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聖飢魔Ⅱです。(face to ace、RXもあり…) 完全妄想なので、興味のある方のみどうぞ。

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檀香 白檀~node 2

第四部"for PARENTS" (略して第四部"P")

こちらは、本日UPの新作です。
第四部は徐々にオリキャラメインとなりますので、御注意ください。
興味のある方のみ、どうぞ。(^^;
3話完結 act.2

拍手[3回]


◇◆◇

 エースがダミアンのところに向かってから少しして、デーモンが目を覚ました。
「…ゼノン…エースは…」
 掠れた声で問いかけたデーモンに、枕元に座っていたゼノンが小さく笑う。
「御免ね、ちょっと出かけちゃって。取り敢えず…はい、これ舐めて」
 そう言いながらポケットからのど飴の小袋を取り出すと、封を切ってデーモンの口に放り込んだ。
 大人しく飴を舐めるデーモンに、ゼノンは言葉を続けた。
「エースから…何か聞いてる?移動時間を短くしたいとか何とか…」
「…移動時間を…?いや…何も…」
「…そう」
 エースが話していないことを、先に話してしまうのはどうかと思う。けれど、問いかけてしまったのだから、デーモンは気になるだろう。
 そしてその想像通り…デーモンはゼノンに問いかけた。
「移動時間が…どうかしたのか…?」
 さて、どう返そうか…と思っていると、ドアがノックされた。そして返事を待たず、ドアが薄く開いた。
「…ちちうえ、おきた?」
「ディナ…?」
「とうさま、いないの…ここにいる?」
 ドアの隙間から顔を覗かせたディナ。ゼノンがいるので、流石に寝室に入るのは控えているのだろうが…それでも気になって仕方がなかったのだろう。
 ゼノンがドアを開けてやると、それでもドアの外側で佇んでいる。
「エースは出かけちゃったんだ。デーモンの診察も終わってるから、少しなら入っても大丈夫だよ」
「…ほんと?」
 上目遣いで見上げられたら、ゼノンも苦笑するしかない。
「大丈夫だよ」
 改めてそう言った声に、満面の笑み。そして、上体を起こしたデーモンの元へと駆け寄った。
「もぉだいじょうぶ~?」
 問いかけるディナの声に、デーモンも小さく笑う。
「あぁ。結構寝たからな、だいぶ楽になった。御免な、相手してやれなくて」
 そっと頭の上に置かれた手。だが、相変わらず嗄れている声に、表情が曇る。
「…こえ、だいじょうぶ…?」
 流石に嗄れた声は心配だったようだ。だが、デーモンは再び笑いを零す。
「直ぐには治らないが、良くなって来ているから。そうだよな、ゼノン?」
「そうだね。でもゆっくり休まないと治らないんだ。だからディナは、今日はエースの屋敷に泊まってくれる?デーモンが元気になったらまた来られるから。わかってくれる?」
 ディナが何処まで理解してくれるかはわからない。だが、ただ親の都合で振り回してしまわず、きちんと説明をしようと思っているのだ。
 少し、首を傾げて考えるディナ。だがデーモンの顔を暫く眺めていたディナは、小さく頷く。
「有難うね。夕方になったらエースの屋敷に行くから、それまではここにいても良いから」
 そう言ってゼノンもディナの頭を撫でる。
 エースが接点を作ろうと思ったのも、こんな状況を繰り返しているから。そんな状況を目の当たりにしたゼノンは、小さな吐息を吐き出す。勿論、デーモンもそんなゼノンの様子は目に入っている。だが、ディナの前、先程の話も含め、それを問い質すことは出来なかった。
 全てはエースが戻って来てから。
 そんな想いで、デーモンもまた小さな吐息を吐き出していた。

