差しの"色"をはっきりと覚えていたのだから。
 けれど…"色欲魔"と旧礼拝堂の中で話をしたあの日のことは、良く思い出せない。
 事に…顔は、全く思い出せなかった。
 それは、有り得ないはず。旧礼拝堂に入るまでにも、顔を見ているはず。だが、それが思い出せないのは…ある種の"封印"なのだろうと思った。
 "あのヒト"が…最低限、自分を守る為の。
 勿論、あんなことをしていながら、自分を守ろうとすること自体、良く理解出来ないと言えばそれまでなのだが…そこには、何かしらの意図があるはずだった。
 今、レイが覚えているのは…あの眼差しの"色"だけ。どう言う訳か…他の者と違って、その記憶だけははっきりしている。そして…その持ち主が誰なのか、と言うことも。
 自分だけの残された小さな記憶。それが意味するところもわからなければ…それによって、罪悪感に苛まれているレイの胸の痛みは、他の誰にも理解することも出来ないのだろう。
 溜め息は、繰り返される。

 旧礼拝堂の前までやって来ると、自然と足が止まった。
 扉は、固く閉ざされている。
 レイは、そっと横へ回ると、最初に覗いた時と同じ窓辺へと足を進める。
 その中に…"あのヒト"は、いた。そしてもう一名……。
 硬く目を瞑り、その残像を振り払うように頭を振る。
 見たくないのなら、ここへ来なければ良い。この窓辺へ、立ち寄らなければ良い。頭では、そうわかっているのだ。けれど…どうしても、脳裏から離れない"色"が、自分をここへ呼ぶのだ。
 あの、"ヴァイオレッド"が…レイを、この場所へと縛り付けた。
 溜め息を吐き出し、ゆっくりと眼差しを上げる。その途端、自分を見つめる眼差しとかち合った。
 物言いたげな…真っ直ぐな眼差し。
 何故、ここへ来たのかと咎められているようで。
 そして…何故、覚えているのだと…戸惑っているようで。
 何とも言えない居た堪れない想いに、レイは踵を返す。
 眠れない夜は…まだ、終わらない。

◇◆◇

 その日レイは、礼拝堂の前に来ていた。
 入っていけないことはわかっている。けれど…何かに、救いを求めなければ…全てが、壊れてしまうような気がして。
 その開かれた扉の前。やはり、足は動かない。
 けれど、顔を上げれば、神の祭壇が見える。
 そこに…神は、いるのだろうか…?
 ふと、そんな思いが頭を過ぎった。
 もしも、神がいるのなら…どうして、"あのヒト"は…救われないのだろうか。
 自分に、助ける術がなかったとしても…あんな不浄な状況だけでも、何とかならないのだろうか…。
 レイは、目を伏せて大きな溜め息を吐き出す。
 と、その時。
「…入らないのか?」
「…っ」
 背後から声をかけられ、ハッとして振り返る。
 そこにいたのは…ミカエル、だった。
「…失礼致しました…」
 自分がここに立っている所為で、ミカエルが礼拝堂に入れないと察したレイは、頭を下げて道を譲る。
 けれどミカエルは礼拝堂へは入らず、真っ直ぐにレイを見つめていた。
「…あの…」
 ミカエルが動かないことを怪訝に思い、レイはその視線をミカエルへと向ける。
 真っ直ぐな、碧色の眼差し。それは…全てを、見透かしているかのようで。
「…礼拝堂に入れないのは…彼奴だけかと思っていたんだが…他にもいるのか」
「……何のことですか…?」
 ミカエルの言葉の意味がわからず、レイは思わず問いかける。
 通常ならば、言葉を交わすことはない程、身位が上の相手。けれど、そんなことは頭の中から消えていた。
「真っ当な天界人は、神を崇めることを忘れない。だが、最近の天界人の中には…神を崇めることさえ、忘れている者が多い。若しくは…罪を罪だと思わず、穢れたまま礼拝堂に踏み込んで来る。嘆かわしい限りだ」
 そう言いながら、ミカエルは礼拝堂へと足を踏み入れる。
「だが…罪を背負った、真っ当な天界人はどうだと思う?」
 ミカエルの言葉に、レイは小さく息を飲む。
 足を止めたミカエルは、僅かにレイを振り返りながら、言葉を続けた。
「そいつらはな…礼拝堂へ入ることを、拒むんだ。神を、崇める資格がないとな」
「………」
 それはまさに…レイの事を言っているのではないか、と思うくらい…的確だった。
「御前は…何の罪を、背負った?」
 ふと、問いかけられる。
 暫し…口を噤んだレイ。けれど…自分を見つめるミカエルの眼差しの前、小さな言葉を零した。
「…見てはいけないものを…見てしまいました…」
「…何を見た?」
「……それは…言えません…」