◇◆◇

 さて、こちらはダミアンの元を訪れていたエース。
 ダミアンの執務室を訪れ、接点を作る許可を得るべく状況を説明しているところだった。
 そして、エースが一通りの説明を終えると、ダミアンは一つ息を吐き出す。
「…そう、接点をね。まぁ、ライデンの協力があれば可能だろうが…」
「…何か、問題でも…?」
 イマイチ良い反応とは思えないダミアンに、不安そうな表情を浮かべたエース。
 するとダミアンは、執務机の上で神経質そうにその両手の指を組んだ。
「今の状況もわかっているし、御前の想いもわかっているよ。ただ、二つの屋敷を繋ぐとなると、防犯面は気を遣わないと大変なことになるだろうね。御前の話では、ディナも自由に行き来が可能と言うことだろう?だが、完全に自由にしてしまうと、一名でウロウロしてしまう結果になったら大変だよ?誰かが見ていないところで接点のドアを潜ってしまったら?もう片方の屋敷から外に出てしまったら?幾ら用心深く育てていたって、何かのはずみで興味を持ってしまったらあっと言う間だよ?」
「…それはそうですが…」
「それだけではないよ。もし部外者がその接点を見つけてしまったら?使用魔たちは信頼出来ると言っても、屋敷二つ分の使用魔が存在することになるからね、どうしても見落としが出来てしまうかも知れない。そこで情報漏洩でもあったら一大事だ。接点が一つあるだけで、部外者だって隙を突いて情報を持ち出すことが可能になる。今言ったことは一例だ。他にも思いがけない事態は幾らでも出て来るんだ。デーモンとディナの為ならば、その辺りの対策をきちんと出来ていないと許可は出せない。そう言うことだよ」
 ダミアンの言葉には、ぐうの音も出ない。
 エースにしては詰めが甘い提案に、ダミアンは溜め息を一つ吐き出す。
「…御前は、デーモンのこととなると周りが見えなくなるんだから。一番気にかけなければいけないところだろう?」
「……御尤もです…」
 エースも大きな溜め息を零した。
 熟考した割に、穴だらけ。だがエースだけでなく、先の話を聞いたはずのゼノンでさえそこまで指摘しなかったのだから、何とかしなければと気が急いていたのは誰もが同じ気持ちだったのだろう。
 それをわかっているからこそ、ダミアンも無碍にあしらう訳にもいかないのだ。
「どうせ御前のことだから、まだデーモンにも話していないんじゃないのかい?」
 様子を窺うように問いかけると、エースは溜め息と共に頷きを返す。
「ダミアン様の許可が出たら話そうと…ゼノンには相談したんですが…」
「まぁ、ゼノンも御前と同じで、デーモンのことになると気が急くからね。しっかり話し合ってからでも遅くないだろう?諸々の対策が取れるのであれば、わたしは異論はない。ライデンだってそれは同じだと思うよ?」
「…そうですね…」
 なるべく早くどうにかしなければ…と気持ちだけが急いていたのは確か。
 ただ、デーモンの体調は関係ない。どちらかと言えば…ディナのこと。
 対応に困ってる訳ではない。ただ、このままで良いのかと、漠然とした不安があるのは確かだった。
 それはエースだけではなく、多分…ゼノンも。
「…申し訳ありません。一旦持ち帰ります」
 頭を下げ、そう口にするエース。
「その方が良いね。きちんと話し合っておいで」
「…はい」
 にっこりと微笑むダミアンに見送られ、エースは踵を返す。そして重たい足取りで執務室を後にする。
 改めて…簡単なことではないと、思い知らされた。そんな想いを抱きつつ、エースはデーモンの屋敷へと戻って行ったのだった。