 それだけは、口には出来ない。それは…レイだけの問題ではないから。
「…御前は…救われたいのか?神に…助けを、請うのか?その為に、ここへ来たのか…?」
 立て続けに問いかけられ、レイはどう答えて良いのかと困惑していた。
「…答えられないのか?」
 再び、問いかけられる。
 ミカエルの眼差しは相変わらず真っ直ぐにレイを見つめており、レイの答えを聞くまでは離れないのだろう。
 レイは小さく息を吐き出すと、ゆっくりと口を開く。
「…"あのヒト"を…助けて下さい」
「…"あのヒト"?」
 ふと、ミカエルの表情が曇った。
「誰のことだ?」
「…わかりません。でも…酷く醒めた眼差しで…わたしを見つめていました。"あのヒト"が何を背負っているのか、わたしにもわかりません。でも…解き放てるものなら…解き放って頂きたい…」
 胸が、苦しくなる。
 救いを求めたのは…自分のことではない。ただ、"あのヒト"を…助けたくて。
 唇を噛み締めたレイの姿に、ミカエルは小さな溜め息を一つ。
「御前は…変わっているな。他人のことをで、罪の意識を感じているのか?それで、礼拝堂へ入ることすら躊躇うと…?」
「…わたしは、見てはいけないものを見ました。だから…っ」
「もう良い」
 突き放すようなミカエルの声に、レイは口を噤んだ。
 けれど…ミカエルはレイの思わぬ言葉を口にした。
「…本気で助けたいのなら…御前が、強くなれ。神など…当てにするな」
「…ミカエル様…」
 ミカエルは、再び視線を神の祭壇へと向ける。
「神は…見守るのみ、だ。助けたいと思うのなら、自分で動くことだ。祈るだけでは…何も始まらない。信仰心があるのなら、それでも良い。だが、礼拝堂に入れないのなら話にならない。自分が、強くなるしかないんだ。手を、伸ばせ。その手で、しっかり捕まえていろ!悔いのないよう…精一杯、ぶつかって行くしかないんだ」
「………」
 それは…ミカエルには似つかわしくない台詞だと、レイは感じていた。
 ミカエルは更に言葉を続ける。
「…自分が傷つくのが怖いのなら…速やかに手を引け。多分、そんな気持ちでは、助けられはしない。後悔するくらいなら、最初から手を出すな」
 ミカエルは…知っているのだろうか…?
 そう思わせるくらい…状況が重なる気がする。
 けれど…言っていることは、多分間違ってはいない。
 強く…ならなければ。
 逃げていては…助けられない。
 "あのヒト"に出逢ってしまったのは…自分の運命、なのだと。
「…有難うございます…」
 レイは、祭壇に向かうミカエルに、深く頭を下げる。そして、その踵を返す。
 遠くなって行く足音を聞きながら…ミカエルは、祭壇から目を離さなかった。
「…頼むから…もうこれ以上、罪を、重ねてくれるな…」
 小さくつぶやいた声は…何に対しての言葉だったのか。

◇◆◇

 数日後のその日は…雨が降っていた。
 例によって例の如く、残業を終えての帰り道。レイは、旧礼拝堂の前で立ち止まっていた。
 今日は…誰の気配もない。ただ…レイが、そこに立っているだけで。
 人影は他にないとは言え…余り、気分の良いものではない。そう思うのは…レイが、罪を背負ったとは言え…真っ当な天界人だったからか。
 大きく、息を吐き出す。そして、そのノブにそっと手をかけた。
 鍵は、開いていた。
 レイは、呼吸を整えると、そっとその扉を開ける。そして、中へと踏み込んだ。
 旧礼拝堂の中は相変わらず真っ暗で…人気はない。それは、"あのヒト"の気配も。
「…誰も…いないのか…?」
 小さく問いかけた声に、答える者は誰もいない。
 暫くすると、暗闇に目が慣れて来る。それと同時に、旧礼拝堂の中も見渡すことが出来た。
 正面には、かつての神の祭壇。そこまで、ゆっくりと歩いて行く。
 使われなくなってから、もうだいぶ経つだけあって、その祭壇には埃が積もっている。そして、祭壇の右側に、一つの扉が見えた。
 場所から考えて、祭壇の真裏に部屋があるのだろう。
 扉には一枚のプレートが打ち付けてある。そこに何か書いてあるのだが、流石に文字までは読めなかった。だが、そんなところにある部屋は一つしかない。
「…熾天使の…執務室…?」
 幾ら、使われていないとは言え…流石にそこを開ける勇気はない。
 小さな溜め息を吐き出し、踵を返した時。
 入り口に…人影を、見た。
「…貴方は…」
 一瞬、息が止まるかと思った。
 暗闇の中…あの、ヴァイオレッドの眼差しが…真っ直ぐに、レイを見つめていたから。
「…もう…ここへは来ないようにと、言ったはずですよね…?」