◇◆◇

 デーモンの屋敷へとエースが戻って来ると、出迎えたのはゼノンだった。
「どうだった?」
 状況によっては、このまま雷神界へ行って、ライデンを説得して来ようか。そんな様子のゼノンだったが、エースのその顔を見て小さな溜め息を吐き出す。
「…駄目そうだね…?」
「まぁ…」
 苦渋の表情のエースは、羽織っていた外套を使用魔に預けると、ゼノンと連れ立ってデーモンの寝室へ向かう。その道すがら。
「デーモンは?」
 まず、それが気になった。
「相変わらずだよ。まぁ、急に悪化はしないだろうから、様子見」
「そう、か」
 悪化していないだけでも安心する。
「ディナは?もうとっくに起きてるだろう?」
「あぁ…今はデーモンの寝室にいるよ。デーモンの体調が落ち着くまで御前の屋敷に泊まりに行くようにって話はしたけど…御前が帰って来るまではデーモンの傍にいて良いって俺も言っちゃったしね…」
 ゼノンもそう言って良かったのだろうか…と、気にしている感もある。
「…しょうがないな…で片付けてはいけないんだろうな…」
 エースも小さな溜め息を一つ。そうしているうちに、デーモンの寝室の前に着いた。
「御前も一緒に、話を聞いてくれ。ディナは少しだけアイラに見ていて貰うから」
「良いよ。じゃあ、アイラに声かけて来るよ」
 踵を返したゼノン。その背を見送り、エースはドアをノックした。
 するとそのまま、内側からドアが開かれた。
「とうさま!おかえりなさい!」
「…あぁ、ただいま。デーモン、起きてるか?」
 出迎えたディナの頭に手を置きながらそう問いかけると、中から嗄れた声が届く。
「…起きてるぞ」
 その掠れ具合に、そう言えば寝顔しか見ていなかった…と思いつつ、寝室に足を踏み入れる。
 その視線の先。ベッドに上体を起こしたデーモンは、エースの姿を前に小さく笑う。
「…やっと、御前の顔が見れたな…」
 そう言葉を零したデーモンもまた、エースの姿を見たのはこの日初めてだった。
 すれ違ってしまうのは仕方がない。ただ、以前ならずっとベッドの傍にエースはいた。それを考えると、デーモンも少し心細さを感じるのだった。
「ディナ。父様たちは少し大事な話があるから、アイラと遊んでいてくれ。話が終わったら、一緒に父様の屋敷に行こうな」
 エースのその言葉に、ディナはちょっと表情を曇らせる。
「じゃあ、ゼノンさまは?」
「ゼノンも一緒に話をするから。大人しく待っててくれよ?」
「……わかった…」
 口を尖らせて、不服そうな顔。だが、ここでごねても無駄だと言うことは、流石にディナもわかっている。なので、頷くしかない。
「良い子だ」
 小さく笑いを零したエースは、再びディナの頭を撫でる。
 そうこうしているうちに、ゼノンがアイラを連れてやって来た。
 すんなりとアイラの元へと言ったディナを見送り、ゼノンはドアを閉める。
「実はな…御前に、相談があってな…」
 そう切り出したエース。
「…相談…?」
 怪訝そうに眉を寄せたデーモンに、エースは枕元の椅子に腰を下ろす。ゼノンもその隣に椅子を持って来て腰を下ろすと、エースは言葉を続けた。
「…実は…この屋敷とウチの屋敷を繋ぐ接点を作りたいんだ」
「…接点…?」
「そう。雷神界に行く時に接点のドアを通るだろう?あれと同じように作れたら、移動時間の短縮になるだろう?御前が急に具合が悪くなっても、俺が屋敷にいる時間なら直ぐに来ることが出来る。それにディナも…もっと簡単に、二つの屋敷を行き来出来る。置いて行かれたと…寂しい想いをすることも少なくなるんじゃないかと思うんだ」
 そんなエースの言葉を聞きながら、デーモンの視線はゼノンへと向けられた。
 ゼノンがデーモンに問いかけた、移動時間の短縮。それはきっと、このことだったのだろう。
 自分より先に、そんな大事なことを。当然、デーモンの表情に、そんなモヤモヤが透けて見えた。
「御前も…聞いていたのか?その話…」
 言葉を向けられたゼノン。エースはゼノンがデーモンに問いかけたことを知らなかったのだから、当然首を傾げる。
 そしてゼノンは…と言うと、ちょっと気拙そうな表情。
「相談されたんだよ。ほら、接点を繋ぐことは誰でも出来ることじゃないから。ライデンにも手伝って貰って…って…」
 そう返したゼノンに、エースが言葉を添える。
「何処まで話しを聞いたのかは知らないが…ゼノンには背中を押して貰ったんだ。それで、ダミアン様に許可を貰いに行って来た。御前には、許可を貰ってから…と思ったんだが……」
「…何だ、もしかして貰えなかったのか…?」
 状況からして、ダミアンならすんなり許可を出すものだと思ったのだが…エースの表情を見る限り、どうもそうではないらしい。おかげで、ゼノンが先に知っていた、と言うモヤモヤは何処かへ行ってしまった。
「貰えなかった訳じゃないんだが…まぁ、まだ貰えていないのはそうなんだが……」
「…どう言うことだ…?」
 首を傾げるデーモンとゼノン。そしてエースは溜め息を吐き出す。