 それは、レイを咎めるような眼差し。
「それとも、気が変わって…わたしを抱きに来たのですか…?」
 その言葉は、明らかにレイを嘲笑っているようで。
「…俺は…」
 酷く、口の中が乾く。それ程までに、緊張しているのだろう。紡ぐべき言葉も…上手く、口から出て来ない。
「…貴方を、助けたい。こんなことをして、何になると?自分を傷付けてまで、貴方は何を…求めているんだ…?」
 レイは、やっとでそう問いかける。けれど、相手は今更そんな言葉では何も変わらない。
「何を、馬鹿なことを。わたしに関われば、それだけ貴方自身が、傷を負うのですよ?貴方は…こんなことに、染まってはいけない人です。関わっては、いけない人です。だから…帰りなさい」
「嫌、だ」
 はっきりと否定した言葉に、相手は溜め息を一つ。
「…どうしてです?どうして…貴方は、わたしに関わろうとするのです?わたしがやっていることは、貴方には関係のないことでしょう?貴方は、わたしのことなど気にしないで、全うな道を進んでいれば良いんです」
 ここまで拒絶することは、珍しいことだった。
 今までここを訪れて来たのは…ただ、自分を抱く為だけが目的の相手で、誰も更正を促すこともなかった。
 ただ、身体を重ね合わせ、後腐れなくそれでおしまい。それだけだった。
 でも…どうしてこの相手は、自分を更正させようとしているのだろう?どうして…助けようと、必死に説得しているのだろう?
 そんな、困惑した色が、ヴァイオレッドの眼差しに浮かんでいた。
 その顔をじっと見つめていたレイは、大きく息を吐き出す。そして…その言葉を、ゆっくりと…はっきりと、口にした。
「…貴方が、好きです。だから…貴方が苦しむ姿を、見ていられない…」
「…冗談を。わたしを好きですって?貴方も知っている通り、わたしは貴方とは同性です。貴方の想いは禁忌(タブー)ですよ?…そんなことに興味はない、と言う顔をしておいて…何を…」
 呆れたような口調でそう返した言葉。けれどレイは、引かなかった。
「禁忌であることは、重々承知の上での告白です」
 レイのその言葉に、ヴァイオレッドの眼差しが僅かに揺らいだような気がした。
「貴方を初めて見たあの日から…貴方のことが、頭から離れなかった。どうしてなのか、自分でもわからなかった。でも…前回、貴方とここで話をした後も…俺は、貴方の顔は思い出せなくても、その眼差しをずっと覚えていた。他に貴方を抱いた奴らは、みんな貴方の眼差しなど覚えてはいない。でも俺だけは…貴方のその、ヴァイオレッドの眼差しが忘れられなかった。貴方の存在を…忘れることが、出来なかった。笑われるかも知れないけれど…俺は、あの状況で…貴方に一目惚れをしたんだ。禁忌を嫌い、一度も道を踏み外すことがなかった俺が…唯一本気で好きになった相手だ。簡単には引けない」
 レイのその告白に、相手は大きな溜め息を吐き出す。
「…貴方は…何もわかっていない…」
 そう、言葉を零すと、歩みを進めて祭壇の前にいるレイの隣へとやって来る。そして、祭壇を見上げた。
「…わたしは…罪人です。だから、貴方と関わる訳には行かないのです。貴方は…綺麗な心をしている。真っ直ぐで…真っ当な天使様です。片やわたしは…穢れた堕天使です。貴方と…吊り合うはずなどないのですよ…?」
「…同性の相手と関係を持ったぐらい…今の天界では、そんな重罪ではないでしょう?堕天使だなんて…」
 祭壇を見つめる横顔を見つめながら、レイは言葉を零す。
 すると相手は…その視線を、すっと伏せる。
「…だから…見放されるんです…そんな、規律も守られないような世の中だから…見捨てられるんです!」
 そう言い放った表情は、とても苦しそうで。そして…とても、美しくて。
「…誰に…見放されたと…?見捨てられたと?熾天使様に、と言うことですか…?」
 ふと、そう問いかける。
 突然、天界を捨てて魔界へと降りた熾天使。その行動は、不可解極まりなかった。けれど…もしも、天界に絶望して、魔界へ降りたのだとしたら。辻褄は…全て合うのだ。
 震える吐息を吐き出す横顔。
 そして…その眼差しは、再びレイへと注がれた。
「彼は…天界に絶望したのではなく、自分自身に、絶望したのですよ。だから、魔界へと降りただけのこと。全ての罪を背負って行ったかのように見せかけて…本当は、何もかも捨てて、逃げ出しただけなのかも知れませんね」
「…貴方は…何を、知っているのですか?」
 そう、問いかける声が…僅かに震えた。
 今なら…引き返せるだろうか…?