「いや…防犯面に関してな、詰めが甘いと…当初は、ディナ自身も自由に行き来出来るようにと思っていたんだが…もしディナが一名でウロウロして、見失ったらどうするつもりだ?と…勝手に屋敷の外へ出てしまったら?とな…それに、接点を部外者が見つけてしまったら、情報漏洩の危機もあると…指摘されるまで気付かなかったと言うか…」
 エースの言葉に、ゼノンもハッとしたように息を飲んだ。
「…そんなの、当たり前じゃないか…対策も考えずに、ダミアン様に持って行ったのか…?ゼノンも気付いていなかったのか?相談、されたんだろう…?」
 一名、デーモンだけが、そんな穴だらけの提案は通らなくて当たり前だと冷静に突っ込みを入れる事態になっていたのだが…まさか、ゼノンまで気付かなかったとは、と呆れてしまう。
 その言葉に、ゼノンも溜め息を吐き出す。
「…まぁね、冷静に考えてみればそうだなと思うんだけど…あの時はまずダミアン様に話を通さなければ、って想いしかなくて…」
「俺も同じだ。気持ちが急いていたんだな…」
 エースも溜め息を吐き出す。そんな二名の姿を前に…デーモンは再び首を傾げた。
「どうして…慌てる必要がある?何がそんなに、御前たちを焦らせたんだ…?」
 そう。デーモンにしてみれば、今更慌てる必要はない。それを慌てなければならないとすれば…。
「…もしかして…吾輩、悪化しているのか…?」
 表情を硬くして問いかけた声に、ゼノンが小さく笑う。
「それは大丈夫、安定しているよ。急に悪化した訳でもないし、具合が悪くなったとしてもきちんと治療すれば、ちゃんと職務に戻れるから」
「なら…」
「…強いて言えば…ディナ、かな」
「ディナ…?」
「そう。俺も同じ」
 同意を示したエースとゼノン。それには増々、首を傾げるデーモン。
「ディナはエルと違って、我を通すだろう?それがいけない訳じゃないが…やっぱり、離れて住んでいることは不安があるんだと思う。御前の具合が悪い時にここから離れないこともそう。何処か…漠然とした不安があって、俺たちに纏わりつくことで、その不安を胡麻化しているんじゃないか…そう思うことが増えたんだ。それに、俺が御前に付きっきりになることも嫌がるだろう…?」
「…そう言われればそうかもな…吾輩自身は、自分が調子が悪い時はそこまで気が回らないからな…」
 エースに説明され、デーモンもそう言えば…と思い当たる節はある。
 そしてゼノンは、また違う角度からの心配を口にした。
「それだけじゃないよ。デーモンが具合の悪い時に、エースが傍にいる時間が随分短くなっているんだ。今日だって、御前が眠っているほんの少しの間しか傍にいなかった。エースが傍にいるのといないのとでは、御前の回復に違いが出て来ているんだよ。俺は御前の主治医として、不調を長引かせることは極力避けたい。でも…言い方は良くないのは重々承知だけど…ディナがエースから離れたがらないことで、結果長引くことになる。だからこそ、接点を繋ぐことで少しでもディナの不安が和らぐなら、即座に手立てを取りたい。で、焦った結果…こうなった…」
「…そう、か…」
 当事者たるデーモンにはなかなか見えなかったこと。それが漸く見えたと言うところだった。
「…とにかく、そう言うことで持ち帰って来たんだ。三名でちゃんと話し合って、一番良い方法を考えろとの御達しだ。そうすれば許可は出すと言われたからな。長くなりそうだから、俺は一旦ディナを連れて屋敷に帰る。落ち着いたら出直して来るが…大丈夫そうか…?」
 そっと差し出された手が、デーモンの頬に触れる。
「あぁ。ゼノンに診て貰ったし、少しエネルギーも貰ったから。夜までは大丈夫」
 小さく微笑んだデーモンに、エースも軽く微笑んだ。勿論、その手は頬から離さないが。
「…御前はどうする?」
 隣のゼノンにもそう声をかけると、ゼノンは少し考える。
「採血した血液を研究室に持って行かないといけないんだけど…俺も夜に出直して来ても良いかな?その時に薬も処方して来るから」
「あぁ、アイラがいるから大丈夫だ」
「じゃあ、そうさせて貰うよ」
 そう言って、先に席を立つ。
「御先に。まぁ…折角だから、もう少しゆっくりしてから行くと良いよ」
 ゼノンはそう言うと、笑いながら寝室を出て行った。
「…ゼノンもあぁ言ってることだし…もう少しだけ、ディナはアイラに見ていて貰おうか…?」
 勿論、デーモンの体調如何だが…デーモンもくすっと笑う。
「アイラなら心得ているから心配するな?」
「……だな」
 笑いながら、エースはデーモンへとそっと頬を寄せる。
 漸く、癒しの時間。
 それから暫くして、エースはディナを連れて屋敷に戻って行った。
 ベッドの中では、すっかり安心しきったデーモンの寝顔。
 主のそんな寝顔を、アイラも安心したように見つめていたのだった。
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がっつりA宗です。(笑)
趣味は妄想のおバカな物書きです。
筋金入りのオジコンです…(^^;
但し愛らしいおっさんに限る!(笑)
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