 ふと、そんな意識が過ぎったが…レイは小さく首を横に振って、そんな意識を追い出す。
「…貴方の背負っている罪が、熾天使様が魔界へ降りた理由と繋がるのなら…俺は、貴方の罪を…一緒に背負います。だから…話して下さい…」
 すると、再び大きな溜め息が届いた。
「…そんなに、簡単に罪を背負うだなんて言うものではありません。貴方の、一生のことですよ?堕天使としての苦しみは…そんなに、軽いものではありません。逃げることも出来ない。忘れることも出来ない。一生、その罪を背負って、苦しみ続けるんです。そんな思いは…わたし一人で十分。貴方に、そんな罪を背負わせることは出来ません」
 そう言った相手は、視線をレイから外す。そして、祭壇横の扉の前へと歩いて行く。
「…貴方は…まだ何の罪にも堕ちていない。だから、今なら…まだ、戻れます。貴方からわたしの記憶を消して、真っ当な道を歩き出すことは可能です。だから…もう、帰って下さい。これ以上…関わらないで…」
 それだけ言い残すと、その扉を開け、中へと姿を消した。
 レイは…たった一人、礼拝堂に残されたまま。相手が消えて行った扉をじっと見つめたまま…身動ぎもしない。
 多分…このまま礼拝堂を出たら、記憶はリセットされるのだろう。そうすれば…元の道へ戻れる。けれど…それが本当に、正しい道なのか…レイにはわからなかった。
 礼拝堂の椅子に腰を下ろし、暫し、思いを巡らせる。
 過去に、何があったのか…それは、自分にはわからない。けれど…今、目の前で苦しんでいる相手がいることは間違いないのだ。
 それが…一目惚れをした相手である以上…こうして、同じ罪を背負う覚悟を決めた以上、これ以上迷う意味はなかった。
 大きく息を吐き出すと椅子から立ち上がり、相手が消えて行った扉の前へと立つ。そして、その扉をゆっくりと開けた。
「…神は…見守るのみ。助けたいと思うのなら、自分で動け。強くなれ…手を、伸ばせ!その手で、しっかり捕まえていろ!」
 自分自身に言い聞かせるように、そう口にする。
 その視線の先…ヴァイオレッドの眼差しは、扉の正面にある窓を背にして立ったまま、真っ直ぐにレイを見つめていた。
「…俺は…そう、言われました。自分が傷つくのが怖いのなら、速やかに手を引け。後悔するくらいな、最初から手を出すな」
「……馬鹿馬鹿しい……」
 小さな、溜め息が零れた。
「誰が、そんなことを…なんて言う事は、敢えて聞きませんけどね。でも、それが全てではないでしょう?傷つくことも、後悔することも、モノには限度があるんです。取り返しがつかなくなってからでは、遅いんですよ」
「…後悔は、しません。だから、ここにいるんです。俺は…貴方をこのままにしておく方が、後悔します」
 レイは、後ろ手に扉を閉め、自らの退路を閉ざした。
「何を聞いても…逃げ出しません。貴方を…独りにはしない。だから…」
「…わかりました。貴方ほどの御人好しは…見たことがない」
 諦めたような溜め息を吐き出した相手は、部屋の四隅に小さな灯りを灯す。すると、暗かった部屋の中がなんとか見渡せるくらいの明るさになった。
「余り明るくすると、外へ光が漏れて目立ったら厄介ですから」
 そう言うと、窓にかかっていたカーテンを閉める。
 レイは、ぐるっと部屋の中を見渡した。
 壁の高いところに、ぐるっと肖像画が飾られている。そして一際大きな肖像画が一枚。それは、丁度祭壇の真裏に当たる場所にかかっていた。
「…ここは…熾天使の執務室でした。ここに飾られているのは、歴代の熾天使たち。そして…最後の熾天使、ルシフェルの肖像画…」
 ヴァイオレッドの眼差しは、その肖像画を見上げていた。ただ、真っ直ぐ…。
 そしてレイは、その姿を、黙って見つめていた。
「…本当に…後悔はしませんか…?」
 改めて、念を押される。
「…しません」
 小さく答えた声に、再び溜め息が一つ。
 そして……ゆっくりと開かれた唇は、遠い過去を語り始めた…。
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如月藍砂(きさらぎ・あいざ)
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がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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